ヒナカブト属
ヒナカブト属(ヒナカブトぞく、学名:Agaocephalini)は、昆虫綱コウチュウ目(鞘翅目)コガネムシ科カブトムシ亜科の属である。
ヒナカブト属 | |||||||||||||||||||||||||||
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オオミツノヒナカブト Aegopsis Curvicornis | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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特徴
系統的には真性カブトムシ属のDynastiniからは離れており、同じ地域に生息しているスジコガネモドキ属 Cyclocephalini に近いグループとなる。
スジコガネモドキ類は、体長が大きくても4cmを越える程度で、一般に思い浮かべるようなカブトムシの姿とは程遠く、コガネムシと同じような姿をしており、近縁の本属にもそれに似た小型の種類が多いが、種類によっては雄は他の大型のカブトムシのような立派な角が生え、その形態も他の大型のカブトムシには見られないものが少なくない。
大部分が50mmに満たない小型のカブトムシ類だが、その奇抜な姿と、大型カブトムシ類に負けない個性的な形状から人気があるものの、一般に日本へ輸入される事はあまりない。
生態
体が小さいことと、現地でもあまり見られることがない種類が多く、人目に付きにくい種類とされる。
幼虫の生態は地中で腐植土や腐った植物などを食べる。成虫の生態は不明だが、ジャングルの高木の花や樹液に来ているという考察もある。
もしそうだとしたら、花に集まるコガネムシのハナムグリ科の中には、カブトムシのように角を生やしたものもおり、また、南米にはアフリカと違い、ハナムグリの仲間は繁栄しなかったので、カブトムシが代わりにそうなったのではないかという進化の可能性も考えられる。
種類
ヒナカブト属 Agaopisis
- オオミツノヒナカブト Aegopisis Curvicornis
- ベネズエラ、エクアドル、コロンビア、ブラジルに生息。和名通り3本の角があるが、アトラスオオカブト属とは逆に、頭部に二本、胸部に一本の角が発達する。体長は30mmほど。
- ハビロミツノヒナカブト Aegopsis Bolbocerida
- オオミツノヒナカブトに似ているが、やや体型が丸い。ブラジルに生息。
- クロミツノヒナカブト Aegopsis Peruvianus
- パナマとペルーに生息し、前二種に似た形態。別亜種がパナマやトリニダード・トバゴに分布する。
アカムネヒナカブト属
- アカムネヒナカブト Gnathogolofa Bicolor
- エクアドルに生息。胸部のみがオレンジ色で、腹部体毛が長い。1属1種。体長28〜36mm
ケブカヒナカブト属
- ケブカヒナカブト Democrates Burmeisteri
- アカムネヒナカブトに似た種類。角はない。
パンパスヒナカブト属
コツノヒナカブト属
- ヨツボシツノヒナカブト Brachysiderus Quadrimaculata
- 和名通り、前翅の前隅と後隅に黒い模様がある。頭部の角はやや長く、先が扁平になる。体長は27〜40mm。ブラジル、コロンビア、ペルーに住み、別亜種のBrachysiderus Quadrimaculatus tridentigerがボリビアに分布。
- アラメコツノヒナカブト Brachysiderus Minicola
- ブラジルに生息。体長3cmに満たないが、頭部に二つの小さな角が突き出ている。
- ゴヤコツノヒナカブト Brachysiderus Goyanus
- アラメコツノヒナカブトによく似ているが、本種の方がやや角が突き出る。
- マットグロッソコツノヒナカブト Brachysiderus matogrossensis
- 前翅がオレンジ色の種。頭部の角に合わせて胸部にも小さな突起がある。
- ミエルケオルムコツノヒナカブト Brachysiderus mielkeorum
- ほかの酒よりも体が若干赤みがかっている。
- パラネンシスコツノヒナカブト Brachysiderus paranensis
- 前翅がオレンジ色で、頭部と胸部が黒っぽい茶色をしている。
フンボルトヒナカブト属
- フンボルトヒナカブト Mitracephala Humbolati
