強制性交等罪

強制性交等罪(きょうせいせいこうとうざい)は、暴行又は脅迫を用いた13歳以上の者への性交肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」)、13歳未満の者への性交等に対する罪である。性犯罪の一種であり、刑法第177条に定められている。

強制性交等罪
法律・条文 刑法177条
保護法益 性的自由
主体 人間
客体 人間
実行行為 強制性交等
主観 故意
結果 結果犯、侵害犯
実行の着手 強制性交等の目的をもって、人間に対して暴行又は脅迫に及んだ時点。
既遂時期 性器肛門又は口腔への一部挿入時点
法定刑 5年以上の有期懲役。有期懲役刑の上限は20年、加重により30年[1]
未遂・予備 未遂罪(180条

2017年(平成29年)7月、性犯罪に関する刑法が1907年の制定以来110年ぶりに大幅改正され、強姦を罰する強姦罪から、より包括的な強制性交等罪へと改定された[2][3][4]。要点は以下の通りであった[5][4][6]

  • 口腔や肛門への陰茎の挿入も対象となり、被害者が男性の場合も対象になった。
  • 法定刑の下限が懲役3年から5年に厳罰化された。
  • 被害者の告訴がなくても容疑者を起訴できる非親告罪となった。
  • 18歳未満の者に対して監護者が性的虐待を行った場合は、暴行や脅迫がなくても処罰対象になった。

なお、この改正刑法には多くの課題が残されたとして、施行後3年を目途に実態に即して見直しを行うという附則が付いた[2][7][4]。現在の刑法の規定では被害者が13歳以上であれば、同意なく強いられた性行為だったと認められた場合でも、被害者の「激しい抵抗」もしくは「抗拒不能(抵抗ができない状態)」の事実が立証されなければ無罪となり、どのくらい激しく抵抗したのか、被害者の側が細かく問われることになる[4][8][9]

2020年(令和2年)に法務省は見直しの検討会を設置し、2023年(令和5年)の通常国会への改正案提出に向けて議論が行われた[4][10]。2023年(令和5年)2月3日法制審議会の部会で現行の強制性交等罪と準強制性交等罪を統合した刑法改正の要綱案がまとまり、第211回国会に提出し、立法に繋げる方針とされた[11][12][10][9][13]。新法案の要綱案は、「意に反した性行為は処罰の対象」であることを分かりやすく狙いがあり、従来の「暴行・脅迫」に加え、「アルコール薬物を摂取させる」「経済的・社会的地位に基づく影響力によって不利益を心配させる」など8つの行為によって、「同意しない意思を示すことが困難な状態にさせた場合」も処罰の対象になる[10][9][14]。また、性行為の同意ができるとみなす年齢を16歳に引き上げ、16歳未満との性行為は同年代を除き、同意の有無に関わらず罪に問われる[10][9][15][16]2月24日、法務省は現在の強制性交等罪を「不同意性交等罪(ふどういせいこうとうざい)」に罪名変更する方針を示した[17][11]。名称を変えることで、「同意のない性行為が処罰対象となること」を明確に示す狙いがある[18][12][19]3月14日、政府は性犯罪の成立要件を明確化する刑法改正案を閣議決定した[20][21]。6月16日、国会で法案が可決・成立し、7月13日に施行される[22][23]

強姦罪と強制性交等罪、不同意性交等罪の違い

構成要件 犯罪の定義 親告罪 新設 廃止 性交同意年齢 公訴時効 有期懲役
強姦罪
(1907年
制定)
「暴行・脅迫」による「抗拒不能(抵抗ができない状態)」 女子を姦淫(判例で、男性器を女性器に挿入する行為)した者。
被害者は女性、加害者は男性のみ
親告罪(被害者が告訴しなければ、検察は事件を起訴できない) 13歳 10年 2年以上
強制性交等罪
(2017年
改正)
「暴行・脅迫」による「抗拒不能」 性交、肛門性交又は口腔性交(判例で、男性器を女性器や肛門、口腔内に挿入する/させる行為)。
女性以外も被害者に、男性以外も加害者に
非親告罪(事件の認定をもって、検察は事件を起訴できる) 「監護者性交等罪」「監護者わいせつ罪」18歳未満の子どもを監護(生活全般を支える)する親や児童養護施設職員など、その影響力に乗じて性交・わいせつ行為をした者を処罰できる 法定刑の引き上げに伴い「集団強姦罪」「集団強姦致死傷罪」を廃止 13歳 10年 5年以上
不同意性交等罪
(2023年
改正)
8つの行為や状態により「被害者が同意しない意思を表すことが難しい状態にさせた場合」 性交、肛門性交又は口腔性交に加えて、体の一部(指など)や物を、膣や肛門、口腔内に挿入する行為も「性交」扱いに 非親告罪 「性的面会要求罪」「性的姿態撮影罪」 要件の拡大により「準強制性交等」を廃止 16歳 15年 5年以上

刑法性犯罪規定改正の経緯

法務省

明治時代に定められた刑法性犯罪は、性被害当事者が声をあげ、その声を各方面に働きかけた専門家や議員によって改正が実現されてきた[24][25]

