永遠に美しく…

永遠に美しく…』(とわにうつくしく、原題: Death Becomes Her)は、1992年アメリカ映画ロバート・ゼメキス監督。不老不死の秘薬を飲んだ女性達の騒動を通して、「いつまでも若く美しくありたい」という願望をブラックに描くブラック・コメディ映画。出演はメリル・ストリープブルース・ウィリスゴールディ・ホーン他。

永遠に美しく…
Death Becomes Her
監督 ロバート・ゼメキス
脚本 マーティン・ドノヴァン
デヴィッド・コープ
製作 ロバート・ゼメキス
スティーヴ・スターキー
出演者 メリル・ストリープ
ブルース・ウィリス
ゴールディ・ホーン
音楽 アラン・シルヴェストリ
撮影 ディーン・カンディ
編集 アーサー・シュミット
配給 ユニヴァーサル映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1992年7月31日
日本の旗 1992年12月12日
上映時間 104分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $55,000,000[1](概算)
興行収入 $58,422,650[1] アメリカ合衆国の旗
$149,022,650[1] 世界の旗
配給収入 11億円[2] 日本の旗

ストーリー

かつては人気だったが今では落ち目を迎えた女優・マデリーンのもとに、旧友であるヘレンが訪れ、有名な美容外科医アーネストと婚約したと自慢してくる。ところがアーネストはマデリーンを一目見た時から魅了されており、ヘレンを捨ててマデリーンと結婚してしまう。失意のヘレンは激太りし、7年後には病院送りになる。

さらに7年後、50代となり容姿の衰えに悩むマデリーンはヘレンと再会するが、彼女はまるで若返ったかのように美しくなっていた。対抗心を燃やしたマデリーンはエステ会社の社長の紹介で謎の美女リスルに出会い、大金と引き換えに「永遠に美しくなれる」という秘薬を手に入れる。一息に飲み干したマデリーンに対し、リスルは「決して体を傷つけるな」という謎めいた忠告を残す。若く引き締まった肉体に戻ったマデリーンは嬉々として帰宅する。

一方、マデリーンへの復讐を考えていたヘレンは、死体修復師に落ちぶれマデリーンとの冷め切った結婚生活に疲弊しているアーネストと密かに会い、マデリーンを殺害する計画を持ち掛けていた。アーネストは殺害が露見するのではと不安を抱くが、帰宅したマデリーンからの罵倒に激怒し、彼女を衝動的に階段から突き落としてしまう。だが、彼女は全身が骨折し、首が180度回転した状態でも生きていた。マデリーンの死を知らされたヘレンは遺体を処理するためアーネストのもとへ駆けつけるが、アーネストによってスプレーやペンキで修復されていたマデリーンは猟銃を持ち出し、ヘレンを撃ち殺してしまう。しかし、ヘレンは体に風穴を開けられたにもかかわらず平然とした様子で立ち上がってくる。実はヘレンもリスルの秘薬を飲んでいたのだ。

2人が飲んだその秘薬は「いつまでも年を取らない永遠の美」を与えると同時に、「一度でも死ぬような致命傷を負えば、体自体は死んだ状態となり傷も治らないまま永遠に生き続けなければならなくなる」という恐ろしい効果を持った霊薬だったのである。

お互いに秘薬を飲んだことを知った2人はアーネストを無視して殺し合いを始めるが、お互いが不死の肉体ゆえに決着がつかない。やがて馬鹿馬鹿しくなった2人は争いをやめ、マデリーンはヘレンからの侮辱に対する報復として彼女の恋人を寝取り続けてきたこと、ヘレンは過去に彼女を侮辱したことを謝罪しあう。長年の確執を越えて和解し意気投合した2人は、死体修復師としては確かな腕を持つアーネストにも秘薬を飲ませて不老不死にし、永遠に自分達の肉体の修復係にしようと目論む。

そしてマデリーンとヘレンを見限り2人の元から去ろうとしていたアーネストは彼女らに気絶させられ、そのままリスルの屋敷へと運び込まれた。そこで出会ったリスルからあの秘薬を渡されて永遠の不老不死の素晴らしさを説かれたアーネストは、彼女に囁かれるままに秘薬を飲もうとする。だがその寸前で我に返った彼は、不老不死となればこの先マデリーンとヘレンを除いた周囲の親しい人々が次々に年老いて他界していくのを見届けながら、自分だけが永遠に残されてしまう悪夢のような未来が待っていると悟り、秘薬を飲むのを拒否してリスルに反発。それを受けて秘薬を取り戻そうと来た彼女をかわしてその場から逃げ出した。逃走中、屋根の上に登ったアーネストは滑り落ちて宙吊りとなり命の危機に晒され、それを助けようと駆けつけたマデリーンとヘレンが彼に持っていた秘薬を飲むよう必死で呼び掛ける。しかし、アーネストは改めて利己的な2人に縛られることを拒絶し、持ってきていた秘薬入りのビンも捨ててそのまま落下。だが下のステンドグラスを隔てたプールに落ちたことで幸いにも一命を取り留めたアーネストは車に乗り込み、一目散に屋敷から逃げ去っていった。結局、企みが失敗し言い付けを守れなかったマデリーンとヘレンは、アーネストに施された体の塗装が剥がれ落ち始めたと同時にリスルの元からは追放されたも同然の身となってしまい、今後はずっとお互いの体を修復し合うため2人で共に生きていくしかないという現実を突き付けられることとなった。

