Tierra (アルバム)

Tierra』(ティエラ)は、日本のロックバンドL'Arc〜en〜Cielの2作目のアルバム1994年7月14日発売。発売元はKi/oon Sony Records

L'Arc〜en〜Ciel > ディスコグラフィ > Tierra (アルバム)
Tierra
L'Arc〜en〜Cielスタジオ・アルバム<meta itemprop='albumReleaseType' content='アルバム' />
リリース
録音 1994年
SOUND SKY STUDIO
SEDIC STUDIO
NICHION STUDIO
STUDIO JOE
ジャンル ニュー・ウェーヴ
ゴシック・ロック
ロック
時間
レーベル Ki/oon Sony Records
プロデュース L'Arc〜en〜Ciel
富樫春生(#9)
チャート最高順位
  • 週間7位(オリコン
  • 登場回数34回(オリコン)
ゴールドディスク
『Tierra』収録のシングル
  1. 眠りによせて
    リリース: 1994年7月1日
  2. Blurry Eyes
    リリース: 1994年10月21日
L'Arc〜en〜Ciel アルバム 年表
DUNE
1993年
Tierra
1994年
heavenly
1995年
ミュージックビデオ
L'Arc~en~Ciel「風の行方」-Music Clip- - YouTube
L'Arc~en~Ciel「瞳に映るもの」-Music Clip- - YouTube
(※) 2019年12月11日から2022年3月31日まではYouTube Music Premium限定有料公開
(※) 2022年4月1日から無料公開

解説

1stアルバム『DUNE』以来1年3か月ぶりとなる、メジャーデビュー後最初にリリースしたオリジナルアルバム。

また、本作のマスタリングは、エレファントカシマシの作品やGRASS VALLEYのアルバム『STYLE』のマスタリング作業に携わった田中三一(S.M.E)が担当している。

制作背景

前作はメジャーデビュー前にリリースされているため、便宜上この作品を1stアルバムとする場合もあるが、メンバーは"2枚目のアルバム"として捉えており、tetsuyaは「実質メジャーの1枚目ですけど、僕らは『DUNE』を1stって呼んでいる[2]」「単に2枚目のアルバムをメジャーから出したってだけ[2]」と述べている。

アルバムタイトルの『Tierra』はスペイン語で「大地」を意味している。hydeはアルバムタイトルを決めた経緯について「言葉からくるイメージや印象を大切にしたいんです。最初、"大地"という言葉が浮かんで、そこからこの作品に合う響きを探しました」「空から見た大地をイメージした[3]」と述べている。また、tetsuyaは「個人的には"眩暈"という言葉がキーワード[3]」とアルバムのイメージについて述べている。

収録シングルは、メジャーデビューシングルとなった「眠りによせて」の1曲のみとなっており、他にはインディーズ時代に新曲として披露された「White Feathers」含め10曲が収録されている。1994年10月にはアルバムに初収録された「Blurry Eyes」がタイアップが付いたことに伴いシングル・カットされている。

また、hyde、ken、tetsuya、sakuraの4人それぞれが作曲した楽曲が収録されており、sakuraが在籍していたL'Arc〜en〜Cielにおいて各メンバーに作曲クレジットが付いている唯一のアルバムとなっている。各メンバーが曲を書く体制を取ることについて、hydeは「L'Arc〜en〜Cielはテーマを作らないで、皆が思い思いの曲を書いていくんです。規制を作ってしまうと世界が広がらないと思いますし[4]」「皆がキャンバスに好きな色を塗っていって、最終的に出来たものから、こういう絵が描きたかったんだって確認する感じです[4]」と述べている。

本作のレコーディングを振り返り、hydeは「かなり試行錯誤して時間をかけた[5]」と語っており、tetsuyaも2010年のインタビューで「いろんなことを試せたし、ラルクの全アルバムの中でも一番時間をかけた[2]」と述懐している。また、tetsuyaはレコーディングが長期化したことによりプロモーションが不十分だったとも述べており[2]、アルバム発売後に行われた初の全国ツアー「Tour Sense of time '94」の東京ベイNKホール公演においてチケットがソールドアウトしないという事態が発生している。

