国道45号

国道45号(こくどう45ごう)は、宮城県仙台市から太平洋沿岸や青森県十和田市を経て、青森市に至る一般国道である。

一般国道
国道45号標識
国道45号
地図
総延長 840.2 km
実延長 764.2 km(全国4位)
現道 449.7 km
制定年 1963年昭和38年)
起点 宮城県仙台市青葉区
勾当台公園前(北緯38度15分58.53秒 東経140度52分19.07秒
主な
経由都市
宮城県石巻市気仙沼市
岩手県大船渡市釜石市宮古市久慈市
青森県八戸市十和田市
終点 青森県青森市
青い森公園前(北緯40度49分25秒 東経140度44分28.6秒
接続する
主な道路
(記法)
本文参照
■テンプレート(■ノート ■使い方) ■PJ道路
国道45号の起点、仙台市道路元標
宮城県仙台市。2005年9月)

概要

宮城県気仙沼市只越峠を貫く唐桑トンネルを抜けた直後の地点にあるつづら折れ(ヘアピンカーブ)

宮城県より、三陸海岸を経て青森県へ至る路線である。

1963年に一級国道45号として指定された当時は八戸市 - 仙台市間だけで延長507.4 kmにもおよぶ長大路線で、一部区間では車両通行が不可能だった。総延長は国道58号に次ぐ2位。1972年完成の一次改築によって同区間は411.2 kmまで短縮され、所要時間も5時間以上短縮された[1]

岩手県下閉伊郡岩泉町の小本地区の中野峠には最大10 %という急勾配と急カーブが2 kmにわたって続く当線最大の難所である中野坂[注釈 1]があり、特に久慈方向から宮古方向は非常に急な下り坂で[注釈 2]途中に3箇所、久慈方向からの緊急避難所がある。さらに、久慈方向からの降坂車が制限30 km/hを超えた場合、従来の電光表示と併用して警告音を大音量で鳴らす特殊仕様オービスもある。これを改良するため、三陸北縦貫道路整備の一環も兼ねて中野バイパス(現・岩泉道路)の整備[2]が行われ、2010年11月28日に開通した。

国道45号は、中野坂以外にも、リアス式海岸段丘部と市街地やのある低地とを交互に通過するため、段丘を上り下りする急坂やカーブが多い。

路線データ

一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 3]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。

歴史

国道45号は、1953年昭和28年)に指定された二級国道111号八戸仙台線を前身とする国道である。その後、二級国道のなかから重要な路線として認められ、1963年(昭和38年)に他の二級国道102号八戸弘前線の一部区間と統合する形で、一級国道の第三次路線指定を受けて、一級国道45号として指定された路線であった。その当時は、三陸のリアス式海岸の特徴でもある長大な海岸線沿いに道路が走っていたことから、岩手県内だけでも約330 kmもの道路延長があったうえ、道路の状態も悪く、通行に10時間以上を要する道路でもあった[5]。1965年(昭和40年)に道路法が改正されて、一級・二級国道の統廃合により、一般国道45号となった。国道指定以来、バイパスなどの道路改良が続けられ、現在では道路延長が100 km近く短縮されている[5]

年表

111号(仙台市 - 八戸市)、102号の一部(八戸市 - 十和田市)を昇格。十和田市 - 青森市間は国道4号と重複。111号は欠番に。
  • 1965年(昭和40年)4月1日 - 一般国道45号(宮城県仙台市 - 青森県青森市)
  • 1972年(昭和47年)10月15日 - 一次改築が完成し、全線開通した。

災害について

東北地方太平洋沖地震東日本大震災)に伴って発生した大津波で壊滅的被害を受けた岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里地区の航空写真2011年3月15日撮影)。画像中央を走る幅の広い道路が国道45号。山並みの向こうには大槌港の南側で発生した火災による煙も見える。
  • 2011年平成23年)3月11日 - 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)とそれに伴って発生した津波などにより、落橋、道路流失、法面崩落など、甚大な被害を受ける[6][7](東日本大震災)。
    • 歌津大橋(宮城県本吉郡南三陸町歌津)と気仙大橋(岩手県陸前高田市気仙町)の2つの橋は川を逆流した津波により橋脚以外が消滅した[8][9]
    • 4月11日 - 震災によって通行不能になった歌津大橋の復旧のめどが立たないため、並行している宮城県道236号払川町向線および南三陸町道伊里前線の約1.2 km迂回路として国道45号に編入された[10]
    • 4月16日 - 気仙大橋の10 mほど下流に架設の仮橋を建設する工事が開始された[9]
    • 7月10日 - 気仙大橋の仮橋が開通した[11]
  • 2012年(平成24年)2月3日 - 石巻市成田付近で震災によって法面が大規模崩壊して通行止になっていた箇所が開通した。これで国道45号の震災の影響による通行止はすべて解除された。
東日本大震災の津波を受けて実際に設置されている標識
津波で損傷した国道45号の標識
(石巻市道の駅「上品の郷」展示品)

