アイスクリーム・コーン

アイスクリーム・コーン英語:ice cream cone)は、円錐形の乾燥したペイストリーで、通常ワッフルの生地に似たウエハースで作られる。これによってアイスクリームを手でそのまま握ることができ、ボウルスプーンなしでも食べることができる。

アイスクリーム・コーン
コーンの中のストロベリー・アイスクリーム
コーンの中のストロベリー・アイスクリーム
種類 ペイストリー
提供時温度 冷温
主な材料 ウエハース
派生料理 ワッフルコーン、ケーキコーン、ウエハースコーン、プレッツェルコーン、シュガーコーン、チョコレート塗りコーン、ダブルコーン

種類と名称

「コーン(cone)」は「円錐形」を意味している。 なおトウモロコシ(corn)が原料だと誤解されることもあるが、ウエハースの材料にトウモロコシは通常用いない。アイスクリーム・コーンは英語圏ではポーク(poke)やコルネット(cornet)とも呼ばれる。

アイスクリーム・コーンには様々な種類がある。ワッフル・コーン、ケーキ・コーン(またはウエハース・コーン)、プレッツェル・コーン、シュガー・コーン、チョコレート塗りコーンなどである。

2杯のアイスクリームを左右に並べて食べられるダブル・コーンも、様々な種類が存在する。

また、支えなしでも置くことができるよう、底が平らになっているタイプもある。平底タイプのコーンは、キディ・カップ(kiddie cups)、ケーキ・コーン(cake cones)、クール・カップ(cool cups)などと呼ばれる。

英国アイルランドでは、アイスクリームにキャドベリーズ・チョコレート・フレーク (Flake (chocolate bar)) というチョコレートバーを挿し込んだバニラ・アイスクリーム・コーンを「99」という。

歴史

食べられるコーンは、1825年には既にフランスの料理本で紹介されており、ジュリアン・アルシャンボー(Julien Archambault)が「小さなワッフル」からどのようにコーンを巻くことができるかを記述している[1]。食べられるコーンは他にも、1888年イングランドアグネス・B・マーシャル(en)(1855–1905)によって書かれた『A・B・マーシャル夫人の料理本(Mrs A. B. Marshall's Cookery Book)』で紹介されている。彼女による「コルネットとクリーム」のレシピでは、「コルネットはアーモンドでつくる。型押しをするのではなくオーブンで焼く」とある[2][3]

アメリカ合衆国において、アイスクリーム・コーンは20世紀最初の10年間で普及した。1904年12月13日ニューヨークのイタロ・マーチオニーのアイスクリームを保持するためのペイストリー・カップを作るための型は、米国の特許746971で認められている[4]。マーチオニーは、1896年から食用の菓子の入れ物に入れたアイスクリームを売っていると主張したが、マーチオニーの特許はコーンに及んでおらず、コーン・メーカーを特許侵害で訴えた訴訟で敗北している。

ミズーリ州セントルイスで1904年に行われたセントルイス万博では、バナー・バター製造所のオーナー、ジョージ・バングがアイスクリームを売った。伝えられるところによれば、彼はボウルを使い果たし、その代わりとして巻いたワッフルを用いた。セントルイス万博での最初にワッフルをつくった人物として、アーネスト・A・ハムウィの名が挙げられることもある[5]

アイスクリーム・コーンの製造・販売

アイスクリーム・コーンは最初、熱く薄いウエハースを手で巻いて作られていた。1912年オレゴン州ポートランド発明家であるフレデリック・ブラックマン(Frederick Bruckman)が、コーンを巻くための機械の特許をとった。彼の会社は1928年ナビスコに売却され、2012年時点でもアイスクリームを生産している。ベン&ジェリーズのような独立したアイスクリーム・メーカーは、独自のコーンを作っている。

ペンシルバニア州ハーミティジ (Hermitage, Pennsylvania) 1918年に創業したジョイ・アイスクリーム・コーン・カンパニーは、一般消費者向けとともに、レストランに販売するための業務用アイスクリーム・コーンを焼くようになり、大量生産を開始した。この会社は、年間15億のアイスクリーム・コーンを扱い、2012年時点で世界最大のアイスクリーム・コーン・メーカーだと言われている[6]

日本では日世が最大手であり、国内シェアは約7割である[7]

アイス一体型コーン

1928年テキサス州フォートワースのJ.T. "ストゥービー" パーカーは、食料品店の冷凍庫で保存できる冷凍アイスクリームと一体型のアイスクリーム・コーンを開発した[8]。彼はこの商品を市場に出すため、1931年にドラムスティック社 (Drumstick (ice cream)) を設立した。ドラムスティック社は、1991年にネスレによって買収された。2012年10月時点で、ネスレは、「ドラムスティック」ブランドのアイスを8種類の味で販売している[9]

1959年ナポリに本社を置くイタリアのアイスクリーム・メーカーであるスピカ社は、ワッフルコーンの内側に砂糖チョコレートの層をつくることでアイスクリームとコーンとを隔離する製法を開発した。スピカ社は、1960年に「コルネット」 (Cornetto (ice cream)) の名で商標登録している。当初の売上は伸び悩んだが、1976年にユニリーバがスピカ社を吸収合併すると、ヨーロッパ各地で「コルネット」の大量販売キャンペーンを始めた。「コルネット」は現在でも、世界で最もポピュラーなアイスクリームの1つとなっている。

1979年、デイビッド・ワインスタイン(David Wienstien)によって考案された新しい包装方法により、アイスクリーム・コーンの輸送はより簡単になった。ワインスタインの考案は、アイスクリーム・コーンをパラフィン紙で包むことをできるようにするものである。これにより、包装紙が輸送中に外れたりコーンにくっついたりすることを防ぎ、コーンをより衛生的に保てるようになった[10]

出典

  1. Julien Archambault, Le Cuisinier économe ou Élémens nouveaux de cuisine, de pâtisserie et d'office, Librairie du commerce, Paris, 1825, page 346.
  2. Stradley, Linda. "History of Ice Cream Cone". What's Cooking America. 2008年5月13日閲覧
  3. Weir, Robert. "An 1807 Ice Cream Cone: Discovery and Evidence". Historic Food. 2008年5月13日閲覧
  4. "United States Patent and Trademark Office". 2012年10月5日閲覧
  5. "Ice cream". Encyclopedia of New Jersey. 2004. 2012年11月6日閲覧
  6. Mans, Jack (2009-06-01). “Labler is a Sweet Solution for Ice Cream Cone Maker”. Packaging Digest 46 (6): 38-41. オリジナルの2013-01-20時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130120181532/http://www.packagingdigest.com/article/341980-Labeler_is_a_sweet_solution_for_ice_cream_cone_maker.php 2012年10月12日閲覧。.
  7. "【凄腕つとめにん】日世コーン生産部技術開発課・大和田勉さん 開発したコーンの生産数、年間約2200万個". 朝日新聞デジタル. 7 May 2018. 2018年6月13日閲覧
  8. "Nestle Drumbstick". 2013年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年10月12日閲覧
  9. "NESTLE DRUMSTICK Flavors". 2012年10月12日閲覧
  10. "United States Patent: 4289791". United States Patent and Trademark Office(米国特許商標庁). 2012年10月11日閲覧

関連項目

外部リンク

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