三菱・シャリオ
シャリオ(CHARIOT)は、1983年から2003年まで三菱自動車工業が製造・販売していたミニバンである。
三菱・シャリオ | |
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2代目 リゾートランナーMS(1997年モデル) | |
概要 | |
別名 |
三菱・ニンバス(オーストラリア) 三菱・スペースバン(フィンランド) 三菱・エキスポ(北米) |
製造国 |
日本(岡崎市、名古屋工場) ニュージーランド(ポリルア) 中国(珠海市) 中国(広東省湛江市) 中国(福州市) |
販売期間 | 1983年-2006年 |
ボディ | |
ボディタイプ | 5ドアミニバン |
駆動方式 | FF/4WD |
系譜 | |
先代 | 三菱・トレディア(ベース車) |
後継 |
三菱・シャリオグランディス ↓ 三菱・グランディス |
概要
1977年に開発を開始、1979年にはシャリオのコンセプトカーとなる「SSW」(スーパースペースワゴン)が第23回東京モーターショーに参考出品された[1][2]。日産・プレーリー、クライスラー・ボイジャーと並び、ミニバンの先駆けといわれるクルマである[3]。
1997年以前のモデルがシャリオ、それ以降2003年までのモデルがシャリオ グランディス(CHARIOT GRANDIS)である。後継車はグランディスとなり、シャリオのネームが消失した。
初代 D00系(1983年-1991年)
三菱・シャリオ(初代) D0型 | |
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概要 | |
別名 |
三菱・ニンバス(オーストラリア) 三菱・スペースバン(フィンランド) |
製造国 |
日本(岡崎市、名古屋工場) ニュージーランド(ポリルア) |
販売期間 | 1983年2月 - 1991年 |
ボディ | |
乗車定員 | 7名 |
ボディタイプ | 5ドアミニバン |
駆動方式 | 前輪駆動/四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
1,597 cc G32B 直列4気筒 (D02W) 1,755 cc G37B 直列4気筒 (D05W) 1,795 cc G62B 直列4気筒 (D03W) 1,997 cc G63B 直列4気筒 (D04W/D08W) 1,795 cc D65T 直列4気筒 ターボディーゼル (D09W) |
変速機 |
ELC3速AT 5速MT 4速スーパーシフト(4速 + Hi-Lo副変速機(2速) = 8速) |
サスペンション | |
前:マクファーソンストラット 後:トレーリングアーム | |
車両寸法 | |
ホイールベース |
FF:2,625 mm 4WD:2,630 mm |
全長 | 4,295-4,485 mm |
全幅 | 1,645 mm |
全高 |
FF:1,525 mm 4WD:1,580 mm |
車両重量 | 1,133 kg |
その他 | |
ベース車 | 三菱・トレディア |
生産台数 | 29万1851台 |
初代は1983年2月23日に発売され、CMキャラクターにはディズニーの人気キャラクターの一つであるミッキー・マウスが起用された。車体寸法はSSWより一回り大きくなっている[1]。2ボックスボディに3列シートという、当時は類を見ないタイプのクルマであったため、前年(1982年)に発売されたプレーリーや、本車と同年に北米で発売されたクライスラー・ボイジャーなどと並んで「ミニバンの嚆矢」と呼ばれている[3]。
本車はトレディア(初代ミラージュの姉妹車)をベースに開発された[注釈 1]。その後の日本製ミニバンよりは小型で、車格としては2000年に登場したディオンに近い。駆動方式は発売当初はFFのみであったが、1984年(昭和59年)6月にパートタイム4WD、同年10月にディーゼルターボを追加[1]、さらに4WDはビスカスカップリング式フルタイム4WDとなった。
また、4WDが発売された1984年にファラオラリーへ参戦、ガソリン4WD無改造クラスにてクラス優勝した。
初代モデルはRVブームやバブル景気と相まって、8年にわたって販売される長寿モデルとなった。
グレード構成
最終的なグレードとしては、2.0 L 4WDのMT、MF、ME、1.8L FFのMX、MH、Thanks(サンクス:当初は特別仕様車で登場。後にカタログモデルに格上げ)、1.8 L FFターボディーゼルのMFとなっている。なお、1983年 - 1987年には、1.8 Lガソリンターボ(G62B型)搭載のMR[注釈 2]も存在した。
また、特別仕様車に「ロスアンデス」(スポーツ用品企業)との共同開発という触れ込みで販売、MTのバリエーションで冬季用ウインタースペシャル)や「ビーチボーイ」(MTのバリエーションで夏季用を意識したモデル)もあった。
年表
- 1983年7月 - D03Wにターボ車追加発売
