ぐんま車両センター

ぐんま車両センター(ぐんましゃりょうセンター)は、群馬県高崎市に所在する東日本旅客鉄道(JR東日本)の車両基地である。同社首都圏本部の管轄。

ぐんま車両センター
基本情報
日本の旗 日本
鉄道事業者 東日本旅客鉄道
帰属組織 首都圏本部
所属略号 都クン、群
最寄駅 上信電鉄南高崎駅
旧称 高崎運転所→高崎車両センタ→高崎車両センター高崎支所
開設 1884年
車両基地概要
敷地面積 36,298 m2
配置両数
蒸気機関車 2両
電気機関車 3両
内燃機関車 12両
気動車 27両
客車 13両
合計 57両
備考 2023年4月1日現在のデータ[1][2]
敷地面積は有価証券報告書の値[3]

沿革

  • 1884年明治17年)5月1日 - 高崎機関庫発足。
  • 1922年大正11年)6月1日 - 高崎検車所発足。
  • 1934年昭和11年)9月1日 - 高崎機関庫は高崎機関区に、高崎検車所は高崎検車区に改称。
  • 1941年(昭和18年)10月1日 - 高崎機関区高操支区、高崎検車区高操派出所を設置。
  • 1945年(昭和20年)
    • 2月1日 - 高崎機関区高操支区が高崎第二機関区として独立。高崎機関区は高崎第一機関区に改称。
    • 10月13日 - 高崎検車区高操派出所が支区となる。
  • 1949年(昭和24年)1月1日 - 高崎第二機関区渋川支区を高崎第一機関区に移管。
  • 1951年(昭和26年)4月1日 - 高崎検車区と高崎車電区が合併し、高崎客車区となる。高崎検車区高操支区は高崎貨車区として独立。
  • 1967年(昭和42年)6月1日 - 高崎第一機関区渋川支区を廃止。
  • 1986年(昭和61年)3月14日 - 高崎客車区、高崎貨車区、高崎車掌区高操支区を統合し、高崎客貨車区となる。旧・高崎客車区は高崎客貨区高崎派出に改称。
  • 1987年(昭和62年)
    • 3月1日 - 高崎客貨車区[4][5][6]と高崎第一機関区が統合、高崎運転所と改称[6]。機関車と客車の保守を受け持つ。高崎第一機関区の乗務員は高崎電車区に、高崎客貨車区の貨車部門は高崎機関区に移管。
    • 4月1日 - 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道に移管。
  • 2004年平成16年)6月1日 - 高崎運転所を高崎車両センターへ改称[7]
  • 2005年(平成17年)12月10日 - 組織変更に伴い新前橋電車区と統合し新前橋に移転、新前橋電車区の検修部門を高崎車両センターに、旧・高崎車両センターを高崎車両センター高崎支所にそれぞれ改称[7]
  • 2022年令和4年)3月12日 - 高崎車両センター高崎支所がぐんま車両センターとして独立[8]

配置車両に記される略号

ぐんま車両センター 所属略号
ぐんま車両センター発足前・旧高崎支所 機関車区名札
  • 気動車・客車 - 「クン」…高崎支社を意味する「(高)」と、ぐんま(群馬)を意味する「クン」から構成される。気動車や客車に標記。ぐんま車両センター発足時に「タカ」から変更された。
  • 機関車 - 「」…ぐんま車両センターを意味する「群」を標記。旧高崎支所を意味する「高」から変更された。同所に所属する秩父鉄道の蒸気機関車C58 363も他の機関車と同じく「高」と標記していたが、こちらは同所発足時に「」へ変更された。

配置車両

2023年4月1日時点の配置車両は以下の通り[1][2]

八高線キハ110系気動車や12系客車などの電車以外の旅客車両の他、事業用のGV-E197系気動車や動態保存されている蒸気機関車をはじめとした各種機関車なども配置されている。

電車 気動車 機関車 客車 合計
0両 27両 17両 13両 57両

気動車

キハ110系(21両)

