阪神ジュベナイルフィリーズ

阪神ジュベナイルフィリーズ(はんしんジュベナイルフィリーズ)は、日本中央競馬会(JRA)が阪神競馬場で施行する中央競馬重賞競走GI[3]である。競馬番組表での名称は「農林水産省賞典 阪神ジュベナイルフィリーズ」と表記している[2]

阪神ジュベナイルフィリーズ
Hanshin Juvenile Fillies
第74回優勝馬リバティアイランド
(鞍上、川田将雅
開催国 日本の旗 日本
主催者 日本中央競馬会
競馬場 阪神競馬場
創設 1949年12月18日
2020年の情報
距離 芝1600m
格付け GI
賞金 1着賞金6500万円
出走条件 サラ系2歳牝馬(国際)(指定)
負担重量 馬齢(54kg)
出典 [1] [2]

競走名の「ジュベナイルJuvenile)」は、英語で「少年」「少女」を意味する。また、「フィリー(Filly)」は「(特に4歳までの)牝馬」を表している[4]

正賞は農林水産大臣賞、日本馬主協会連合会会長賞[5]

概要

1949年に、関西所属の3歳(現2歳)馬チャンピオン決定戦として「阪神3歳ステークス(はんしんさんさいステークス)」の名称で創設[6][7]。施行距離は当初芝1200mだったが、1962年より芝1600mに変更。2006年より同年新設された外回りコースに変更して、現在に至る[6][7]

1991年より牡馬牝馬のチャンピオン決定戦を明確にすることを目的として、本競走は牝馬限定戦に変更[6][7]。あわせて競走名も「阪神3歳牝馬ステークス(はんしんさんさいひんばステークス)」に変更され、3歳(現2歳)牝馬チャンピオン決定戦として位置づけられた[6][7]。その後、2001年より馬齢表記が国際基準に改められたのに伴い、現名称となった[6][7]

外国産馬は1971年から、地方競馬所属馬は1995年から出走可能になったほか、外国馬も2010年から出走可能になった[6]

本競走の優勝馬が翌年の中央競馬で行われる3歳クラシックでも活躍する例がみられるなど、中央競馬の3歳クラシックに直結する競走として重要とされている[6][7]

競走条件

以下の内容は、2021年現在[1][2]のもの。

出走資格:サラ系2歳牝馬(出走可能頭数:最大18頭)

  • JRA所属馬
  • 地方競馬所属馬(後述)
  • 外国調教馬(優先出走)

負担重量:馬齢(54kg

出馬投票を行った馬のうち、優先出走権を得ている馬から優先して割り当て、その他の馬は通算収得賞金が多い順に割り当てる。

地方競馬所属馬の優先出走権

地方競馬所属馬は同年に行われる以下の競走のいずれかで2着以内に入着すると、本競走に優先出走できる[1][8][9]

競走名競馬場距離
アルテミスステークスGIII日本の旗東京競馬場芝1600m
ファンタジーステークスGIII日本の旗京都競馬場芝1400m

上記のほか、中央競馬で施行する芝の2歳重賞で1着となった地方競馬所属馬も出走申込ができ、この場合は他の中央競馬所属馬と同じ条件で選出される[10]

2022年からは中央競馬で施行する芝の2歳重賞で1着となった地方競馬所属馬は優先出走権が得られる[11]

賞金

2020年の1着賞金は6500万円で、以下2着2600万円、3着1600万円、4着980万円、5着650万円[1][2]

歴史

年表

  • 1949年 - 3歳馬による競走「阪神3歳ステークス」の名称で創設、阪神競馬場の芝1200mで施行[6]
  • 1955年 - 名称を「農林省賞典 阪神3歳ステークス」に変更(ただし、1956年から1958年を除く)。
  • 1960年 - 芝1400mに変更[6](1962年から芝1600mに変更)。
  • 1971年 - 混合競走に指定され、外国産馬が出走可能になる[12]
  • 1978年 - 名称を「農林水産省賞典 阪神3歳ステークス」に変更。
  • 1984年 - グレード制施行によりGI[注 1]に格付け。
  • 1991年
    • 競走条件を「3歳牝馬」に変更。
    • 競走名を「農林水産省賞典 阪神3歳牝馬ステークス」に変更[6]
  • 1995年 - 特別指定交流競走に指定され、地方競馬所属馬が出走可能になる[12]
  • 2001年
    • 馬齢表記を国際基準へ変更したのに伴い、競走条件を「2歳牝馬」に変更[6]
    • 競走名を「農林水産省賞典 阪神ジュベナイルフィリーズ」に変更[6]
  • 2006年 - 「阪神競馬場芝外回りコース新設記念」の副称をつけて施行[13]
  • 2007年 - 日本のパートI国昇格に伴い、格付表記をJpnIに変更[14]
  • 2010年
    • 国際競走に指定され、外国調教馬が出走可能になる[15]
    • 格付表記をGI(国際格付)に変更[15]
  • 2019年 - 「阪神競馬場開設70周年記念」の副称をつけて施行[5]

