豊ヶ岡駅

豊ヶ岡駅(とよがおかえき)は、北海道樺戸郡月形町字豊ヶ丘にあった北海道旅客鉄道(JR北海道)札沼線(学園都市線)の廃駅)である。事務管理コードは▲130212[1]

豊ヶ岡駅
駅舎(2017年7月)
とよがおか
Toyogaoka
石狩月形 (4.7 km)
(2.5 km) 札比内
所在地 北海道樺戸郡月形町豊ヶ丘
北緯43度21分59.87秒 東経141度42分50.48秒
所属事業者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
所属路線 札沼線(学園都市線)
キロ程 51.0 km(桑園起点)
電報略号 トヨ
駅構造 地上駅
ホーム 1面1線
開業年月日 1960年昭和35年)9月10日
廃止年月日 2020年令和2年)5月7日[報道 1]
備考 無人駅
路線廃止に伴う廃駅

概要

1960年(昭和35年)9月に開業した、月形村豊ヶ丘地区(現在の月形町字豊ヶ丘)住民の要望により設置された請願駅である[2][3]。当時、駅から北西約5kmの山中にある月形炭鉱が1947年(昭和22年)に本格稼働するなど、駅周辺は発展していたが、炭質の低下や石炭需要の減少などで1963年(昭和38年)に閉山し、その後周辺に暮らす人も少なくなった[新聞 1]。駅は木々に挟まれ、細い砂利道の先に位置していることから、いわゆる「秘境駅」として人気が高まり、鉄道写真の撮影スポットとして知られていた[新聞 1][新聞 2][4]。廃線後も、ホームの保存が計画されている[5]

歴史

1976年の豊ヶ岡駅と周囲約500m範囲。左が札幌方面。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

駅名の由来

付近がゆるい丘陵性の地形で、ほとんどが農耕地であり、「五穀の豊かなみのりの地」であることを願って命名された[9]

駅構造

単式ホーム1面1線(全長40m)を有していた地上駅[新聞 8]石狩当別駅が管理していた無人駅。開業当初はホームのみの駅であった[新聞 8]が、後に月形町により、広さ10ほどでトイレ付の木造待合室が設置され[新聞 3][新聞 4]、当駅の廃止まで使われた。

待合室に掲げられた木製駅名板は、1997年(平成9年)5月に北海道恵庭市に住む鉄道愛好家の男性が手作りし、設置したものである。「邪魔なら捨てられるだろう」とJR北海道には無断であったが、23年使われ続けた。廃止予定を知った男性がJR北海道を通じて月形町役場に連絡し、側面の署名から製作者本人と確認された。月形町役場は盗難を防ぐため最終運行後に取り外し、保存することを決めた[新聞 3][新聞 4]

2020年5月7日の北海道医療大学駅 - 新十津川駅間の廃止にあたって、同日未明にホームに設置されていた駅名標が撤去された[新聞 9]

利用状況

  • 2011 - 2015年(平成23 - 27年)の乗降人員調査(11月の調査日)平均は「1名以下」[報道 5]
  • 2012 - 2016年(平成24 - 28年)の乗車人員(特定の平日の調査日)平均は1.2人[報道 6]
  • 2013 - 2017年(平成25 - 29年)の乗車人員(特定の平日の調査日)平均は1.0人[報道 7]
  • 2014 - 2018年(平成26 - 30年)の乗車人員(特定の平日の調査日)平均は1.2人[報道 8]、乗降人員調査(11月の調査日)平均は「3名以下」[報道 9]
  • 2015 - 2019年(平成27 - 令和元年)の乗車人員(特定の平日の調査日)平均は1.4人[報道 10]

駅周辺

鉄道林に囲まれている。駅につながる道は未舗装の細い道である。駅への案内標識は、およそ1km離れた国道275号上に小さなものがあるだけで、付近の跨線橋からは駅を視認できるが、駅付近に標識は存在しない。

かつては近くに月形炭鉱が存在し、掘り出した石炭は、鉱口から当駅近くにある貯炭場まで運び、札沼線の貨車に載せていた[新聞 1]

廃止後

札沼線の当駅を含む区間の路線廃止に伴い代替バス(月形浦臼線)が設定されたものの、同路線は札沼線の経路と異なり国道275号を直行するため、当駅付近には乗り入れていない[10]

レールが保存されている、当駅を含む石狩月形駅 - 札比内駅間7.2kmの区間を、地元有志によりトロッコとして整備する計画がある[11]

2021年(令和3年)2月に月形町が示した方針では、待合所を撤去し、ホームは保存する計画とされている[5]

