ヤフー (企業)

ヤフー株式会社(英称:Yahoo Japan Corporation)は、Zホールディングスソフトバンクグループ)傘下の日本インターネット企業。ポータルサイトYahoo! JAPANなどを運営し、サイト内の広告やブロードバンド関連の事業、ネットオークション事業等のECサイトを収益源とする。1996年Yahoo!(アメリカ法人、Ziff Davis傘下)とソフトバンク(現・ソフトバンクグループ)の合弁により(旧)ヤフー株式会社が設立された。2020年10月1日には持ち株会社制移行のため事業部門が完全子会社の紀尾井町分割準備株式会社(同日付で(新)ヤフー株式会社に商号変更)に承継され、旧法人は中間持株会社Zホールディングス株式会社に商号変更した[2]

ヤフー株式会社
Yahoo Japan Corporation
ヤフー株式会社の本社がある
東京ガーデンテラス紀尾井町
種類 株式会社
機関設計 監査役設置会社[1]
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
102-8282
東京都千代田区紀尾井町1番3号
東京ガーデンテラス紀尾井町
紀尾井タワー
北緯35度40分47.2秒 東経139度44分17.5秒
設立 2019年5月15日
業種 情報・通信業
法人番号 3010001200818
事業内容 ポータルサイト運営
インターネット広告
ブロードバンド関連事業
オークション関連事業
ほか
代表者 小澤隆生(代表取締役社長)
資本金 87億3700万円
(2018年3月31日現在)
売上高 連結:8,971億85百万円
(2018年3月期)
営業利益 連結:1,858億10百万円
(2018年3月期)
純利益 連結:1,311億53百万円
(2018年3月期)
純資産 連結:1兆1,218億87百万円
(2018年3月31日現在)
総資産 連結:2兆5,166億33百万円
(2018年3月31日現在)
従業員数 7,167名
(2021年3月31日現在)
決算期 3月31日
主要株主 Zホールディングス株式会社 100.0%
(2019年11月1日現在)
関係する人物 孫正義(創立時社長、前会長、現、取締役)
井上雅博(元社長)
宮坂学 (元社長)
外部リンク about.yahoo.co.jp
特記事項:旧法人(現・Zホールディングス)の設立は1996年1月。
財務指標は旧法人時代のもの。連結指標は国際会計基準で記載。売上高は売上収益、純利益は親会社の所有者に帰属する当期利益、純資産は資本合計、総資産は資産合計。

2017年ベライゾン・コミュニケーションズは、アメリカのヤフーの中核となるインターネット事業を買収し、それらをOath, Inc.に統合した。日本のヤフーは、影響を受けることは無く、株式はベライゾンに買収されなかった、ヤフーの残りの部門で設立されたアルタバが所有した。その後ソフトバンクは2018年9月までにアルタバの所有する全株式を買収し、米ヤフーとの資本関係は無くなった(ベライゾンとのライセンス契約で名称を使用していた)[3]

2023年2月2日、2023年度中にZホールディングス並びにLINEと合併することを発表した[4]

沿革

  • 2022年(令和4年)
    • 1月26日より、Yahoo!マートを実店舗オープンした。専用店舗の約1,500点の商品を最短15分で配達するサービスで、都内の8店舗からスタートする。一般来店も可能。順次全国の店舗を増やす予定[25]
    • 1月31日、4月1日より川邊健太郎社長兼最高経営責任者(CEO)が退任し、後任に小沢隆生取締役専務執行役員兼最高執行責任者(COO)が昇格する人事を発表[26]
    • 7月1日 - 株式会社カービューを吸収合併。カービューが提供中のサービス名やサービス内容に変更は無し[27]
  • 2023年(令和5年)
    • 同年度内 - Zホールディングス並びにLINEと合併する予定[4]

