航空幕僚監部

航空幕僚監部(こうくうばくりょうかんぶ、略称:空幕(くうばく)、英語:Air Staff Office、略称:ASO)は、日本官公庁の一つであり、防衛省特別の機関である。 外国軍の空軍参謀本部に相当する。

日本の旗 日本行政機関
航空幕僚監部
こうくうばくりょうかんぶ
Air Staff Office
航空幕僚監部が設置される防衛省庁舎A棟(左)
航空幕僚監部が設置される防衛省庁舎A棟(左)
役職
航空幕僚長 内倉浩昭
航空幕僚副長 小笠原卓人
組織
上部機関 防衛省
内部部局 総務部
人事教育部
防衛部
運用支援・情報部
装備計画部
独立組織 監理監察官
首席法務官
首席衛生官
概要
所在地 162-8804
東京都新宿区市谷本村町5番1号
設置 1954年昭和29年)7月1日
ウェブサイト
防衛省 [JASDF] 航空自衛隊

概要

航空自衛隊の防衛及び警備に関する計画の立案に関する事務等を掌ることを任務とする、防衛省に置かれる特別の機関である。航空幕僚監部の長は航空幕僚長である。

尚、空幕は戦前の参謀本部軍令部のように所謂軍令のみを担っているのではなく、統合幕僚監部・防衛省内局と合同で、予算・人事・総務・編成・調達等を含めた航空自衛隊を取り巻く防衛行政全般を担っている。その意味では、軍令・軍政双方の機能を持っているのである。かつては、まず航空幕僚監部がいわゆる軍政軍令の双方の事項について計画立案し、さらに防衛省の内部部局がそれらを調整するという二重の手順を経る形になっていた。2000年代に入ってからの防衛省改革により、部隊運用にかかる部分については、統合幕僚監部/統合幕僚長の職掌となり、航空幕僚監部はフォースプロバイダーとしての部隊運営が主となっている。

沿革

  • 1954年(昭和29年)7月1日防衛庁が創設され、航空自衛隊が発足。航空幕僚監部越中島に開庁。監理部、人事部、防衛部、装備部が編成。
  • 1956年(昭和31年)3月25日:航空幕僚監部が霞が関庁舎に移転。
  • 1957年(昭和32年)11月1日:「監察官」を設置。
  • 1958年(昭和33年)5月23日:教育部及び人事部を「人事教育部」に統合、「技術部」を設置。
  • 1960年(昭和35年)1月11日:航空幕僚監部が檜町庁舎に移転。
  • 1978年(昭和53年)4月5日:監理部に「法務課」を設置。
  • 1987年(昭和62年)5月21日:衛生部及び防衛部副部長を廃止、「調査部」及び「首席衛生官」を設置。
  • 1992年(平成04年)7月1日:人事教育部副部長及び人事課を廃止、人事教育部に「人事計画課」及び「補任課」を設置。
  • 2000年(平成12年)5月8日:航空幕僚監部が市ヶ谷庁舎に移転。
  • 2003年(平成15年)3月27日:監理部、監察官、監理課及び通信電子課を廃止、「総務部」、「監理監察官」、「装備体系課」及び「情報通信課」を設置。
  • 2006年(平成18年)3月27日:内部組織の改組。
  1. 調査部を「運用支援・情報部」に改組。
  2. 防衛部運用課を「運用支援・情報部運用支援課」に改組。
  3. 調査部調査課を「運用支援・情報部情報課」に改組。
  4. 技術部技術第1課及び技術第2課を「技術課」に改組。
  5. 総務部法務課を「首席法務官」に改編。
  • 2014年(平成26年)3月26日:装備部整備課および補給課を廃止し、「整備・補給課」に集約(3個課体制から2個課体制へ)[1]
  • 2015年(平成27年)10月1日:防衛装備庁新編に伴い装備部及び技術部を廃止し、「装備計画部」に改組[2]
  • 2021年(令和3年)3月18日:内部組織の改組[3]
  1. 人事教育部人事計画課、援護業務課および教育課の3個課を「人事教育計画課」、「募集・援護課」の2個課に改組。
  2. 防衛部装備体系課、情報通信課を「事業計画第1課」、「事業計画第2課」に改組。
  3. 「科学技術官」を新設。

