江北駅 (佐賀県)
江北駅(こうほくえき)は、佐賀県杵島郡江北町大字山口にある、九州旅客鉄道(JR九州)の駅である。
江北駅* | |
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北口側から見た駅舎(2022年9月) | |
こうほく Kōhoku | |
所在地 | 佐賀県杵島郡江北町大字山口1381-1 |
所属事業者 | 九州旅客鉄道(JR九州) |
電報略号 |
ウホ ヤマ(改称前) |
駅構造 | 地上駅(橋上駅[1]) |
ホーム | 3面5線[2] |
乗車人員 -統計年度- |
858人/日(降車客含まず) -2021年- |
開業年月日 | 1895年(明治28年)5月5日[3] |
乗入路線 2 路線 | |
所属路線 | ■長崎本線 |
キロ程 | 39.6 km(鳥栖起点) |
所属路線 | ■佐世保線 |
キロ程 | 0.0 km(江北起点) |
◄(牛津) (- km) | |
備考 |
業務委託駅 みどりの窓口 有[2] |
概要
2022年9月23日の西九州新幹線開業にあわせて、肥前山口駅(ひぜんやまぐちえき)から改称した[4][5]。
西九州新幹線武雄温泉駅 - 長崎駅間開業までは、佐賀県中部地域の鉄道交通の要衝だったが、一部の特急「かもめ」は通過していた。当駅の所属線である長崎本線[3]と、当駅を起点とする佐世保線[6]の2路線が乗り入れている。佐世保線の列車は一部の普通列車を除いて長崎本線鳥栖駅方面に直通している。
国鉄時代から長崎駅・佐世保駅発着の特急列車は当駅での連結・切り離しが多かったが、2011年3月12日のダイヤ改正により「かもめ」「みどり(・ハウステンボス)」の連結運転が終了し、当駅で連結・切り離しを行う特急列車はなくなった[注釈 1]。現在は肥前浜駅・早岐駅発着の普通列車1往復の連結・切り離しのみが行われている。2016年3月25日まではこれとは別に、「みどり」1往復が「ハウステンボス」編成の連結・切り離しを行っていたが、翌日のダイヤ改正で当駅での連結・切り離しがなくなり、当駅での特急列車の連結・切り離しシーンは完全に姿を消すことになった。
また、1989年5月1日に名寄本線・天北線が廃止されて以降、最長片道切符の終着駅となっていたが、2022年9月23日の西九州新幹線開業に伴い、その座を新大村駅に譲った。2004年、NHKの番組『列島縦断 鉄道12000キロの旅 〜最長片道切符でゆく42日〜』の放送を記念した、「JR最長片道切符の旅ゴール 肥前山口駅」と書かれた記念碑が駅北側に建てられたが、管理する江北町は2022年の時点で、記念碑の撤去は考えていないとしている[7]。
2002年からワンマン運転が導入された。当初は当駅以西の長崎本線および佐世保線のみが対象だったが、翌年に長崎本線全線に拡大された。ワンマン運転の列車は当駅で精算方法が変わり、鳥栖駅 - 当駅間の長崎本線では車内精算を行わなくなったが、2022年9月より佐賀駅 - 当駅では車内精算が再開された。また、基本的に普通列車の乗務員交代(南福岡運転区・久留米運輸センター・博多運転区と長崎総合乗務センター)もこの駅を境に行われる。ただし、長崎駅や佐世保駅から鳥栖駅まで乗り通す乗務(長崎総合乗務センター所属運転士)、長崎駅から博多駅まで約155 kmを普通列車に乗り通す乗務(南福岡運転区所属運転士など)も存在する。
2022年からは長崎本線長崎方面及び佐世保線から気動車による普通列車が再び当駅まで運転されるようになった。
歴史
年表
- 1895年(明治28年)5月5日:九州鉄道(初代)の山口駅(やまぐちえき)として開業[3]。
- 1898年(明治31年)11月27日:鳥栖駅 - 山口駅 - 早岐駅 - 長崎駅(現・浦上駅)間の九州鉄道長崎線が全通(現在の長崎駅までの延伸は1905年)。
- 1907年(明治40年)7月1日:九州鉄道が国有化される[3]。
- 1909年(明治42年)10月12日:線路名称制定により、長崎本線の駅となる。
- 1913年(大正2年)3月1日:山口県の国鉄山口駅が同年2月20日に開業したことに伴い、同名の駅を避けることから肥前山口駅(ひぜんやまぐちえき)に改称[3][注釈 2]。
- 1930年(昭和5年)
- 1934年(昭和9年)