本作のプロモーションとして1994年2月14日に、全国6局ネットで特別番組『ノスタルジーの予感〜第一章〜』が放送された。同年4月3日からは番組タイトルと同名のツアーを全国3ヶ所で開催。また、1994年4月8日から7月8日にかけて全国3局ネットで『ノスタルジーの予感〜組曲〜』を放送[3][6]。同年7月7日には前述の映像の総集編を全国9局ネットで『ノスタルジーの予感〜第二章〜』を放送した[3][7]。映像の内容は"Illusion"と"Documentaire"に分かれ、楽曲のミュージック・ビデオや、メンバーのイメージを映像化した短編ストーリー、メンバーのコメントを中心に構成されている[3]

コンサートツアー「Tour Sense of time '94」の終了後の1994年12月1日にイメージビデオ『Siesta 〜Film of Dreams〜』を発売。この作品には、本作に収録された「風の行方」のミュージック・ビデオと「瞳に映るもの」のイメージ映像が収録されている。

リリース形態

フィジカルは、現在までにCDMDの2種類が発表されている。CDは通常盤の1形態で発売されており、初回限定仕様は、スーパーピクチャーレーベルとなっている。

また、2011年6月22日には、スマートフォン向け音楽ダウンロードアプリ、レコチョクにおいてL'Arc〜en〜Cielの楽曲計146曲のダウンロード販売を開始したことに伴い、本作に収録されたシングル表題曲以外の楽曲も配信が開始された[8]2012年11月7日には、ソニー・ミュージックエンタテインメントがiTunes Storeに参入したことに伴い、日本のiTunesにおいても配信が開始され[9]、これによりほぼ全ての音楽配信サイトにてダウンロード販売が解禁された。

2014年10月22日には、本作を含めたアルバム全12タイトルのハイレゾリューションオーディオ音源が各種音楽サイトで配信が開始された。このハイレゾバージョンでは、内田孝弘(FLAIR)によるリマスタリングが行われている。また、2019年12月11日には、SpotifyApple Musicをはじめとした各種サブスクリプションサービス(定額制音楽配信)にて、この日までに発表したL'Arc〜en〜Cielの全楽曲のストリーミング配信を全世界で一斉解禁している[10]

2022年5月18日には、本作を含めた過去に発表したアルバム作品を、メンバー監修のもとでオリジナルマスターテープを使用しリマスタリングしたボックス・セット『L'Album Complete Box -Remastered Edition-』が発表されている。この作品に収録されたリマスタリングアルバム『Tierra (Remastered 2022)』では、ランディ・メリル(Sterling Sound)によるリマスタリングが行われている。ちなみにこのリマスタリングアルバムは、フィジカル発売と同日にダウンロード配信(ハイレゾリューションオーディオ音源含む)およびストリーミング配信が開始されている。

リリース タイトル 規格 マスタリング・エンジニア 備考
1994年7月14日 (1994-07-14) Tierra
田中三一(S.M.E)
-
2011年6月22日 (2011-06-22) シングル表題曲として発表された「Blurry Eyes」は過去に配信開始済(いずれもシングルバージョンを配信済)
2014年10月22日 (2014-10-22) 内田孝弘(FLAIR) -
2019年12月11日 (2019-12-11) 田中三一(S.M.E) -
2022年5月18日 (2022-05-18) Tierra (Remastered 2022)
  • CD
  • ダウンロード配信
  • ハイレゾリューションオーディオ配信
  • ストリーミング配信
ランディ・メリル(Sterling Sound)
フィジカルはボックス・セット『L'Album Complete Box -Remastered Edition-』に収録