- 1984年5月 - D02W・D03W:マイナーチェンジ('85M)
- 1984年6月 - ガソリン2.0 Lにプッシュボタン式パートタイム4WDを設定[1](フルライン4WD化の一貫)
- 1984年10月 - 1.8 Lディーゼルターボエンジン(4D65T)を設定[1](フルラインターボ化の一貫)
- 1984年11月 - スキーレジャー向け特別仕様車の「ロスアンデス」を発売[1]
- 1985年9月 - D02W・D03W・D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('86M)
- 1986年9月 - D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('87M)/全車ドアミラー化&サイクロンエンジン搭載
- 1987年8月 - D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('88M)/大型バンパーのデザイン変更
- 1988年10月 - D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('89M)/フロントグリルの統一化
- 1989年8月 - D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('90M)
2代目 N30/N40系(1991年-1997年)
三菱・シャリオ(2代目) N30/N40型 | |
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前期型 フロント | |
前期型 リア | |
後期型 フロント | |
概要 | |
別名 | 三菱・エキスポ(北米) |
製造国 |
日本(岡崎市、名古屋工場) ニュージーランド(ポリルア) 中国(珠海市) 中国(広東省湛江市) |
販売期間 | 1991年5月 - 1997年 |
ボディ | |
乗車定員 | 7名 |
ボディタイプ | 5ドアミニバン |
駆動方式 | 前輪駆動/四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
1,800 cc 4G93 直列4気筒 (中国) 1,997 cc 4G63 直列4気筒 2,351 cc 4G64 直列4気筒 |
変速機 |
5速MT 4速AT |
サスペンション | |
前:マクファーソンストラット 後:セミトレーリングアーム | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,720 mm |
全長 |
4,515 mm(1992-94) 4,555 mm(1995-97) |
全幅 | 1,695 mm |
全高 |
1,580 mm(1992-94) 1,670 mm(1995-97) |
その他 | |
生産台数 | 29万9313台 |
2代目は1991年5月23日に発売された。 駆動方式はFF・ビスカスカップリング式フルタイム4WDとなっている。先行して発売された、初代RVRとはシャーシや主だったコンポーネンツを共有している姉妹車でもある。トランスミッションは5速MTとフロア4速AT(2.4 Lガソリンはフロア4速ATのみ)が用意され、副変速機は廃止された。1994年9月には大幅なマイナーチェンジが施されフォグランプがフロントバンパーに内蔵されるなど外装に変更を施した後期モデルに移行している。
さらには1995年5月、4G63インタークーラーターボ(5速MT・230PS/4速AT・220PS)+4WDを搭載したリゾートランナーGTが追加された。本車は当時「世界最速の7人乗り」や「シャリオエボリューション」とも言われるほどであり、また1987年まで初代シャリオに存在していた1.8MRターボ以来のミニバンのターボ車でもあった。
2代目は多彩なシートアレンジとルーフバリエーションが特徴であり、シートはアレンジ次第で12通りの組み合わせが楽しめ、ルーフは通常のものに加え「クリスタルライトルーフ仕様」(ハイルーフな上、前席頭上にチルトアップガラスルーフ、2列目頭上にスライドガラスルーフ、3列目頭上にはめ込みガラス)や、「リゾートランナーシリーズ」(ハイルーフ+前席頭上にチルトアップガラスルーフ)、特装車として車椅子仕様車 [シャリオ(車椅子仕様) E-N33W(改)](1994年にグッドデザイン賞を受賞)が存在していた。
また、特別仕様車として「ロスアンデス」(冬季特別仕様)や「ロード」(初代RVRスポーツギア用のオーバーフェンダー、背面タイヤ、リアバンパーを追加した3ナンバー仕様)、さらにモデル末期には「タウンクルーザー」(MXをベースにエアロパーツを装備)なども存在していた。
年表
- 1991年5月 - 発売。
- 1993年5月 - クリスタルライトルーフ追加。
- 1994年9月 - マイナーチェンジ。後期型に移行。
