フォルクスワーゲン・パサート
概要
1960年代後半、フォルクスワーゲン・K70(ロータリーエンジンを搭載したNSU・Ro80のレシプロエンジン版)などあったものの商業的に成功していたとは言えず、フォルクスワーゲンの主力車種は依然ビートルであった。この状態から脱却するために開発されたのがパサートである。
1973年、ジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたとされる初代パサートは、アウディ・80をベースとする姉妹車であり、アウディ・80がノッチバックだったのに対し、パサートはファストバック・スタイルを採用し、より若々しいキャラクターづけがされていた。2世代目も同じくアウディ・80をベースとするが新たにノッチバックのサンタナがデビューし、貿易摩擦解消の意味も兼ねて、日本では日産自動車がノックダウン生産していた。3世代目では、アウディとの姉妹関係は解消され一般的な横置きエンジン・前輪駆動(4WDのシンクロも存在する)の方式に改められ、主に居住性が向上している。
再び、アウディとプラットフォーム(A4)を共用する5代目では、アウディV8エンジンに匹敵する8気筒W型エンジン搭載モデルが登場し、堅実なファミリーセダンからフォルクスワーゲンのフラッグシップとして高級化を目指した。6代目モデルでは再び横置きエンジンとなり、ゴルフと姉妹関係になった。
初代 B1(1973 - 1981年)
フォルクスワーゲン・パサート | |
---|---|
5ドア | |
3ドア | |
概要 | |
製造国 |
ドイツ ブラジル オーストラリア |
販売期間 | 1973 - 1981年 |
デザイナー | ジョルジェット・ジウジアーロ |
ボディ | |
ボディタイプ |
2/4ドアファストバック 3/5ドアハッチバック 5ドアワゴン |
駆動方式 | FF |
パワートレイン | |
エンジン |
ガソリン: 1.3/1.5/1.6L I4 ディーゼル: 1.5L I4 |
変速機 | 4/5速MT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,470mm |
全長 | 4,190mm |
全幅 | 1,600mm |
全高 | 1,360mm |
その他 | |
姉妹車 | アウディ・80 |
アウディ・80(初代)をベースに縦置きエンジンで前輪を駆動する。またフロントフェンダーやドアパネルなども同じ物が使用され、徹底したコストダウンを行った。
1977年、マイナーチェンジが施され、ヘッドライトが丸型2灯から丸型4灯式に変更された。翌1978年のマイナーチェンジではウレタンバンパーが採用され、フロントウインカーがバンパーからヘッドライト横に移された。ブラジル法人の「フォルクスワーゲン・ド・ブラジル」でも生産されたほか、日本へは全年式に渡ってヤナセが輸入を行っていた。
- 3ドア リア
- ヴァリアント
- ヴァリアント リア
2代目 B2(1981 - 1988年)
フォルクスワーゲン・パサート | |
---|---|
5ドア | |
ヴァリアント | |
概要 | |
別名 |
日産・サンタナ フォルクスワーゲン・コーサー/カラット/サンタナ/クァンタム |
製造国 |
ドイツ ブラジル 日本 中華人民共和国 南アフリカ共和国 メキシコ スペイン |
販売期間 | 1981 - 1988年 |
ボディ | |
ボディタイプ |
2/4ドアセダン 3/5ドアファストバック/ハッチバック 5ドアワゴン |
駆動方式 |
FF 4WD |
パワートレイン | |
エンジン |
ガソリン: 1.3/1.5/1.6/1.7/1.8/1.9/2.0/2.1/2.2L I4 ディーゼル: 1.6/1.8L I4 |
変速機 |
4/5速MT 3速AT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,550mm |
全長 | 4,435 - 4,540mm |
全幅 | 1,685 - 1,710mm |
全高 | 1,385 - 1,430mm |
その他 | |
姉妹車 |
アウディ・80 フォード・ヴェルサイユ/ロイヤル フォルクスワーゲン・サンタナ/クァンタム |
初代と同じくアウディ・80(2代目)をベースとしている。相変わらず縦置きエンジンであるが、1984年には4WDであるシンクロが追加されている。ボディ形式は3ドアが落とされ、5ドアハッチバックとヴァリアントがラインナップされていたが、1981年にはノッチバックのサンタナがデビューした。