評価

批評

  • 音楽ジャーナリストの沢田太陽は自身のnoteにて、結成当初から本作までのラルクを<ゴス/ニュー・ウェイヴ期>と分類している[11]。この当時のバンドの音楽性について、沢田は「このときはもう、思い切りファンタジックというか、それこそザ・キュアーザ・スミス、あと、ときおり初期のU2エッジ風のギターの刻みが入る感じですね[11]」と評している。また、「当時は93、94年なので、アメリカでは思いきりオルタナだし、イギリスでもブリット・ポップ前夜。もう、ゴスメイクとファッションでこういうことしてる人は欧米の主流からはだいぶいなくなってた頃ではありましたね。この時期が長く続かなかったのは、そういう時代背景があったからだと思います。ただ、キュアーやザ・スミス、ジョイ・ディヴィジョンニュー・オーダーといった、ニュー・ウェイヴのダークな四天王がタイムレスなレジェンドとして受け継がれるようになった今、逆にこの時期の曲が今かっこよく聞こえるのは確かです[11]」「加えて、"この頃から、こんなにやりたいこと、明確にはっきりしてたんだ!"ということに驚きましたね。もう、楽曲的な完成度はこの時点でずいぶん高いなと思いましたからね。しかも、ちゃんと、この当時から洋楽っぽく聞こえてた。そのセンスもびっくりしましたね。日本って、80sのバンドブームのときからV系みたいな髪型とファッションしてる人って、多かったんですけど、BOØWYとかPERSONZのあんまり良くない影響受けちゃって、歌謡曲化する人たち、少なくなかったんですね。だから、"ゴスメイク=ド邦楽"のイメージもあって、それでV系嫌いなとこも否めなかったんですけど、ラルクの場合は、そういうタイプとは全く違ってたんだなと改めて思ったものでした[11]」とコメントしている。- THE MAINSTREAM『ユーミンに次ぐ、ストリーミングでの全アルバム・リスニング達成の邦楽アーティストがラルクになった件』(2019年12月20日)

チャート成績

収録曲

Tierra
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.「In the Air」hydehydeL'Arc〜en〜Ciel
2.「All Dead」hydehydeL'Arc〜en〜Ciel
3.「Blame」hydetetsuL'Arc〜en〜Ciel
4.「Wind of Gold」hydekenL'Arc〜en〜Ciel
5.Blurry EyeshydetetsuL'Arc〜en〜Ciel
6.「Inner Core」hydesakuraL'Arc〜en〜Ciel
7.眠りによせてhydekenL'Arc〜en〜Ciel
8.「風の行方」hydekenL'Arc〜en〜Ciel
9.「瞳に映るもの」hydekenL'Arc〜en〜Ciel
10.「White Feathers」hydekenL'Arc〜en〜Ciel
合計時間:
Tierra (Remastered 2022)
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.「In the Air - Remastered 2022」hydehydeL'Arc〜en〜Ciel
2.「All Dead - Remastered 2022」hydehydeL'Arc〜en〜Ciel
3.「Blame - Remastered 2022」hydetetsuyaL'Arc〜en〜Ciel
4.「Wind of Gold - Remastered 2022」hydekenL'Arc〜en〜Ciel
5.Blurry Eyes - Remastered 2022」hydetetsuyaL'Arc〜en〜Ciel
6.「Inner Core - Remastered 2022」hydesakuraL'Arc〜en〜Ciel
7.眠りによせて - Remastered 2022」hydekenL'Arc〜en〜Ciel
8.「風の行方 - Remastered 2022」hydekenL'Arc〜en〜Ciel
9.「瞳に映るもの - Remastered 2022」hydekenL'Arc〜en〜Ciel
10.「White Feathers - Remastered 2022」hydekenL'Arc〜en〜Ciel
合計時間:

