ボスコニアン
『ボスコニアン』(BOSCONIAN)は、1981年11月に日本のナムコから稼働されたアーケード用多方向スクロールシューティングゲーム。サブタイトルは、『スター・デストロイヤー』(Star Destroyer)。北米ではミッドウェイゲームズから稼働された。
ジャンル | 多方向スクロールシューティング |
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対応機種 |
アーケード (AC) 対応機種一覧
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開発元 | ナムコ開発部 |
発売元 |
ナムコ ミッドウェイ |
デザイナー | 佐藤誠市 |
プログラマー | 黒須一雄 |
音楽 | 大野木宜幸 |
シリーズ | UGSFシリーズ |
人数 | 1 - 2人(交互プレイ) |
メディア |
業務用基板 (56.09キロバイト) |
稼働時期 |
1981年11月 1981年 発売日一覧
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対象年齢 |
CERO:A(全年齢対象) ESRB:E(6歳以上) |
デバイス |
8方向レバー 1ボタン |
CPU |
Z80 (@ 3.072 MHz)×3 MB8842 (@ 256.000 kHz)×2 |
サウンド |
Namco (@ 96.000 kHz) Namco 52XX (@ 1.536 MHz) ディスクリート |
ディスプレイ |
ラスタースキャン 横モニター 288×224ピクセル 60.61Hz パレット580色 |
全方向任意スクロールの2Dシューティングゲームとなっており、3038年を舞台に自機「スペースパトロール機」を操作して「宇宙海賊ボスコニアン」の基地を破壊する事を目的としている。
開発はナムコ開発部が行い、企画は後に『ゼビウス』(1983年)や『リブルラブル』(1983年)を手掛けた佐藤誠市が担当、プログラムは『ラリーX』(1980年)を手掛けた黒須一雄が担当、音楽は『ギャラガ』(1981年)を手掛けた大野木宜幸が担当、宣伝ポスターのデザインは長岡秀星が担当している。
日本国内のパソコンとしてはM5、MSX、PC-6001mkII、X1、X68000に移植され、欧州では『Bosconian '87』のタイトルでAmstrad CPC、コモドール64、ZX Spectrumに移植された。2003年から2004年にかけては携帯電話ゲームとして携帯電話各種キャリアにおいて配信された。アーケード版はPlayStation用ソフト『ナムコミュージアム VOL.1』(1995年)、PlayStation 2用ソフト『ナムコミュージアム アーケードHITS!』(2006年)、Xbox 360用ソフト『ナムコミュージアム バーチャルアーケード』(2008年)に収録された他、Wii用ソフトとしてバーチャルコンソールアーケードにて配信された。
後に続編としてアーケードゲーム『ブラストオフ』(1989年)、PCエンジン用ソフト『ファイナルブラスター』(1990年)が発売された。
ゲーム内容
システム
8方向レバーと1ボタン(ショット)で自機を操作。自機を中心に画面が8方向へスクロールする。画面レイアウトは同社が前年に発表した『ラリーX』を踏襲し、画面右側のレーダー表示を頼りに、ステージ内に配置された敵基地を全て破壊するとステージクリアとなる。レーダー上での自機の位置は白黒点滅で表示。ラリーXと異なり、レーダーの上下および左右はそれぞれ繋がっている。
ショットボタンを押すと、自機の進行方向の前後に同時に弾が発射される。これにより、自機を追尾する敵への攻撃も可能となっている。
レーダーの上部には、現在の戦場の状況(難易度)を示すコンディション表示がある。「GREEN」(敵機攻撃無し)「YELLOW」(敵機攻撃あり)「RED!!」(敵機総攻撃)の3つで表現され、順に難易度が上昇していく事をプレイヤーに伝えている。本作の難易度はゲーム中に頻繁に変化し、その様子は警告音と共に合成音声でプレイヤーに伝えられる[1]。
本作には、ナムコ作品では初となるコンティニューシステムが採用されている。
新旧バージョン
大きく分けて旧バージョンと新バージョンがあるが、違いや特徴は以下に記す通り[1]。
- ラウンド毎のマップが若干変更された。