日本ではゴルフが発売されて以降、ヤナセでのフォルクスワーゲン車の販売はゴルフが主力となっており、当代は正規輸入されなかったが、ヴァリアントのシンクロモデルが少数のみ並行輸入されている。
- ヴァリアント リア
3代目 B3 & B4(1988 - 1997年)
フォルクスワーゲン・パサート | |
---|---|
B3 セダン | |
B4 セダン | |
概要 | |
製造国 |
ドイツ スロバキア |
販売期間 | 1988 - 1997年 |
ボディ | |
ボディタイプ |
4ドアセダン 5ドアワゴン |
駆動方式 |
FF 4WD |
プラットフォーム | フォルクスワーゲン・Bプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン |
ガソリン: 1.6/1.8/2.0L I4 2.8/2.9L VR6 ディーゼル: 1.6/1.9L I4 |
変速機 |
4/5速MT 3速AT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,625 - 2,630mm |
全長 |
B3:4,575mm B4: 4,610mm(セダン) 4,600mm(ワゴン) |
全幅 |
B3:1,705mm B4:1,715mm |
全高 | 1,430 - 1,500mm |
その他 |
横置きエンジンへ改められ、アウディとの姉妹関係は解消された。グリルレスのフロントマスクが特徴で、サイドミラーの付け根部分のデザインまで空力に配慮している。ボディはハッチバックがラインナップから外れ、セダンもサンタナからパサートの呼称に統一、ヴァリアントとの2本立てとなる。ヤナセが輸入していたモデルのエンジンは当初2リットルDOHCモデルだけであったが、モデル末期に2.8リットルのVR6が追加されている。1988年6月には日産自動車とライセンス生産合意を発表。当初は日産サニー・プリンス販売会社でも併売されていた。途中からヤナセとフォルクスワーゲンとの提携が決裂し、ファーレン及びDUOでの販売となる。 B3はグリルレスのフロントであったが、市場には受け入れられずB4ではフロントグリルを持つものへと変更されている。このフロントグリルはハッピーフェイスと呼ばれ、1990年代後半のフォルクスワーゲンのデザインのスタンダードとなった。日本でのラインナップはヴァリアント(ワゴン)を主力に据えVR6とGLの2種、セダンがVR6のみと従来よりも整理された。
- B4 セダン リア
- B3 ヴァリアント
- B3 ヴァリアント リア
- B4 ヴァリアント
- B4 ヴァリアント リア
4代目 B5 & B5.5(1996 - 2011年)
フォルクスワーゲン・パサート | |
---|---|
B5 セダン | |
B5.5 セダン | |
概要 | |
製造国 |
ドイツ 中華人民共和国 |
販売期間 |
1996 - 2005年 2003 - 2011年(中国) |
ボディ | |
ボディタイプ |
4ドアセダン 5ドアワゴン |
駆動方式 |
FF 4WD |
プラットフォーム | フォルクスワーゲン・Bプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン |
ガソリン: 1.6/1.8/2.0L I4 2.3L VR5 2.8L V6 4.0L W8 ディーゼル: 1.9/2.0L I4 2.5L V6 |
変速機 |
5/6速MT 4/5速AT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,700mm |
全長 |
セダン: 4,675mm(B5) 4,705mm(B5.5) ワゴン: 4,670mm(B5) 4,680mm(B5.5) |
全幅 | 1,740mm |
全高 |
セダン:1,460mm ワゴン:1,490mm |
その他 | |
姉妹車 |
フォルクスワーゲン・リンユー シュコダ・スペルブ |
アウディA4 (B5)との姉妹関係が復活し、エンジンは再び縦置きとなった。当時VW全体で推し進められていたフェルディナント・ピエヒ主導による高級化路線によって、ボディデザイン、塗装やボディパネルの継ぎ目、各パーツの組み付け精度など内外装ともに品質が格段に向上した。当初のラインナップはアウディ製の5バルブヘッド・1.8リットルのターボと自然吸気(NA)の2種であったが、ライバルをより上級車に設定し、後にアウディの2.8リットルエンジンとクワトロを流用したV6シンクロが追加された。