37年後、騒動の後に心機一転し、50歳の年で新たに出会った女性と結婚して愛する我が子や孫にも恵まれながら、自ら始めた慈善事業でも多くの人々の記憶に残るような様々な功績を成し遂げたアーネストは老衰で大往生を迎えた。多くの親族や友人達が集まった教会での彼の葬儀の場の片隅にはヘレンとマデリーンの姿があった。かつて愛したアーネストを想い涙ぐんだヘレンは顔の塗料が剥がれたためバッグの中に入っている筈のスプレー缶を探すが見つからず、2人は教会を出ようとぎこちない歩き方で出口へと向かっていく。後ろで牧師が「親しい人々の心の中で生きるという方法で永遠の生命を授かった男」とアーネストへ賞賛を送ったのをくだらないと一蹴しながら、マデリーンとヘレンは教会の外の階段で互いの顔が著しく劣化している様子を再確認する。顔は塗り潰した肌色の塗料がひび割れてボロボロになり、指の一部が欠損の末に紛失していた。2人が階段を降りている途中で軽い口論をする最中、ヘレンは落としていたスプレー缶で足を滑らせ体勢を崩してしまう。何とか踏ん張りながらマデリーンに助けを求めるヘレンだが、マデリーンはその様子を可笑しく見ながら手を貸さない。それに立腹したヘレンがマデリーンの手を掴んで彼女を道連れにし、そのまま2人は異音を響かせながら階段を転げ落ちていく。そして勢いよく石畳に叩きつけられたヘレンとマデリーンの体は無残にもバラバラに砕け散ってしまうが、そんな有様になっても永遠に死ぬことが出来ない2人は生きていた。壊れて散乱している体の側で、転がってきたヘレンの生首がマデリーンの生首に、何事もなかったかのように車を停めた場所を聞くのだった。