- 新バージョンはボタンを押しっぱなしで連続ショットが可能(旧では弾が出ない)。
- 新バージョンはラウンドをノーミスクリアするとボーナス得点がつく。
- 旧バージョンでは256面目になるとプログラムが暴走してしまう。また、新バージョンではゲームがとてつもなく速くなるので、レバーをぐるぐると回していないと一瞬で激突してしまう。
その他
- 敵機の爆発パターンに「刀」という文字に見えるものがあり、『ALL ABOUT NAMCO』電波新聞社刊には開発者が入れ込んでいたバイクの名前と記述されている。
- 旧バージョンで1クレジット255面クリアを達成したのは、日本で5人とされている[2]。
敵キャラクター
敵キャラクターの中でレーダーに表示されるのは敵基地と敵機編隊のみである。また自機のショット以外で敵が撃破(障害物や敵弾に当たるなど)されても得点が加算される。
障害物
- 小惑星(ASTEROID)
- その昔、巨大な惑星が砕け散った残骸。自機・敵機問わず接触すると破壊される。10点。
- 機雷(COSMO-MINE)
- 破壊すると爆発し、近くにいると自機・敵機問わず誘爆に巻き込まれ破壊される(敵基地の砲台には効かない)。20点。
敵機、ミサイル
自機と同じ大きさのため誤解されがちだが、偵察機以外はすべて戦闘機ではなくミサイルであり、すべて自機めがけて体当たりしてくる。
- アイヒ型ミサイル(I-TYPE)
- 自機をしつこく追跡する。50点。
- プルーア型ミサイル(P-TYPE)
- 自機を囲みながら攻撃してくる。60点。
- エッドール型ミサイル(E-TYPE)
- ステージ4以降から登場。敵基地中心部から発射される。70点。
- 偵察機(SPY SHIP)
- ステージ4以降から登場。登場する際、「Spy Ship Sighted!(訳:偵察機出現)」と音声ガイドが流れる。画面外に逃げられるとコンディションレッドまでの時間が短縮される。そのため、ラウンド開始後の1機目を逃しても、必ずしもコンディションレッドとなるわけではなく、逆に偵察機を全機逃さず撃墜しても永久パターン防止のため時間経過によりコンディションレッドとなる。なお、コンディションレッドとなった場合、自機が撃墜されるかその面をクリアするまで敵の攻撃が激しくなる。得点は状況による。
敵機編隊
時折、上記ミサイル(偵察機以外)が編隊を組み出現することがある。
- 敵基地から発射され、高速で自機のいる位置へと向かって来る。レーダー上では赤色の点で表示。
- 編隊は必ず5発編成で、色違いの1発が指令機。
- 単独のミサイルよりも高速で自機を追尾する。
- 指令機を迎撃すると、残りのミサイルは追尾性能を失う。
- 5発全て撃ち落とした場合、500点(アイヒ型)、1000点(プルーア型)、1500点(エッドール型)のボーナス得点[1]が加わる。
敵基地(ENEMY BASE)
規則的に開閉するシェルターを持つ中心部(1500点[1])と、6箇所の砲台(CANNON、200点)で構成されている。砲台から発射される弾は、自機のみならず敵機(基地以外)、障害物も破壊する。レーダー上では緑色の点で表示。シェルターが開いた時に中心部を攻撃するか、砲台を全て破壊すると倒せる。これを全滅させるとラウンドクリア。
移植版
No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 備考 |
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1 | ボスコニアン | 1982年 |
M5 | タカラ | タカラ | ロムカセット | - | |
2 | ボスコニアン | 1984年7月14日 |
MSX | ナムコ | ナムコ | ロムカセット | 10 | |
3 | ボスコニアン | 1986年3月 |
PC-6001mkII | 電波新聞社 | マイコンソフト | フロッピーディスク | - | |
4 | ボスコニアン | 1987年2月 |
X1 | 電波新聞社 | マイコンソフト | 5インチフロッピーディスク | DP-3203222 | |
5 | Bosconian '87 | 1987年 |
Amstrad CPC コモドール64 ZX Spectrum |
Binary Design | Mastertronic | カセットテープ フロッピーディスク |
CPC:IA 0209 ZX:IS 0209 |