2001年に大幅なマイナーチェンジが行われ(B5.5と呼ばれる)、外観デザインを大幅に変更し、クロームパーツの多用や新たに開発したW8エンジンの搭載などで更なる高級化へとシフトした。ベーシックグレードのアウディ製1.8リットルエンジンは自社製の2.0リットルエンジンに置き換わり、シンクロは4モーションと名称を改められ、ラインナップにはV5やW8 4モーションが追加された。
B5 Typ 3U にはこのほか、ホイールベースを2,803 mm、全長を4,803 mmに拡大し、後席居住性をより重視したシュコダ・スペルブ(2001 – 2008)と、中国国内向けに上海フォルクスワーゲンで製造されるフォルクスワーゲン・リンユー( Passat Lingyu )の姉妹車もある。
- B5.5 セダン リア
- B5 ヴァリアント
- B5 ヴァリアント リア
- B5.5 ヴァリアント
- B5.5 ヴァリアント リア
- 上海フォルクスワーゲン・パサート リンユー(Passat Lingyu)警車
5代目 B6 & B7(2005 - 2014年)
フォルクスワーゲン・パサート | |
---|---|
B6 セダン | |
B6 ヴァリアント | |
概要 | |
別名 | フォルクスワーゲン・マゴタン |
製造国 |
ドイツ 中華人民共和国 ロシア インド ウクライナ マレーシア |
販売期間 |
2005 – 2010 (B6) 2011– 2014 (B7) |
ボディ | |
ボディタイプ |
4ドアセダン 5ドアワゴン 4ドアクーペ |
駆動方式 |
FF 4WD |
プラットフォーム | フォルクスワーゲン・Bプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン |
ガソリン: 1.4/1.6/1.8/2.0L I4 3.2/3.6L VR6 ディーゼル: 1.6/1.9/2.0L I4 |
変速機 |
5/6速MT 6/7速AT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,710mm |
全長 |
セダン: 4,780mm(2005 - 2008) 4,765mm(2009 - 2010) 4,770mm(B7) ワゴン: 4,775mm(B6) 4,770mm(B7) |
全幅 | 1,820mm |
全高 |
セダン:1,475mm(B6) 1,490mm(B7) ワゴン:1,515mm(B6) 1,535mm(B7) |
その他 |
再び、アウディA4との姉妹関係を解消して5代目ゴルフとシャーシを共通化、横置きエンジンに改められたが、ボディは更に大型化された。パワーユニットもゴルフと共用、W8エンジンモデルは廃止され、日本市場には直列4気筒及びV型6気筒を投入。ワゴンの名称はヴァリアントに戻された。ハイパフォーマンスモデルであるR36は日本ではヴァリアントのみが導入された。
中国ではB5までは上海VWが製造・販売していたが、B6は一汽VWからマゴタン(Magotan )の車名で製造・販売されている。一方、上海VWはシュコダ・スペルブB5をベースにパサート領馭(Lingyu )という中国専用車を開発して販売している。
2008年1月にはデトロイト・ショーで、4ドアクーペ(クーペフォルムを持つ4ドアセダン)のパサートCC(CC)が派生車種として発表された。
2010年2月にヴァリアントのTSIコンフォートラインをベースとした特別仕様車「プライムエディション」が発売。外観には専用のフロント・リアスポイラーなどを採用し、トランスミッションは従来の6速ATから7速DSGに変更。足回りには専用のアルミニウムホイールとモビリティタイヤを特別装備された。また、R36は2009年モデルを最後に販売終了となった。
2010年のモンディアル・ド・ロトモビルにてB7を発表。ドイツ本国では同年よりデリバリーが開始された。ワルテル・デ・シルヴァによるVW車の統一デザインアイディンティティが導入された。
B7は北米地域には投入されず、代わりに後述のNMSが導入された。
2011年7月5日には一汽VWから中国仕様車が新型マゴタンとして発表された。ホイールベースがB7から100mm延長されて2,812mmとなっており、後部座席の居住性が向上されている[1]。
エンジン
NMS
