ダイゾー

株式会社ダイゾー英語Daizo Corporation)は、日本化学メーカー

株式会社ダイゾー
Daizo Corporation
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称 DC
本社所在地 日本の旗 日本
552-0013
大阪府大阪市港区福崎3丁目1番201号
設立 1936年4月25日[1]
業種 化学
法人番号 9120001030109
事業内容 エアロゾル製品製造販売
特殊潤滑剤の製造販売、
自転車駐輪施設の製造販売、
船舶の造修、ならびに、
鉄鋼構造物製作工事[1]
代表者 相川 武利代表取締役社長
資本金 3億1000万円[1]
売上高 342億7600万円
(2022年07月31日時点)[2]
営業利益 ▲6億6300万円
(2022年07月31日時点)[2]
経常利益 ▲5億8500万円
(2022年07月31日時点)[2]
純利益 ▲10億3800万円
(2022年07月31日時点)[2]
総資産 607億1900万円
(2022年07月31日時点)[2]
従業員数 762人[1]
2009年7月末)
主要株主 株式会社大阪造船所:5万9000株[3]
主要子会社 株式会社銀座クルーズ[4]
東洋オリーブ株式会社[4]
株式会社ディアイスクエア[4]
関係する人物 南尚
南俊二(初代大阪造船所社長)
南景樹(第2代大阪造船所社長)
東郷重興(初代ダイゾー社長)
外部リンク 株式会社ダイゾー

旧社名は株式会社大阪造船所(おおさかぞうせんじょ、英語Osaka Shipbuilding Co.,Ltd.)。かつては造船業、特に大規模造船事業をコア事業として展開していた。

来歴

1936年、「日本の三大億万長者」と称された実業家南俊二により、造船メーカーとして大阪府にて設立された。日本国有鉄道の「大島丸」を建造するなど、造船業を中心とした事業展開で知られていた。その後、東京製鉄大原造船所を併合するなど[5]、事業の拡大を図った。

しかし、昭和の終わりまでに造船業からは完全に撤退し、事業の中心を化学工業に移した。住友商事住友重機械工業と合弁で長崎県大島造船所を設立し[5]、ダイゾーの大規模造船事業はそちらに集約された(船台の大部分は埋め立てられ、一部の工場とクレーンを除き解体され、跡地はコクヨ等に貸し出されている。時折残されたクレーンで阪急電車や新幹線の車体が陸揚げされていることから、鉄道ファンの聖地である)。

造船業の一部、小型船の修繕事業を子会社の㈱大阪造船ドック(木津川)(1985年設立~2019年閉鎖)に残した。

2010年代に、ダイゾーの造船鉄構事業部(実質建造は子会社の株式会社大阪造船ドック(大阪府大阪市))が「往年の夢よ再び」、とタグボートの建造に再度乗り出した[6]。但し、既存の船台は使用廃止で埋め立てられており、一部残っている部分も建造船台として使用不可であった。そこで陸上部の平地で建造し、進水はクレーン船を使用した吊上進水と船の進水としては珍しい進水方式をとっている。クレーン船はチャーターなので船台からの進水に比べて費用が掛かるが、タグボートが吊り上げられる様は壮観である。

往年の新造船建造にたずさわった熟練技師及び熟練工は既におらず、修繕に関わっていた者等を集め建造を開始した。他社で建造された前船のコピーで基礎図面は流用できるとは言え、修繕船と違い慣れぬ新造船の建造で引渡し遅れ等建造にはかなり苦戦し、当初は年間0~1隻の建造であったが、内海曳船の協力もあり、2017年(平成29年)には年間4隻の建造が出来る様になった。建造隻数増及び安定した建造を維持するため、同業他社での設計経験者やCAD経験者を採用し、また、同じ子会社の大島造船の協力を経て軌道に乗ったかにみえたが、約8億円の累積赤字が解消できなかった。2019年06月に大阪造船ドックは造船鉄構事業部に吸収合併された。

2018年9月の台風21号では、福崎、木津川両工場が被災し、ジブクレーン破損や事務所浸水など大きな被害を受けている。

事業内容

現在はエアロゾル製品(日本のエアゾール製品の3本に1本を製造。日本市場の専有率は一番高い。)やモリブデン製品の製造販売事業(潤滑用MoS2粉の販売量は日本市場の70%。パーツクリーナの出荷数量は日本市場で1位)、システム構築・販売・サービス事業、駐輪設備をはじめとする機械器具の設置工事事業などを手がける複合企業となっている[1]帝国データバンクの調査によれば、主な仕入先は三井物産武内プレス工業三谷バルブ、主な販売先はアース製薬花王資生堂とされる[3]。また、TDB産業分類表で「他に分類されない化学工業製品製造業」に分類される日本国内601社のうち、ダイゾーは10位だとされている[3]