年表

  • 1880年(明治13年)、旧刑法強姦罪(第347条)が制定された。
  • 1907年(明治40年)、現行の刑法が制定され、強姦罪が規定された[2]
  • 2004年(平成16年)、懲役の下限を2年から3年に引き上げた[26]。衆参両議会の法務委員会の附帯決議で、性犯罪の在り方についてさらなる検討が求められた[27]
  • 2010年(平成22年)、第3次男女共同参画基本計画で女性に関するあらゆる暴力の根絶が掲げられ、2015年末までに強姦罪などの「非親告罪化」「性交同意年齢引き上げ」「暴行・強迫を要する構成要件の見直しが提案された[27][28]
  • 2017年(平成29年)、1907年の制定以来110年ぶりに大幅改正され、強姦罪から強制性交罪に改称された[2][29]。この改正刑法には、多くの課題が残されたとして、施行後3年を目途に実態に即して見直しを行うという附則が付いた[2][7][4]
  • 2019年3月(平成31年)、性犯罪に関する無罪判決が1ヶ月に4件相次ぎ、各地で性暴力に抗議する「フラワーデモ」が始まった[30][31][32]
  • 2020年(令和2年)、2017年改正法附則の3年後の見直しに従い、「性犯罪に関する刑事法検討会」が法務省内に設けられ、性被害当事者団体『一般社団法人Spring』の山本潤理事も委員になった[33][34][35]
  • 2021年(令和3年)、性暴力被害者の支援などに携わる13団体による「刑法改正市民プロジェクト」は、同意のない性行為を犯罪とする「不同意性交等罪」の創設を求める約6万1千人の署名を法務省に提出した[36][37]
  • 2023年(令和5年)、強制性交等罪と準強制性交等罪を統合して不同意性交等罪に改称した[38][39]。この改正刑法については、5年後に性被害の実態や社会の意識、特に性的同意についての意識も踏まえて見直しを検討することや、「不同意性交罪」の時効の延長について、被害申告の困難さに関する調査をするという附則が付いた[40][22][41][42]

1907年の制定(強姦罪)

1907年強姦罪制定時は、加害者は男性に限られ、被害者は女性とされていた[2][29]。女性は結婚相手以外の人と性交をしてはいけない「姦通」といった概念があり、「貞操」に対する罪として捉えられていた[2][43][44][注釈 1]。性は、長らく「権利の問題」ではなく、家父長制や家族といった「あるべき規範」に縛られ、性暴力は「あってはならないことがおこってしまった」という観点から、被害者が責められ、告発しにくい状況があった[2]。戦後は、「性的自由」の問題とするのが一般的となったが、「強姦」被害者の対象を女性のみにし、男性を含めないのは、女性へは貞操の意識を残した差別的取り扱いではないかなどの批判もあった[注釈 2][2]

2004年の改正

  1. 強姦罪の法定刑の下限を、懲役2年以上から3年以上に引き上げた[26]
  2. 集団強姦罪が新設された[46][24][47]。単独犯の強姦罪は親告罪で法定刑は3年以上であるのに対し、集団強姦罪は被害者の訴えがなくても検察官が起訴できる非親告罪であり、4年以上の懲役とした[46][24][47]
  • 衆参両議会の法務委員会の附帯決議で、性犯罪の在り方についてさらなる検討が求められた[27][35]

集団強姦等罪(2004年創設、2017年廃止)

2004年の改正の際に、強姦罪等よりも重い刑を科すために創設されたが、2017年の改正で、強制性交等罪・準強制性交等罪が非親告罪になり法定刑が5年以上に引き上げられて、集団強姦罪(旧刑法178条の2)の法定刑の4年以上を超えたため、廃止された[27][46][24]。集団強姦等致死傷罪(旧刑法181条3項。無期または6年以上の懲役)も廃止され、強制性交等致死傷罪(刑法181条。無期または6年以上の懲役)に含められた[27][48]

集団強姦等罪は、2003年5月18日のインカレサークルの集団強姦事件であるスーパーフリー事件を受けて、2004年の刑法改正で創設された[49][47]。2人以上の者が共同して強姦(準強姦含む)した場合に適用され、性別不問で実際に性行為に参加していなくても、その場に居れば刑罰が成立していた[50]

2010年の第3次男女共同参画基本計画における見直し

2010年、第3次男女共同参画基本計画で女性に関するあらゆる暴力の根絶が掲げられ、2015年末までに強姦罪などの「非親告罪化」「性交同意年齢引き上げ」「『暴行・強迫』を要する構成要件の見直し」が提案された[27][28]

  1. 強姦罪の非親告罪化(告訴するかどうかの選択を迫られているように感じる被害者の心理的負担。被害者が低年齢の場合、告訴ができるかという懸念の存在)。
  2. 性交同意年齢の引き上げ(13歳以上であれば性交に同意できるかが不明。性犯罪は10 -20歳の若年層が最も被害にあいやすい[24])。
  3. 暴行脅迫」を用いることを要件とする強姦罪の構成要件の見直し(被害者が恐怖や加害者の社会的地位への配慮により抵抗しないこともあるため)。

国際的観点からの問題点

性暴力について、日本は自由権規約委員会を始め、多くの国際的な条約機関から法改正の勧告を受けている[51][52]

  • 2008年11月、国際連合自由権規約委員会は、総括所見[53] 最終見解[54] のパラグラフ14で、「男女間の性交渉のみをの強姦罪の対象としていること」「攻撃に対する被害者の抵抗が犯罪の要件にされていること」「裁判官が被害者に抵抗したことの証拠を求めること」「被害者が13歳未満である場合以外は告訴が必要なこと」「加害者が公正な処罰を免れること」「被害者の支援が実行されていないこと」「性暴力の専門的な研修を受けた医療者が不足していること」等に懸念を示した[54]。委員会は、刑法第177条の強姦罪の定義を拡大し、「男性に対する強姦」と共に「近親相姦」「性交渉以外の性的虐待」も重大な犯罪とし、「被害者が攻撃に対して抵抗したことを立証しなければいけない負担を取り除くこと」「被害者の告訴がなくても起訴できるようにすること」「裁判官や警察官などに対する性暴力についてのジェンダーに配慮した研修を行うこと」を求めた[54]
  • 2014年、自由権規約委員会は、数ある問題点のうち「強姦罪の構成要件(攻撃に対する被害者の抵抗)の見直し」「性交同意年齢の引き上げ」「性犯罪の非親告罪化」について勧告した[51][52]