  • キハ110形200番台9両、キハ111形・キハ112形200番台2両編成6本(12両)が配置されている。
  • 全車、側面の行先表示器が字幕式から3色LED式に変更された。
  • 八高線高麗川 - 倉賀野間)と高崎線(倉賀野 - 高崎間)で運用されている。

GV-E197系(6両)

  • GV-E197形2両編成1本(2両)、GV-E196形4両が配置されている。
  • ディーゼル機関車とホキ800形の置き換えを目的とした事業用車両である。

蒸気機関車

D51形(1両)

C61形(1両)

  • 20号機が在籍する。2011年3月30日より配置。快速「SLぐんま みなかみ」「SLぐんま よこかわ」を中心に運用。

C58形(1両)

  • 秩父鉄道所有の363号機が在籍する。ぐんま車両センター発足後も引き続き同所に管理を委託されているが、区名札の標記は「群」ではなく「秩」となっている。

電気機関車

在籍する3機のうちEF64 1001号機は旧型客車電気暖房用のMG[注 1]を搭載している。

EF64形(2両)

  • 1000番台2両 (1001, 1053) が在籍(1001号機はMG搭載車両、1053はMG未搭載車)。
  • 1001号機は茶色(ぶどう色1号)の車体に白帯を一本巻いた塗色であったが、2017年10月の全般検査の際に国鉄新性能直流電気標準色で出場している。
  • 1001号機、1053号機は主に高崎地区を発着する工事臨時列車や配給列車を中心に運用され、その他イベント列車への充当頻度も高い。
  • この他37号機、1052号機も在籍していたが、両機は2021年11月8日に秋田総合車両センターへ回送[9]され、10日付で廃車となった[10]
  • 廃車前の37号機は2019年の全般検査より国鉄新性能直流電機標準色(青15号クリーム1号)で、2003年4月から2019年2月まで茶色(ぶどう色2号)一色塗装であった。運用は主に高崎地区および甲信方面への工事臨時列車配給列車が中心で、イベント列車への充当頻度は低かった。
  • 1052号機は2019年3月に施工された全般検査において1001号機と同様の塗色となって出場[11]し、その後は1001号機や1053号機と共通で運用されていた。

EF65形(1両)

  • P形の501号機が在籍。
  • 主に両毛線を経由する配給列車・工事臨時列車を中心とする運用。イベント列車への充当頻度も高い。

ディーゼル機関車

すべてSG未搭載機である。

DD51形(2両)

  • 2両 (842, 895) が在籍。
  • 2両 (842, 895) はお召し列車牽引の対応工事を実施済み。またE655系「和(なごみ)」が特別車両E655-1を連結しお召し列車として非電化区間で運行される際の牽引機としての役割も持っている。
  • 八高線・吾妻線における工事臨時列車や清水トンネルにおける停電時における非常用救援機としての役割をになっている。

DE10形(9両)

  • 1500番台9両(1571,1603,1604,1654,1685,1697,1704,1705,1752) が在籍。同所での車両入換、関東地区の業務用列車(工臨や客車入換)、臨時列車を担当する。
  • 当所の他、関東地区各地で任務を担当するため田端運転所幕張車両センター木更津派出水戸運輸区にも常駐する。
  • 1705号機はEF64 1052と同様の茶色(ぶどう色1号)に白帯を配した塗色。
  • 残りの9両は2017年3月4日付で宇都宮運転所から転入[12]
  • 1698号機は2013年2月4日に発生した車両火災により廃車。
  • 1751号機は2022年2月1日付で廃車。

DE11形(1両)

  • 1041号機が在籍。2016年12月21日付で宇都宮運転所から転入した[12]

客車

12系 高崎所属車

12系客車(6両)

  • 波動用の座席車5両(オハ12形3両、スハフ12形2両)と蒸気機関車伴走用の控車オヤ12形1両が配置されている。
  • オハ12 368は2023年3月30日付で廃車された[2]

オハ47形(3両)

  • 3両(オハ47 2246, オハ47 2261, オハ47 2266)が在籍。

スハフ32形(1両)

  • 1両(スハフ32 2357 JR東日本最古の本線運転可能な客車)が在籍。

スハフ42形(2両)