楽曲解説

  1. In the Air
    • 作詞・作曲: hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    hyde曰く「ギターを聴きながら曲を作っている時から、空を飛んでいるイメージがあった[4]」という。歌詞についてhydeは「(歌詞の中の)地上にいる"僕"も自分だし、空を飛んでる"君"も自分なんです[4]」と述べている。kenはこの曲で12弦アコースティック・ギターを使用している。
    イントロはベースのアルペジオから始まる。tetsuyaはベース・フレーズについて「イントロはリフ的で、サビでは広がっていく得意のパターン[12]」と述べている。
    アウトロが次曲のイントロと被るような構成になっている。これまでベストアルバム3作に収録されており、各ベストアルバムにはアウトロが途中で切れずに最後までフェードアウトするミックス違いで収録されている。
    2011年に行われたライブ「20th L'Anniversary LIVE」の初日公演の1曲目で披露され、ライブ「Kiss me heavenly deadly '96 REVENGE」以来約15年ぶりに演奏された。
  2. All Dead
    • 作詞・作曲: hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    歌詞が過激な曲で、作詞を手掛けたhydeは「自分の中にある、ある種の怒りを表わしている歌詞[4]」と語っている。
    同じコード進行でギターリフが変わっていく構成となっている。曲を聴いた時の印象について、tetsuyaは「僕の思うところのグランジだった[12]」、sakuraは「この曲にはグランジの空気が流れていたから、逆にドラムはそっちに行かないようにした[13]」「グランジだと今風だけど、俺の中では1960年代~70年代にしようとしたんだ[13]」と述べている。
    1995年には、次作『heavenly』のプロモーションの一環で行った全国キャンペーンイベント「Rendez-vous 1995 Summer」最終日の大阪IMPホールで、この曲のアコースティック・バージョンを披露した。
    2006年に行われたライブ「15th L'Anniversary Live」では、kenのリクエスト曲として、ライブ「Kiss me heavenly deadly '96 REVENGE」以来約10年ぶりに演奏された。
    2008年にはライブイベント「JACK IN THE BOX 2008」において、hydeが所属事務所のミュージシャンら[14]とこの曲をセッションした。
  3. Blame
    • 作詞: hyde / 作曲: tetsu / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    アコースティック・ギターから静かに始まるが、サビで一気に盛り上がる曲。この曲を作った際に、tetsuyaはスタッフから「どうしてシングル化しないの?」と言われたらしく、スタッフ内からの評判が高かった曲。また、この曲はそれぞれのメンバー作曲作品からセレクトした楽曲で構成されたベストアルバム『QUADRINITY 〜MEMBER'S BEST SELECTIONS〜』に収録されたが、作曲者のtetsuyaは「最初からこの曲を入れることを決めていた」と語っている。
    楽曲制作において、メンバー4人のジャム・セッションを通じて曲の完成型が見えた楽曲で、hydeは「セッションをきっかけにポンと出来上がった感じ[4]」、sakuraは「ドラムを叩こうというよりも、ドラムを使って参加してる感じ。4人で会話しているようなプレイになった[13]」と述べている。
    歌詞についてhydeは「自分の葛藤を表現しているんですが、この曲は詞だけで理解してほしい[4]」と述べている。
    2014年に行われたライブ「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2014 at 国立競技場」において、ライブツアー「BIG CITY NIGHTS ROUND AROUND '96」以来約18年ぶりに披露された。
  4. Wind of Gold
    • 作詞: hyde / 作曲: ken / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    ガットギターの音色が印象的な、レゲエテイストを感じるミディアムナンバー。作曲者であるkenが制作したデモ段階では、演奏時間が6分以上ある長大な楽曲であったが、制作過程において構成・展開が大きく変更されている[15]。この曲の印象について、sakuraは「質素で密室的な空気が曲に流れていると感じるかもしれないけど、ある種、大陸的なところもある[16]」「スカとかレゲエがかなりブレンドされていると思う[16]」と述べている。ちなみに、この曲のベース録りにおいてtetsuyaは、スライド奏法を多用している。
    また、作詞者であるhydeは、この曲の歌詞のイメージについて「馬車に揺られているイメージ[17]」と語っている。
    ちなみに本作発売から約3ヶ月後にリリースされたシングル「Blurry Eyes」のカップリングには、この曲のリアレンジバージョンとなる「Wind of Gold (Many Kind of Percussion Mix)」が収録されている。シングルに収録されたバージョンは、本作のテイクからドラム音を抜き、ティンバレスなどの様々なパーカッションの音を取り入れている他、ガットギターのソロパートをフィーチャーしており、本作収録版に比べ華やかさを強調したアレンジが施されている。