2017年の改正(強制性交等罪に改称)

強姦罪から「強制性交等罪」「準強制性交等」に変更

強制性交等罪は、暴行又は脅迫を用いた13歳以上の者への性交肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」)、13歳未満の者への性交等に対する罪である。準強制性交等は、心神喪失・抗拒不能に乗じ、又は心神喪失・抗拒不能にさせて性交等をした場合の罪であり、被害者が酒や薬物等で抵抗できない状態にされている際に課される[55]

強姦罪からの変更点

2017年、性犯罪に関する刑法が1907年の制定以来110年ぶりに大幅改正され、強姦を罰する強姦罪から、より包括的な強制性交等罪へと改正された[2]。この改正では、「女性以外の被害も対象にする」「懲役の下限を3年から5年に上げる」「被害者の告訴がなくても起訴できる(非親告罪化)」「監護者(親や養親)との性交同意年齢引き上げ」といった見直しが行われた[2][38][56]。なお、この改正刑法には「『暴行脅迫』の要件が据え置かれた」「公訴時効が短い」「性交同意年齢が13歳で明治時代の刑法のまま」など、多くの課題が残されたとして、施行後3年を目途に実態に即して見直しを行うという附則が付いた[2][7][4]
改正の要点は以下の通りであった[2][4][6][57]

  1. 女性以外も被害者として認められるようになった[2][4][29]。強姦罪では「加害は男性、被害は女性」に限定されていたが[58]、強制性交等罪では、性別を問わず、他人に対して「男性器を肛門口腔内に挿入する/させる行為」をした場合は処罰されることになった[59][2][4]。強姦罪では、肛門性交や口腔性交に強姦罪は適用されず、刑が軽い強制わいせつ罪が適用されてきた[29][27][60]。これにより性差が撤廃されたとされ、附帯決議でも「被害の相談、捜査、公判のあらゆる過程において、男性や性的マイノリティに対して偏見に基づく不当な取扱いをしないことを研修等を通じて徹底する」という内容が明記された[61]。一方で、膣や肛門、口腔への「男性器の挿入」が犯罪の成立要件となっているため、指や器具など男性器以外の物を使った場合は、強制性交等罪は適用されない[62]
  2. 厳罰化し、 法定刑の下限を懲役3年以上から5年以上に引き上げた[2]。5年以上20年以下の有期懲役[24]
  3. 親告罪化し、被害者が告訴しなくても検察が事件を起訴できるようにした[2][48]。性犯罪を親告罪化していた理由は、被害者の名誉やプライバシーを保護することにあった[29]。しかし、被害者みずからが被害を訴えなければ加害者を処罰できないため、逆恨みなどを恐れ、訴えることが難しい状況が続いていた[61][29][24]。法改正で非親告罪に変わり、強盗などと同じく、被害者が意思を示しているかどうかにかかわらず、事件の認定をもって処罰ができるようになった[61][29][24]
  4. 強姦罪の法定刑引き上げ及び非親告罪化により、「集団強姦等罪」を廃止した[46][24]
  5. 監護者性交等罪」「監護者わいせつ罪」を新設し、18歳未満の子どもを監護(生活全般を支える)する親や児童養護施設職員などが、その影響力に乗じて性交・わいせつ行為を行った場合は、暴行や脅迫がなくても処罰されるようになった[2][29]
  6. 罪名が強姦罪から強制性交等罪に改定されたことに伴い、刑法178条2項の「準強姦罪」(3年以上の懲役)は「準強制性交罪」(5年以上の懲役)に、刑法181条の「強姦致死傷罪」(無期または5年以上の懲役)は「強制性交等致死傷罪」(無期または6年以上の懲役)に、刑法241条の「強盗強姦罪」(無期または7年以上の懲役)は「強盗・強制性交等罪」(無期または7年以上の懲役)に、「強盗強姦致死傷罪」(死刑または無期懲役)は「強盗・強制性交等致死傷罪」(死刑または無期懲役)へと変更された[48][27]
    「強制性交等致死傷罪」は、強制性交等により被害者を死亡・負傷させた場合に成立し、結果的加重犯として罪が重くなる[63]
    強盗・強制性交等罪」は、強盗犯人が強姦をした場合や強姦犯人が強盗をした場合であり、強盗罪や強制性交等罪よりも罪が重くなる[29][48]。結果として死亡させた場合は死刑または無期懲役となる[29][48]
    これらの罪は未遂も処罰される(刑法180条243条など)[48][27]

監護者性交等罪(2017年創設)

