南信地方
南信地方(なんしんちほう)とは、長野県の南部(木曽地方を除く)の地域を指す。
南信地方のデータ | ||
国 | 日本 | |
地方 | 中部地方、中央高地、甲信越地方 | |
諏訪地域+上伊那地域+南信州地域 | ||
面積 | 3,992.87 km2 | |
総人口 | 529,076人 (2020年国勢調査) |
範囲
- 諏訪湖から伊那谷までの天竜川流域一帯を総めた範囲。一般的分類としての南信地方。中央自動車道沿線にあたる。県庁が地域区分をする時や、学校間のスポーツ大会にも用いられる。長野県立高校の第3学区の区域に該当[1]する。
- 上伊那地域・南信州地域
- 狭義では伊那谷の一帯で、飯田線沿線。伊那地方(いなちほう)と呼ばれる事もある。更に、飯田を中心とする下伊那郡を南信州(みなみしんしゅう)、「飯伊(はんい)地域」と呼ぶ事がある。
- 特に自然地理や交通では、中央本線・甲州街道・中山道の沿線に当たる諏訪地域を、むしろ伊那地方とは区別して、「松本諏訪地方」として、気象区分など「長野県中部」に区分することもある。
- 木曽・伊那(上伊那地域・南信州地域・木曽地域)
- 木曽地域は天竜川流域ではないので、南信地方には含まれないが、(糸魚川静岡構造線より西側に位置しており)観光ガイドでは木曽・伊那として括られることがある。天気予報でも、木曽と上下伊那が一組で「長野県南部」に区分されている。
概要
諏訪湖周辺および天竜川流域に位置し、西を木曽山脈に、東を赤石山脈(中央構造線)に挟まれた地方である。
長野県に属するが、日本海側である北信地方との繋がりは中信地方以上に浅い。戦国時代には武田信玄や徳川家康(江戸入封前)の所領だった地域で、中央本線沿線の松本地域と山梨県、天竜川流域で遠州灘沿岸(静岡県遠江地域と愛知県東三河地域)との繋がりが深い。遠江や東三河との間では行政面の交流が活発であり、「三遠南信」という自治体間の交流圏を形成している。
特に南端部に位置する矢作川(上村川)流域の根羽村や平谷村は、隣接する愛知県豊田市等の自治体との関わりが深い。道州制論議でも中部州への加入を望む動きが出ている[2][3]。
歴史
中世・近世
戦国時代には武田信玄の所領になった。武田信玄と徳川家康の抗争に由来する地名として、兵越峠がある。
江戸時代になると、現在の上伊那郡のうち太田切川・分杭峠以北の地域(一部除く)は高遠藩の所領となり、下伊那郡は飯田町周辺の地域で飯田藩、残りの地域から上伊那南部にかけて幕府領(一部地域に白河藩領、高須藩領なども)、諏訪郡は高島藩の所領となった[4]。また、江戸時代から明治時代に渡って、伊那地方は日本でも有数の林業地帯となり、伊那地方産の木材は、天竜川の舟運を利用して、下流の遠州灘沿岸に運搬されていた。この伊那地方産の木材は、明治以降に浜松で楽器産業が興った要因にもなっている。
近現代
明治維新期の廃藩置県では、伊那地方の幕府領は伊那県に、高島藩は高島県に、飯田藩は飯田県に、高遠藩は高遠県にそれぞれ再編されたが、1871年12月31日には全て筑摩県に編入された。そして、1876年8月21日に筑摩県が分割されると、長野県に編入された。
諏訪地方や上伊那郡の北端の辰野に1905年から1906年に中央本線が通じた一方、伊那谷は明治前中期の官営鉄道建設からは漏れたものの、1909年に伊那電気鉄道が開業し、1927年には伊那電・三信鉄道が伊那地方を縦貫するようになり、1937年8月には神宮前(名古屋市)から辰野まで5社による私鉄路線網が形成された(伊那電、三信鉄道を含めた私鉄四社が統合し、国有化した飯田線が発足したのは、第二次大戦中の1943年)。
他方、茅野と東信の田中を結ぶ私鉄が計画されて、1919年に佐久諏訪電気鉄道も発足したが開業すること無く破産。1944年には茅野 - 花蒔間に貨物専用の諏訪鉄山鉄道も開通したが、旅客化することはなかった。
地域
- 上伊那広域連合を結成する。
- 天気予報では、「長野県南部」に属する。
- 江戸時代には広い地域で高遠藩の所領であった。一方太田切川・分杭峠以南の地域や現在の箕輪町や南箕輪村などは幕府領であり、前者は現在の下伊那と連続していた[4]。
都市雇用圏(10% 通勤圏)の変遷
南信地方における都市雇用圏(10% 通勤圏)。一般的な都市圏の定義については都市圏を参照のこと。
- 10% 通勤圏に入っていない町村は、各統計年の欄で灰色かつ「-」で示す。
自治体 ('80) |
1980年 | 1990年 | 2000年 | 2005年 | 2010年[5] | 2020年 | 自治体 (現在) |
地域 |
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諏訪市 | 諏訪 都市圏 11万4705人 |
諏訪 都市圏 10万9028人 |
諏訪 都市圏 13万0616人 |
諏訪 都市圏 13万3323人 |
諏訪 都市圏 20万4875人 |
諏訪 都市圏 19万8475人 |
諏訪市 | 諏訪 |
茅野市 | 茅野市 | |||||||
原村 | 原村 | |||||||
富士見町 | - | 富士見町 | ||||||
岡谷市 | 岡谷 都市圏 11万2678人 |
岡谷 都市圏 10万9260人 |
