ブンチャー

ブンチャー(Bún chả、ベトナム語: [ɓǔn ca᷉ː])は、焼いた豚肉ライスヌードルを用いたベトナム料理であり、ハノイ発祥だと考えられている[1]。「ベトナムのサラダ素麺[2]」などと言われる。グリルで焼いた豚肉の脂身 (chả) などを白いビーフン (bún) にのせ、好みのハーブと甘酸っぱいつけだれを添えて食べる。

ブンチャー
発祥地 ベトナム
地域 ハノイ
主な材料 ビーフン、グリルした豚肉、生のハーブ、ヌクチャム

材料

ブンチャー用に焼いた肉

ブンチャーはさまざまな材料から作られる。肉は豚の肩肉を原料とした挽肉ミートボールや脇腹の肉などを使用する[3]。麺は米の粉で作った細いビーフンを用いる[4]。ベトナムの代表的なライスヌードルであるフォーの麺に比べると、ブンチャーで用いる麺は柔らかい[5]

「甘味、辛味、酸味が一体となったつけだれが特徴[4]」である。このたれにはヌクマム砂糖レモンスープストック、つぶしたニンニク唐辛子などを用いる[3][6]フォーとは異なり、麺とスープは別々の皿に盛って提供する[6]。ハノイのブンチャー店で提供されるつけだれの材料は大同小異だが、配合の割合が店ごとに異なるという[5]

食べる際に好みでハーブなどをかける[7]。青パパイアニンジンタマネギコールラビなど野菜の漬物と、生のキャベツバジル、シソクサ、スプラウトナギナタコウジュ、白ネギ、パクチーなどを添える[3][4]。揚げ春巻などをトッピングにすることもある[6]。つぶしたニンニク、つぶした唐辛子、酢、挽いた胡椒、スライスしたライムなどをつけあわせにすることがある[3]

ハノイ料理

ブンチャーとカニの春巻

「ベトナムの国民食[8]」と言われる一方、「ハノイの名物料理[4]」と見なされている。ブンチャーは正午に昼食としてよく食べられ、これはハノイの料理文化に特有の習慣となっている[9]。夜に食べることもある[10]

ハノイの最初のブンチャーレストランは旧市街、ホアンキエム区のザーグーにあった[11][12][13]。ハノイの店で売られているブンチャーの価格は安く、2016年時点で「1杯5万~6万ドン(約250~約300円)程度[10]」であった。

ハノイにあるブンチャー店であるフオンリエンは、当時アメリカ合衆国大統領であったバラク・オバマが2016年5月にヴェトナムに旅行した際、シェフのアンソニー・ボーディンに連れられて訪問し、ブンチャーを食べたことで有名になった[6][14]。この時にボーディンが払った値段は6ドルほどだったという[15]。オバマがブンチャーを食したことが報道されて以降、ハノイではブンチャーを出す店が増加したという[16]

2019年6月の米朝首脳会談ではハノイ料理としてフォーとともにジャーナリスト向けのメディアセンターの食事に採用された[17]

関連項目

脚注

  1. Daniel Hoyer (194), Culinary Vietnam, Gibbs Smith, p. 102, ISBN 978-1-4236-0320-7, https://books.google.com/books?id=QwnI2lynQREC&q=%22bun+cha%22+hanoi&pg=PA102 2011年1月21日閲覧。
  2. クックパッドニュース:ハマる美味しさ!ベトナムのサラダ素麺「ブンチャー」をお家で作ろう”. 毎日新聞. 2021年11月28日閲覧。
  3. How to make Hanoi bun cha (ベトナム語). Nghệ thuật ẩm thực. 2015年6月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月23日閲覧。
  4. ご満”越”ブンチャー:中日新聞しずおかWeb”. 中日新聞Web. 2021年11月28日閲覧。
  5. 「〈地球を食べる〉庶民に人気のめん料理 つけ汁で楽しむ ブンチャー@ハノイ」『朝日新聞デジタル』2011年9月15日。
  6. オバマ氏ベトナム訪問、街の食堂で食べた6ドルのディナーとは?”. ハフポスト (2016年5月24日). 2021年11月28日閲覧。
  7. 「ベトナム 経済卓越 高い成長 にぎわうハノイ」『読売新聞』2016都市12月1日、東京朝刊p. 6。
  8. ハノイに初のマクドナルド 「旧敵」米企業、消費けん引”. 日本経済新聞 (2017年12月1日). 2021年11月28日閲覧。
  9. Chuyện Hà Nội: Bún chả Hà thành Thể thao văn hóa, December 15, 2014.
  10. 「ベトナム・ハノイ――つけ麺「ブンチャー」オバマ効果(アジアの街から)」『日経MJ』2016年6月10日、p. 10。
  11. Thanh Nien A bún chả that could wake the dead – Resurrecting a dead writer’s dream meal in Ho Chi Minh City 2 March 2012
  12. Ann Lee The Little Saigon Cookbook "Bún chả"
  13. Nguyen, Andrea Quynhgiao (2006). Into the Vietnamese kitchen : treasured foodways, modern flavors (1st ed ed.). Berkeley, CA: Ten Speed Press. ISBN 1-58008-665-9. OCLC 66527169. https://www.worldcat.org/oclc/66527169
  14. Bữa tối bất ngờ của Tổng thống Obama trong quán bún chả (Obama's surprise visit to the bun cha restaurant) VnExpress, May 10, 2021.
  15. オバマ米大統領、街中のつけ麺に舌鼓で店主仰天 ベトナム”. www.afpbb.com. 2021年11月28日閲覧。
  16. 「米朝会談開催地のハノイ――街中に両首脳の髪形、商魂映す」『日本経済新聞』2019年3月11日、p. 22。
  17. 「米朝会談「勝者」はベトナム? 世界から報道機関集結、文化・経済のPR成功」『朝日新聞』2019年3月3日朝刊p. 7。

外部リンク

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