虐待の実情を鑑み、関係性を利用した強姦の中でも特に被害者の拒否が難しいと考えられることや、その後の人生に与える影響の深刻さから、「監護者性交等罪刑法179条2項)」「監護者わいせつ罪刑法176条)」が新設された[64][2][65]。「監護者」とは、親などの生活や生計を共にし、保護・被保護、依存・被依存の関係にある者を監護する者のことである[2]。これにより、監護者(実親や養親養護施設の職員など子どもを監護する立場の人)が、18歳未満の子どもが自分の言葉を信じていることを利用したり、生活の面倒をみているという立場を利用して性交やわいせつな行為をした場合は、「暴行・脅迫」がなく、子どもの同意がある場合も罪に問われることになった[64][2][65]。刑法改正前は、親子などの監護者と被監護者の間では、「暴行・脅迫」がない場合は強姦罪等よりも量刑が軽い児童福祉法違反(淫行、10年以下の懲役または300万円以下の罰金)で処分される例が多かった[27][66][67]。この法改正により、「暴行・脅迫」による「抗拒不能」に乗じたものでなくとも、強制性交等罪と同じく5年以上20年以下の有期懲役という重い罰則を科すことが可能となった[27][66][67]。ただし、「監護者」は、同居して子どもの身の回りの世話をしている者に限定されており、その範囲が非常に狭いことが指摘されている[27][65]。部会における議論では、被害者に対して強い影響力を持つ教師スポーツ指導者雇用主等も対象に含めるべきとの意見が出たが、具体的な事情を考慮すると規定が曖昧化しかえって抜け道が生じかねない等の理由から、改正法案には含まれなかった[27]。被害者団体や支援者らは、そもそも「『暴行・脅迫要件』の立証が課せられる『性交同意年齢(13歳、性行為への同意を自分で判断できるとみなす年齢)』が他国と比べても低すぎること」「監護者以外であっても、地位または関係性を利用した性加害をした場合には、『暴行・脅迫』が無くても罪に問えるように法改正すること」などを求めている[65]。2019年のフラワーデモのきっかけとなった事案では、父親が精神的支配下に置いていた娘(19歳)の意思に反して性交し、「暴行・強迫要件」による「抗拒不能」にあたらないとして1審で無罪判決になっている[32][68]

この監護者性交等罪の創設にあたっては、日本弁護士連合会(日弁連)が、「親子間で真摯な性交(子どもがその意味を理解し同意する性交)がないとは言えない」として反対し、被害者支援57団体は抗議を行った[64][24][69]

2017年の改正の課題

  • 暴行脅迫」の要件が据え置かれた。強制性交等罪は、13歳未満の場合は、「暴行・脅迫」がなくても、その事実が立証できれば犯罪となるが[7][70][16]、13歳以上の場合には、「同意していないこと」に加え、加害者から暴行や脅迫を加えられるなどして「抗拒不能」の状態であることを、被害者側が証明しなければならない[16][7][70]。「抗拒不能」とは、「身体的または心理的に抵抗したり拒否したりすることが著しく困難な状態」を意味するが、犯罪が成立するには、加害者が「被害者の抗拒不能を認識していること」「被害者の承諾がないことの認識」が必要であり、この認識がなければ、故意が否定されて無罪となる[70][7][71]。この刑法では、どのような行動が犯罪となり、どのような行動なら犯罪とならないのかの基準が明確ではなく、裁判所は証拠から「経験則」に基づいて事実認定をするため、裁判官の「経験則」が異なると、同じ証拠でも異なる判決になっていた[72][73][74][70][71][75]。裁判官の判断が予測できないため、監視カメラ録音、病院の診察内容や診断書等の客観的な暴行や脅迫の強い証拠が無い場合、検察は起訴に消極的で、警察は被害届を受けることに消極的であった[76][70][7][77][73][78][79][80][81]。性被害者の当事者団体「Spring_(一般社団法人)」の調査では、事件を警察に相談した208人のうち、被害届が受理されたのは約半数の104人で、うち14人が検察で不起訴になり、裁判で有罪になったのは8人だった[82]。性暴力救援センター「SARC」の調査ではセンターに相談した人のうち、警察へ被害届を出したり相談したのは半数以下であり、SARCが警察へ同行支援したケースでは、被害届の不受理が25%、不起訴5.5%、有罪判決2.7%で、被害届を受理しない理由では「暴行・脅迫要件の壁」が目立っていた[78][79]。法務省の調査では、不起訴処分(嫌疑不十分)になった548件のうち、強制性交罪の不起訴が380件で、内訳は「暴行・脅迫が被害者の反抗を著しく困難にさせる程度であったと認めるに足りる証拠がない(54件)」「暴行・脅迫があったと認めるに足りる証拠がない(134件)」などとなっていて、強制性交罪の不起訴のうち52%が暴行脅迫要件を満たさずに不起訴になっていた[80][83]
    2020年度に内閣府が行った調査では、異性から無理やり性交された経験があると答えた女性は14人に1人だったが、そのうち警察に相談したのはわずか6.4%であり、さらに警察に被害届が受理されないケースもあり、「強姦事件」としてカウントされるのは、ほんのわずかであった[84][85][70][76][7][77][73][78][79][80]。内閣府の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」の相談件数は、2021年度に5万件以上あったが[86][87][4][88]、同年度の警察による強制性交等の認知件数は1388件にとどまっている[89][4]
  • 公訴時効が短い。強制性交等罪の時効は10年だが、被害者が自分の経験を人に伝えられるまでには長い時間がかかる[2]
  • 監護者の範囲が狭い[2]。日本には教師と生徒、上司と部下、医者と患者、宗教指導者と信者などの「地位・関係性を利用した性加害」を裁ける類型がないため、対等な関係性でない二者間の力関係が考慮されずに裁かれている[2][24][61]。「地位・関係性を利用した性加害」は、「居場所・仕事を失うかもしれない」などの不安から抵抗することが困難であり、暴行や脅迫がなくても性暴力を行えるという実態を踏まえる必要がある[2][24][61]
  • 性交同意年齢(性行為の意味を理解し、同意を自分で判断できるとみなす年齢)が、明治時代の刑法のまま13歳で据え置かれた[16]
  • 配偶者(夫婦)等間の「強制性交等罪」について明文化されていない[90][65]
  • 「男性器の挿入」が条件で、指や器具、異物の挿入による性暴力が対象にならない[61][62]。実際に起きている性被害は、男性器を挿入されることだけではなく、特に性的マイノリティーの被害は、男性器が介在しないこともある[61]。当事者などは、「性器規定」を撤廃し、「手指器具等による性暴力」を規定することを求めている[61][62][91][92][61]
  • 刑法改正にあたり、検討会の委員からは「性犯罪に対する対応としては刑法の規定の改正以外にもいろいろある、というより、むしろそちらの方が中心であるべき」「犯罪への対策、その最善のものは社会の在り方のほうを変えること」という発言があり、刑法改正に加え、性暴力防止のための教育、被害者支援のためのワンストップ支援センターの拡充や刑事裁判における被害者支援の充実等、社会の様々な場面での性犯罪対策が求められた[27]

