令和元年台風第17号
令和元年台風第17号(れいわがんねんたいふうだい17ごう、アジア名:Tapah)は、2019年9月に発生し、沖縄に接近した後に日本海を通過して、日本列島に大雨や暴風をもたらした台風である[1]。宮崎県では竜巻が発生した[2]。
台風第17号(Tapah) | |
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カテゴリー1の タイフーン (SSHWS) | |
衛星画像(9月21日) | |
発生期間 | 2019年9月19日0時 - 9月23日0時 (UTC) |
寿命 | 4日間 |
最低気圧 | 970 hPa |
最大風速 (日気象庁解析) | 65 knot |
最大風速 (米海軍解析) | 65 knot |
死傷者数 | 死者2人・重傷者5人・軽傷者64人 |
被害地域 | 日本・ 韓国 |
プロジェクト : 気象と気候/災害 |
概要
9月14日頃に、トロピカル・デプレッションの熱帯低気圧(フィリピン名:Marilyn)から降格した低圧部が、17日9時に沖縄の南で再び熱帯低気圧に発達。フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)はこれを、前述の熱帯低気圧(Marilyn)とは別の新たな熱帯低気圧と解析し、17日18時(フィリピン標準時17日17時)に、フィリピン名「ニンファ(Nimfa)」と命名した。その後、合同台風警報センター(JTWC)は19日12時(協定世界時19日3時)に、熱帯低気圧番号18Wを付番した。18Wは同日15時に、沖縄の南(北緯22度25分・東経128度35分)で台風17号となり[3][4]、アジア名「ターファー(Tapah)」と命名された。命名国はマレーシアで、「ナマズ」を意味する[5]。発生当初から大型であったこの台風は[6]、20日21時に「強い」勢力になり、21日未明には沖縄に接近。渡嘉敷島では同日4時54分に最大瞬間風速47.7m/s(東南東の風)を観測したほか[6]、南城市糸数で46.9m/s、那覇市で41.1m /sの最大瞬間風速を観測した[7]。台風はその後東シナ海を北上。九州地方北部や中国地方を暴風域に巻き込みながら対馬海峡を経て日本海に進み、23日9時に能登半島沖(北緯38度・東経135度)で温帯低気圧に変わった[8]。
影響・被害
経済産業省によると、九州地方で長崎県を中心に一時約11万戸が停電するなど[9][10]、停電戸数は一時68,730戸に達した[11]。
台風が温帯低気圧に変わった23日、台風に向かうように南から暖かい空気が流れ込んだため、北陸地方をはじめ日本海側では朝からすでに30度前後まで気温が上がっている所が多くなった[12]。
台風周辺の湿った空気と前線の影響で、宮崎県宮崎市赤江では 1時間に109.5mmの猛烈な雨を観測。総雨量では、徳島県那賀町木頭で 500mmに達したほか、西日本の太平洋側を中心に大雨となった[13]。
宮崎県延岡市では22日に突風が発生。宮崎地方気象台は23日、気象庁の現地調査の結果、この台風の影響による「竜巻」と認められると発表した。突風の痕跡を南北7〜8kmの範囲で確認し、被害が帯状に広がっていることや、住民の目撃証言、映像などから判断したという[9]。延岡市では、JR延岡駅の鉄塔が倒れる、重さ約1.8トンの貨物コンテナ18個が吹き飛ばされる、店や家の窓ガラスが割れる、車が横転するなどといった被害が伝えられた[14][15]。同市では、1993年や2006年にも、台風による竜巻が発生して大きな被害が出ており、特に2006年の台風13号(西表島に最大瞬間風速69.9m/sの記録的な暴風をもたらした台風で、激甚災害にも指定された。)に伴って発生した竜巻による被害は大きく、九州の統計史上最大級のものといわれている[14]。この台風が原因で発生した竜巻は、竜巻の強さの指標である藤田スケールにおいて上から4番目に強いF2 (推定風速50-69m/s) で、これにより3人が死亡、140に人以上が負傷、家屋の損壊軒数も1,200軒を超えたほか、JR日豊線の電車が脱線するなどの甚大な被害をもたらした[14][15]。
この台風は日本だけでなく、隣国の韓国にも大きな影響を与え、強風による被害が500件以上、負傷者も30人以上に上った[13]。
この台風により、人的被害は死者2人・重傷者5人・軽傷者64人となったほか、住家被害は半壊9棟・一部破損719棟・床上浸水97棟・床下浸水147棟などとなった[16]。
脚注
- “令和元年台風17号の被害状況 | 台風17号の火災保険請求期限”. 火災保険の申請は【一般社団法人 全国建物診断サービス】 (2019年10月22日). 2020年6月24日閲覧。
- “宮﨑・竜巻被害の台風17号、激甚災害指定 佐賀県内の豪雨被害調査中|行政・社会|佐賀新聞ニュース|佐賀新聞LiVE”. 佐賀新聞LiVE. 2020年6月24日閲覧。
- “令和元年 台風第17号に関する情報”. 気象庁 (2019年9月19日). 2019年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月22日閲覧。
- “台風17号「ターファー」発生しました”. 日本気象協会 (2019年9月19日). 2019年9月22日閲覧。
- デジタル大辞泉プラス. “ターファーとは”. コトバンク. 2020年6月12日閲覧。
- “デジタル台風:2019年台風17号(ターファー|TAPAH)”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年6月24日閲覧。
- “大型で強い台風17号、全国で暴風が吹き荒れる風台風コースに(杉江勇次) - Yahoo!ニュース”. Yahoo!ニュース 個人. 2020年6月24日閲覧。
- “台風17号 温帯低気圧に 更に広範囲で暴風”. 日本気象協会 (2019年9月23日). 2019年9月23日閲覧。
- “九州を襲った台風17号 竜巻・停電「トイレも流せぬ」:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年6月24日閲覧。
- “台風17号 長崎県中心に約11万戸余り停電 九州電力”. 2019年9月23日閲覧。
- “令和元年台風第17号による被害・対応状況について(9月23日(月曜日)6時30分時点) (METI/経済産業省)”. www.meti.go.jp. 2020年6月24日閲覧。
- “台風17号の影響は全国に 荒天に加え猛暑にも注意(日直予報士)”. tenki.jp. 2020年6月24日閲覧。
- “令和元年台風17号の被害状況 | 台風17号の火災保険請求期限”. 火災保険の申請は【一般社団法人 全国建物診断サービス】 (2019年10月22日). 2020年6月24日閲覧。
- “台風17号で竜巻発生か 宮崎県延岡市は2006年にも甚大な竜巻被害(森さやか) - Yahoo!ニュース”. Yahoo!ニュース 個人. 2020年6月24日閲覧。
- 洋洋, 青山. “台風の竜巻は北東側(2019年台風17号)”. 色と形で気象予報士!. 2020年6月24日閲覧。
- “デジタル台風:台風201917号 (TAPAH) - 災害情報”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年6月24日閲覧。
外部リンク
- デジタル台風:台風201917号(TAPAH)- 総合情報(気圧・経路図) - 国立情報学研究所(北本朝展)
- “令和元年(2019年)9月22日宮崎県延岡市で発生した竜巻に関する情報”. 国土地理院. 2022年5月17日閲覧。