登場人物

マデリーン・アシュトン
本作の主人公。元人気女優だが落ち目を迎え、50代となった現在は仕事がない。容姿の衰えを多いに恐れており、14年ぶりに再会したヘレンの美貌をいぶかしがると同時に対抗心を燃やし、エステ会社の社長に教えられたリスルの屋敷を訪ね、秘薬によって若返る。
ヘレンの恋人を奪い続けてきたが、それはかつて彼女に「安っぽい女」と言いふらされ、友人としての扱いも酷かったことへの報復である。アーネストとの略奪婚も報復の1つでしかなく、端から愛情のない結婚だったため今では関係が冷え切っており、若い男と肉体関係を持っている。
ヘレン・シャープ
もう1人の主人公。昔からマデリーンに恋人を寝取られるという仕打ちを受け続けている。婚約者であるアーネストが誘惑に勝てるかどうか試すためマデリーンに会わせた結果、結局寝取られてしまって激しい怒りとストレスから激太りし、7年後には病院送りとなってしまった。カウンセリングを受ける内に前向きな心持を取り戻しつつ、その前向きさをマデリーンへの復讐という方向へ向けていく。
1985年10月26日にリスルの秘薬を飲んでいる。現在は人気作家になっており、新作の出版記念パーティーにマデリーンとアーネストを招待して再会を果たした。
アーネスト・メンヴィル
かつて医師の界隈では有名だった元美容外科医でマデリーンの夫。昔から優柔不断な性格で女性からの誘惑に弱く、愛のない結婚生活の辛さを度々酒でごまかすほどに疲れ切った挙句に勃起不全までも患っている。マデリーンの浪費癖を支えるために働き通した末に死体修復師へと落ちぶれてしまうが、腕利きの外科医だった経験もあってか死体修復の腕は折り紙付きである。ただし、マデリーンとヘレンほどではないが人間性に問題があり、かつて修復を行った遺体の遺族に対して「修復はペンキのスプレーで行っている」と平然と明かしていた。
いがみ合っていたマデリーンとヘレンの争いに終始翻弄された上、その争いを経て和解し意気投合した彼女らに自分達の体の修復をこの先もさせる目的で気絶させられてリスルの館へ運ばれる。そしてリスルから秘薬を渡され、飲んで不老不死になるよう強く勧められるも、最終的にはその秘薬がもたらす永遠の人生が悪夢でしかないと理解して拒否。そのまま逃走を始め、追ってきたマデリーンとヘレンからの要求も改めて拒絶し、渡された秘薬も最後まで飲むことなく捨てて2人から逃亡していった。
その後は50歳で新たに出会って結婚した妻との間に息子2人と娘4人も設けて幸せな家庭を築きながら、慈善家として目覚ましい活動にも取り組んで多くの功績を残し、一連の騒動から逃れた37年後に老衰で悔いなく生涯を終える。その葬儀で牧師から「親友の心や子孫達の人生に宿ることにより、真の意味で永遠に生き続ける男」と賛辞を受けた。
リスル・フォン・ローマン
秘密クラブの主催者である謎めいた美女。本人曰く実年齢は71歳だが、秘薬の力により20代の美貌を保っている。彼女の生い立ちや秘薬を手にするに至った経緯は明かされていない。
自ら秘薬を求めたマデリーンに対しては高額な代金を要求した一方、彼女らに連れてこられたアーネストには無償で秘薬を提供し、強引に飲ませようとしている[3]
秘薬
飲むと肉体が永遠の若さを保ちながら不老不死になる薬。ただし、指先を切った程度の傷であれば即座に癒えるが、死に至る致命傷だと傷は二度と癒えなくなり、肉体は死んだ状態のまま損傷すら関係なく活動が可能になる。また、長期間が経てば体は蝋人形のように変質してしまい、薬を飲んで37年の月日が経ったマデリーンとヘレンは階段から転落し地面に叩きつけられた際に体がおもちゃの如くバラバラに壊れてしまった。
シャガール
エステ店の社長。貪欲に美しさを求めるマデリーンに対し、リスルの屋敷の住所が書かれた紙を手渡した。
アンナ
エステ店の女店員。22歳。マデリーンも認めるピチピチ肌の巨乳。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
ソフト版日本テレビ
マデリーン・アシュトンメリル・ストリープ池田昌子一柳みる
ヘレン・シャープゴールディ・ホーン井上瑤藤田淑子
アーネスト・メンヴィルブルース・ウィリス羽佐間道夫樋浦勉
リスル・フォン・ローマンイザベラ・ロッセリーニ高島雅羅駒塚由衣
シャガールイアン・オギルビー伊藤和晃納谷六朗
アンナミシェル・ジョンソン達依久子井上喜久子
医師シドニー・ポラック青森伸小林清志
牧師ジョン・イングル星野充昭山ノ内雅人
ダコタアダム・ストーク荒川太郎後藤敦
ローズナンシー・フィッシュ定岡小百合
精神医アライーナ・リード・ホール水原リン
アダムス夫人メアリー・エレン・トレイナー磯辺万沙子
メグメグ・ウィットナー速見圭
ノーマンジョナサン・シルヴァーマン小島敏彦
フランクリンウィリアム・フランクファーザー島香裕岩田安生
女医スーザン・ケラーマン森ひろ子
エルビスロン・ステイン佐々木誠二
不明
その他
丸山詠二
伊井篤史
久保田民絵
金野恵子
定岡小百合
渡辺美佐
服部幸子
浅野まゆみ
小野英昭
  • ソフト版:DVDなどに収録。配信にも使用されている。
  • 日本テレビ版:初回放送1996年9月20日『金曜ロードショー

スタッフ

(以下アカデミー視覚効果賞受賞スタッフ)

  • VFXスーパーバイザー:ケン・ローストン
  • VFXアートディレクター:ダグ・チャン
  • CGスーパーバイザー:ダグ・スマイス
  • 特殊メイクデザイン:トム・ウッドラフJr.

エピソード

地上波放送履歴

音源は全て日本テレビ版を使用。

回数 テレビ局 番組名 放送日
初回日本テレビ金曜ロードショー1996年9月20日
2回目1998年9月18日
3回目2000年8月4日
4回目2003年7月18日
5回目テレビ東京午後のロードショー2006年5月25日
6回目2008年3月19日
7回目2015年4月14日[4]

脚注

  1. Death Becomes Her (1992)”. Box Office Mojo. 2009年12月1日閲覧。
  2. 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)524頁
  3. アーネストがマデリーンとヘレンに施した死体修復の技術を絶賛していたことから、2人と同様に死後のメンテナンスが目的だった可能性が高い。
  4. 午後ロード「永遠に美しく…」美しさ100%おぞましさ1000%!若さに執着する女達(外部リンク)

外部リンク

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