2011年1月の北米国際オートショーにて北米向けパサートが発表された。開発コード「NMS」(New Midsize Sedanの略)として開発が進められてきた北米戦略車種となる中型セダンである。生産はアメリカ合衆国テネシー州チャタヌーガに建設された新工場にて行われる。エンジンは2.5リットル直列5気筒、3.6リットルVR6、2.0リットル直列4気筒ディーゼルの3種類。
また、NMSは中国でも上海VWにて製造されており、同年4月の上海モーターショーにて新型パサートとして発表された。エンジンは3種類のTSI(1.4リットル、1.8リットル、2.0リットル)が搭載される[2]。
- B6 ヴァリアント リア
- B7 セダン
- B7 セダン リア
- B7 ヴァリアント
- B7 ヴァリアント リア
- パサートCC
- NMS
6代目 B8(2015年 - )
フォルクスワーゲン・パサート | |
---|---|
B8(2014年) セダン | |
B8(2014年) ヴァリアント | |
概要 | |
別名 | フォルクスワーゲン・マゴタン |
製造国 | ドイツ |
販売期間 | 2015年 - |
ボディ | |
ボディタイプ |
4ドアセダン 5ドアワゴン |
駆動方式 |
FF 4WD |
プラットフォーム | フォルクスワーゲン・MQBプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン |
ガソリン: 1.4/1.8/2.0L I4 ディーゼル: 1.6/2.0L I4 |
変速機 |
5/6速MT 6/7速AT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,790mm |
全長 | 4,770mm |
全幅 | 1,830mm |
全高 |
セダン:1,455mm ワゴン:1,480mm |
車両重量 |
セダン:1,367–1,721kg ワゴン:1,394–1,735kg |
その他 |
8代目は新モジュラー戦略「MQB」に基づいて開発され、ドイツ本国を含むヨーロッパでは2014年にデリバリーを開始。欧州カーオブザイヤー2015に選出されている。
翌年の2015年7月16日に日本仕様車もフルモデルチェンジを発表し、同日より販売も開始した[3]。
8代目は更なる安全面の強化が図られており、既装備のエアバッグはニーエアバッグを追加して9エアバッグに強化したほか、エアバッグの効果を最適化する「プロアクティブ・オキュパント・プロテクション」を採用。また、助手席のフロントエアバッグには水素を用いた日本国内初認可となる新タイプのインフレーターを採用した。さらに、自動ブレーキに加えて停止後再発進の機能まで備えた最新世代のアダプティブクルーズコントロール「ACC」と車線維持支援システムの「Lane Assist」が連携した渋滞時追従支援システム「Traffic Assist」、レーダーとカメラを併用して前方を監視し、30km/h以下で走行している時には歩行者も検知可能なプリクラッシュブレーキシステム「Front Assist」、7代目ゴルフに初採用された衝突事故に遭遇した時にすぐに自動ブレーキを発動して衝突の反動に伴う2次衝突の被害を低減する「ポストコリジョンブレーキシステム」、安全な車線移行の為のレーンチェンジアシストシステム「Side Assist Plus」や後退時の事故防止のためのリアトラフィックアラートを標準装備した。
「MQB」の導入に伴って全面的に再設計され、全長をほぼ据え置いた一方、ホイールベースを80mm拡大したことで、前後のオーバーハングが短くなり、ノーズの比率が長くなったことで伸びやかでダイナミックなプロポーションを実現するとともに、室内長を33mm拡大した。フロントデザインは3本のクロームバーを渡したラジエターグリルと立体的造形のヘッドライト、中央のVWバッジで構成された。ラゲージスペースはISO測定法で、パサートは586リットル、パサートヴァリアントは650-1,780リットルと大容量とした。
パワートレインは先代同様、1.4リットルTSIエンジンを踏襲するが、こちらも「MQB」設計のオールアルミニウム製新世代ユニットとなり、アルミニウムクランクケースの採用による軽量化により、最高出力で28PS、最大トルクで50Nmそれぞれ向上したほか、軽負荷走行時に4気筒のうちの2気筒を休止させるアクティブシリンダーマネジメント(ACT)や先代から継続採用する「BlueMotion Technology」を採用したことでJC08モード燃費を20.4km/リットルに向上し、「平成32年度燃費基準+10%」を達成。既搭載のDSGは7速に多段化した。なおこのモデルからV型6気筒と直列5気筒が廃止され、エンジンは全て直列4気筒となった。