隣の駅

北海道旅客鉄道(JR北海道)
札沼線(学園都市線)
石狩月形駅 - 豊ヶ岡駅 - 札比内駅

脚注

出典

  1. 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、220頁。doi:10.11501/1873236https://doi.org/10.11501/18732362022年12月10日閲覧
  2. 札沼線豊ヶ岡駅【50代から始めた鉄道趣味】その84”. 鉄道チャンネル(株式会社エキスプレス). 2019年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月22日閲覧。
  3. 『週刊 JR全駅・全車両基地』、No.10、〈朝日新聞出版〉、2012年10月14日発行、pp.11。
  4. “撮影目的? 線路内に立入、警笛が鳴っても応じず 98分列車を遅らせた男に怒りの声殺到”. エキサイトニュース. (2019年12月2日). オリジナルの2020年4月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200422110317/https://www.excite.co.jp/news/article/Real_Live_50489/ 2020年4月22日閲覧。
  5. 月形町札沼線鉄道跡地活用の基本方針(素案) (PDF). 月形町. 2021年5月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月19日閲覧。
  6. 「日本国有鉄道公示第430号」『官報』、1960年9月2日。
  7. 「通報 ●札沼線豊ヶ丘駅の設置について(営業局)」『鉄道公報日本国有鉄道総裁室文書課、1960年9月2日、3面。
  8. 杉山茂「電化目前の学園都市線と専用気動車のこと」『鉄道ファン』第615号、交友社、2012年7月、27頁。
  9. 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、53頁。ASIN B000J9RBUY
  10. 月形浦臼線 全体路線図”. 月形町. 2020年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月9日閲覧。
  11. 笑顔と笑顔のコンビネーション 札沼線トロッコ化計画”. レールネット北海道. 2020年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月22日閲覧。

報道発表資料

  1. (PDF)『札沼線(北海道医療大学・新十津川間)の鉄道事業廃止届の提出について』(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2018年12月21日。 オリジナルの2018年12月24日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20181224030823/http://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20181221_KO_Sassyoline.pdf2018年12月24日閲覧
  2. (PDF)『札沼線(学園都市線)の電化について』(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2009年9月9日http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2009/090909-2.pdf2009年9月14日閲覧
  3. (PDF)『札沼線(学園都市線)の電化開業時期について』(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2011年10月13日http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2011/111013-3.pdf2011年10月17日閲覧
  4. (PDF)『札沼線(北海道医療大学・新十津川間)最終運行について』(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2020年4月16日。 オリジナルの2020年4月16日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20200416121422/https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20200416_KO_Sassyouline.pdf2020年4月16日閲覧
  5. 極端にご利用の少ない駅(3月26日現在) (PDF). 平成28年度事業運営の最重点事項. 北海道旅客鉄道. p. 6 (2016年3月28日). 2017年12月10日閲覧。
  6. 札沼線(北海道医療大学・新十津川間)」(PDF)『線区データ(当社単独では維持することが困難な線区)』、北海道旅客鉄道株式会社、2017年12月8日http://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/senku/pdf/senku/01.pdf2017年12月10日閲覧
  7. 札沼線(北海道医療大学・新十津川間)」(PDF)『線区データ(当社単独では維持することが困難な線区)(地域交通を持続的に維持するために)』、北海道旅客鉄道株式会社、2018年7月2日。 オリジナルの2017年12月31日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20180704114928/http://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/region/pdf/senku/01.pdf2018年7月4日閲覧
  8. 札沼線(北海道医療大学・新十津川間) (PDF). 線区データ(当社単独では維持することが困難な線区)(地域交通を持続的に維持するために). 北海道旅客鉄道. p. 3 (2019年10月18日). 2019年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月18日閲覧。
  9. 駅別乗車人員 (PDF). 全線区のご利用状況(地域交通を持続的に維持するために). 北海道旅客鉄道. 2020年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月20日閲覧。
  10. 札沼線(北海道医療大学・新十津川間) (PDF). 地域交通を持続的に維持するために > 輸送密度200人未満の線区(「赤色」「茶色」5線区). 北海道旅客鉄道. p. 3 (2020年10月30日). 2020年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月4日閲覧。

新聞記事

  1. “札沼線 波乱の歴史 戦争で休止/炭鉱消え「秘境駅」に 廃止区間、地域支えた85年”. 北海道新聞. (2020年4月18日). オリジナルの2020年4月19日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/FB56J 2020年4月22日閲覧。
  2. “線路で撮影?列車98分遅らす 札沼線・豊ケ岡駅 警笛にも立ち去らず”. 北海道新聞. (2019年12月1日). オリジナルの2019年12月1日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/HldlW 2020年4月25日閲覧。
  3. “JR札沼線豊ヶ岡駅名板の作者判明 恵庭の佐藤さん、保存機に”. 北海道新聞. (2020年4月22日). オリジナルの2020年4月22日時点におけるアーカイブ。. https://archive.vn/NOlj4 2020年4月22日閲覧。
  4. 紙面版:『北海道新聞』朝刊2020年4月23日(第4者海面)JR札沼線廃止区間の「秘境駅」豊ケ岡駅名板 作者は私です 恵庭の伊藤さん「さびしそう」23年前設置。
  5. “札沼線・北海道医療大学-新十津川 20年5月7日に廃止”. 北海道新聞 どうしん電子版. (2018年12月8日). オリジナルの2018年12月17日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/qEpUj 2018年12月8日閲覧。
  6. “札沼線廃止、21日にも届け出 JR、沿線4町と覚書調印”. 北海道新聞 どうしん電子版. (2018年12月21日). オリジナルの2018年12月23日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/4BNpa 2018年12月23日閲覧。
  7. “JR札沼線、北海道医療大学-新十津川間が廃止へ 2020年5月、地元と合意”. 毎日新聞. (2018年12月20日). オリジナルの2018年12月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20181223073106/https://mainichi.jp/articles/20181220/k00/00m/040/147000c 2018年12月23日閲覧。
  8. "交通の不便、ようやく解消 札沼線の豊ヶ岡駅できる". 北海タイムス.(北海タイムス社). (1960年9月13日).
  9. “札沼線静かに廃止 新十津川-道医療大 駅名標を撤去”. 北海道新聞. (2020年5月7日). オリジナルの2020年5月14日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/afj9M 2020年5月14日閲覧。

関連項目

外部リンク

This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.