フォルクスワーゲン・EA266
概要
1960年代後半当時のフォルクスワーゲン社長ハインリヒ・ノルトホフはフォルクスワーゲン・タイプ1の後継車を考えていた。ビートルの改良以外に何もしない、という批判に対して39台もの試作車を公開したこともある。この時公開されなかったが、タイプ1後継試作車の1つとしてEA266は1965年ポルシェに開発を委託され、当時ポルシェにいたフェルディナント・ピエヒが設計し、1966年に製作された。
巨大なトランクルーム、高い衝突安全性、非常に良好なハンドリングなど利点は多く、膨大な開発費を投じて発売直前の段階まで煮詰めていた[1]が、ハインリヒ・ノルトホフ死去後後任となったルドルフ・ライディングは高コストで整備性が悪いなど大衆車としての弱点から開発中止を決定した[1]。その後ビートルの後継車としてEA266の代わりにアウディ・80のメカニカルコンポーネンツを流用したパサートが発売されることとなる。
機構
1.6リットル[1]直列4気筒水冷エンジン[1]を横に倒してリアシートの下にミッドシップで搭載していた。そのためシートは普通より少し高くなったが、5人乗りで、小型車として必要な居住性は確保されていた。前部が空洞であるため非常に衝突安全性能は高くなった。重心は低く、かつ重量が車両中心に集中していたため、ハンドリングはスポーツカーのレベルであった。
フロントノーズには400リットルに及ぶ巨大なトランクがあり、リアシートの後ろもカーペットを張った荷物置き場であった。
福野礼一郎は1998年に発売された2代目ホンダ・Zとの類似性を指摘している。また2006年発売の三菱・iとの類似性を指摘する人もいる。エクステリアはフォルクスワーゲン・タイプ3を少しモダンにしたような感じである。
脚注
注釈
出典
- 『ワールド・カー・ガイド5フォルクスワーゲン』p.113。
参考文献
- 福野礼一郎『自動車ロン』双葉文庫 ISBN 4-575-71308-2
- 岡崎宏司『世界の名車グラフィティ フォルクスワーゲン』新潮文庫 ISBN 4-10-132005-5
- 『ワールド・カー・ガイド5フォルクスワーゲン』ネコ・パブリッシング ISBN 4-87366-095-5
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