グレード体系はパサート・パサートヴァリアントともに、「TSI Trendline」・「TSI Comfortline」・「TSI Highline」・「TSI R-Line」の4グレードに細分化した。
2016年7月5日、ヴァリアントに日本専用の特別限定車「Voyage」を発売[4]。「TSI Comfortline」をベースに、通常はオプション設定となっている純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」(ETC2.0対応車載器付き)とLEDヘッドライトパッケージを標準装備したほか、Car Window Filmレギュラースモーク(リア/リア左右)も装備した。ボディカラーは7色を設定しており、250台の限定販売である。
同年9月6日、「R-Line」の改良モデルである「2.0TSI R-Line」を発売[5]。「R-Line」で搭載されていた1.4L TSIエンジンに替わり、ゴルフGTIと同じく最高出力162kW(220PS)、最大トルク350Nm(35.7kgm)を発生する高出力・高トルク仕様の2.0L TSIエンジンを新搭載したほか、アクティブシャシーコントロール「DCC」を標準装備した。外観はアルミホイールを19インチに大径化。内装は専用ナパレザーシート、アルミ調ペダルクラスター、レザーマルチファンクションステアリングなどのR-Line専用インテリアを採用。また、テレマティクス機能「Guide&Inform(ガイド&インフォーム)」やコネクティビリティ機能「App-Connect」で構成されたモバイルオンラインサービス「Volkswagen Car-Net」に対応した純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」を標準装備した。
同年11月22日に、セダン及びヴァリアントの一部改良を行った[6]。本改良で、「TSI Comfortline」は新たに「TSI Eleganceline」とグレード名を変更し、LEDヘッドライト(オートハイトコントロール、LEDポジションランプ、LEDターンシグナル付き)やアルカンターラ&レザーシート(シートヒーター付き)、アルミニウムデコラティブパネル、イージーオープン機能付きパワーテールゲート等の快適装備を追加。また、モバイルオンラインサービス「Volkswagen Car-Net」を「Discover Pro」とセットオプションで設定した。「TSI Highline」は、「TSI Eleganceline」の装備に加えアルミホイールが18インチにインチアップ、モバイルオンラインサービス「Volkswagen Car-Net」が標準装備になり、更にデジタルメータークラスター「Active Info Display」や駐車支援システム「Park Assist」等をセットにした「テクノロジーパッケージ」をオプション設定した。
2017年7月20日に、セダン及びヴァリアントの一部改良を行った[7]。本改良で、純正インフォテイメントシステムの機能向上(ディスプレイの大型化、ワイドFMの対応化、一部グレードに標準装備の「Discover Pro」はジェスチャーコントロール機能の追加など)を行ったほか、前進・後退時衝突軽減ブレーキ機能を追加した改良型のパークディスタンスコントロールとi-Size基準適応チャイルドシート固定装置(後席左右)を全グレードに標準装備した。
同年8月29日に、ヴァリアント限定車「TSI Eleganceline Tech Edition」を発売[8]。「TSI Eleganceline」をベースに、「Discover Proパッケージ」とカタロググレードでは「TSI Highline」以上にメーカーオプション設定されている「テクノロジーパッケージ」を標準装備したほか、ダイナミックコーナリングライトとヘッドライトウォッシャーも標準装備し、18インチアルミホイールを専用デザインに変更した。ボディカラーは「パイライトシルバーメタリック」と「マンガングレーメタリック」の2色を設定。各色150台ずつ、計300台の限定販売となる。
2018年2月14日に、ディーゼルターボモデル「TDI」を追加発売[9]。グレード体系はパサート・パサートヴァリアント共に「TDI Eleganceline」と「TDI Highline」の2グレードが設定される。