株式

重複上場

2007年(平成19年)2月16日、現在の上場先である東京証券取引所第一部市場に加え、ジャスダックにも同月28日に重複上場すると発表した。東証とジャスダックへの重複上場は、日本駐車場開発に次いで2例目となる。背景としては、ソフトバンクと本国Yahoo!の持株比率が、東証の上場廃止基準である少数特定株主の上限比率75%に近いことが挙げられる。しかし2013年(平成25年)7月16日、東京証券取引所・大阪証券取引所の現物市場統合に伴い、重複上場は解消された。

株価1億円を突破

2000年(平成12年)1月19日に東京株式市場で、ヤフーの株価は1株1億140万円で取引が成立し、史上初となる1株1億円を突破した。その当時のネットバブルを大きく反映したヤフーによる株価1億円の突破は、大きなニュースとして取り上げられ、世間でのヤフーの認知度がこのことにより一層に高まることになった。

同年2月22日に東京株式市場でヤフーの株価は1株1億6790万円の最高値を記録した。これは、初値(200万円)で株を取得していた場合、上場後1対2の株式分割を2度(1999年5月20日、11月19日)実施していることを考慮すると実質の株価は335.8倍に上昇し、(上場時の)1株当たり6億6960万円の含み益を有していたことを意味する(ともに手数料や税金などを考慮していない)。

その後は、株式分割が何度も繰り返され1株当たりの単元株価は低くなった(2023年6月現在、上場時の1株は819,200株になっている)。しかし、分割前の株価に単純換算すると当時からあまり変動しておらず、ヤフーは高い株価を保っている[28][29]

ソフトバンクとの関係

ヤフー株式会社の親会社、Zホールディングス株式会社の筆頭株主はソフトバンクグループであり、またソフトバンクグループ株式会社の連結子会社である[30]

会社の時価総額がソフトバンクグループを上回った時期もあった。そのため"Yahoo!"の商標は、その知名度から提携等の形で、ソフトバンクグループ関連のブロードバンドサービス(Yahoo! BB)、ソフトバンクモバイルのIP接続サービス名(Yahoo!ケータイ)などに使われている。また休刊したインターネット専門誌「Yahoo! Internet Guide」などにも使われていた。

事件・不祥事

Yahoo! BB顧客情報漏洩事件

2004年(平成16年)、Yahoo! BBの顧客情報が漏洩した事件。逮捕された元社員の中に創価学会幹部が2名含まれていたことが明らかとなる。また逮捕された創価学会幹部の一人は以前宮本顕治宅盗聴事件でも逮捕・起訴されていた。個人情報が漏洩した原因として、ソフトバンク社員であれば誰でも閲覧し入手できるような状況であったことを改めて発表。後日、社内における個人情報の管理を厳守するように徹底されることになった。

国民生活センターADRに協力拒否

2009年(平成21年)8月 - 当初年会費無料だった「Yahoo! JAPAN ETCカード」を一方的に有料化したことから消費者紛争が発生、カード会員の一人が国民生活センターADRを申請したがヤフーがセンター側の出頭要請に応じなかった(手続を拒否した)ため、国民生活センターに公表された[31]

ステルスマーケティング

100%子会社のTRILL株式会社が運営する女性向けファッション情報のキュレーションサイト「TRILL(トリル)」で、2014年11月~2015年5月までの期間、「広告表記のない記事広告」を掲載しており、外部メディアに配信されていたことが発覚した[32]。これは広告を編集コンテンツと誤認させて届ける行為である。

この問題を受け、ヤフー株式会社が自社およびグループ会社を調査したところ、Yahoo!ロコ、carview!、みんカラ、Yahoo!映像トピックス、TRILL、Yahoo! BEAUTY、スポーツナビなどで同様に「広告表記のない記事広告」を掲載しており、Yahoo!ロコ、TRILL、スポーツナビでは記事広告が外部メディアに配信されていた[33]

TRILLにおける著作権侵害

2016年秋に、DeNAのヘルスケア情報キュレーションサイト(まとめサイト)「WELQ」が、不適切な内容や不適切な引用で問題になり、他社のキュレーションサイトにも厳しい目が向けられるようになった。ヤフーは10月、「TRILL(トリル)」で記事の画像が他サイトから無断で転用されていたとして、外部ライターに外注した記事を全て削除した[34]