- 1995年5月 - リゾートランナーGTを追加。
- 1996年5月 - リゾートランナー MSやリゾートランナー MX、リゾートランナーのノンターボシリーズ追加。リゾートランナーGTは、メーターパネルをホワイトアウトに変更。3列目シートを廃したリゾートランナーGT-Vが登場。全車に運転席エアバッグを標準装備し、キーレスエントリーを別体式から一体式に変更。CM出演者はシェイプUPガールズ。
- 1997年2月 安全装備(エアバッグとABS)を標準装備としたリゾートランナーMXフィエロと2.0MXフィエロが追加。
エンジン遍歴
- 1991年5月 - 2.0Lガソリン SOHC8バルブ
- 1992年6月 - 2.0Lガソリン SOHC16バルブ(105PS→135PS)、2.0Lディーゼルターボ(88PS)
- 1993年5月 - 2.0Lガソリン SOHC16バルブ(135PS)、2.4Lガソリン SOHC16バルブ(145PS)、2.0Lディーゼルターボ(88PS)
- 1994年9月 - 2.0Lガソリン SOHC16バルブ(135PS)、2.4Lガソリン SOHC16バルブ(145PS)、2.0Lディーゼルインタークーラーターボ(94PS)
- 1995年5月 - 2.0Lガソリン SOHC16バルブ(135PS)、2.4Lガソリン SOHC16バルブ(145PS)、2.0LガソリンDOHC16バルブインタークーラーターボ(5速MT・230PS/4速AT・220PS)、2.0Lディーゼルターボ(94PS)
3代目 N80/N90系「シャリオグランディス」(1997年-2003年)
三菱・シャリオグランディス (3代目) N80/N90型 | |
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前期型 フロント | |
前期型 リア | |
概要 | |
別名 |
三菱・ニンバス(豪州) 三菱・スペースワゴン(欧州・中国) |
製造国 |
日本(岡崎市、名古屋工場) 中国(福州市) |
販売期間 |
1997年10月 - 2003年5月 2004年 – 2006年(中国) ※いずれも生産終了年月日 |
ボディ | |
乗車定員 | 6/7名 |
ボディタイプ | 5ドアミニバン |
駆動方式 | 前輪駆動/四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
2.0 L 4G63 直列4気筒 2.4 L 4G64 直列4気筒 2.4 L 4G69 直列4気筒(中国) 3.0 L 6G72 V型6気筒 |
変速機 | 4速AT |
サスペンション | |
前:マクファーソンストラット 後:セミトレーリングアーム | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,780 mm |
全長 | 4,650 mm |
全幅 |
1,775 mm(1998-2000) 1,780 mm(2001-03) |
全高 | 1,650 mm |
車両重量 | 1,570-1,720 kg |
その他 | |
生産台数 | 23万9186台 |
系譜 | |
後継 | 三菱・グランディス |
3代目は1997年10月17日に発売。本モデルから、シャリオの名にグランディスのサブネームが追加された。 競合車を意識したため先代よりもボディは拡大され、全車3ナンバーボディとなった。
先代で特徴的だったシートアレンジの多様さは引き継がれており、6人乗りでは3列目を取り外し可能とするなど、使い勝手が考慮されたものとなっている。また当時クラス初のインパネシフトを採用。グレードは最上級から「ROYAL」、「SUPEREXCEED」、「EXCEED」、「TOURING」、「MX-SELECT」、「MX」、最廉価「MX-B」(受注生産)の7グレード構成。「ROYAL」のみ本革シートを装備。シートは6人乗り(セカンドシートがキャプテンシート)、7人乗り(セカンドシートがベンチシート)を選択できた(ツーリングは7人乗りのみ)。ミッションは4速ATのみ。駆動方式は「FF」、「フルタイム4WD」の2系統となっている。また、8ナンバー登録の「NEST basic」は助手席回転シートが設けてある。ベースは「MXセレクト」。
デビュー当初は全車に2.4L DOHC16バルブ・GDIガソリンエンジンを搭載、追ってディアマンテと同じ3.0L V6 DOHC24バルブ・GDIガソリンエンジンを搭載し「ロイヤル」シリーズも追加されるが、後に3.0Lは廃止される。
GDIエンジンには電子制御スロットル(DBW)が採用されているが、アクセルポジションセンサーが一般的なアクセルペダルに隣接する形ではなく、エンジンルーム内に設置されている為、アクセルペダルとアクセルポジションセンサーの間にワイヤーが介在する変則的な機構となっている(後年RB1/2型オデッセイアブソルートも同様のDBWとなっている)。
1998年3月にはおよそ1万1,000台の売り上げを記録し、大ヒットとなった。