夫婦間の性的DV

2023年の法改正では刑法に明文化されなかったが、現状では夫婦間であっても、ドメスティックバイオレンス(DV、家庭内暴力)に該当する強制性交の罪が問われるという考え方が有力であり、内閣府は「『嫌がっているのに性的行為を強要する』『中絶を強要する』『避妊に協力しない』といったものは、夫婦間の性交であっても、刑法第177条の強制性交等罪に当たる場合があります(夫婦だからといって、暴行・脅迫を用いた性交が許されるわけではありません)」と説明している[93][94][76][95]

戦前は「夫婦間で強姦罪は成立しない」とする否定説が通説であり、その後も家父長制よる女性差別的な価値観やプライベートな問題であることなどから、夫婦間の強制性交の問題が語られることは少なかった[76]。そのような中で、徐々に「強姦罪が夫婦間で成立するか」という議論がされ、裁判でも争われるようになった[76]。1986年、鳥取地方裁判所判決は、夫婦間における強姦について「婚姻が破綻して夫婦たる実質を失い、名ばかりの夫婦にすぎない場合にはもとより、夫婦間に所論の関係はなく、夫が暴行又は脅迫をもって妻を姦淫したときは強姦罪が成立する」と認定した[96][97]2007年東京高等裁判所は、「暴行・脅迫を伴う場合には、適法な権利行使とは認められず、強姦罪が成立する」と判決した[76]

2023年の法改正で、配偶者(夫婦)間の強制性交等の罪が成立することが、刑法に明文化された[98]

2019年3月の無罪判決

フラワーデモ東京の参加者が作ったメッセージボード

2019年3月、性犯罪に関する無罪判決が4件相次ぎ、刑法の要件が厳しすぎるため加害者が罪を免れているとして、各地で被害の実態を訴える「フラワーデモ」が始まるきっかけとなった[30][32][99]。特に、19歳の実娘への性的暴行罪が問われた判決では、娘の同意がないと認めながら無罪としたことから大きな波紋を呼んだ[32][7][71]。この4件のうち1件は検察官が控訴せず無罪が確定したが、3件は控訴により逆転有罪となった[71][74][7][100]

  • 3月12日、テキーラなどを大量に飲まされ、酩酊状態で性交をされた準強姦罪が、「女性は『抗拒不能』であったが、被告人は女性が抗拒不能であったことの認識がなく、性交について承諾ありと誤信した」として、故意が否定されて無罪判決になった[70]。2020年2月5日、控訴審が行われ、前回と同じ証拠で逆転有罪判決となった[70]
  • 3月19日、静岡地方裁判所の裁判員裁判で審議された強制性交等致傷罪が、「女性の同意はなかったが、被告に分かる形で抵抗を示しておらず、被告の故意が認められない」として無罪判決になった[101][74]。この裁判では検察官が控訴せず、無罪が確定した[71][74]
  • 3月26日、事件当時19歳の実娘が父親に性交をされた準強制性交等罪が、「娘の同意がなく長年の虐待で父親の精神的支配下に置かれていた」と認定されたものの「抗拒不能だったとはいえない」として無罪判決になった[32][7][71]。長女は、中学2年生の頃から性交を含む性的虐待を受け続け、殴る蹴るなどの暴行の存在も認定されていた[32][7]。2020年3月12日、控訴審が行われ、「娘は性的虐待を受け続けたうえ父親から学費や生活費の返済を迫られるなど、要求を拒否できない心理状態だった。性欲のはけ口にした卑劣な犯行で被害者が受けた苦痛は極めて重大で深刻だ」として逆転有罪判決となった[32][7][71]。父親は上告したが、最高裁判所が上告を退け有罪が確定した[32]
  • 3月28日、事件当時12歳の実娘が父親に性交をされた強姦罪が、「被害者の証言は信用できない」「家族がひとりも被害者の声に気付かなかっとは考え難い」として、行為があったこと自体が認められず、無罪判決になった[101][100]。2020年12月21日、控訴審が行われ、「被害者の証言には高い信用性が認められる」「1審は証拠の評価を誤り、不合理な認定をした」「卑劣で悪質な犯行で常習性も認められる」として逆転有罪判決となった[75][101][102]

「凍りつき」についての指摘

刑法の暴行脅迫要件は「性行為を犯罪として処罰するには、『相手が同意していないこと』に加えて、加害者が被害者に暴行脅迫を加えるなどして、『抵抗できない状態につけこんだ』ことが立証されなくてはならない」とあり、司法の場では「被害者が抵抗できたはず」という考えが前提になっている[103]。しかし、実際に性暴力被害を受けたとき、「声が出せない」「体が動かない」「頭の中が真っ白になる」「記憶がない」という『凍りつき(フリーズ)』の反応がおこることが少なくない[103][4][77]。戦うか逃げるか、凍りつくかは、体の無意識の反応であり、理性や意志でコントロールできるものではないとされる[103][104]。2021年12月に出版された『なぜ私は凍りついたのか ポリヴェーガル理論で読み解く性暴力と癒し』の著者は、「被害に遭ったときに抵抗できたかどうかは、人間の生理的反応であり、それを理解してもらうことが、性暴力についての刑法改正の突破口にもなりうる」と述べている[103]