    余談だが、2015年に開催したライヴ「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2015 L'ArCASINO」において、1996年開催のライヴ「Kiss me heavenly deadly '96 REVENGE」以来約19年ぶりに「Wind of Gold」が披露されている。この公演では、シングルに収録されたバージョンをベースに、yukihiroのドラムサウンドを足したアレンジバージョンで披露されている。
  5. Blurry Eyes
    • 作詞: hyde / 作曲: tetsu / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    1994年10月に1stシングルの表題曲として発表された楽曲。
    軽やかなギターにリズミカルに駆け巡るベース、テクニカルなドラミングが印象的なロックナンバー。この曲は、作曲を手掛けたtetsuya曰く「L'Arc〜en〜Cielを結成する前にkenとバンドをやっていた頃、「Be destined」「予感」の次にできた曲[18]」だという。L'Arc〜en〜Cielとしてこの曲をリリースするにあたり、hydeが歌メロを作り直すなど、リアレンジ作業が行われている。
    また、この曲のリズムは基本的に4/4拍子だが、Dメロの<Why do you stare at the sky with your blurry eyes?>の部分および、アウトロの部分で6/8拍子に転調されている。この曲のリズムアプローチについて、sakuraは「俺の中にあるイアン・ペイスを曲に落とし込んだ[16]」「途中で変拍子あり、ポリ・リズムありで普通じゃないけど。普通に聴こえつつも、そうではないところがラルクらしいかな[16]」と述べている。
    歌詞のテーマ及びイメージについて、作詞者であるhydeは「主人公は自分ではないです。たぶんあの時、相手はこうだったろうなっていうような内容[17]」「一見楽しそうなんだけど、奥に秘めた不安な気持ちみたいなものを出したかった。例えば別れの予感のような[17]」と語っている。ちなみにhydeは、日本語で歌詞を書くうえで、自身が尊敬する小田和正の歌詞の言葉選びや、抽象的な比喩表現を参考にしたと後年に語っており[19]、参考にして書いた一つの具体例としてこの曲をあげている。
    余談だが、タイトルは、日本語読みにすると「ブラーリーアイズ」(/blɜːri aɪz/)が近い発音であるが、L'Arc〜en〜Cielのメンバーは「ブルーリーアイズ」と呼ぶことが多い。
    また、この曲をライヴで披露する際は、演奏開始の合図を送るように、hydeが曲の冒頭でホイッスルを鳴らすパフォーマンスをすることが定番となっている。そして1Aの歌唱前に、hydeがそのホイッスルを客席に投げ入れることもお約束となっている。さらに、この曲のDメロ終わりで演奏を一旦止め、メンバーのMCを挟んだ構成で披露されることもある。
  6. Inner Core
    • 作詞: hyde / 作曲: sakura / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    sakuraが個人名義で作曲を担当したL'Arc〜en〜Ciel唯一の楽曲。曲中にはhydeによる語りや笑い叫ぶ声が入っている。
    歌詞は「現実に見えている世界は果たして、ここだけなんだろうか?[17]」というsakuraが持っていた詞のイメージを基に、hydeが書いている。歌詞についてhydeは「時間も空間も前後もない宇宙的な世界というイメージ」「sakuraの世界を自分なりに理解して表した詞」と述べている[17]。sakuraも「俺の意志をhydeがうまく歌詞にしてくれた[16]」と述べている。また、作曲を手掛けたsakura曰く「結果的にAメロ、Bメロ、Cメロという法則の無い曲になった[16]」という。
    2007年にはライブイベント「JACK IN THE BOX 2007」において、sakuraが所属事務所のミュージシャンら[20]とこの曲をセッションした。
  7. 眠りによせて
    • 作詞: hyde / 作曲: ken / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    1994年7月に1stビデオシングルの表題曲として発表された楽曲。L'Arc〜en〜Cielのメジャーデビュー曲となっている。
    ボサノヴァテイストのアレンジにメタリックなギターサウンドがのせられた楽曲。作曲者のken曰く、デモ音源を制作した際に「コード進行にはボサノバのリズムも合うんじゃないかって、(デモ制作と)同時進行で浮かんだんです[21]」「ボサノバ風にするか、普通っぽくするか、2通りの考えがあった[21]」という。kenがメンバーにデモ音源を聴かせたうえで、どちらのアレンジ案を採用するかを聞いたところ、他の3人全員がボサノヴァを意識したアレンジにしたいと言ったため、現在のようなアレンジになった経緯がある[21]。また、この曲のサビ及びギターソロパートでは、Aメロからのボサノヴァの雰囲気から一転し、kenがメタリックなサウンドでギターを弾いている。
    前述のようなメンバー間のやり取りがあり、この曲は前作『DUNE』には無かったようなアレンジが施されることになったが、本作発売年に受けた音楽誌の取材でインタビュアーから、これまでの音楽性との違いについての質問を受けた際、hydeは「よくそう言われるんですけど、違和感はなかったですよ[21]」、sakuraは「リズム・パターンとかが違うからそう言われるのかな。曲の流れで何が合うかを考えた時に、ロックというフィールドに捉われずにしてみたぐらいだよ[21]」と答えている。また、同じ問いに対し、kenは「たぶんボサノバとか、そういう音楽が気軽に流れてくる場所にいる人なら自然に聴けるかもしれないけど、最近のロックというフィールドの音楽ばかり聴いている人にはそう取られる(驚かれる)かもしれません[21]」と語っている。