  • 2両(スハフ42 2173, スハフ42 2234)が在籍。
  • 2173は茶色、2234は青色。

オハニ36形(1両)

  • 1両(オハニ36 11)が在籍。

オハ47形、スハフ32形、スハフ42形、オハニ36形は蒸気機関車牽引列車(SL列車)およびイベント列車用で、いわゆる旧型客車である。これらの「旧型客車」は、2011年に下記の整備が行われた[13]

  • 乗降ドアの集中鎖錠装置設置による半自動化(すべてのドアを閉めた状態でスイッチ操作によりロックを掛けられるもの)[注 2]
  • 汚水処理タンク搭載によるトイレの水洗化および便洗面所自体のリニューアル工事を施工(オハ47形全車)。
  • 機関車の平軸受温度監視システムを客車側でモニターするためのジャンパ連結器 (KE100) を左右両栓構造で設置。
  • 蒸気機関車牽引時に蒸気暖房を使用できるようにするための引き通し管の再整備。
  • スハフ32形、スハフ42形、オハニ36形の尾灯はLED方式に変更し、バッテリーの耐久性を増強する機械を各車トイレ室に設置(そのためトイレ室の利用は不可)。
  • バッテリーへの負荷を最小限に抑えるため、客室の室内灯を従来の蛍光管から白熱灯をイメージした電球色LEDに交換[注 3][14]。なお、交換作業は2012年秋から2013年春までの間に実施された。

これらの旧型客車は2019年(令和元年)10月28日を最後に一旦営業運転から離れ[15]、翌2020年(令和2年)4月 - 6月にかけて行われる予定だった群馬デスティネーションキャンペーンに向け、大規模なリニューアル工事が施工された[16]

過去の配置車両

気動車

キハ30・35形気動車

キハ38形気動車

  • 1986年にキハ35形の車体を載せ換えた、車両更新車である。
  • 1996年の八高線八王子 - 高麗川間の電化まで、八高線全線と高崎線(倉賀野 - 高崎間)で運用されていた。キハ30・35形と同時に八高線の運用を終了した。
  • 運用終了後は全車が幕張車両センター木更津派出に転出し、久留里線で運用された。

キハ40形気動車

  • キハ40形のみが所属しており、1989年まで足尾線(現・わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線)で運用されていた。
  • 運用終了後は東北地区のキハ40系運用路線に転出した。

キハ20形気動車

  • キハ20形のみが所属しており、1989年まで足尾線(現・わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線)で運用されていた。
  • 運用終了後は廃車された。

機関車

EF55形(1両)

  • 1号機が配置されていた。
  • 国鉄時代の1986年から2009年まで高崎市社管内の客車列車(観光列車)などの牽引に使用されていた。2015年4月に廃車され鉄道博物館で常設展示されている。準鉄道記念物

EF60形(1両)

  • 19号機が配置されていた。
  • 高崎支社管内の工事用臨時列車を中心の運用。イベント列車への充当頻度も高かった。
  • 2007年にかつて配置されていた12系和式客車「やすらぎ」に準じた塗装から国鉄標準色に変更された。
  • 2010年に2エンド側の前灯シールドビーム2灯から原型の白熱電球1灯に復元され、のちに1エンド側も1灯に復元された。
  • 2019年7月1日に秋田総合車両センターへ回送[17]、3日付で廃車された[18]

客車

12系「くつろぎ」

12系客車

  • 波動用の座席車が現在よりも多く配置されていたほか、お座敷列車のジョイフルトレインやすらぎ」・「くつろぎ」も配置されていた。
  • 座席車のうち6両は、1996年5月に西武鉄道E851形電気機関車さよなら運転実施に伴い、同社に貸し出され、一時的に西武の車籍が入れられた[19]
  • お座敷列車は、車両の老朽化が進み、客車であることから機回しが必要で、運用面で煩雑となり、485系の「やまなみ」「せせらぎ」(2本とも後に「リゾートやまどり」に改造)が代替として導入された。
  • 運用終了後は「くつろぎ」の一部が碓氷峠鉄道文化むらに保存され、「やすらぎ」の一部がわたらせ渓谷鐵道に譲渡された。