歴代優勝馬

距離はすべて芝コース。

優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。

競走名は第1回から第7回・第9回から第42回が「阪神3歳ステークス」、第8回は「京都3歳ステークス」、第43回から第52回は「阪神3歳牝馬ステークス」[6]

回数施行日競馬場距離優勝馬性齢タイム優勝騎手管理調教師馬主
第1回1949年12月18日阪神1200mウイザート牡21:16 1/5浅見国一梶与三男岩本政一
第2回1950年11月23日阪神1200mミネハル牡21:14 0/5長浜彦三郎武輔彦隅田荘三
第3回1951年12月16日阪神1200mテツノハナ牡21:13 2/5吉永猛渋川久作永田忠
第4回1952年12月21日阪神1200mワカクサ牝21:13 1/5境勝太郎石門虎吉宇治田泰次郎
第5回1953年12月13日阪神1200mヤシマアポロ牡21:13 4/5土門健司清水茂次小林喜子
第6回1954年12月19日阪神1200mライデンオー牡21:12 0/5上田三千夫上田武司上田清次郎
第7回1955年12月11日阪神1200mトサモアー牝21:12 0/5大柳英雄清水茂次鮫川由五郎
第8回1956年12月23日京都1200mミスオンワード牝21:12 3/5栗田勝武田文吾樫山純三
第9回1957年12月15日阪神1200mメイジミドリ牡21:13 1/5清水久雄増本勇中野忠雄
第10回1958年12月7日阪神1200mインターナシヨナル牡21:13 1/5池之上豊田之上勲永田忠
第11回1959年12月6日阪神1200mコダマ牡21:12.0栗田勝武田文吾伊藤由五郎
第12回1960年12月18日阪神1400mリユウライト牡21:24.2宮本悳橋本正晴三好諦三
第13回1961年12月17日阪神1400mチトセハーバー牡21:27.4伊藤修司伊藤勝吉野間勘一郎
第14回1962年12月16日阪神1600mコウタロー牡21:41.5松本善登梅内慶蔵橋元幸吉
第15回1963年12月22日阪神1600mプリマドンナ牝21:39.0松本善登武田文吾園田信太
第16回1964年12月20日阪神1600mエイトクラウン牝21:37.6佐々木昭次田中康三山口昇
第17回1965年12月19日阪神1600mニホンピローエース牡21:38.2田所稔小川佐助小林保
第18回1966年12月18日阪神1600mタイギヨウ牡21:37.0田島日出雄武平三中山芳雄
第19回1967年12月17日阪神1600mマーチス牡21:37.6保田隆芳伊藤修司大久保常吉
第20回1968年12月15日阪神1600mリキエイカン牡21:39.4高橋成忠柏谷富衛水上力夫
第21回1969年12月14日阪神1600mタニノムーティエ牡21:37.4安田伊佐夫島崎宏谷水信夫
第22回1970年12月13日阪神1600mロングワン牡21:39.0田口光雄松田由太郎中井長一
第23回1971年12月12日阪神1600mヒデハヤテ牡21:35.1福永洋一伊藤修司伊藤英夫
第24回1972年12月10日阪神1600mキシュウローレル牝21:35.8梅内忍梅内慶蔵木村善一
第25回1973年12月9日阪神1600mキタノカチドキ牡21:36.2武邦彦服部正利初田豊
第26回1974年12月8日阪神1600mライジン牡21:36.1須貝四郎橋田俊三森本博
第27回1975年12月7日阪神1600mテンポイント牡21:37.1鹿戸明小川佐助高田久成
第28回1976年12月12日阪神1600mリュウキコウ牡21:37.1久保敏文久保道雄三好笑子
第29回1977年12月11日阪神1600mバンブトンコート牡21:35.1伊藤清章伊藤修司樋口正蔵
第30回1978年12月10日阪神1600mタマモアサヒ牡21:36.1田島良保吉永猛三野道夫
第31回1979年12月9日阪神1600mラフオンテース牝21:35.4岩元市三布施正小柴タマヲ
第32回1980年12月7日京都1600mサニーシプレー牡21:36.3内田国夫伊藤雄二山本慎一
第33回1981年12月6日阪神1600mリードエーティ牡21:36.4田島信行服部正利熊本芳雄
第34回1982年12月12日阪神1600mダイゼンキング牡21:35.8田原成貴武田作十郎大塚弘美
第35回1983年12月11日阪神1600mロングハヤブサ牡21:35.4河内洋小林稔中井長一
第36回1984年12月16日阪神1600mダイゴトツゲキ牡21:36.3稲葉的海吉田三郎竹村正一
第37回1985年12月15日阪神1600mカツラギハイデン牡21:36.0西浦勝一土門一美野出一三