近年では、日本銀行国際局局長などを歴任した東郷重興を経営陣に招聘するとともに、M&Aを積極的に推し進めている。オムロン産業能率大学からインテリジェントスクエアを買収し、自社の情報システム事業部と統合し、新たにディアイスクエアを設立した[7][8]。また、飛行船製造業のスカイピアを併合してスカイピア事業部を設立するなど、飛行船の製造・販売分野に進出している[9]

一部の子会社は、重工業メーカーの子会社としてはやや異色な飲食関連事業に携わっている。関東地方で高級レストランを経営する銀座クルーズや、小豆島でのオリーブ栽培に乗り出した東洋オリーブも傘下企業である[4]。オリーブの作付け面積は日本一広い。令和の大嘗祭の香川県の供物の一つとして東洋オリーブの手摘みオリーブの実が献上された。東芝銀座ビルにて銀座クルーズが経営する「GINZA CRUISE CRUISE」は、銀座東京都中央区)を代表するランドマークのひとつでもある。

社名

創業時の社名は「株式会社大阪造船所」であったが、2000年に「株式会社ダイゾー」に社名を変更した[7]。その後、ダイゾーのグループ会社である損害保険事業とリース事業を営む「大造興産株式会社」が、社名を「株式会社大阪造船所」に変更した。なお、新「大阪造船所」(2005年 - )は旧「大阪造船所」(1936年 - 2000年)の親会社である。

沿革

  • 1936年4月 - 株式会社大阪造船所設立
  • 1942年9月 - 東京製鉄株式会社を合併
  • 1945年6月 - 太平洋戦争により大阪工場が空襲に被災し機能停止
  • 1948年6月 - 第2次計画造船の割当てを受ける
  • 1948年12月 - 戦後第一船の引き渡し
  • 1950年5月 - 株式会社大原造船所(現木津川工場)を併合
  • 1973年2月 - 住友重機械工業株式会社、住友商事株式会社と合弁で株式会社大島造船所を設立
  • 2000年8月 -「株式会社大阪造船所」から「株式会社ダイゾー」に社名変更
  • 2005年7月 - 大造興産株式会社が「株式会社大阪造船所」に社名変更
  • 2007年8月 - 情報システム事業部と株式会社インテリジェントスクエアとを経営統合し株式会社ディアイスクエアを設立。
  • 2008年8月 - 株式会社スカイピアを併合。
  • 2019年6月 - 子会社の株式会社大阪造船ドックを造船鉄構事業部に吸収。

事件・事故

神扇スプレー倉庫爆発火災
1999年6月5日埼玉県幸手市大字神扇にあるダイゾーの製品の保管を依頼されていた倉庫会社施設火災が発生し、製品に次々引火して爆発したことから鎮火まで1日以上かかる大火災となった。
茨城県五霞町の大阪造船所東京工場では、アース製薬の委託を受け殺虫剤のスプレー缶を製造していた。大阪造船所では製品の保管を倉庫会社「ダイセーロジスティクス」に依頼しており、同社は埼玉県幸手市の倉庫にそれらの製品を保管していた。ところが、1999年6月5日夜に倉庫内にて火災が発生した。当時、ダイセー・ロジスティクスは倉庫にスプレー缶236万本を保管していたが、それ以外にもポリエチレンガス管1万2500本、PET樹脂996tを保管していた[10]。そのため、火災により保管されていたスプレー缶や樹脂類に引火し爆発、激しく炎上した。周囲100メートルを超える範囲に大量の殺虫剤の缶が火を噴きながら次々と飛来するなど[11]現場は大混乱となり、幸手市消防本部と地元の消防団に加えて久喜地区消防本部、杉戸町消防本部、春日部市消防本部などが消火活動にあたったものの、鎮火までに35時間かかった[10]。死傷者はなかったが規模があまりに甚大だったため、事態を重く見た消防庁エアロゾル製品の保管に注意を促す通達を各都道府県に送付した[11]
下請代金支払遅延等防止法違反事件
2009年3月、ダイゾーが不当に下請け代金を減額するなどしたため、下請代金支払遅延等防止法に抵触するとの指摘がなされた。
中小企業庁の調査によると、ダイゾーは2006年11月2008年9月における下請業者5社への代金のうち、7000万円超を不当に減額していたとされている[12]。この調査結果に基づき、2009年3月、中小企業庁は公正取引委員会に対して措置請求を実施した[12]。公正取引委員会の調査に対し、ダイゾーは「得意先との価格交渉が厳しく利益を確保したかった」[13]と説明した。同年4月21日、公正取引委員会は、ダイゾーに対して下請け代金の支払いと再発防止を勧告した[14]