マニ50形(1両)

  • 1両(2185)が在籍したが、2019年6月7日付で廃車された。

貨車

チキ6000形

  • レール輸送用長物車
  • 2020年9月30日付で1両(6016)が廃車、2021年9月9日付で2両(6052・p6155)が廃車され、配置がなくなった。

ホキ800形

  • 7両が配置されていたが、2022年7月1日付けで廃車され[2]、配置がなくなった。
  • バラスト輸送・散布用ホッパ車。高崎支社管内の在来線で使う砕石は、吾妻線小野上駅から搬出される関係で、小野上駅常備となっていた。

脚注

注釈

  1. EGともいう。車体側面の助士席側にEG灯と呼ばれる黄色い灯火を装備していることが搭載車の特徴である。
  2. 開閉そのものについては開扉は従来どおり手動で、閉扉のみドアクローザを利用して遠隔操作可能とした。
  3. 特にオハニ36については、元々客室照明が製造当初の白熱灯のままであったため、ガラスグローブを流用し中身のみLED照明に交換した。

出典

  1. ジェー・アール・アール編『JR気動車客車編成表』2022 交通新聞社、2022年、『ぐんま車両センター』 p.47, 48, 50, 55, 56。ISBN 978-4-330-03222-1。
  2. 鉄道ファン編集部「JR旅客会社の車両配置表(別冊付録)」『鉄道ファン』2023年7月号、交友社、2023年7月、ぐんま車両センター pp.4, 14, 15, 34。
  3. 第35期有価証券報告書 41頁 (PDF) - 東日本旅客鉄道
  4. 『鉄道ジャーナル 1983.10』第17巻第10号、鉄道ジャーナル社、1983年10月、71頁。
  5. 「別冊付録 国鉄客車編成表 国鉄機関車・客車配置表」『復刻版国鉄客車ガイド』、交通新聞社、2013年12月15日、49頁。
  6. 『鉄道ジャーナル 1987.7』第21巻第8号、鉄道ジャーナル社、1987年7月、84頁。
  7. ジェー・アール・アル編 (2016) (日本語). JR気動車客車編成表2016 . 交通新聞社. p. 221. ISBN 978-4330690162. http://shop.kotsu.co.jp/shopdetail/000000001876/005/004/X/page1/order(JR現業機関一覧表)
  8. ひらがな表記に! 「ぐんま車両センター」誕生(旧・高崎車両センター高崎支所名称変更)”. 鉄道ホビダス. カルチュア・エンタテインメント株式会社 ネコ・パブリッシング カンパニー (2022年4月4日). 2022年5月1日閲覧。
  9. EF64 37とEF64 1052が配給輸送される(交友社 鉄道ファン railf.jp-2021年11月9日)
  10. 『鉄道ファン』No.731、交友社、2022年、p.164
  11. EF64 1052号機が新塗色に(交友社 鉄道ファン railf.jp-2018年4月9日)
  12. 鉄道ファン編集部「JR旅客会社の車両配置表(別冊付録)」『鉄道ファン 特集:JR車両ファイル』2017年7月号、交友社、2017年4月、高崎車両センター高崎支所 pp.4, 15, 16。
  13. 鉄道ファン2011年7月号p.85参照
  14. 鉄道ピクトリアル2014年4月号
  15. 佐藤正樹 (2019年9月13日). JR東日本の旧型客車がリニューアル…昭和初期をイメージした木目調に 2020年4月”. Response.. 2019年10月24日閲覧。
  16. 東日本旅客鉄道高崎支社 (2019年9月12日). SLぐんま旧型客車 内装リニューアル!”. JR東日本ニュース. 東日本旅客鉄道高崎支社. 2019年10月24日閲覧。
  17. EF60 19が秋田総合車両センターへ”. 鉄道ファン. 交友社 (2019年7月2日). 2019年9月25日閲覧。
  18. 『鉄道ファン』No.703、交友社、2019年、p.156
  19. 『西武の赤い電機』 p.140

参考文献

関連項目

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