Yahoo!ショッピングにおける不正表示

2017年6月28日付の朝日新聞朝刊は、 通販サイト「Yahoo!ショッピング」が、出店者が広告料を多く払う商品を商品検索結果の一つ「売れている順」の最上部にくるように優遇しながら、「広告」と表示していないと報じた[35]。この問題で消費者庁から「広告の表記としては不十分」と指摘されたことも判明している[36]

偽Yahoo! JAPAN事件

2005年(平成17年)6月、Yahoo! JAPANを装った偽の検索サイトを作成し、利用者のパスワードなどを盗み取るフィッシング詐欺行為を行ったとして、警視庁などは著作権法違反と不正アクセス禁止法の疑いで大阪市平野区在住の当時42歳の会社員の男を逮捕した。このフィッシング行為での摘発は日本初の事だった。男は「Yahoo!」のスペルを「Yafoo!」に変えたサイトをYahoo! JAPANに無断で作成した著作権侵害行為に加え、利用者の本家・Yahoo!のパスワードを不正に入手し個人情報を盗み取った上で利用者の電子メールを覗き見した。

2005年10月18日、Yahoo! JAPANが行っているYahoo!ニュースを装った偽のニュースサイトが作成され、偽のニュースを流したページが公開されYahoo! JAPANがこのサイトについて警告を出した。これは、共同通信社発信で、「アメリカ国防総省は10月18日未明に、中国軍が、沖縄に侵攻したことを発表した」とするもので、あくる10月19日長崎市内在住の男から共同通信長崎支局に「9月中旬、ネットの掲示板に同じ内容の虚偽のニュースを書いたが満足が出来ず、Yahoo! JAPANに似せたページに書き込むことを考えた」「Yahoo! JAPANのページをパソコンに取り込んで改ざんした内容でネット上に公開した」との説明があった。男はその後、11月28日に著作権法違反で逮捕されている。

グループ企業

命名権(ネーミングライツ)