不同意性交等罪を求める動き

"イエス・ミーンズ・イエス"キャンペーンのロゴ
世界の法律における性的同意
  性犯罪の成否は「同意の有無」、夫婦間の強姦が違法
  性犯罪の成否は「暴行・脅迫の有無」、夫婦間の強姦が違法
  性犯罪の成否は「同意の有無」、夫婦間の強姦が合法
  性犯罪の成否は「暴行・脅迫の有無」、夫婦間の強姦が合法

2014年に発効したイスタンブール条約(女性に対する暴力と家庭内暴力の防止と撲滅に関する欧州評議会条約)は、「同意に基づかない性的行為を処罰する規定」を設けるよう締約国に求めている[4]。多くの欧米諸国では、レイプ罪や強制わいせつ罪は「被害者の同意がない(またはその能力がない)状態での性行為」を成立要件としている[67]。そして、「ノー・ミーンズ・ノー(No means No)=同意のない性行為を処罰する」型だけでなく、「イエス・ミーンズ・イエス(Yes means Yes)=相手の自発的な参加を確認しない性行為を処罰する」型の性的同意を採用をする国や地域が広がっている[4][105][106][107]スウェーデンは「Yes means Yes」型の刑法であり、相手が明確な合意を示さないまま行った性行為はすべて違法とされる[67]

2021年2月10日、性暴力被害者の支援などに携わる13団体による「刑法改正市民プロジェクト」は、同意のない性行為を犯罪とする「不同意性交等罪」の創設を求める約6万1千人の署名を法務省に提出した[36][37]。現行の刑法では、被害者の「抵抗が著しく困難」でないと罪が成立しないため、被害者側は、心身が硬直して動けなくなる抵抗の難しさが理解されていないと批判し、「意思に反して」という点だけを構成要件とした「不同意性交罪」を求めた[108][109]。性的行為における「同意」は、両者に対等な関係性がなければ成立しないが、日本では対等な関係性が築かれていない2人の間の性的行為においても、法が求める「暴行・脅迫要件」により抵抗の有無を被害者が問われ、不同意であったことが認められても、加害者側の「同意していたと思った」という証言によって無罪となる事態が起きている[4]。加害者自身、それが性暴力だという認識が無いケースも多く、同意に基づかない性的行為は犯罪として罰せられることが明確になれば、加害側の認識不足によって起こる性暴力は減っていくと見られている[4]

2023年2月24日、法務省は改正案に関し、「強制性交罪」を「不同意性交罪」に罪名変更する方針を示した[17][11]。「意思に反して」という点だけで処罰する成立要件は「内心のみを要件にすると処罰範囲が曖昧になる」として見送ったが、要綱でまとめられた条文には「同意しない意思」との文言が使われ、被害者の意思も重視していることが示された[17][11]。このため、被害者側は実質的に同罪を具体化した条文にあたるとして罪名変更を要請し、法務省が検討を重ねていた[17]

2023年の改正(不同意性交等罪に改称)

2023年2月3日、法制審議会の部会で、性犯罪の実態に合わせた刑法改正の要綱案がまとまった[110]
2月24日、法務省は現在の強制性交等罪を「不同意性交等罪」に罪名変更する方針を示した[17][11][18][12][19]
3月14日、政府は性犯罪の成立要件を明確化する刑法改正案を閣議決定し、この改正により強制性交等罪の名称は「不同意性交等罪」に変更される[20][21][111]

6月16日、国会で法案が可決・成立し、6月23日に公布、7月13日に施行される[22][23]

強制性交等罪・準強制性交等からの変更点
  • 暴行脅迫要件を緩和し、具体化した。強制性交等の法律では、加害者が「暴行脅迫」して犯行に及び、被害者が「抗拒不能(抵抗ができない状態)」なことが罪の成立に必要だったが、明らかな暴行や脅迫がなくても被害を受けることがあるため、被害者の心身の状態や相手との関係性なども考慮した具体的な8つの行為を示し、「被害者が同意しない意思を表すことが難しい状態にさせた場合」は罪に問えるとした[10][9][110]

この改正で、準強制性交等罪の要件も含むことになり、準強制性交等罪は廃止された。この8つの行為や状況は、今までの「抗拒不能」要件の解釈として処罰されていた事案を類型化し、準強制性交等罪を含めた明確な文言に書き出したものであり、処罰される範囲が広がったのではない[25][112][35]。「抗拒不能」の解釈は、裁判官や警察官によって大きな幅があったため、判決や被害届の受理の対応がバラついていた[112][35]。明文化により、警察官の被害届の受理、検察官の起訴、裁判官の有罪にする確率に影響を与え、処罰されるべきものが適切に処罰されるようになる可能性がある[112][35][25]
要件として示された具体的な8つの行為や状況。

