細川成也

神奈川県厚木市で出生後、茨城県北茨城市へ転居[2][3]。小学3年生のときに北茨城リトルで野球を始める[4]。

中学時代は隣の福島県のいわきシニアで外野手をしていたが[3]、3年生の時に陸上部顧問の勧めでやり投に挑戦。わずか3か月の練習でジュニアオリンピックのジャベリックスロー（小中学生向けのやり投げ）種目へ出場したところ77.42mの投擲で中学生記録を達成するとともに2位へ入った[5]。この結果を受け、JOCからやり投げの強化指定選手に誘われた[6]が、細川は野球を続けた。

明秀学園日立高校への進学後は、2年春からベンチ入り[7]。3年春の高校野球フェア[注 1]では、打球が開催地・長良川球場の外にある建物の屋根を直撃する本塁打（推定飛距離150m）を放つ[5]など、6試合で5本塁打を放ったことで一躍注目された[6]。また投手としてもストレートで最速146km/hを計測。エースとクリーンアップの「二刀流」で臨んだ3年夏の全国選手権茨城大会では、チームを創部以来初めての決勝進出に導いたが、鈴木昭汰のいた常総学院高校に0-1で敗れ[8]、準優勝。

明秀日立高校では甲子園球場の全国大会と無縁であったが、2016年度NPBドラフト会議にて横浜DeNAベイスターズから5巡目指名を受け、契約金3000万円、年俸500万円（金額は推定）という条件[9]で外野手として入団。背番号は52。

横浜DeNAベイスターズ時代
（2017年6月16日、横浜スタジアムにて）

2017年は、公式戦の開幕を二軍で迎えたが7月13日のフレッシュオールスターゲーム（草薙球場）に、イースタン・リーグ選抜の「7番・右翼手」としてフル出場[10]。同リーグの公式戦では、114試合の出場で規定打席に到達し、打率.201ながら10本塁打、33打点を記録した。シーズンの終了後には、イースタン・リーグのビッグホープ賞（ベースボール・マガジン社制定）と努力賞（日刊スポーツ制定）を受賞した[11]。一軍公式戦にはチームのリーグ戦順位が確定した後の10月3日の対中日ドラゴンズ戦（横浜スタジアム）で「5番・右翼手」として初出場。1回裏二死一・三塁で迎えたプロ初打席で、笠原祥太郎からバックスクリーン直撃の3点本塁打を放ち、公式戦初安打・初本塁打・初打点・初得点を同時に記録した[12]。この本塁打は、日本プロ野球の公式戦では史上61人目の初打席本塁打[13]だが（チームとしては乙坂智が入団3年目の2014年に記録して以来2人目）、高卒の新人選手に限ればチーム史上初、日本プロ野球史上でも6人目であった[14]。チームのレギュラーシーズン最終戦となった翌4日の同カードにもスタメンで起用されると1-1のスコアで迎えた5回裏の第2打席で決勝の2号ソロ本塁打を記録[15]。2リーグ制が始まった1950年以降の公式戦においてデビュー戦から2試合連続で本塁打を放った高卒の新人選手は細川が初めてである[16]。チームがレギュラーシーズン3位で迎えたポストシーズンでも一軍に帯同すると、阪神タイガースとのクライマックスシリーズ（CS）ファーストステージ第1戦（10月14日・阪神甲子園球場）で、8回表に代打としてポストシーズンデビューも果たした（記録は四球）。高卒の新人野手がCSに出場した事例はチーム史上初で、他球団を含めれば2011年の山田哲人（東京ヤクルトスワローズ）以来2人目である[17]。さらに、広島東洋カープとのCSファイナルステージ（MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島）にも、代打で3試合に出場。チームがセントラル・リーグで優勝した1998年シーズン以来19年ぶりの日本シリーズ進出を決めた第5戦（10月24日）では、4回表の打席で大瀬良大地からセンター前への適時打を放った。CSに出場した高卒新人選手が安打と打点を記録した事例は、前述の山田以来2人目である[18]。福岡ソフトバンクホークスとの日本シリーズでも、第1戦（10月28日）の9回表に代打で寺原隼人から中前安打を放つと翌29日の第2戦（いずれも福岡ヤフオク!ドーム）では「8番・指名打者」としてスタメンで出場。シリーズ通算で7打数3安打2四球1打点を記録した。高卒新人野手の日本シリーズ出場は、セ・リーグでは1988年の立浪和義（中日）以来29年ぶり、パ・リーグを含めても2012年の近藤健介（北海道日本ハムファイターズ）以来5年ぶり9人目[19]。高卒の新人野手が日本シリーズ初打席で安打を放った事例[20][注 2]や、CSと同シリーズの両方で安打を記録した事例は、いずれも細川が初めてである[22]。日本シリーズの後には、台湾で催されたアジアウインターベースボールリーグ（AWB）にNPBイースタン・リーグ選抜の一員として参加[23]。11月29日の対NPBウエスタン選抜戦と、11月30日の対JABA戦で2試合連続本塁打を放った[24]。