組織編成

  • 総務部(部長:将補(二))
    • 総務課
      • 広報室
      • 情報公開・個人情報保護室
    • 会計課
  • 人事教育部(部長:将補(一))
    • 人事教育計画課
    • 補任課
    • 厚生課
    • 募集・援護課
  • 防衛部(部長:将補(一))
    • 防衛課
    • 事業計画第1課
    • 事業計画第2課
    • 施設課
  • 運用支援・情報部(部長:将補(二))
    • 運用支援課
    • 情報課
      • 情報保全室
  • 装備計画部(部長:将補(一))
    • 装備課
    • 整備・補給課
  • 科学技術官(1佐)
  • 監理監察官(将補(二))
  • 首席法務官(1佐(一))
  • 首席衛生官(将補(二)・医官)

主要幹部

官職名階級氏名補職発令日前職
航空幕僚長航空幕僚長たる空将内倉浩昭2023年03月30日航空総隊司令官
航空幕僚副長空将小笠原卓人2022年12月23日中部航空方面隊司令官
総務部長空将補船倉慶太2021年12月22日情報本部情報官
人事教育部長空将補倉本昌弘2021年12月22日航空自衛隊第3補給処
防衛部長空将補坂梨弘明2021年12月22日航空自衛隊幹部学校副校長
運用支援・情報部長空将補高石景太郎2023年03月30日第9航空団司令
那覇基地司令
装備計画部長空将補小島隆2022年03月17日航空教育集団司令部幕僚長
科学技術官1等空佐大谷康雄2021年03月18日航空開発実験集団司令部研究開発部長
兼 航空開発実験集団司令部
監理監察官空将補寺﨑隆行2022年12月23日航空総隊司令部防衛部長
首席法務官1等空佐右田竜治2023年03月16日航空教育隊司令
防府南基地司令
首席衛生官空将補桒田成雄2020年12月22日航空医学実験隊司令