岡谷 都市圏 8万0325人 |
岡谷 都市圏 7万7562人 |
岡谷市 | |||
下諏訪町 | 下諏訪町 | |||||||
辰野町 | 伊那 都市圏 14万1715人 |
伊那 都市圏 14万2453人 |
伊那 都市圏 19万0412人※[6] |
- | 辰野町 | 上伊那 | ||
伊那市 | 伊那 都市圏 8万4003人 |
伊那 都市圏 11万1759人 |
- | 伊那市 | ||||
高遠町 | ||||||||
長谷村 | ||||||||
宮田村 | - | 宮田村 | ||||||
南箕輪村 | - | 南箕輪村 | ||||||
箕輪町 | - | - | 箕輪町 | |||||
駒ヶ根市 | - | - | - | - | - | 駒ヶ根市 | ||
飯島町 | - | - | - | - | - | 飯島町 | ||
中川村 | - | - | - | - | - | 中川村 | ||
南信濃村 | - | - | - | 飯田 都市圏 17万1491人 |
飯田 都市圏 16万6652人 |
飯田 都市圏 15万2536人 |
飯田市 | 南信州 |
上村 | - | - | 飯田 都市圏 16万9427人 | |||||
飯田市 | 飯田 都市圏 14万1286人 |
飯田 都市圏 14万6498人 | ||||||
鼎町 | ||||||||
上郷町 | ||||||||
高森町 | 高森町 | |||||||
下條村 | 下條村 | |||||||
喬木村 | 喬木村 | |||||||
豊丘村 | 豊丘村 | |||||||
阿智村 | 阿智村 | |||||||
清内路村 | - | |||||||
泰阜村 | - | 泰阜村 | ||||||
浪合村 | - | - | 阿智村 | |||||
松川町 | - | - | 松川町 | |||||
阿南町 | - | - | 阿南町 | |||||
天龍村 | - | - | - | 天龍村 | ||||
売木村 | - | - | - | - | - | 売木村 | ||
平谷村 | - | - | - | - | - | - | 平谷村 | |
根羽村 | - | - | - | - | - | - | 根羽村 | |
大鹿村 | - | - | - | - | - | - | 大鹿村 |
都市圏(民力)
朝日新聞社発行の「民力」で定義されている都市圏は以下の通り(2015年現在)。
- 岡谷市都市圏
- 岡谷市
- 下諏訪町(諏訪郡)
- 辰野町(上伊那郡)
- 諏訪市都市圏
- 諏訪市
- 茅野市都市圏
- 茅野市
- 富士見町(諏訪郡)
- 原村(諏訪郡)
- 伊那市都市圏
- 伊那市
- 箕輪町(上伊那郡)
- 南箕輪村(上伊那郡)
- 駒ヶ根市都市圏
- 駒ヶ根市
- 飯島町(上伊那郡)
- 中川村(上伊那郡)
- 宮田村(上伊那郡)
- 飯田市都市圏
- 飯田市
- 下伊那郡全域
昼夜間人口比
2020年国勢調査によれば、昼夜間人口比が100%を超え、流入超過となっている自治体は諏訪市(106.56%)、飯田市(103.91%)、駒ヶ根市(103.85%)、伊那市(100.83%)、大鹿村(109.38%)、富士見町(107.95%)、阿南町(103.44%)、売木村(103.10%)、阿智村(102.78%)、天龍村(100.08%)となっている。
交通
道路
タクシー
- 諏訪交通圏
- 岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町
- 飯田市A - 飯田市(飯田地区)
- 飯田市B - 飯田市(上村地区・南信濃地区)
- 伊那市A - 伊那市(伊那地区)
- 伊那市B - 伊那市(高遠地区・長谷地区)
- 駒ヶ根市 - 市域に同じ
- 諏訪郡A - 富士見町、原村
- 上伊那郡A - 辰野町、箕輪町、南箕輪村
- 上伊那郡B - 宮田村
- 上伊那郡C - 飯島町、中川村
- 下伊那郡 - 郡域に同じ
メディア
- 新聞
- FMラジオ局
特産品
- 食品
- 工芸品
脚注
- 但し、隣接学区の公立高校も受験できるため、第1学区(北信)以外の公立高校が受験可能
- 2007年5月19日読売新聞(2013年5月1日時点のアーカイブ)
- 2008年5月30日南信州新聞(2010年2月6日時点のアーカイブ)
- 社団法人長野県史刊行会(1989年)長野県史 民俗編 第二巻(三)南信地方 ことばと伝承
- 平成26年度総合調査研究
- 2020年国勢調査で中心市である伊那市のDID地区人口が1万人未満となったため消滅。
- “信州・天竜川どんぶり街道の会発足”. 伊那谷ねっと (伊那ケーブルテレビジョン). (2009年11月12日) 2019年5月25日閲覧。
- “信州・天竜川どんぶり街道の会”. 長野県上伊那地方事務所 (2009年11月12日). 2010年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月25日閲覧。
- OFFICE-SANGA (2013年9月20日). “その道は激うま丼に続く。長野県「信州・天竜川どんぶり街道」で食べ尽くす”. マイナビニュース (マイナビ) 2019年5月25日閲覧。