2018年は、前年のレギュラーシーズン最終盤以降の活躍を背景に春季一軍キャンプから一軍の正右翼手候補に挙げられていたが、公式戦を二軍でスタート。イースタン・リーグでも前半戦は三振を重ねるなど振るわず、7月には二軍首脳陣の方針で「強化月間」として一時的に実戦を離れた[25]。実戦復帰後のリーグ戦で2打席連続本塁打を放ったこと[25]を背景に、9月11日にシーズン初の出場選手登録。一軍公式戦では11試合の出場で打率が.222にとどまる一方で、本塁打と二塁打を1本ずつ記録した。

2019年は、前年のシーズンに続き、春季一軍キャンプで首脳陣から高い期待を受けていたが、3年連続で開幕を二軍で迎えた。イースタン・リーグ公式戦では、開幕から4番打者に起用されると6月に同リーグのファーム月間MVPを受賞[26]。規定打席未満ながら、チーム最多（リーグ3位）の15本塁打、打率.293という好成績を収めた。一軍公式戦では36試合の出場で、打率.222、1本塁打を記録している[27]。オフに推定年俸880万円で契約更改[27]。

2020年は、イースタン・リーグ公式戦のほぼ全試合に4番打者として起用。10・11月期のファーム月間MVPを受賞したほかシーズン全体でも最終規定打席へ到達した末に、最多本塁打（13本）、最多打点（53打点）、最高出塁率（.448）のタイトルを獲得した[28]。打率も.318（リーグ4位）に達したことから、OPSもリーグの最終規定打席到達者としては最も高い.995であったが、一軍公式戦では19試合の出場で1本の本塁打を放つだけにとどまった[29]。最後の2試合は退任するアレックス・ラミレス監督の方針で4番打者を任され[30][31]、いずれの試合も結果は4打数1安打だった[32][33]。

2021年は、前年のシーズンの右翼手のレギュラーであるタイラー・オースティンの来日が遅れたことにより、自身初の開幕一軍入りを果たし、穴埋めを期待された。しかし開幕から11打席連続無安打に終わり4月12日に一軍登録を抹消された[34]。その後も代打を中心に自己最多の37試合に起用されたものの、打率は.154、本塁打はキャリア初となる0本に終わり、一軍に定着することができなかった。シーズン終了後には秋季トレーニングには参加せず、球団の了承を得てオースティン、ネフタリ・ソトとともに米国・カリフォルニア州のトレーニング施設で打撃の改善に取り組んだ[35]。

2022年は、開幕一軍を迎えるが、外野争いが熾烈な中で結果が残せず、4月21日に登録抹消される[36]。7月23日の阪神戦（阪神甲子園球場）で伊藤将司からシーズン初安打となる1号本塁打を放った[37][注 3]。前半戦は16試合の出場で打率.059、1本塁打、1打点と結果を残せず、「オフからやっていることをしっかり継続しながら、プロ6年目なので結果にこだわって、頑張っていきたい」と後半戦に向けて意気込んでいた[39]。しかし、最終的に一軍での安打は前述の本塁打の1本に終わり、18試合に出場し、打率.053という厳しい結果となった[40]。オフに推定年俸990万円で契約更改するが[40]、外野手の層の厚さに阻まれ、現役ドラフトによってDeNAを退団した。

2022年12月9日、同年より実施された現役ドラフトで中日ドラゴンズから指名され、移籍した[41][42][43]。12月16日に入団会見が行われた。背番号は0[44]。

