ファイアボール (アルバム)
ファイアボール(Fireball)は、イギリスのロックバンド、ディープ・パープルが1971年に発表したアルバム。
『ファイアボール』 | ||||
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ディープ・パープル の スタジオ・アルバム<meta itemprop='albumReleaseType' content='アルバム' /> | ||||
リリース | ||||
録音 | 1970年9月~1971年6月 | |||
ジャンル | ハード・ロック | |||
時間 | ||||
レーベル |
ハーヴェスト(オリジナル盤) EMI(リイシュー盤) ワーナー・ブラザース・レコード | |||
プロデュース | ディープ・パープル | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
ディープ・パープル アルバム 年表 | ||||
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解説
ディープ・パープルは、1970年に発表した前作『ディープ・パープル・イン・ロック』がヨーロッパで好調なセールスを記録している最中に、新作アルバムの製作に乗り出した。しかし、メンバーは前作のヒットによって慌しくなったツアー活動の合間を縫ってレコーディングを行わなければならなかったので、製作に集中できなかった。
レコーディングは1970年9月から1971年5月までを要し、ロンドンにあるデ・レイン・リー・スタジオ及びオリンピック・スタジオにて行われた。ドラマーのイアン・ペイスはスタジオの音質が気に入らず、録音の過程でドラム・セットを廊下に運び出してドラム・パートだけ録り直した[4]。また、彼はタイトル曲を珍しく2バスドラムのセットで演奏した[注釈 1]。レコーディングの時に偶然スタジオで隣り合わせになったザ・フーのドラマーのキース・ムーンからバスドラムを借用した、とペイスは後年語っている[4]。ちなみに、この曲の冒頭の効果音には、エア・コンディショナーのコンプレッサーを作動させた時の音が利用された。
収録曲の3曲目には、イギリス盤には「デイモンズ・アイ」[注釈 2]、日本盤とアメリカ盤には「ストレンジ・ウーマン」が選ばれた。
前作のヒットの勢いもあり、本作の売れ行きも好調で、本国イギリスでは初の1位に輝き、アメリカでもビルボード・チャートで最高32位に食い込んだ。メンバーがファイアボール(火の玉)となって宇宙の彼方へ飛び出す様子を描いたユニークなジャケットは、『ニュー・ミュージカル・エクスプレス』紙の「ベスト・デザイン・ナンバー・ワン・アルバム賞」を獲得した。
評価
本作に対するメンバー達の評価は良いとは言い難く、概して辛辣な意見が多い。リッチー・ブラックモアは「主張の無いアルバムだ」「ツアーが忙しくゆっくりと構想を練る時間が取れなかった」、ロジャー・グローヴァーは「『イン・ロック』の成功のプレッシャーがかかり考え過ぎた」「ファイアボール(火の玉)というより線香花火のようなものだった」、ジョン・ロードも「どの曲も実験的だった」などと述べている。しかしイアン・ギランだけは本作を気に入っており、ディープ・パープル再結成後も、収録曲の幾つかを幾度となくコンサートのセットリストに加えている。
収録曲
- ファイアボール - "Fireball" - 3:22
- ノー・ノー・ノー - "No No No" - 6:52
- ストレンジ・ウーマン - "Strange Kind of Woman" - 4:07
- 誰かの娘 - "Anyone's Daughter" - 4:40
- らば - "The Mule" - 5:19
- 愚か者たち - "Fools" - 8:16
- 誰も来ない - "No One Came" - 6:24
メンバー
- リッチー・ブラックモア - ギター
- イアン・ギラン - ボーカル
- ロジャー・グローヴァー - ベース
- ジョン・ロード - キーボード
- イアン・ペイス - ドラムス
脚注
出典
- ChartArchive - Deep Purple
- Deep Purple - Awards : AllMusic
- 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.205
- 『DEEP PURPLE IN BOOK』(2018年 シンコーミュージック・エンタテイメント ISBN 9784401646722 p84)
注釈
- 当時のコンサート映像でも、この曲を演奏する際にローディーがバスドラムを追加する様子が捉えられている。
- 同曲は後に、1980年リリースのベスト盤『ディーペスト・パープル』に収録されている。