野出長一
第38回1986年12月14日阪神1600mゴールドシチー牡21:37.1本田優清水出美(有)友駿ホースクラブ
第39回1987年12月20日阪神1600mサッカーボーイ牡21:34.5内山正博小野幸治(有)社台レースホース
第40回1988年12月18日阪神1600mラッキーゲラン牡21:35.6村本善之池江泰郎ロイヤルファーム(有)
第41回1989年12月17日阪神1600mコガネタイフウ牡21:35.7田原成貴中村好夫瀬古孝雄
第42回1990年12月9日京都1600mイブキマイカグラ牡21:34.4南井克巳中尾正(有)伊吹
第43回1991年12月1日阪神1600mニシノフラワー牝21:36.2佐藤正雄松田正弘西山正行
第44回1992年12月6日阪神1600mスエヒロジョウオー牝21:37.9田面木博公吉永猛小林乙次郎
第45回1993年12月5日阪神1600mヒシアマゾン牝21:35.9中舘英二中野隆良阿部雅一郎
第46回1994年12月4日阪神1600mヤマニンパラダイス牝21:34.7武豊浅見国一土井商事(株)
第47回1995年12月3日阪神1600mビワハイジ牝21:35.3角田晃一浜田光正(有)ビワ
第48回1996年12月1日阪神1600mメジロドーベル牝21:34.6吉田豊大久保洋吉メジロ商事(株)
第49回1997年11月30日阪神1600mアインブライド牝21:35.8古川吉洋宮徹荒木美代治
第50回1998年12月6日阪神1600mスティンガー牝21:37.0横山典弘藤沢和雄吉田照哉
第51回1999年12月5日阪神1600mヤマカツスズラン牝21:35.6M.キネーン池添兼雄山田博康
第52回2000年12月3日阪神1600mテイエムオーシャン牝21:34.6本田優西浦勝一竹園正繼
第53回2001年12月2日阪神1600mタムロチェリー牝21:35.1O.ペリエ西園正都谷口屯
第54回2002年12月1日阪神1600mピースオブワールド牝21:34.7福永祐一坂口正大飯田正
第55回2003年12月7日阪神1600mヤマニンシュクル牝21:35.9四位洋文浅見秀一土井肇
第56回2004年12月5日阪神1600mショウナンパントル牝21:35.2吉田豊大久保洋吉国本哲秀
第57回2005年12月4日阪神1600mテイエムプリキュア牝21:37.3熊沢重文五十嵐忠男竹園正繼
第58回2006年12月3日阪神1600mウオッカ牝21:33.1四位洋文角居勝彦谷水雄三
第59回2007年12月2日阪神1600mトールポピー牝21:33.8池添謙一角居勝彦(有)キャロットファーム
第60回2008年12月14日阪神1600mブエナビスタ牝21:35.2安藤勝己松田博資(有)サンデーレーシング
第61回2009年12月13日阪神1600mアパパネ牝21:34.9蛯名正義国枝栄金子真人ホールディングス(株)
第62回2010年12月12日阪神1600mレーヴディソール牝21:35.7福永祐一松田博資(有)サンデーレーシング
第63回2011年12月11日阪神1600mジョワドヴィーヴル牝21:34.9福永祐一松田博資(有)サンデーレーシング
第64回2012年12月9日阪神1600mローブティサージュ牝21:34.2秋山真一郎須貝尚介(有)シルク
第65回2013年12月8日阪神1600mレッドリヴェール牝21:33.9戸崎圭太須貝尚介(株)東京ホースレーシング
第66回2014年12月14日阪神1600mショウナンアデラ牝21:34.4蛯名正義二ノ宮敬宇国本哲秀
第67回2015年12月13日阪神1600mメジャーエンブレム牝21:34.5C.ルメール田村康仁(有)サンデーレーシング
第68回2016年12月11日阪神1600mソウルスターリング牝21:34.0C.ルメール藤沢和雄(有)社台レースホース
第69回2017年12月10日阪神1600mラッキーライラック牝21:34.3石橋脩松永幹夫(有)サンデーレーシング
第70回2018年12月9日阪神1600mダノンファンタジー牝21:34.1C.デムーロ中内田充正(株)ダノックス
第71回2019年12月8日阪神1600mレシステンシア牝21:32.7北村友一松下武士(有)キャロットファーム
第72回2020年12月13日阪神1600mソダシ牝21:33.1吉田隼人須貝尚介金子真人ホールディングス(株)
第73回2021年12月12日阪神1600mサークルオブライフ牝21:33.8M.デムーロ国枝栄飯田正剛
第74回2022年12月11日阪神1600mリバティアイランド牝21:33.1川田将雅中内田充正(有)サンデーレーシング