2023年の春季キャンプは一軍スタートとなった[45]。春季キャンプ中に行われた実戦で3本塁打を打ち[46]、立浪和義監督から春季キャンプのMVPに選ばれた[47]。その後のオープン戦では3月20日時点で打率.154、1本塁打とあまり結果を残せていなかった[48]が、3月25日の千葉ロッテマリーンズとのオープン戦（バンテリンドーム ナゴヤ）で2安打を記録し、開幕一軍に近づいた[49]。

シーズン開幕を一軍で迎えたが[50]、3月31日の読売ジャイアンツとの開幕戦では出場機会がなかった[51]。それでも、翌日の同カード（東京ドーム）で代打で移籍後初安打を記録[52]。翌々日はダヤン・ビシエドに代わって[53]6番・一塁手としてスタメン起用され、8回に鍵谷陽平から移籍後初打点となる同点適時打を放った[54]。4月23日の阪神タイガース戦（バンテリンドーム ナゴヤ）では決勝点となる逆転の2点適時二塁打を打ち、ヒーローインタビューを受けている[55]。5月5日の巨人戦（バンテリンドーム ナゴヤ）ではプロ入り後初めてとなる3安打猛打賞を記録[56][57]。その後も3割を超える打率を記録しながら本塁打を打てていなかった[58]が、5月13日の東京ヤクルトスワローズ戦（明治神宮野球場）で清水昇から移籍後初本塁打[59][60]、5月17日の阪神戦（バンテリンドーム ナゴヤ）で西勇輝から本拠地初本塁打を打った[61]。5月27日の横浜DeNAベイスターズ戦（バンテリンドーム ナゴヤ）では2020年にサイ・ヤング賞を受賞した[62]トレバー・バウアーからプロ入り後初めて1試合2本塁打を放った[63][注 4]。5月は25試合に出場して打率.360（リーグ1位）、100打数36安打（リーグ1位）、8二塁打、5本塁打、17打点（リーグ5位）、出塁率.396、長打率.590（リーグ3位）、OPS.986（リーグ3位）を記録。5月度JERAセ・リーグAWARDの月間大賞[65]と、5月度月間MVPセ・リーグ打者部門を受賞した[66]。月間MVPは同じく現役ドラフトで阪神タイガースに移籍した大竹耕太郎と共に受賞した[67]こともあり、大きな話題となった。

6月8日の埼玉西武ライオンズ戦（ベルーナドーム）では中日では初めて4番打者に起用され、1回に先制の2点二塁打、7回にソロ本塁打を放つなど3安打3打点を記録[68]。交流戦では打率.277、4本塁打、15打点[注 5]を記録した[70]。6月27日の阪神戦（阪神甲子園球場）で西勇輝から2点本塁打を打ち、2桁本塁打に到達[71]。

• 2022年度シーズン終了時

• 2022年度シーズン終了時

• 月間MVP：1回（野手部門：2023年5月）
• 月間JERAセ・リーグAWARD：1回（2023年5月）

初記録

• 初出場・初先発出場：2017年10月3日、対中日ドラゴンズ24回戦（横浜スタジアム）、5番・右翼手で先発出場
• 初打席・初安打・初本塁打・初打点：同上、1回裏に笠原祥太郎から中越3ラン
• 初盗塁：2020年8月27日、対広島東洋カープ14回戦（横浜スタジアム）、4回裏に二盗[90]（投手：クリス・ジョンソン 、捕手：石原慶幸）[91][92]

その他の記録

• 初打席本塁打 ※史上61人目[13]

• 52（2017年 - 2022年）
• 0（2023年 - ）

• 「New Thang」Redfoo（2017年[93]、2018年[94]）
• 「Medal」Jim Johnston（2019年[95]、2020年[96]）
• 「Lean On」Major Lazer＆DJ Snake（2019年[95]、2020年[96]）
• 「Inside the Lines(feat.Casso)」Mike Perry（2020年）[96]
• 「CHOCOLATE」ちゃんみな（2021年）[97]
• 「Wicked Wonderland」Martin Tungevaag（2021年）[97]
• 「The Beginning」ONE OK ROCK（2021年）[98]
• 「Hello(feat.A Boogie wit da Hoodie)」Pop Smoke（2022年）[99]
• 「やんちゃ坊主」強（2022年[99]、2023年[100]）