- ヒナカブトの中ではかなり大型で、体長40mmになり、胸部に一対の小さな角が、頭部に短いが幅広い角が出ている。エクアドル、コロンビア、ボリビア、ペルーに住む。
- ラショームヒナカブト Mitracephala lachaumei
- ボリビアのユンガス地方に生息している。頭部の角が少し細長い。
カラカネヒナカブト属 Agaocephala
- カラカネヒナカブト Agaocephala Bicuspis
- 胸部が金属光沢の緑色を帯び、胸部に突起状の角が、頭部に二対の角が伸びる。ガイアナやベネズエラに生息。体長21〜35mm。
- ウルスカラカネヒナカブト Agaocephala Urus
- ブラジルに生息。前種よりやや小型。
- マンネレイミカラカネヒナカブト Agaocephala mannerheimi
- マンネルヘイムカラカネヒナカブトとも呼ばれる。ほかの種より体が細いのが特徴。
- アラメカラカネヒナカブト Agaocephala Cornigera
- ブラジル南東部からパラグアイに生息。前二種よりやや体型が細め。
- ツヤカラカネヒナカブト Agaocephala Duponti
- 前三種よりも角が短く、ズングリした体型。ブラジル南東部に生息。
- イネルミコリスカラカネヒナカブト Agaoaephala inermicollis
- 胸部が光沢を浴びた緑色で、前翅がオレンジ色の種。頭部の角は短い。
- オオカラカネヒナカブト Agaocephala Margaridae
- 和名通り、前四種より大型で40mmを越える。アマゾン川本流域に生息。
ツヤケヒナカブト属 Spodistes
- グランディスビロードヒナカブト Spodistes Grandis
- 体長最大49mmになり、最大級のヒナカブト。エクアドルとコロンビアに生息し、全身がビロードの細かい毛で覆われ、胸部の角がヘラクレスオオカブト、頭部の角が日本のカブトムシのような形状になっている。
- バテシービロードヒナカブト Spodistes Batesi
- メキシコからパナマにかけて住む。前種より頭部角の先端が狭く、細身。体長25〜46mm。
- モンゾンビロードヒナカブト Spoidistes Monzoni
- メキシコ、グアテマラ、エルサルバドルに生息。前二種より、胸部の角が短い。体長28〜43mm。
- ムニスゼッチビロードヒナカブト Spodistes Mniszechi
- メキシコからコロンビアにかけて分布。バテシーよりも体型が太目。体長28〜43mm
- アームストロンギビロードヒナカブト Spodistes armstrongi
- コロンビアにのみ分布。ほかの種より角が細長い。
タテヅノツヤケヒナカブト属 Lycomedes
- ベルティペスビロードヒナカブト Lycomedes Velutipes
- 体長21〜33mmで、ズングリした体型。エクアドルに生息。
- バックレイビロードヒナカブト Lycomedes Buckleyi
- エクアドルに生息。前種に似てやや大型の38mmで、頭部が日本のカブトムシに、胸部がタテヅノカブト類に似ている。
- オハウスビロードヒナカブト Lycomedes Ohausi
- エクアドルに住み、前二種に似ているが、体表に筋が入る。体長26〜31mm。
- ブルマイスターエボシヒナカブト Lycomedes burmeisteri
- コロンビア、エクアドル、ペルーに生息している。オハウスビロードヒナカブトのように胸角が上部に真っ直ぐ伸びる。
- ヒルチペスビロードヒナカブト Lycomedes Hirtipes
- 体長30mmに満たない小型種で、前3種と違い、コロンビアに住む。
- ライヒビロードヒナカブト Lycomedes reichei
- 胸部の角が小さな個体と大きな個体が存在している。
- ブベニクビロードヒナカブト Lycomedes bubeniki
- 胸部の角がとても大きな種。
キバネヒナカブト属
- キバネヒナカブト Antodon Goryi
- ブラジル東部に住む。名前の通り前翅が黄色く、そこに黒い斑点がある。毛は胸部に生えており、翅にはない。体長30mmに満たない。1属1種。
参考文献
- 海野和男著『カブトムシの百科』(1993 データーハウス)
- 学研の図鑑『カブトムシ・クワガタムシ』(2001 学研)
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