- 1962年(昭和37年)2月15日:貨物取扱廃止[3]。
- 1976年(昭和51年)6月6日:長崎本線(喜々津駅 - 長与駅 - 浦上駅間を除く)および佐世保線が電化される。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、九州旅客鉄道(JR九州)の駅となる[3]。
- 2003年(平成15年)12月:駅舎橋上化[1]。
- 2022年(令和4年)
- 2024年(令和6年)度:長崎本線佐賀方面および佐世保線でICカード「SUGOCA」の利用が可能となる(予定)[12]。
江北駅への改称
当駅が所在する江北町では、町の知名度を上げるために九州新幹線(西九州ルート)開業時及び町制施行70周年を機に駅名を「江北駅」に変更する計画が持ち上がった[13][14]。2021年3月4日には、駅名改称などを求める町民有志が団体を結成している[15]。一方、歴史や親しみのある駅名を変更することに反対する声もあったが[16]、2021年3月には町議会が駅名を「江北駅」に改称するための関連費を含む一般会計当初予算案を賛成多数で可決し[17][18]、JR九州と駅名改称に関する協定を締結した[17][18]。同年4月、2022年秋の西九州新幹線開業と同日に改称することを正式発表[5]。翌2022年6月、同年9月23日に改称されることが発表された[4]。
駅名改称後、「肥前山口」時代の駅名標は、購入したい鉄道ファンがいると考えた博多駅長の発案で数点が保存され、2023年2月11日に嬉野温泉駅前で開かれたイベントで競売(オークション)にかけられ、文字がかすれた最も古めかしい一枚は25万円で落札された[19]。
駅構造
単式ホーム1面1線と島式ホーム2面4線、合計3面5線のホームを持つ地上駅。JR九州サービスサポートが業務を行う業務委託駅であるが、構内の信号扱いや入換を担当するJR九州本体の運転要員が終日配置されている。1番線と2番線の間に1本、5番線の横に2本留置線があるがこれらには番線は付けられていない。1番線(単式ホーム)・4番線と5番線(島式ホーム)の一部(2両分)は、817系電車の停車を考慮してホームがかさ上げされており、ホームと電車との段差がほとんどない。3本あるホーム、さらに南北双方の出入口にはエレベーターが設置されている(計5基)。
当駅付近の配線はかつて長崎本線が早岐駅経由だった名残で、鳥栖駅方面からの長崎本線と佐世保線の線路がほぼ一直線に連続しており、長崎駅方面への長崎本線の線路は下り側から見て大きく左にカーブする形になっている。
当駅には、機関車を方向転換するためのデルタ線(三角線)が設置されていた。これは、転車台を設置すると佐賀平野の軟弱な地盤では地盤沈下してしまう恐れがあったためである。1970年頃を境に撤去されている。
かつては出入口は北側のみであったが、駅裏だった南側に国道34号江北バイパスが完成し、住宅や店舗が増加した。このため南側からの利便性向上を図るため、2003年12月に南北自由通路に増設する形で橋上駅舎が建設された。みどりの窓口や自動券売機も設置されているが、自動改札機は設置されていない。2005年になり自動放送が導入された。
のりば
当駅は長崎本線と佐世保線の分岐駅であるため始発・終着の列車が多いことから、2番のりばを除いて全てのホームに2方向以上の列車が発着する。配線上では2番のりばを上り本線、4番のりばを下り本線としているため特急列車の発着ホームはおおむね固定されているが、普通列車については特に規則性はないため、駅の時刻表で確認する必要がある。
のりば | 路線 | 方向 | 行先 | 備考 |
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1 - 5 | ■長崎本線 | 下り | 諫早・長崎方面[20] | 2番のりばは使用しない 多良方面は原則として肥前浜駅で乗り換え |
上り | 佐賀・鳥栖方面[20] | 4番のりばは使用しない | ||
■佐世保線 | - | 早岐・佐世保方面[20] | 2番のりばは使用しない 佐世保方面は原則早岐で乗り換え | |
2 | □特急「リレーかもめ」「かささぎ」 「みどり」「ハウステンボス」 |
上り | 博多・吉塚・門司港方面 | |