阪神ジュベナイルフィリーズの記録

  • レースレコード - 1:32.7(第71回優勝馬レシステンシア)[16]
  • 最多優勝騎手 - 3勝
    • 福永祐一(第54回・第62回・第63回)[17]
  • 最多優勝調教師 - 3勝
    • 武田文吾(第8回・第11回・第15回)、伊藤修司(第19回・第23回・第29回)、松田博資(第60回・第62回・第63回)、須貝尚介(第64回・第65回・第72回)[18]
  • 最多優勝馬主 - 6勝
    • (有)サンデーレーシング(第60回・第62回・第63回・第67回・第69回・第74回)
  • 最多勝利種牡馬 - 3勝

世界の主な2歳牝馬競走

イギリス
フランス
アイルランド
アメリカ

脚注・出典

注釈

  1. 当時の格付表記は、JRAの独自グレード。

出典

  1. 重賞競走一覧(レース別・関西) (PDF). 日本中央競馬会. p. 117. 2021年12月26日閲覧。
  2. 令和3年第6回阪神競馬番組 (PDF). 日本中央競馬会. 2021年12月26日閲覧。
  3. 競馬の阪神JF前日最終オッズはナミュールが1番人気”. 産経ニュース (2021年12月11日). 2021年12月11日閲覧。
  4. 2021年度第5回阪神競馬特別レース名解説(4日目) (PDF). 日本中央競馬会. p. 3. 2021年12月26日閲覧。
  5. 令和元年5回阪神競馬番組”. 日本中央競馬会. 2019年12月9日閲覧。
  6. レースについて:阪神ジュベナイルフィリーズ 今週の注目レース”. 日本中央競馬会. 2017年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月4日閲覧。
  7. レースガイド(阪神JF)”. netkeiba.com. 2015年12月8日閲覧。
  8. □地が出走できるGI競走とそのステップ競走について【令和3年度】 (PDF). 日本中央競馬会. 2021年12月26日閲覧。
  9. 競馬番組一般事項(V 出馬投票、V-2-(4)-ハ-(一)) (PDF). 日本中央競馬会. p. 22 (2021年). 2021年5月30日閲覧。
  10. GI競走およびそのステップ競走に出走する地方競馬所属馬の決定方法 (PDF). 日本中央競馬会. 2021年12月26日閲覧。
  11. [地]が出走できるGI競走等とそのステップ競走について【令和4年度】 (PDF). 日本中央競馬会. 2021年12月26日閲覧。
  12. 中央競馬全重賞成績集【GI編】
  13. 2006年の成績表参照。
  14. 2007年の成績表参照。
  15. 2010年の成績表参照。
  16. 【阪神JF】レシステンシア“あっ逃”驚くレコード女王 桜と同タイム!5馬身圧勝”. netkeiba.com (2019年12月9日). 2019年12月9日閲覧。
  17. 連覇としては他に松本善登(第14回・第15回)、クリストフ・ルメール(第67回・第68回)が記録
  18. 連覇としては他に角居勝彦(第58回・第59回)が記録

各回競走結果の出典

外部リンク

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