建造した船

  • 大島丸
  • 大阪造船所時代の建造船は不明
  • 建造再開後はタグボートメインに建造(2019年06月まではダイゾー名義で受注、大阪造船ドックが建造実施)
No. 銘板No. 船主 船名 船種 竣航年月日
1 501 田中海運 第四十三桝栄丸 4,000PS型曳船 平成22年6月 1/H22 1/田中 ZP
2 502 海洋興業 久留里丸 4,400PS型曳船 平成23年3月 1/H23 1/海洋 ZP
3 503 内海曳船 有田丸 4,400PS型曳船兼化学消防船 平成23年9月 2/H23 1/内海 ZP
504 0/H24 - -
4 505 内海曳船 日田丸 4,400PS型高速曳船兼化学消防船 平成25年2月 1/H25 2/内海 ZP
5 506 田中海運 第四十五桝栄丸 4,000PS型曳船 平成26年2月 1/H26 2/田中 ZP
6 507 内海曳船 福田丸 4,400PS型高速曳船兼化学消防船 平成26年9月 2/H26 3/内海 ZP
7 508 日本海事興業 和興丸 4,400PS型引き船兼防災船 平成27年3月 1/H27 1/日海 ZP
8 509 内海曳船 瀬田丸 4,400PS型高速曳船兼化学消防船 平成27年8月 2/H27 4/内海 ZP
9 510 日本海事興業 愛興丸 4,400PS型引き船兼防災船 平成27年12月 3/H27 2/日海 ZP
10 511 沖縄海運 あやはし 4,000馬力型引き船 平成28年3月 1/H28 1/沖縄 ZP
- 512 - - - - 欠番 - -
11 513 昭陽汽船 優陽丸 4,500馬力型引き船 平成28年11月 2/H28 1/昭陽 ZP
12 514 日本栄船 てくのすⅡ 3,600馬力型防災船兼引き船 平成29年3月 1/H29 1/日栄 ZP
13 515 内海曳船 和田丸 4,400馬力型高速引き船兼化学消防船 平成29年7月 2/H29 5/内海 ZP
14 516 日本海事興業 瑞興丸 4,400馬力型引き船兼防災船 平成29年12月 3/H29 3/日海 ZP
15 518 内海曳船 平田丸 4,400馬力型高速引き船兼化学消防船 平成30年4月 1/H30 6/内海 ZP
16 517 勝南海運 第十五勝南丸 4,400馬力型曳船 平成30年7月 2/H30 1/勝南 ZP
17 522 田中海運 第四十六桝栄丸 4,400馬力型曳船 平成30年10月 3/H30 3/田中 ZP
18 519 日本海事興業 明興丸 4,400馬力型曳船 平成30年12月 4/H30 4/日海 ZP
19 520 沖縄海運 海邦丸 油回収補助船兼多目的船 平成31年3月 イレギュラー - FPP
20 521 日東タグ 聖鳳丸 4,000馬力型曳船 令和元年5月7日 1/R01 1/日東 REXP
21 523 内海曳船 天田丸 4,400馬力型引き船兼化学消防船 令和元年6月21日 2/R01 7/内海 ZP
22 524 小樽市 たていわ丸 4,000馬力型ひき船 令和元年9月20日 3/R01 1/小樽 ZP


関連する企業

ディアイスクエア大阪事業所(右)

ダイゾーの傘下の企業、および、ダイゾーの傘下に入ったのち統合された企業である。

在籍した人物

脚注

  1. 「概況」『概況 株式会社ダイゾー 株式会社ダイゾー』ダイゾー。
  2. 株式会社ダイゾー 第95期決算公告
  3. 『帝国データバンク会社年鑑』90版・西日本版、帝国データバンク2009年、486頁。
  4. 「国内関連会社」『国内関連会社 株式会社ダイゾー 株式会社ダイゾー』ダイゾー。
  5. 「大阪造船所として生まれ」『沿革 株式会社ダイゾー 株式会社ダイゾー』ダイゾー。
  6. 「ダイゾー木津川工場」『沿革 造船鉄構事業部 株式会社ダイゾー』ダイゾー。
  7. 「ダイゾーの誕生」『沿革 株式会社ダイゾー 株式会社ダイゾー』ダイゾー。
  8. 「沿革」『会社沿革:会社情報:株式会社ディアイスクエアディアイスクエア
  9. 「事業部沿革」『株式会社ダイゾー スカイピア事業部 事業部沿革』ダイゾースカイピア事業部。
  10. 「エアゾール製品のスプレー缶を大量に保管する倉庫で発生した火災について(概要)」『総務省消防庁消防庁1999年6月28日
  11. 消防庁危険物規制課長「エアゾール製品等の適正な保管について」『総務省消防庁消防庁1999年6月28日
  12. 中小企業庁事業環境部取引課「株式会社ダイゾーに対する下請代金支払遅延防止法の措置請求について」『中小企業庁:株式会社ダイゾーに対する下請代金支払遅延防止法の措置請求について中小企業庁2009年3月31日
  13. 「下請けいじめで公取委が業界大手に勧告――社長は日債銀元頭取」産経デジタル2009年4月21日
  14. 「ダイゾーに下請法違反で勧告/公取委、部品製造で不当減額」『ダイゾーに下請法違反で勧告/公取委、部品製造で不当減額―四国新聞社四国新聞社2009年4月21日

関連項目

外部リンク

This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.