3・4 | □特急「リレーかもめ」 「みどり」「ハウステンボス」 |
下り | 武雄温泉・長崎・佐世保・ ハウステンボス方面 |
長崎方面は武雄温泉で 新幹線「かもめ」に乗り換え |
□特急「かささぎ」 | 肥前鹿島行き |
発着列車
特急「リレーかもめ」は一部の列車が通過し、「みどり」「みどり(リレーかもめ)」「ハウステンボス(リレーかもめ)」「かささぎ」は全列車が停車する。
かつて運行されていた、本州に直通する優等列車のうち、当駅で分割・併合を行わない列車は多くが通過していた。在来線の電車特急であった時代の「かもめ」「みどり」は当初は分割・併合を行うため全列車が停車していたが、全列車併結運転ではなくなった1985年以降、単独運転の「かもめ」の一部は当駅を通過していた。その後2004年3月のダイヤ改正でいったん全列車が停車するようになったが、併結運転が完全に終了した2011年3月12日以降は再び一部の「かもめ」が通過している。
なお「みどり」に関しては当駅を通過する列車が設定されたことはない。現在も「みどり」と併結運転を行っている「ハウステンボス」も同様であるが、「ハウステンボス」の前身にあたる「オランダ村特急」は通過していた。
駅弁
かつては「常盤軒」が駅弁を販売していたが[22]、現在は撤退している。
2022年現在では駅北口にあるコンテナショップ「エキ・キタ」で営業する「桝屋」が弁当を扱っており[23]、事実上の駅弁となっている。販売する主な弁当は以下の通り[23]。
利用状況
2019年度の1日平均乗車人員は1,163人である[24]。長崎本線と佐世保線の乗り換え利用が主で当駅自体の利用客はそれほど多くなく、特急の利用者も福岡都市圏(博多方面)への利用が大半で、長崎県内に向かう利用(長崎・佐世保方面)は少ない。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
---|---|
2000年 | 1,097 |
2001年 | 1,130 |
2002年 | 1,144 |
2003年 | 1,103 |
2004年 | 1,129 |
2005年 | 1,121 |
2006年 | 1,139 |
2007年 | 1,181 |
2008年 | 1,161 |
2009年 | 1,139 |
2010年 | 1,195 |
2011年 | 1,231 |
2012年 | 1,209 |
2013年 | 1,205 |
2014年 | 1,153 |
2015年 | 1,205 |
2016年 | 1,212 |
2017年 | 1,226 |
2018年 | 1,215 |
2019年 | 1,163 |
駅周辺
駅北側
住宅地などがある。
- コンテナショップ「エキ・キタ」 - 2022年5月4日オープン。飲食店を始めとした9店舗が営業している。
- JR線最長片道切符完乗の記念碑
- 江北町役場
- 山口郵便局
- 身代わり観音像
- 東照寺
- 祐徳バス「江北駅前」停留所
- 佐賀県立杵島商業高等学校(西へ2.5 km)
隣の駅
脚注
注釈
- 「かもめ」と「みどり」の併結運転は1986年から1988年にかけて一時中断していたが、当時は寝台特急「さくら」「あかつき」の長崎駅・佐世保駅発着編成が分割・併合していた。
- 通常の場合、後にできた駅が旧国名を冠する形で命名される(この場合、山口県の山口駅の方が「周防山口駅」と名乗ることとなる)が[8]、当駅と山口駅の場合、当駅が山口村にあったのに対し山口駅が山口町にあったため(自治体名はいずれも当時)、村と町の違いを考慮して既にあった当駅が改称されたといわれている[9]。旧肥前国は現在の佐賀・長崎両県、旧周防国は現在の山口県南東部にあたる。
- 音色は接近メロディと発車メロディとでそれぞれ異なっている。
出典
- 「鉄道記録帳2003年12月」『RAIL FAN』第51巻第3号、鉄道友の会、2004年3月1日、25頁。
- 『週刊 JR全駅・全車両基地』 27号 長崎駅・佐世保駅・大村駅ほか75駅、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2013年2月17日、21頁。
- 停車場変遷大事典、714頁
