ホロー荘の殺人

ホロー荘の殺人』(ホローそうのさつじん、原題:The Hollow)は、1946年イギリス小説家アガサ・クリスティが発表した長編推理小説であり、探偵エルキュール・ポアロが登場する「エルキュール・ポアロ・シリーズ」の作品のひとつである。

ホロー荘の殺人
The Hollow
著者 アガサ・クリスティー
訳者 三川基好 ほか
発行日 イギリスの旗 1944年
日本の旗
発行元 イギリスの旗 Collins Crime Club
日本の旗 早川書房
ジャンル 推理小説
イギリスの旗 イギリス
前作 忘られぬ死
次作 ヘラクレスの冒険
ウィキポータル 文学
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クリスティは後に自伝の中で、この作品にポアロを登場させたことについて、「ポアロのおかげで台無しになった、ポアロが登場するのはごく自然だが、この物語そのものに合わなかった」と述べている[1]

また、作品の舞台となったホロー荘は、『ブラック・コーヒー』『邪悪の家』でポアロを演じたイギリスの舞台俳優フランシス・L・サリヴァン夫妻の家をモデルとしている[1]

あらすじ

アンカテル卿の午餐に招かれホロー荘を訪れたポアロは、プールで血を流して倒れている男と銃を手にし傍らに立つ女という芝居じみた光景を目撃する。それは名探偵を歓迎するための余興ではなく、銃殺された招待客の医師と、容疑者と思われるその妻による本物の殺人事件であった。ところが、医師の命を奪った弾丸は、妻が手にしていた銃から発射されたものではないことが判明し、捜査は暗礁に乗り上げる。恋愛心理と友情と犯罪心理が複雑に絡み合う状況の下、ポアロが見出した真相の先には悲劇的な結末が待っていた。

登場人物

  • ヘンリー・アンカテル卿 - 行政官
  • ルーシー・アンカテル - ヘンリーの妻
  • ミッジ・ハードカースル - ルーシーの従妹
  • ヘンリエッタ・サヴァナク - 彫刻家
  • ジョン・クリストゥ - 医者
  • ガーダ・クリストゥ - ジョンの妻
  • エドワード・アンカテル - ルーシーのいとこ
  • デイビッド・アンカテル - ルーシーの親戚
  • ガジョン - 執事
  • シモンズ - メイド
  • ヴェロニカ・クレイ - 女優
  • エルシー・パターソン - ガーダの姉
  • グレンジ - 警部
  • エルキュール・ポアロ - 探偵

出版

題名出版社文庫名訳者巻末カバーデザイン初版年月日ページ数ISBN備考
ホロー荘の殺人早川書房ハヤカワ・ミステリ文庫1-28中村能三「読者へ二回目の挑戦」 中村能三真鍋博1977年12月31日3734-15-070028-1絶版
ホロー荘の殺人早川書房クリスティー文庫22中村能三「灰色の脳細胞は、赤い夢を見るか?」はやみねかおるHayakawa Design2003年12月12日4824-15-130022-6

戯曲

1951年には戯曲化された。 『戯曲 ホロー荘の殺人』(『ミステリマガジン』2010年4月号に訳載)としてクリスティー自身が執筆した。ただしポアロが登場しない改変がなされている。

舞台

「ホロー荘の殺人」(2023年5月3日~8日 三越劇場

演出・構成:野坂実

出演:凰稀かなめ紅ゆずる林翔太高柳明音旺なつき綾凰華佐々木梅治河相我聞細見大輔松村優中尾隆聖

映像化

映画

監督:野村芳太郎 出演:大竹しのぶ池上季実子和由布子藤真利子小沢栄太郎北林谷栄寺尾聰三田村邦彦石坂浩二日色ともゑ加藤嘉夏八木勲
監督:パスカル・ボニゼール 出演:ミュウ=ミュウランベール・ウィルソンヴァレリア・ブルーニ=テデスキピエール・アルディティアンヌ・コンシニ

TV作品

監督・脚本:ラッファエーレ・メローニ 撮影:ロリス・アマドーリ 美術:ダヴィデ・ネグロ 衣装:ダリオ・チェッキ
出演:マリーナ・ドナーディ(ドーラ=原作のヘンリエッタ)、ルチア・カトゥッロ(ガーダ)、カルロ・エンリーチ(エドワード)、エリカ・ブラン(ヴェロニカ・クレイ)、フランコ・グラツィオージ(ジョン)、サラ・フェッラーティ(ルーシー)
監督:サイモン・ラントン 脚本:ニック・ディアー 撮影:ジェームズ・アスピナール 美術:マイケル・ピックウォード 衣装:シーナ・ネピアー
出演:デヴィッド・スーシェ(エルキュール・ポワロ)、ジョナサン・ケイク(ジョン)、ミーガン・ドッズ(ヘンリエッタ)、サラ・マイルズ(ルーシー)、エドワード・フォックス(ガジョン)、クレア・プライス(ガーダ)、リゼッタ・アンソニー(ヴェロニカ・クレイ)

脚注

  1. マッシュー・ブンスン『アガサ・クリスティ大事典』(柊風舎2010年)p.177
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