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6 | ボスコニアン | 1988年12月 |
X68000 | 電波新聞社 | マイコンソフト | 5インチフロッピーディスク | DP-3205009 | |
7 | ナムコミュージアム VOL.1 | 1995年11月22日 1996年7月31日 1996年8月17日 |
PlayStation | ナウプロダクション | ナムコ | CD-ROM | SLPS-00107 SLUS-00215 SCES-00243 |
アーケード版の移植 |
8 | ボスコニアン | 2003年7月16日[3] |
J-スカイ (Javaアプリ) |
インプラス | ナムコ | ダウンロード (ナムコアプリキャロットJ) |
- | |
9 | ボスコニアン | 2003年11月27日[4] |
iアプリ | インプラス | ナムコ | ダウンロード (アプリキャロット) |
- | |
10 | ボスコニアン | 2004年9月2日[5][6] |
BREW対応機種 (EZアプリ) |
インプラス | ナムコ | ダウンロード (ナムコステーション) |
- | 再発版は2006年10月26日配信開始[7][8] |
11 | Namco Museum: 50th Anniversary ナムコミュージアム アーケードHITS! |
2005年8月27日 2006年1月26日 |
PlayStation 2 Xbox ゲームキューブ |
Digital Eclipse | ナムコ | DVD-ROM | PS2: SLUS-21164 SLES-53957 SLPS-25590 XB:NMO-2201A-NM GC: DOL-G5NE-USA DOL-G5NP-EUR |
アーケード版の移植、日本国内ではPlayStation 2版のみ発売 |
12 | Namco Museum: 50th Anniversary | 2005年10月25日 |
Windows | Digital Eclipse | ナムコ | CD-ROM | - | アーケード版の移植 |
13 | Namco Museum Battle Collection Namco Museum Battle Collection ナムコミュージアム VOL.2 |
2005年8月23日 2005年12月9日 2006年2月23日 |
PlayStation Portable | ナムコ・テイルズスタジオ | ナムコ | UMD | ULUS-10035 UCES-00116 |
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14 | ナムコミュージアム バーチャルアーケード | 2008年11月4日 2009年5月15日 2009年11月5日 |
Xbox 360 | バンナム | バンナム | DVD-ROM | 21022 2RD-00001 |
アーケード版の移植 |
15 | ボスコニアン | 2009年11月17日[9] |
Wii | バンナム | バンナム | ダウンロード (バーチャルコンソールアーケード) |
- | アーケード版の移植 |
- 敵機がUFO型の一種類しか登場しない。コンディションがない。
- MSX版(ナムコットゲームセンターシリーズの第10弾)
- 敵基地が上下方向からコアが破壊できる向きでしか登場しない。
- 隠しコマンドと、パワーアップ要素の追加。
- X68000版
- 電波新聞社のX68000版アフターバーナーIIを移植していたスタッフが息抜きで製作していたのが発売の切っ掛け。FM音源とADPCMを同期させる音源ドライバーを独自で開発し、古代祐三・永田英哉によるBGMや、パワーアップ要素のあるアレンジ版が追加収録されている。
- ナムコミュージアム版
- 1995年11月22日発売のPlayStation版『ナムコミュージアム VOL.1』に収録。
- 2006年1月26日発売のPlayStation 2版『ナムコミュージアム アーケードHITS!』に収録。
- 2006年2月23日発売のPlayStation Portable版『ナムコミュージアム VOL.2』に収録。
- 2009年11月5日発売のXbox 360版『ナムコミュージアム バーチャルアーケード』に収録。
- バーチャルコンソール版
- 2009年11月17日よりWiiのバーチャルコンソールアーケードで配信されている。