    ちなみに、この曲の仮タイトルは「Kenの曲」というシンプルなものだった。余談だが、インディーズ時代の1993年に開催したライヴツアー「FEEL OF DUNE」などでは、仮タイトルのままでこの曲をライヴで演奏していた。
  8. 風の行方
    • 作詞: hyde / 作曲: ken / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    kenが当初、クリスマスや冬をイメージしてデモを制作していた楽曲[15]。アレンジの過程でイメージが冬から夏に変わっていったといい、kenは「hydeの歌詞を聞いて季節感も変わって、歌詞と曲がうまく重なって聴こえてくるようになって良かった[15]」と述べている。
    hydeは歌詞について「歌詞を読み返して思うのが、この曲が一番リアルな自分が出ているかもしれない[17]」と述べている。ただ、歌詞は難産だったようで「描きたい世界は明確に見えているのに、それを言葉に表すことが難しかった[17]」と振り返っている。この曲について、tetsuyaは「間奏のベースのリフレインが気に入っている曲[22]」、sakuraは「セクションが3つあって、その一つ一つに表情がありますね。裏表があって面白い曲[16]」と述べている。
    シングルの表題曲ではないがミュージック・ビデオが制作され、イメージビデオSiesta 〜Film of Dreams〜』に収録されている。映像はモロッコワルザザートにある世界遺産アイト・ベン・ハッドゥで撮影されており、同所に決まった経緯について、sakuraは「曲に合う風景を考えた時に町並が浮かんできて、こういうのがいいんじゃないかってイメージの写真がモロッコに近かったんですよ。だから曲が優先で決まった[23]」と述べている。
    「In the Air」と同じく2011年に行われたライブ「20th L'Anniversary LIVE」において、ライブ「BIG CITY NIGHTS ROUND AROUND '96」以来約15年ぶりに演奏された。
  9. 瞳に映るもの
    • 作詞: hyde / 作曲: ken / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    ピアノによる弾き語りの曲。曲の最後に崩れ落ちるようにピアノのメロディが変わる。
    この曲はレコーディング合宿の空いた時間にkenがキーボードを何気なく弾いていた時にフレーズが生まれた楽曲[15]
    hydeは「技術的なことよりも、雰囲気を大切に自然に歌った」「自分は公園にいて、そこで歌っているんだって思いながらレコーディングした[17]」と述べている。
    曲の最後にtetsuyaの演奏によるベースの音が入っている。tetsuya曰く「ほんの一瞬、低音が欲しくてフェルナンデスの5弦ベースを使っている[22]」という。ちなみに、sakuraは演奏にもアレンジにも参加しておらず、「傍で身を任せて素直に聴ける。平気で泣ける曲だなぁと思いました[16]」と述べている。
    この曲はイメージ・ビデオが制作されており、その映像はイメージビデオ『Siesta 〜Film of Dreams〜』に収録されている。
    また、この曲の歌詞は前作『DUNE』に収録された「失われた眺め」に繋がっており、時間軸ではこの曲が「失われた眺め」より前の情景となる[17]
  10. White Feathers
    • 作詞: hyde / 作曲: ken / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    インディーズ時代の1993年に行ったライブツアー「Close by DUNE」で先行披露された楽曲。当初未完成曲として前述のツアーで披露され、1993年8月1日日清パワーステーションで行われたライブ「Close by DUNE FINAL」で初めてこのタイトルで演奏された。制作当初は英語詞だった部分が、日本語詞に歌詞が変更されている。
    演奏時間は7分58秒とL'Arc〜en〜Cielの楽曲の中では最も長い[24]。tetsuyaは「時間が8分近くあるけど、長さを感じさせないし、全体の音のバランスはアルバムの中でこの曲が一番好きですね[22]」と述べている。また、この曲ではレスリー・スピーカーを使用してギターのレコーディングしている[15]
    歌詞についてhydeは「自分も鳥のように羽ばたいて飛んでいきたいという気持ちと現実との葛藤がテーマになっている[17]」と述べている。
    1994年2月14日に全国6局ネットで放送された特別番組『ノスタルジーの予感〜第一章〜』内にて、この曲のミュージック・ビデオが放送されている。このMVは、当時はまだメジャーデビュー前に撮影されたもので、コーラスをkenが担当しているなど、曲のアレンジがアルバム収録版と若干異なっている。なお、この映像は現在まで市販化されていない。
    上記番組名を冠したライブツアー「ノスタルジーの予感」ではアンコール前のラストで演奏された。また、2006年に行われたライブ「15th L'Anniversary Live」の演奏曲目リクエスト投票で3位を記録しており、シングル表題曲でない曲の中では最高順位となった。同公演でライブ「Kiss me heavenly deadly '96 REVENGE」以来約10年ぶりに披露された。
    2019年に行われたHYDEのソロアコースティックライブ「HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黒ミサ BIRTHDAY WAKAYAMA」において、サプライズゲストとして出演したKenと披露した。