  1. 「暴行や脅迫をする(暴行や脅迫を受ける)」
  2. 「精神的、身体的な障害を生じさせる(心身の障害がある)」
  3. アルコール薬物を摂取させる(アルコールや薬物の影響がある)」。
    相手がアルコールの影響がある場合は要件に該当するが、その上で「同意しない意思を形成(同意しないことを発想もできない)・表明(同意しないことを言えない)・全うすることが困難(同意しないと言っているのに無視して押し切られる)なほど酔っている」ことが必要である[113][69]。場合によっては、酩酊の程度が考慮されるなど、個別の事案ごとに証拠に基づいて判断されることになる[113]
  4. 「眠っているなど、意識がはっきりしていない状態にさせる(意識が不明瞭な状態にある)」
  5. 「拒絶するいとまを与えない(被害者が急に襲われる場合などを想定)」
  6. 「恐怖・驚がくさせる(恐怖・驚がくしている。ショックで体が硬直し、いわゆるフリーズ状態になった場合などを想定)」
  7. 虐待による心理的反応を生じさせる(被害者が長年にわたって性的虐待を受けることで、拒絶する意思すら生じない場合などを想定)」
  8. 「経済的・社会的関係の地位に基づく影響力で受ける不利益を憂慮させる(不利益を憂慮している。教師から生徒、上司から部下、スポーツの指導者から選手に対する行為などを想定)」
  • 公訴時効の延長。被害にあってからすぐに訴え出るのが難しいという性被害の特徴を踏まえ、不同意性交等罪について、公訴時効が10年から15年に延長された[110][41]。被害者が未成年の場合は、被害だと認識できるまでにより時間がかかることなどから、時効の起点を18歳とする(例えば15歳で被害を受けた場合は、18歳+15年=33歳まで公訴が可能)[116][117][41][118]
Map of the world's countries, with countries colored by age of consent
世界の性交同意年齢
  13   14   15   16   17   18   結婚しなければならない   州や行政区によって異なる/曖昧
  • 性交同意年齢の引き上げ。性行為への同意を判断できるとみなす年齢を、現在の「13歳以上」から「16歳以上」に引き上げた[110][119][21]。性交同意年齢の変更は、1907年に性犯罪の法律が定められてから初めてである[120]。ただし、13 - 15歳については同世代間の行為は罪に問わず、5歳以上年上の人が性的行為を行った場合は、同意の有無に関わらず処罰の対象になる[21][110][41]。13歳未満に対して性的行為を行った場合は、以前と同様に、同意の有無に関わらず罪に問われる[110]
  • 体の一部(指など)や物の挿入も「性交」扱いになった[41][121]強制性交等罪は、男性器を肛門口腔内に挿入する/させる行為を処罰対象としていたが、改正刑法では、「膣または肛門に身体の一部または物を挿入する行為」も性交と同じ扱いにすると定めている[41][121]。これにより、電車内の痴漢行為などで、相手の膣に指を入れた場合も強制性交の罪になり、5年以上の懲役となる[69][34]
  • 配偶者(夫婦)間の強制性交等の罪が成立することが明文化された[98]
  • 16歳未満の子どもに対してわいせつ目的で、「だましたり誘惑したり、お金を渡す約束などをして会うことを要求した場合や実際に会った場合」「性的な自撮り画像などを撮らせてSNSやメールなどで送るよう求めた場合」を罪に問う「性的面会要求罪(いわゆる性的グルーミング罪)」が新設された[25][69][122]。ただし、被害者が13 - 15歳の場合は、5歳以上の年齢差を適用の条件としている[25]
  • 被害の聴取結果を録音・録画した記録媒体を、証拠として出せる特則がついた[69]
  • 性器や下着、性交の様子などを盗撮したり、拡散することを取り締まる「性的姿態撮影罪(撮影罪)」が新設された[22][123][117]
  • 5年後に性被害の実態や社会の意識、特に性的同意についての意識も踏まえて見直しを検討することや、「不同意性交罪」の時効の延長について、被害申告の困難さに関する調査をするという附則が付いた[40][22][41][42]

2023年の改正の課題

性犯罪の被害者などは、改正を評価する一方で、公訴時効については、被害にあってからすぐに訴え出るのが難しいという性被害の特性から、さらなる延長・撤廃が必要だとしている[116][39][124]。また、性暴力のない社会にするために、「何をしたら加害となり、何をされたら被害なのかについての教育の推進」「加害者への再犯防止のための支援」や、被害者に適切な支援を提供するための「相談窓口の周知」などの必要性も指摘している[125][120][117][126]

  • 公訴時効が10年から15年に延長されたが、被害者が自分の経験を認めたり、人に伝えられるまでには長い時間がかかるため、公訴時効を撤廃するか、より長くするべきと訴えている[110][116][39]。海外には時効を撤廃した国もあり、日本でも殺人罪には公訴時効がない[69][24]
  • 性交同意年齢を「16歳以上」に引き上げる一方、13 - 15歳の場合は「5歳以上の年長者」を要件としていることについて、「5歳差は大きすぎる」という意見や、「同年代でも、『スクールカースト』による性的いじめがあり、こうした現状を考慮する必要があるのではないか」という指摘がある[127][110][35]
  • 8類型の1つに留まった「地位・関係性について」は、「教師と生徒」「障害者と介護者」「施設の職員と入所者」「宗教指導者と信者」など、明らかに対等性を欠く状況につけこんで性行為をする人について、独立した条文が必要だという意見もある[69][127]
  • 「被害者が同意しない意思を表すことが難しい状態」にさせた場合は罪に問えるとしたことについては、「積極的な同意がなければ罪に問えるよう」さらなる見直しを求めている[110]
  • 一方で、刑事弁護士は、新たに設けられた8項目には、要件が明確なものと曖昧なものが混ざっているとして、「処罰される対象が事実上広がり、えん罪を生むおそれがある」と懸念を示している[110][128]。この懸念について、元刑事裁判官法政大学法科大学院の水野智幸教授は「これまで裁判官が抽象的な条文を基準に考えていたことを明文化した形で、処罰範囲を拡大するものではないと考える」「これまでは何が犯罪か抽象的でわかりづらかったので被害の申告や捜査がしづらい面があったが、それが解消されるので、本来処罰されるべきものがきちんと捜査され、有罪とされるケースは増えるだろう」「具体的な要件を当てはめる際に安易に拡大適用をしてはいけないし、その意識を捜査機関と裁判所が徹底し、本来処罰されるべきでない人が処罰されないようにする必要がある」と述べている[25]