- (PDF)『2022年9月23日ダイヤ改正 西九州新幹線が開業します 在来線各線区でダイヤを見直します』(プレスリリース)九州旅客鉄道、2022年6月10日、12頁。 オリジナルの2022年6月10日時点におけるアーカイブ 。2022年6月10日閲覧。
- (PDF)『長崎本線 肥前山口駅の駅名改称について』(プレスリリース)佐賀県江北町/九州旅客鉄道、2021年4月21日。 オリジナルの2021年4月21日時点におけるアーカイブ 。2021年4月21日閲覧。
- 停車場変遷大事典、727頁
- “「最長片道切符」33年ぶり終点駅が変更へ 肥前山口駅の記念碑どうなる”. 鉄道プレスネット (2022年6月21日). 2022年9月26日閲覧。
- 「JRに旧国名または地方名の付く駅が多い理由」マイナビニュース(2012年7月21日)2022年11月24日閲覧
- 『鉄道ファン』2023年1月号(通巻741号)、交友社、33頁。
- (PDF)『長崎本線 肥前山口駅ホームの自動放送にメロディーを導入します!』(プレスリリース)九州旅客鉄道、2022年7月1日。 オリジナルの2022年7月1日時点におけるアーカイブ 。2022年7月1日閲覧。
- “「くるり」作曲の江北町のテーマ曲 駅の発車メロディーに”. 佐賀 NEWS WEB. NHK (2022年8月10日). 2022年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月3日閲覧。
- (PDF)『西九州エリアにICカード乗車券SUGOCAを導入します!』(プレスリリース)九州旅客鉄道/佐賀県/長崎県、2022年8月22日。 オリジナルの2022年8月22日時点におけるアーカイブ 。2022年8月22日閲覧。
- “江北町なのに肥前山口駅 改称目指す町長、反対署名も”. 朝日新聞. (2021年2月18日). オリジナルの2021年2月19日時点におけるアーカイブ。 2021年2月19日閲覧。
- “「肥前山口」を「肥前江北」に 町長、駅名改称を検討”. 佐賀新聞. (2019年12月10日). オリジナルの2021年1月20日時点におけるアーカイブ。 2021年3月7日閲覧。
- “肥前山口駅周辺活性化へ 町民有志が団体 江北町、駅名改称求め”. 佐賀新聞. (2021年3月6日). オリジナルの2021年3月7日時点におけるアーカイブ。 2021年3月7日閲覧。
- “「肥前山口」駅名の残して 市民団体が請願書提出 署名6402人分を添え”. 佐賀新聞. (2021年2月23日). オリジナルの2021年3月3日時点におけるアーカイブ。 2021年3月6日閲覧。
- “肥前山口駅の駅名改称へ 来年秋にも「江北駅」へ 江北町議会、新年度予算案可決”. 佐賀新聞. (2021年3月18日). オリジナルの2021年3月18日時点におけるアーカイブ。 2021年3月18日閲覧。
- “「肥前山口」の駅名改称の関連予算可決 江北町議会”. 佐賀新聞. (2021年3月17日). オリジナルの2021年3月17日時点におけるアーカイブ。 2021年3月17日閲覧。
- なくなる駅名 残る思い出 旧「肥前山口」駅名標25万円で落札 西九州新幹線新駅で競売『朝日新聞』夕刊2023年2月17日(社会・総合面) 2023年2月17日閲覧。
- “江北駅 時刻表(JR九州)”. 九州旅客鉄道. 2022年12月10日閲覧。
- “江北駅「宝探し」発車メロディを制作”. スイッチオフィシャルサイト. スイッチ (2022年9月9日). 2022年9月10日閲覧。
- kouhokumachiの投稿(616405138768978) - Facebook
- コンテナショップ「エキ・キタ」が令和4年5月オープンしました!江北町(2022年5月13日)同日閲覧
- 駅別乗車人員(2019年度)
- “「最長片道切符」33年ぶり終点駅が変更へ 肥前山口駅の記念碑どうなる | 鉄道ニュース【鉄道プレスネット】” (2022年6月21日). 2022年9月23日閲覧。
関連項目
- 日本の鉄道駅一覧
- 列島縦断 鉄道12000キロの旅 〜最長片道切符でゆく42日〜 - 同番組で使用された最長片道切符の終着駅が当駅である。
- 稚内駅 - 最長片道切符の始発駅
- 江北駅 - 曖昧さ回避