クレジット

フィジカルアルバムに付属するブックレットより転載。日本語表記が確認出来ない部分に関しては原文ママとする。

  • [Additional Musicians]
    • 富樫春生Keyboards
    • KUNI TANAKA:Saxophone
    • 松武秀樹:Keyboard Operators
    • 迫田到:Keyboard Operators
    • 石川鉄男:Keyboard Operators
    • SHOICHI MOGI:Instrument Technicians
    • TOSHIMASA FUJISHIMA:Instrument Technicians
    • AKIHITO YOKOYAMA:Instrument Technicians
  • [Produce & Mastering]
    • L'Arc〜en〜Ciel:Produced
    • 富樫春生:Co-Produced(except #8), Produced(#9)
    • SYOJI YAMANISHI:Associate Produced
    • 大石征裕:Associate Produced
    • CHIKASHI MOMMA:Artist Management
    • 本田恭之(ex.GRASS VALLEY):Basic Sound Directed
    • KAZUHITO "RANDY" TAKAHASHI:Guitars and Bass Directed
    • HIRO:Drums Tunned
    • JOE RINOIE:Vocal & Chorus Produced
    • 比留間整:Mixed, Recording Engineers
    • 植月隆:Mixed(#9)
    • 赤波江敦夫:Recording Engineers
    • SATORU HIGASHI:Recording Engineers, Assistant Engineers
    • HIROHITO FUJISHIMA:Assistant Engineers
    • MAKIKO TANAKA:Assistant Engineers
    • KATSUMI MORIYA:Assistant Engineers
    • 田中三一:Mastering Engineer