被害の実態

強制性交等の認知件数[129]
年度認知件数被疑者被害者
2021年1,3881,2447581,330
2020年1,3321,1734721,260
2019年1,4051,1726501,355
2018年1,3071,0844561,251
2017年1,1099064151,094
2016年98987140989

2020年度に内閣府が行った調査では、異性から無理やり性交された経験があると答えた女性は14人に1人だったが、そのうち警察に相談したのはわずか6.4%であり、さらに被害届が警察に受理されないというケースもあり、「強姦事件」としてカウントされるのは、ほんのわずかである[84][85][130]。また、男性は100人に1人が無理やり性交された経験があったが、誰にも相談していない割合が女性よりも高く、被害者の多くが1人で苦しんでいる実態が分かった[84][131][130]

内閣府の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」の相談件数は2021年度に5万件以上あったが、誰かに相談できた被害者のうち、ワンストップ支援センターに相談した人は0.6%だった[86][87][4][88]。性暴力の被害に遭ったときの対応には、証拠の採取や緊急避妊薬を飲むなど、急を要するものがあるが、性暴力の被害に関する電話相談のうち、72時間以内に寄せられたものは14.7%だった[87][4]。一方で、同年度の警察による強制性交等の認知件数は1388件にとどまっている[89][4]

国連薬物犯罪事務所(UNODC): 人口10万人あたりのレイプ報告件数(2011年)。左から2番目が日本

国ごとに「強姦事件」が成立する条件が異なるため、日本は統計上は強姦の発生率が低い国になっている[132][85]。先進国で強姦事件の認知件数が最も多いスウェーデンでは、「強姦」は、肛門への指や物の挿入や、自慰行為の強制等も含まれる[85]。2018年からは「暴行・脅迫要件」も撤廃され、「イエス」という自主性を確認できない性行為は犯罪になった[85][133][134][135][31][136]。また、被害届を出しやすい環境も整っている[137]ストックホルムのレイプ救急センターは365日24時間体制で被害者を受け入れ、被害から10日後までレイプキットによる検査ができる[137]。検査結果は6カ月間保管されるため、被害者が検査や治療、カウンセリングを受け、一連の処置が終わった後に警察へ届け出を出すかどうかを考えることができる[137]。男性被害者専門のカウンセラーが対応する男性のレイプ救急センターも併設され、トランスジェンダーの被害者も受け入れている[137]。子どもへの性教育も行い、危険から身を守る知識を学校で得られるよう、幼稚園の頃から、胸や性器といった他者が触れてはいけない部分があると教えている[31]。国際的に性教育は基本的人権の1つとされ、性行為や避妊方法、性暴力、性感染症、ジェンダー論など、包括的な性教育をおこなう国は少なくない[138][67]

被害者になった場合

緊急避妊薬「ノルレボ錠」
  • 証拠採取のできる医療機関は限られるため、ワンストップ支援センターや警察が紹介する専門の病院を受診する[144][81]
  • ワンストップ支援センター「#8891(はやくワンストップ)」は、発信場所から最寄りの支援センターにつながり、専門知識をもった相談員が、被害者の性別やセクシュアリティは問わずに、病院や警察、弁護士、その他の関係機関と連携しながら「医師による心身の治療」「相談・カウンセリング等の心理的支援」「捜査関連の支援」「法的支援」などの適切な支援に繋げる[90][146][159][160][161]。支援センターでは、無償で裁判所・警察などへの付き添い、各種手続きの手伝いなども行っている[162][163][164]。性犯罪に詳しい弁護士を紹介してもらえることもあり、弁護士費用についても負担を軽減するためのさまざまな法的支援制度がある[143][165][166][146]
    • 2023年2月現在、ワンストップ支援センターの一部が、24時間365日受付にはなっていないため、緊急時の性被害は、「#8103(ハートさん、警察の性暴力専門の相談電話。各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる)」や110番で警察に連絡して証拠保全と治療を受けることもできる[167][168][169]
  • 様々な事情で電話し辛い場合は、チャットやメールで相談ができる「Cure time(キュアタイム)」に連絡する[170][171]。対処法や医療機関の案内のほか、状況に応じて、警察などに連絡する体制も整っている[170][171]

脚注

注釈

  1. 「他人ノ妻ヲ強姦シタル行為ハ、其ノ貞操ニ対スル本夫ノ権利ヲ侵害スルモノナレハ、本夫モ亦被害者トシテ告訴ヲ為スノ権ヲ有ス。」(大審院判決 大正 5.7.1 刑録 22.1194 )
  2. 「(強姦罪の)『客体』は、何故、女性だけなのか。男性の性的自由は強制わいせつ罪 (176条)で保護していると説明されるが、女性は176条と177条の双方で客体となる。何故、差を設けるのか」「保護法益を『女性の貞操』と考えれば、以下のとおり説明は容易である」「『客体』及び『実行行為』については、保護法益は『将来男性に嫁ぐ無垢な女性の処女性、夫に従属する貞淑な妻』の保護であり、処女性を失わせる又は妊娠の可能性のある性器結合は、それ以外の性的侵害行為よりも強い非難に値する。これに対し、男性被害や同性間被害は強制わいせつ罪で処罰すれば足りる。」[45]

出典

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関連項目

参考文献

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外部リンク

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