連綿

連綿(れんめん)とは、切れ目なく延々と続く様をいう[1]。続け字をする書法を指すこともある[2]。この書体を「連綿体」といい、[2]特に長いものは「連綿草」という[3]

歴史

最初に「連綿」の文字が見られるのは、袁昂(461 - 540)が著した『古今書評』であり、蕭思話が著した書の評価として「走墨連綿」[注 1]という語が使われていた[5][4]。同じような資料に、張懐璀が著した『書断』があり、張芝が著した書について「谷川がそのまま際限なく流れる」という旨の評価がされている[注 2]。漢文の表現にもみられ、謝霊運の『過始寧墅』という詩に、連なる渚の風景について表されている[7]。さらに、李白の「白毫子歌」には小山が連なる景象について表していた[7]。書写としては草書から見られ、「連綿書」、「一筆書」と言われていた[8]。日本では平安時代(9世紀頃)からこの書体が見られた[9][10]空海の書物にも確認されている[11]。さらに、その漢詩文集である性霊集にもその語が確認される[12]。また、天皇皇帝血統が途絶えず続く様を「皇統連綿」という[13][14]

脚注

注釈

  1. 墨の字が連なりながら書きおろされる様を表した表現[4]
  2. ただし、張懐璀の書で直接「連綿」という表現は見られない[6]

出典

  1. 連綿/聯綿とは コトバンク”. 2017年5月14日閲覧。
  2. 連綿体とは 日本大百科全書 コトバンク”. 2017年5月14日閲覧。
  3. 連綿草とは コトバンク”. 2017年5月15日閲覧。
  4. 承春先、81頁
  5. 中田勇次郎編『中国書論大系』第14巻 (清 4) 二玄社 (1986年、75頁)。
  6. 承春先、81‐83頁
  7. 承春先、81‐82頁
  8. 承春先、80頁
  9. 桝矢、34頁
  10. 小倉、176,182頁
  11. 小倉、176頁
  12. 『日本国語大辞典 第二版 第13巻』(小学館、1972年)1113頁
  13. 日本漢字教育振興会 1997, p. 196.
  14. 武藤、8頁

参考文献

  • 日本漢字教育振興会『漢検四字熟語辞典』日本漢字能力検定協会、1997年3月24日。ISBN 978-4-931237-99-5。
  • 武藤直嘉『世界動乱の導火線伊エ戦争の其の後?』 東亜書房、1936年
  • 承春先「漢字草書における「連綿」現象再考」 『学苑』 829号、2009年
  • 桝矢桂一「仮名書き文における連綿の意味」 『大阪薬科大学紀要』1号、2007年
  • 小倉慈司「9~10世紀の仮名の書体―ひらがなを中心として―」(『国立歴史民俗博物館研究報告』第194集,pp.171-185所収,2015年)

関連書籍

関連項目


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