航空幕僚長

航空幕僚副長

歴代の航空幕僚副長(空将指定職3号)
氏名在職期間出身校・期前職後職
01佐薙毅1954.7.1 - 1956.7.2海兵50期・
海大32期
 航空幕僚長
02秋山紋次郎1956.7.3 - 1959.7.17陸士37期・
陸大48期
航空幕僚監部防衛部長航空自衛隊幹部学校
03松田武1959.7.18 - 1962.4.6陸士39期・
東京帝国大学[注釈 1]
中部航空方面隊司令航空幕僚長
04小島喜久1962.4.7 - 1963.7.31陸士42期・
陸大52期
中部航空方面隊司令航空総隊司令官
05浦茂1963.8.1 - 1964.4.16陸士44期・
陸大52期
航空幕僚監部防衛部長航空幕僚長
06田中耕二1964.4.17 - 1966.6.30陸士45期・
陸大52期
航空幕僚監部防衛部長中部航空方面隊司令官
07大室孟1966.7.1 - 1967.11.14陸士45期北部航空方面隊司令官航空幕僚長
08矢作十郎1967.11.15 - 1968.11.17陸士47期・
陸大55期
西部航空方面隊司令官術科教育本部長
09緒方景俊1968.11.18 - 1969.4.24陸士46期・
陸大55期
術科教育本部長航空幕僚長
10根來卓美1969.4.25 - 1970.6.30陸士47期・
陸大57期
航空自衛隊幹部学校長専任[注釈 2]航空総隊司令官
11上田泰弘1970.7.1 - 1971.6.30陸士49期・
陸大58期
北部航空方面隊司令官航空幕僚長
12石川貫之1971.7.1 - 1971.8.9陸士50期飛行教育集団司令官航空幕僚長
13白川元春1971.8.10 - 1973.6.30陸士51期・
陸大58期
統合幕僚会議事務局長
統合幕僚学校
航空幕僚長
14鈴木瞭五郎1973.7.1 - 1974.6.30海兵68期北部航空方面隊司令官航空総隊司令官
15平野晃1974.7.1 - 1976.10.14海兵69期北部航空方面隊司令官航空幕僚長
16鉾田太郎1976.10.15 - 1977.10.19陸士55期中部航空方面隊司令官航空自衛隊補給統制処長
17伊中四郎1977.10.20 - 1979.3.15海兵72期航空自衛隊第1術科学校
兼 浜松南基地司令
航空自衛隊補給統制処長
18生田目修1979.3.16 - 1981.2.16陸航士58期西部航空方面隊司令官航空幕僚長
19松井泰夫1981.2.17 - 1982.6.30陸航士59期南西航空混成団司令航空総隊司令官
20森繁弘1982.7.1 - 1983.4.25陸航士60期北部航空方面隊司令官航空幕僚長
21勝屋太郎1983.4.26 - 1984.7.2陸士60期航空自衛隊幹部候補生学校
兼 奈良基地司令
退職
22渡光雄1984.7.2 - 1985.3.15早稲田大学航空幕僚監部装備部長
→1984.3.2航空幕僚監部勤務
航空自衛隊補給本部長
23大村平1985.3.16 - 1986.2.5名幼48期・
東京工業大学
西部航空方面隊司令官航空幕僚長
24谷篤志1986.2.6 - 1987.12.10広島大学航空幕僚監部監察官航空総隊司令官
25鈴木昭雄1987.12.11 - 1989.6.29防大1期北部航空方面隊司令官航空総隊司令官
26庄克彦1989.6.30 - 1991.3.15防大2期西部航空方面隊司令官航空自衛隊補給本部長
27佐川明彦1991.3.16 - 1992.3.15防大3期南西航空混成団司令航空自衛隊補給本部長
28杉山蕃1992.3.16 - 1993.6.30防大4期北部航空方面隊司令官航空総隊司令官
29村木鴻二1993.7.1 - 1996.3.24防大6期南西航空混成団司令航空幕僚長
30平岡裕治1996.3.25 - 1997.12.7防大8期南西航空混成団司令航空幕僚長
31大串康夫1997.12.8 - 1999.7.8防大10期航空開発実験集団司令官航空総隊司令官
32遠竹郁夫1999.7.9 - 2001.3.26防大11期中部航空方面隊司令官航空幕僚長
33小田邦博2001.3.27 - 2002.3.21防大13期南西航空混成団司令航空教育集団司令官
34吉田正2002.3.22 - 2003.3.26防大14期西部航空方面隊司令官航空教育集団司令官
35星野雄三2003.3.27 - 2005.1.11防大15期航空開発実験集団司令官航空教育集団司令官
36小鹿勝見2005.1.12 - 2005.7.27防大16期南西航空混成団司令航空自衛隊補給本部長
37永田久雄2005.7.28 - 2007.3.27防大17期中部航空方面隊司令官航空総隊司令官
39菊川忠継2007.3.28 - 2008.7.31防大18期北部航空方面隊司令官航空教育集団司令官
40岩﨑茂[注釈 3]2008.8.1 - 2009.7.20防大19期西部航空方面隊司令官航空総隊司令官
41長島修照2009.7.21 - 2011.8.5防大20期航空開発実験集団司令官退職
42中島邦祐2011.8.5 - 2013.8.21防大23期西部航空方面隊司令官航空総隊司令官
43福江広明2013.8.22 - 2014.8.4防大25期西部航空方面隊司令官航空支援集団司令官
44森本哲生2014.8.5 - 2015.11.30防大25期北部航空方面隊司令官航空教育集団司令官
45丸茂吉成2015.12.1 - 2017.12.19防大27期西部航空方面隊司令官航空幕僚長
46荒木文博2017.12.20 - 2019.12.19防大28期航空開発実験集団司令官退職
47内倉浩昭2019.12.20 - 2020.8.24防大31期防衛装備庁長官官房装備官航空総隊司令官
48阿部睦晴2020.8.25 - 2022.12.22防大32期航空自衛隊幹部学校長
兼 目黒基地司令
航空自衛隊補給本部長
49小笠原卓人2022.12.23 -防大34期中部航空方面隊司令官

脚注

注釈

  1. 員外学生として東京帝国大学工学部機械工学科に派遣され、工学士号を取得。技術将校としてのキャリアを歩んだ。帝国陸軍における人事上は、陸大卒業者と同等の処遇を受けた。詳細は「陸軍大学校#陸大卒業者と同等に扱われた者」を参照。
  2. 1969年6月30日まで幹部学校長兼補。
  3. 田母神空幕長更迭に伴い2008年10月31日から11月7日まで航空幕僚長職務代理。

出典

関連項目

外部リンク

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