  • [Artwork etc]
    • MIYAKE DESIGN OFFICE:Design
    • YOSUKE KOMATSU:Photo
    • EMI TAKAHASHI:Photo Session Art Direction
    • MICHIKO TAKANO:Hair & Make up
    • 吉田"ハリー"晴彦:A&R
    • JIRO YAMADA:Recording Coordinators
    • MICHIYO KOBAYASHI:Recording Coordinators
    • ATSUSHI WADA:Recording Coordinators
    • RUMI MATSUMOTO:Recording Coordinators
    • TOMOKI OKABE:Management Crews
    • EMIKO MITSUI:Management Crews
    • KAYOKO ATSUMI:Management Crews
    • SHIZUKA YAMADA:Desk
    • MIEKO HOKARI:Desk
    • FUMIE KATO:Desk
    • TAKAKO MURA:Desk
    • 大石征裕:Executive Producer
    • TOSHIO ISHII:Executive Producer
    • AKIYOSHI NISHIOKA:Executive Producer

タイアップ

楽曲 タイアップ 出典
1994年 Blurry Eyes 日本テレビ系アニメ『D・N・A² 〜何処かで失くしたあいつのアイツ〜』オープニングテーマ [25]

収録ベストアルバム

関連項目

脚注

注釈

  1. 2022年5月18日発売のボックス・セット『L'Album Complete Box -Remastered Edition-』に収録。

出典

  1. ゴールドディスク認定 1998年8月 - 日本レコード協会
  2. リットーミュージック社『BASS MAGAZINE SPECIAL FEATURE SERIES/tetsuya L'Arc〜en〜Ciel』2010年
  3. 『ロッキンf』、p.11、立東社、1994年7月号
  4. 『ロッキンf』、p.28、立東社、1994年8月号付録
  5. L'Arc〜en〜Ciel バンド結成20年の歴史を振り返るメンバー4人ソロインタビュー ナタリー
  6. 放送局はテレビ埼玉、千葉テレビ、テレビ神奈川
  7. 放送局はテレビ埼玉、千葉テレビ、テレビ神奈川、テレビ北海道、仙台放送、テレビ愛知、サンテレビ、テレビ新広島、TXN九州
  8. "スマートフォン向け音楽ダウンロードアプリ「レコチョク」にてL'Arc~en~Ciel旧譜一挙増曲!!". Sony Music. 21 June 2011. 2023年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月27日閲覧
  9. "Sony Music楽曲がiTunes Storeで配信開始". ナタリー. 7 November 2012. 2023年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月27日閲覧
  10. "L'Arc-en-Ciel全楽曲&全ミュージックビデオ、世界で一斉サブスク解禁". ナタリー. 11 December 2019. 2023年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月27日閲覧
  11. THE MAINSTREAM(沢田太陽)「ユーミンに次ぐ、ストリーミングでの全アルバム・リスニング達成の邦楽アーティストがラルクになった件」、2019年12月20日
  12. 『ロッキンf』、p.32、立東社、1994年8月号
  13. 『ロッキンf』、p.34、立東社、1994年8月号
  14. セッションメンバーはミヤムック)、明希(シド)、ピエール中野(凛として時雨)、秦野猛行
  15. 『ロッキンf』、p.31、立東社、1994年8月号
  16. 『ロッキンf』、p.35、立東社、1994年8月号
  17. 『ロッキンf』、p.29、立東社、1994年8月号
  18. 『ロッキンf』、p.33、立東社、1994年7月号
  19. HYDEをかたち作った6枚”. RollingStone. 2017年7月11日閲覧。
  20. セッションメンバーはマオ(シド)、ミヤ(ムック)、Shinji(シド)、YUKKE(ムック)
  21. 『FOOL'S MATE』、フールズメイト、p.41、1994年3月
  22. 『ロッキンf』、p.33、立東社、1994年8月号付録
  23. 『FOOL'S MATE』、フールズメイト、p.12、1995年1月
  24. 過去にリリースした楽曲のリミックス、リアレンジバージョンを除く
  25. 【dヒッツ】Blurry Eyes/L'Arc~en~Ciel - dヒッツ
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