2003年5月にグランディスが発売されたため、生産中止。これにより20年間続いた「シャリオ」の名前が消滅した。
歴史
- 1997年10月17日 - 発売。初期グレードは「スーパーエクシード」、「エクシード」、「MXセレクト」、「MX」、「MX-B」(最廉価受注生産グレード)の5つ。CM出演者は飯島直子・木村東吉。キャッチコピーは「その頼もしさ、BIG DADDY GRANDIS」「自分に楽しく、家族に優しい」「父ちゃんカッコイイ」。
- 1998年3月 - 1万1000台達成。
- 1999年 - メッキドアミラー、メッキドアハンドルを装備した限定仕様車「SUPEREXCEEDリミテッド」、「EXCEEDサンルーフリミテッド」を発売。
- 1999年12月 - 上級グレードのロイヤルシリーズを発売。「ロイヤル」、「ロイヤルエクシード」の2つ。
- 2000年1月 - 「ツーリング」追加。
- 2000年5月 - マイナーチェンジ。G-LEV化される。エクステリアのリア部分では、リアガーニッシュにナンバープレートホルダーとなる樹脂パーツが設置された。「MITSUBISHI」のエンブレムは、スリーダイヤに変更、「GDI」のロゴは右から左に。「CHARIOT」のロゴはナンバープレート上から、樹脂パーツの右側に変更。また、フェンダーのコーナーマーカー下にあったGDIエンブレムも無くなった。「SUPEREXCEED」、「EXCEED」にHID(ディスチャージヘッドランプ)を追加。
- 2000年7月 - ロイヤルシリーズに「ロイヤルツーリング」追加。
- 2001年11月 - マイナーチェンジ。エクステリアは2.4Lモデルのフロントグリルが一新され、ボディサイドにあるターンシグナルランプのレンズがクリアに変更された。また、カーナビゲーションの記録メディアがCD-ROMからDVD-ROMに切り替えられた。
- 2002年5月 - ロイヤルシリーズの生産終了。
- 2003年5月 - 2.4Lモデルの生産終了。
- 前期型 ツーリング フロント
- 前期型 ツーリング リア
- ニンバス(豪州仕様)
- スペースワゴン フロント(欧州仕様)
- スペースワゴン リア(欧州仕様)
生産・販売台数
年 | 製造 | 販売 | |
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Domestic | Export | ||
1995 | 41,943 | figures unavailable | |
1996 | 33,648 | ||
1997 | 59,448 | ||
1998 | 88,251 | ||
1999 | 63,010 | ||
2000 | 26,734 | 22,821 | 10,092 |
2001 | 15,907 | 10,472 | 7,018 |
2002 | 10,595 | 3,724 | 7,310 |
2003 | 4,043 | 49 | 4,536 |
2004 | 138 | - | 208 |
(Sources: Fact & Figures 2000, Fact & Figures 2005, Mitsubishi Motors website)
海外での販売
北米市場へは初代、2代目が輸出されエキスポとして販売されたほか、クライスラーのダッジ部門よりコルトビスタ、イーグル部門よりビスタワゴンとしてOEM供給されていた。その他の地域では販売先によりスペースワゴン・Nimbus等がある。
また、2代目は韓国の現代自動車からライセンス生産車「サンタモ」が発売(生産はグループ企業の現代精工(現:ヒュンダイモービス))されており、初代RVRやシャリオ・ロード(特別仕様車)と同様の背面タイヤを装備していた「サンタモプラス」もあった。起亜自動車の「カースター/ジョイス」のベース車両にもなっている(当初はサンタモのビッグマイナーチェンジ版として開発されていたが、現代自動車が起亜自動車を買収した関係で起亜ブランドで販売された)。
3代目は台湾の中華汽車が『サブリン(SAVRIN)』(マイナーチェンジ後はスポーツグレードのみ「サブリンインスパイア」に変更)、中国の東南汽車が『菱紳:ソベラン(SOVERAN)』の名で現地生産・販売していた。サブリンの中後期モデル(2004年~2014年)は元の車両が分からないほど大幅にデザインが変更されていた。
- エキスポ
- キア・ジョイス
- ヒュンダイ・サンタモプラス
- サブリンインスパイア 後期型
- サブリンインスパイア 後期型
車名の由来
脚注
注釈
出典
- 三菱自動車. “DETAIL 1983 シャリオ”. 歴代車種一覧. 三菱自動車. 2019年10月24日閲覧。
- 1979年第23回東京モーターショー
- 『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p91
外部リンク
- ヒュンダイの車種
- アクロニムを使用したブランド