車山

車山(くるまやま)は、長野県茅野市諏訪市の境目に位置する

車山
標高 1,925 m
所在地 長野県茅野市米沢北大塩、諏訪市
位置 北緯36度06分10秒 東経138度11分47秒
山系 霧ヶ峰
車山の位置(日本内)
車山
プロジェクト 山

霧ヶ峰最高峰で、標高は1925m。

概要

車山一帯は車山高原(くるまやまこうげん)と呼ばれており、様々な小動物や草花などを見る事ができるレジャースポットになっていて、公園博物館レストランテニスコートやグラウンドなどの施設も備え付けられている。また、ハンググライダーパラグライダーなどスカイスポーツも行われている[1]

冬季には、車山高原スキー場としてスキーが楽しめる。シーズン前の10月頃にはフランス車のイベント、「フレンチブルーミーティング」が行われることでも有名[2]

山頂の車山神社 祭神は大山祇神建御名方神八坂刀売神

山頂には、車山神社という小さな神社があり、その周りは4本の小さな御柱で囲まれている。諏訪大社御柱祭が開催される年の9月に車山神社でも小宮御柱祭が開催される。これは山麓から山頂へ御柱を曳航する「天空の御柱」である。また、同じく山頂には1999年から稼動している車山気象レーダー観測所が設置されている。

車山気象レーダー観測所

車山高原スキー場にあるリフトが夏季も運行しているので、山頂付近までリフトで登ることができ、簡単に登頂が可能。また、八島ヶ原湿原から蝶々深山(ちょうちょうみやま)、もしくは男女倉山(おめくらやま、ゼブラ山)を経て車山に至るハイキングコースがあるので、高原ハイクを楽しむことができる。なだらかで草原が多いことから、展望がよく、季節によって様々な高山植物が咲く。特に7月ニッコウキスゲは有名。

車山肩のニッコウキスゲ

また、車山高原は「恋人の聖地プロジェクト」指定の地域遺産となっている[3]

伝承

車山には「テンゴン様」(=天狗)にまつわる民話が伝わる。『信州の民話伝説集成 南信編』より、茅野市柏原に伝わる3種類の民話を紹介する[4]

おはん女様(おはんにょさま)
天狗攫いに遭い消息を絶った少女「おはん」。数十年後、彼女の姿が車山で目撃される。祈祷して彼女に問いかけると、彼女はいま雲に乗ってテンゴン様の使いをしているといい、車山へ移動する雲を見かけたら線香を立てて欲しいと告げた。
テンゴン様のねじり木
車山で採りをしている男に、テンゴン様が八ヶ岳へ火事を報せに行くよう依頼をする。テンゴン様が対価として用意した薪の切り口を見ると「ねじり切って」あった。このことから、「テンゴン様のねじり木」は乱暴に作った薪の代名詞となった。
福次荒れ(ふくじあれ)
車山で炭焼きをしていた男「福次」に、煙たいから手を止めるようにとテンゴン様が告げる。意に介さないでいると、たちまち荒天となり、洪水で川を渡ることができなくなったため、福次は大変な大回りをして家に帰った。このことから、山の急な荒天を「福次荒れ」と呼ぶようになった。

川の増水にまつわる天狗伝説は『白樺湖―白樺湖のあゆみ―』にも記載がある。あらすじは以下の通りである[5]

柏原の百姓「茂衛門」は無口ながら働き者であった。長梅雨で増水していた音無川・車沢川を渡った先の車山で馬草刈りをしていると、自分の名を呼ぶ声に気付く。その声は次第に語気が強まり、茂衛門は気味悪がってその場から立ち去った。車沢川に戻ると水位はいつになく増しており、茂衛門が渡り終えたとたんに橋が流されて無くなってしまった。茂衛門は山で耳にした声を「天狗様のお告げ」であると確信し、戦慄しつつ家路についた。柏原には天狗を祀った祠が複数あり、その一つが車沢の上流にあるという。

塩沢地区に伝わる話によると車山の天狗は「いいてんぐ」であったようで、子供らの遊び相手となり、日が暮れると家に帰してやるという[6][7]

豆本『中部地方の炉辺伝説 巻の六 車山の天狗』に収録された物語のあらすじを紹介する[8]

岡谷の若い木こり「仁兵」は弁当に白黒の豆を付けるほどの囲碁好きであった。ある日、その弁当がカラスに盗まれてしまう。車山まで追いかけると、仁兵の弁当で碁を打つ天狗とカラスがいた。仁兵も輪に加わり、勝負に夢中のまま現世では3年の月日が流れた。仁兵は帰らぬ人として墓標が立ち、恋仲にあった「おかね」は隣村に嫁ぐこととなった。婚礼の祭り騒ぎに気付いた仁兵は急いで村に戻るが、仁兵を見た村人はみな驚き震えおののいた。仁兵の姿は天狗そのものになっていたのである。「仁兵天狗」はおかねが乗る駕籠に赤い布を掛けると、山へと飛び去った。安堵した村人が駕籠を開けるとおかねの姿はなく、残されていたのは数粒の白黒の豆だけだった。

ギャラリー

脚注

  1. 世界大百科事典内の車山の言及『車山』 - コトバンク
  2. PR TIMES HP・フレンチブルーミーティング実行委員会
  3. コトバンク・車山高原とは
  4. 宮下和男 2005, pp. 78–81.
  5. 白樺湖編集委員会 1973, pp. 134–135.
  6. 長野県 1989, p. 646.
  7. 車山のてんぐ”. 長野県の民話. 長野県立歴史館. 2022年2月1日閲覧。
  8. 柴田昤之助 1971, pp. 3–30.

参考文献

  • 宮下和男『信州の民話伝説集成 南信編』一草舎出版、2005年。
  • 白樺湖編集委員会『白樺湖―白樺湖のあゆみ―』甲陽書房、1973年。
  • 長野県『長野県史 民俗編 第二巻(三) 南信地方 ことばと伝承』長野県史刊行会、1989年。
  • 柴田昤之助『中部地方の炉辺伝説 巻の六 車山の天狗』みちかた工房、1971年。

外部リンク

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