なお、ファミリーコンピュータに移植されていないのは、分割スクロールを実現するのに手間取り、実現可能になった頃には既に発売時機を逸してしまっていたからとのことである。
また、PC-8801MKIISRに海賊版が存在し、X68000版のBGMが実装されている。
スタッフ
- アーケード版
- X68000版
評価
評価 | ||||||
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- アーケード版
ゲーメストムック『ザ・ベストゲーム2』(1998年)では「秀作ゲーム紹介」に選定され、同書では本作の画面右にマップが付随している構成が同社の『ラリーX』のシステムを応用したものであると指摘した上で、『ラリーX』において4方向であったものが8方向になっている事に関して「確実に進化していることを実感できる」と肯定的に評価した[11]。また、『ラリーX』との大きな相違点として、マップ外に出る事が可能な点を挙げている[11]。
続編
- 『ブラストオフ』(1989年、アーケード)
- 正式な続編。縦スクロールシューティングになっており、ゲームシステムの一部に名残が見られるもののほとんど別物。開発元はN.H.SYSTEM。
- 同上。ボスコニアンシリーズの最終作。開発元はN.H.SYSTEM、ノバ、アイシステム東京。
脚注
- 『オールアバウトナムコ』
- 『ゲーメスト』創刊号(1986年5月号)新声社
- 船津稔 (2003年7月15日). “ナムコ、J-フォンで「ボスコニアン」、「ピンボール NOW!」を配信開始” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2019年12月14日閲覧。
- “携帯電話用コンテンツ” (日本語). ナムコ・ワンダーページ. ナムコ. 2003年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月14日閲覧。
- “EZアプリ(BREW)でも「ボスコニアン」復活!” (日本語). SOFTBANK GAMES NEWS INDEX. ITmedia (2004年9月1日). 2019年12月14日閲覧。
- 船津稔 (2004年9月1日). “ナムコ、EZアプリ版「ボスコニアン」の配信を9月2日から開始” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2019年12月14日閲覧。
- “"ナムコEZゲームス"に懐かしの『ファミリージョッキー』と『ボスコニアン』が追加” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2006年10月24日). 2019年12月14日閲覧。
- “BREW対応「ボスコニアン」「ファミリージョッキー」を配信” (日本語). ITmedia Moblie. アイティメディア (2006年10月24日). 2019年12月14日閲覧。
- “「バーチャルコンソールアーケード」11月17日配信開始タイトル” (日本語). iNSIDE. イード (2009年11月16日). 2019年12月14日閲覧。
- “Bosconian for Arcade (1981)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2019年12月14日閲覧。
- 「ザ・ベストゲーム」『GAMEST MOOK Vol.112 ザ・ベストゲーム2 アーケードビデオゲーム26年の歴史』第5巻第4号、新声社、1998年1月17日、142頁、ISBN 9784881994290。
参考文献
- マイコンBASICマガジン編集部 『All about NAMCO』電波新聞社 1986年12月 ISBN 978-4885541070
関連項目
- ボスコニアン戦争の数百年後という設定で、接収されたボスコニアンの敵基地が補給基地として登場する。
- 背景にボスコニアンの敵基地(の残骸)が登場する。
- 『カイの冒険』(1988年、ファミリーコンピュータ)
- スペシャルステージにて、ボスコニアンの機雷と砲台が登場する。
- 人類の植民星に侵攻してくる種族として登場。また本作は、UGSF戦史に正史として認定されている。
- 『レンズマンシリーズ』
- 世界的に有名なスペースオペラのシリーズ。本作のタイトル及び固有名詞の出典。