平成30年台風第25号
平成30年台風第25号（へいせい30ねんたいふうだい25ごう、アジア名：Kong-rey）は、2018年10月に朝鮮半島に上陸した台風である。
| 台風第25号（Kong-rey） | |
|---|---|
| カテゴリー5の スーパー・タイフーン （SSHWS） | |
 衛星画像（10月1日） | |
| 発生期間 | 2018年9月29日6時 - 10月6日12時 (UTC) |
| 寿命 | 174時間 |
| 最低気圧 | 900 hPa |
| 最大風速 （日気象庁解析） | 60 m/s |
| 最大風速 （米海軍解析） | 115 knot |
| 被害総額 | 1億7,150万ドル (2018 USD) |
| 上陸地点 | 韓国南部 |
| 死傷者数 | 死者1人・重傷者8人・軽傷者24人（日本） |
| 被害地域 |
 日本・ 韓国 など |
| プロジェクト : 気象と気候／災害 | |
概要
2018年9月23日頃にマーシャル諸島近海で形成した低圧部が一時、天気図から消滅したが、26日頃にカロリン諸島近海で再び低圧部が形成し、28日15時に熱帯低気圧に発達。合同台風警報センター（JTWC）は27日17時30分（協定世界時27日8時30分）に熱帯低気圧形成警報（TCFA）を発し、28日12時（協定世界時28日3時）に熱帯低気圧番号30Wを付番した。30Wは29日15時にマリアナ諸島（北緯12度35分・東経142度35分）で台風となり[1][2]、アジア名「コンレイ（Kong-rey）」と命名された。命名国はカンボジアで、同国の民話に登場する少女の名前に由来する[3]。台風は10月1日18時（フィリピン標準時10月1日17時）に、フィリピン大気地球物理天文局（PAGASA）の監視領域に進入したため、フィリピン名「クイニー（Queenie）」と命名された。台風は急速に発達し、2日3時には猛烈な勢力となり[4]、フィリピンの東の海上を北上した。4日頃には沖縄地方に接近。その後九州地方などに暴風や高波などをもたらしながら東シナ海を北上し、6日には韓国南部に上陸した。その後は日本海に抜け、6日21時に北緯38度9分・東経133度7分の地点で温帯低気圧に変わった[5][6]。台風から変わった温帯低気圧は、津軽海峡付近を通り太平洋に抜けた[7]。
気象状況
台風の接近により、九州地方と山口県では6日を中心に天気が大荒れとなり、暖かく湿った空気が長時間にわたって流れ込んだ、九州の太平洋側の地域では局地的に大雨となった[9]。また、九州北部と東北北部を中心に強風被害があり、東北北部では10月としては史上最大の最大瞬間風速を記録した[10]。
暴風の状況
5日夜遅くから6日昼過ぎにかけて、長崎県・佐賀県・熊本県・福岡県・山口県で、風速25m/s以上の暴風域に入った。 日最大風速は、長崎県長崎市野母崎で6日0時29分に27.0m/s（南東の風）、対馬市厳原で6日08時31分に24.6m/s（南南東の風）、福岡県福岡市中央区で6日9時47分に16.7m/s（南の風）、福岡市博多区で6日11時35分に18.8m/s（南の風）などを観測した[9]。日最大瞬間風速は、対馬市厳原で6日8時28分に39.5m/s（南南東の風）、長崎市野母崎で6日0時41分に34.0m/s（南東の風）、福岡市中央区で6日9時38分に30.9m/s（南の風）、福岡市博多区で6日11時20分に27.3m/s（南の風）などを観測した[9]。
九州地方と山口県では、16の地点で10月の日最大風速の1位の値を更新、32の地点で10月の日最大瞬間風速の1位の値を更新した。また、朝倉市では、日最大風速が6日09時24分に16.1m/s (南の風) となり、 観測史上1位の値を更新した[9]。
影響・被害
この台風により、福岡県で1人が死亡するなど、日本では死者1人・重傷者8人・軽傷者24人の人的被害となった[12]。また住家被害は、一部破損170棟・床下浸水2棟などとなった[12]。
また台風に向かって吹く南風により、暖かな空気が日本周辺へ引き込まれ、各地で季節外れの暑さとなった。新潟県三条市では6日14時40分頃、国内としては10月の史上最高気温となる36.0度を観測[13]。北陸地方は好天で日照時間が延び、太平洋側から流れ込む暖かく湿った空気が山を吹き下ろす際に気温が高まる「フェーン現象」も影響したとみられる[13]。新潟県内では他に、上越市で35.7度、柏崎市で35.1度、長岡市で35.3度などとなり、各地点での10月における最高気温を軒並み更新するに至った[13]。石川県かほく市で33.8度を観測したほか、中国地方や四国地方などでも、30度以上の真夏日になった地点が多かった[13]。
脚注
- “平成30年 台風第25号に関する情報”. 気象庁 (2018年9月29日). 2018年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月29日閲覧。
- “新たに台風25号発生 再び沖縄に接近か”. 日本気象協会 (2018年9月29日). 2018年9月29日閲覧。
- デジタル大辞泉プラス. “コンレイとは”. コトバンク. 2020年6月1日閲覧。
- “台風25号 猛烈な勢力に発達”. 日本気象協会 (2018年10月2日). 2018年10月7日閲覧。
- “平成30年 台風第25号に関する情報 第99号 （位置）”. 気象庁 (2018年10月7日). 2018年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月7日閲覧。
- “台風25号 温帯低気圧になるも暴風に警戒”. 日本気象協会 (2018年10月7日). 2018年10月7日閲覧。
- “台風第25号による被害状況等について(第1報)”. 国土交通省. 2020年6月25日閲覧。
- “2018年台風第25号 KONG-REY 1825 位置表” (PDF). 気象庁. 2018年12月5日閲覧。
- “災害時気象資料（平成30年台風第25号による10月3日から6日にかけての 九州・山口県の気象状況について）”. 2020年6月25日閲覧。
- “2018年 台風第25号 (Kong-rey) : TY1825”. 2020年7月24日閲覧。
- “2．平成30年１月から10月までの主な風水害 | 平成30年版 消防白書 | 総務省消防庁”. www.fdma.go.jp. 2020年6月25日閲覧。
- “デジタル台風：台風201825号 (KONG-REY) - 災害情報”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年6月25日閲覧。
- “季節外れ猛暑、新潟で36度 10月の国内最高気温更新”. 産経新聞 (2018年10月6日). 2018年10月6日閲覧。
外部リンク
- デジタル台風：台風201825号（KONG-REY）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所（北本朝展）
- 韓国のテレビニュース
- KBSニュース9（韓国語）（2018年10月6日）
- MBCニュースデスク（韓国語）（2018年10月6日）
- SBS8ニュース（韓国語）（2018年10月6日）