路線状況

陸奥国府多賀城日本三景の一つである松島三陸海岸などを経由するため、東北地方における観光ルートの面を持つ。常磐海岸を経由する国道6号と共に、日本の東海岸における主要国道の一つである。

自動車専用道路

有料道路

  • E6 / E45 仙塩道路・仙台松島道路 (鳴瀬道路) (宮城県)
  • E4A 百石道路

バイパス道路

別名

重複区間

  • 国道346号(宮城県仙台市 - 宮城郡松島町・根廻交差点)
  • 国道398号(宮城県本吉郡南三陸町戸倉 - 本吉郡南三陸町志津川五日町)
  • 国道284号(宮城県気仙沼市・松川IC - 岩手県陸前高田市)
  • 国道4号(青森県十和田市三本木 - 青森市・青い森公園前(終点))
  • 国道394号(青森県上北郡七戸町影津内 - 上北郡七戸町上町野)

主なトンネル

道の駅

地理

岩手県下閉伊郡の普代村付近

通過する自治体

交差する道路

バイパス道路のうち、三陸沿岸道路上北自動車道からの接続路線を除く(それぞれの接続路線については各記事を参照)。

一般国道・高速道路
県道

主な峠

本線最大の難所である中野坂の頂上付近(岩手県下閉伊郡岩泉町)より、仙台方面を望む。
  • 横山峠(標高150 m):宮城県登米市 - 本吉郡南三陸町
  • 只越峠(標高140 m):宮城県気仙沼市
  • 通岡峠(標高173 m):岩手県陸前高田市 - 大船渡市
  • 大峠(標高321 m):岩手県大船渡市
  • 鍬台峠(標高135 m):岩手県大船渡市 - 釜石市
  • 恋ノ峠(標高70 m):岩手県釜石市
  • つかの峠(標高190 m):岩手県宮古市
  • 中野峠 (中野坂)[注釈 1](標高120 m):岩手県下閉伊郡岩泉町
  • 閉伊坂峠(標高380 m) : 岩手県下閉伊郡田野畑村(国道45号最高地点)

国道45号を題材とした歌曲

岩手県大船渡市出身のシンガーソングライターである濱守栄子は、売り上げの一部を義援金としたCD『国道45号線』で、2011年東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた自身の故郷を歌い、チャリティー活動を行なったことで知られる[13]

脚注

注釈

  1. 中野坂峠とも表記される。
  2. 1桁・2桁国道における型破り急勾配は、国道1号箱根峠など、全国で数か所しか見られない。
  3. 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
  4. 勾当台公園前、通称東二番丁定禅寺通交差点
  5. 2021年3月31日現在

出典

  1. 地域の暮らしと深く関わる三陸の道づくり”. 国土交通省三陸国道事務所. 2020年3月2日閲覧。
  2. 改築計画 - 事業概要”. (公式ウェブサイト). 国土交通省三陸国道事務所. 2011年5月4日閲覧。
  3. 一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2020年6月28日閲覧。
  4. 表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (XLS). 道路統計年報2022. 国土交通省道路局. 2023年6月8日閲覧。
  5. 平沼義之 2018, p. 107.
  6. 仙台河川国道事務所
  7. 三陸国道事務所
  8. 三陸沿岸の「動脈」寸断 大橋消滅、廃材が散乱 南三陸・歌津”. 河北新報社 (2011年3月16日). 2011年5月26日閲覧。
  9. 津波で流失の気仙大橋 仮橋工事始まる〜陸前高田”. 岩手日日新聞社 (2011年4月17日). 2011年5月26日閲覧。
  10. 国道45号 歌津大橋 迂回路の直轄国道編入について - 報道発表資料”. (公式ウェブサイト). 国土交通省 (2011年4月8日). 2011年5月4日閲覧。
  11. 国道45号気仙大橋の仮橋が7月10日に開通します”. (公式ウェブサイト). 国土交通省三陸国道事務所 (2011年7月5日). 2011年7月10日閲覧。
  12. https://www.thr.mlit.go.jp/sendai////tunamijyouhou/keii.html
  13. 佐藤健太郎 2014, p. 241、「思い出の国道」より。

参考文献

  • 佐藤健太郎『ふしぎな国道』講談社〈講談社現代新書〉、2014年。ISBN 978-4-06-288282-8。
  • 平沼義之「失われた酷道」『酷道大百科』〈ブルーガイド・グラフィック〉、実業之日本社、2018年12月28日、107頁、ISBN 978-4-408-06392-8。

関連項目

外部リンク

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