脚注

出典

  1. 役員体制 - ヤフー株式会社 2021年9月1日
  2. 持株会社体制移行後の役員人事、Zホールディングスのコーポレートロゴのデザインの決定に関するお知らせ - ニュース - ヤフー株式会社”. 会社概要 - ヤフー株式会社. 2022年1月10日閲覧。
  3. 元米ヤフー、ヤフージャパン株全売却 資本関係なくなる:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年12月29日閲覧。
  4. LINEとヤフー、親会社のZホールディングスと3社で合併へ”. 読売新聞 (2023年2月2日). 2023年2月2日閲覧。
  5. 日経クロステック(xTECH). 井上雅博ヤフー前代表取締役社長が死去”. 日経クロステック(xTECH). 2022年1月10日閲覧。
  6. ヤフー株式会社が株式店頭公開 初値は募集価格の2.85倍の200万円”. INTERNET Watch (1997年11月4日). 2012年9月4日閲覧。
  7. 子会社の異動(取得)に関するお知らせ”. ヤフー (2002年8月20日). 2015年10月3日閲覧。
  8. http://www.yrouso.org/
  9. 本社移転のお知らせ / プレスルーム - ヤフー株式会社
  10. ヤフーによるジャパンネット銀行の連結子会社化について
  11. (開示事項の経過)株式会社ジャパンネット銀行の連結子会社化完了のお知らせ
  12. dely 株式会社の連結子会社化に関するお知らせ”. 2018年12月20日閲覧。
  13. ソフトバンクとヤフーの合弁会社が、インドのPaytmと連携し、 バーコードを使った新たなスマホ決済サービス「PayPay」を今秋提供開始”. 2018年12月20日閲覧。
  14. ソフトバンク株式会社による当社普通株式に対する公開買付けの結果及び主要株主の異動に関するお知らせ
  15. 当社親会社であるソフトバンクグループ株式会社の子会社であるソフトバンク株式会社による当社普通株式に対する公開買付けに関する意見表明並びに自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ
  16. その他の関係会社及び主要株主の異動に関するお知らせ
  17. 「PayPay」がオンライン決済に対応! 2月以降、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」「LOHACO」で順次導入予定”. 2018年12月20日閲覧。
  18. (PDF)『会社分割による持株会社体制への移行に伴う分割準備会社設立、吸収分割契約締結及び定款変更(商号変更)に関するお知らせ』(プレスリリース)ヤフー株式会社、2019年4月25日https://www.z-holdings.co.jp/ja/ir/news/auto_20190425410517/pdfFile.pdf2019年11月25日閲覧
  19. “ヤフー、10月に持株会社体制に移行、「従来事業」と「金融事業」に会社を分割”. MONEY Zine. (2020年5月3日). https://moneyzine.jp/article/detail/216018 2020年11月21日閲覧。
  20. 第三者割当による新株式の発行、自己株式の取得及び自己株式の公開買付け並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ”. ヤフー株式会社. 2019年5月8日閲覧。
  21. ヤフーがZOZOを買収、前沢社長は退任へ TOBで子会社化
  22. 『「Zフィナンシャル株式会社」業務開始のお知らせ』(プレスリリース)Zホールディングス、2020年10月1日。 オリジナルの2019年12月20日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20191220144854/https://www.z-financial.co.jp/news/2019/1001/2020年11月22日閲覧
  23. PDF『会社分割(簡易吸収分割)によるヤフー株式会社へのコーポレートベンチャーキャピタル関連事業の承継に関するお知らせ』(プレスリリース)Zホールディングス株式会社、2019年11月19日https://www.z-holdings.co.jp/ja/ir/news/auto_20191119428751/pdfFile.pdf2019年11月25日閲覧
  24. 『「ヤフージャパン ライセンス契約」に係る基本契約締結のお知らせ』(プレスリリース)Zホールディングス、2021年7月5日https://www.z-holdings.co.jp/pr/press-release/2021/07052021年7月8日閲覧
  25. 最短15分で食料品などを宅配するYahoo!マート、クイックコマース事業者として初の来店型店舗運営を開始”. ヤフー株式会社. 2022年8月19日閲覧。
  26. 新経営執行体制への移行および代表取締役の異動に関するお知らせ”. ヤフー株式会社. 2022年1月31日閲覧。
  27. 【ヤフー株式会社への吸収合併に伴う株式会社カービューコーポレートサイトの閉鎖について】”. ヤフー株式会社. 2022年7月1日閲覧。
  28. Yahoo!ファイナンス - 4689.t
  29. 親会社の異動に関するお知らせ”. ヤフー株式会社. 2019年4月26日閲覧。
  30. 国民生活センターHP内「国民生活センターADRの実施状況と結果概要について」15頁
  31. 当社運営メディアにおける記事広告について 2015年9月4日 TRILL株式会社
  32. 「広告表記のない記事広告を掲載する行為」に関する自主調査結果について(9月14日現在) ヤフー株式会社 株式会社カービュー 株式会社GYAO TRILL株式会社 ワイズ・スポーツ株式会社 2015年9月15日
  33. 山本一郎 (2016年12月8日). 【DeNAまとめサイト問題】「キュレーションサイト」は曲がり角 サイバーエージェントやヤフーも中止 IT業界のずさんなメディア運営が浮き彫り”. Yahoo!ニュース. 2016年12月18日閲覧。
  34. ヤフー通販「おすすめ順」、広告料払えば検索上位に 朝日新聞 2017年6月28日
  35. ヤフー通販「売れてる順」最上部に広告 消費者庁問題視 朝日新聞 2017年7月15日
  36. “「Yahoo!BBスタジアム」契約終了へ”. ITmedia ニュース. (2004年12月20日 17時30分 更新). https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0412/20/news042.html 2016年4月19日閲覧。
  37. ヤフオク! - 福岡 Yahoo! JAPANドーム名称変更のお知らせ」『ヤフオク!』、ヤフー株式会社http://topic.auctions.yahoo.co.jp/promo/dome/p/2016年4月19日閲覧

関連項目

外部リンク

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