同年10月31日に、クロスオーバー4WDディーゼルモデル「Alltrack(オールトラック)」を追加発売[10]。外観はヴァリアントよりも車高が30mm高く、専用バンパーやホイールエクステンション、サイドシルを採用。内装では専用シートやアルミ調ペダルクラスターを採用した。さらに、ホイールロックのインターバルを制御するABSの調整、時速30km以下で急な下り坂に差し掛かった時に車速が一定になるように4輪全てでブレーキを自動制御する「ヒルディセントアシスト」、アクセルペダルの特性変更で構成されたオフロード走行向きの制御設定が可能な専用オフロードモードが搭載された。グレードは「TDI 4MOTION」と、ダイナミックコーナリングライト、ダイナミックライトアシスト、アラウンドビューカメラ「Area View」、駐車支援システム「Park Assist」、ヘッドライトウォッシャー、デジタルメータークラスター「Active Info Display」、ナパレザーシート、アダプティブシャシーコントロール「DCC」、電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」などを追加した「TDI 4MOTION Advance」の2種類が設定される。
2021年4月6日に、日本仕様車をマイナーチェンジ[11]。バンパー・ラジエーターグリル・リアの中央部分に移された「PASSAT」ロゴなど外観デザインが刷新され、内装は従来のアナログ時計に替わり、バックライト付の「Passat」ロゴが配され、インフォテイメントシステムやデジタルメータークラスターと同色に反映されるアンビエントライトが装備された。パワートレインはガソリンモデルに搭載のTSIエンジンを排気量1.4Lから1.5LのDPC型へ換装され、ディーゼルモデルはトランスミッションを7速DSGに変更された。また、フォルクスワーゲン初の運転支援システムが導入され、あらかじめ設定された車速内において前走車との車間及び走行レーンの維持をサポートし、高速道路などの長距離移動における安全性の向上と疲労軽減に寄与する同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」とフロントカメラで対向車や先行車を検知し、マトリックスモジュールに搭載されたLEDを個別制御して最適な配光を可能にするLEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」が全車に標準装備。インフォテイメントシステムは常時コネクティッドの新世代システムとなり、オンラインサービスの「We Connect」との組み合わせにより、渋滞情報の入手に加え、専用アプリによりスマートフォン上で窓の閉め忘れや駐車位置などの車両情報の確認やドアの解錠・施錠の操作も可能となった。ボディカラーはパサートとオールトラックに従来はバリアント専用だった「アクアマリンブルーメタリック」が追加された。グレード体系はパサートとパサートバリアントで刷新され、共通で「TSI Elegance」、「TSI Elegance Advance」、「TDI Elegance」、「TDI Elegance Advance」の4グレード設定し、バリアントには従来の「R-Line」をTDIモデルとして刷新された「TDI R-Line」も設定される。
2022年8月9日に、パサートヴァリアントとパサートオールトラックの日本仕様車を仕様変更(同月中旬以降順次出荷)。USB type Cポートの給電機能をUSB PD規格に対応。ボディカラーにグレイシアホワイト メタリックを追加設定した。また、原材料費等の急激な価格上昇に伴う工場出荷価格の上昇を受けて車両本体価格(メーカー希望小売価格)が改定され、グレードにより、パサートヴァリアントは17.54万円~21.68万円(10%相当の消費税込)、パサートオールトラックは20.7万円~22.3万円(10%相当の消費税込)それぞれ値上げされた。なお、パサートとパサートGTEヴァリアントは車両本体価格(メーカー希望小売価格)が据え置きとなった。
- B8(2014年) ヴァリアント リア
- B8(2019年) セダン
- B8(2019年) セダン リア
- B8(2019年) ヴァリアント
- B8(2019年) ヴァリアント リア
エンジン
パサートGTE
2016年6月7日に、「ゴルフGTE」に次ぐプラグインハイブリッドモデルとなる「パサートGTE」を発売[12]。セダン及びヴァリアントの双方に用意され、10万8千円のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費の適用が受けられる。
直列4気筒DOHC 1.4リッター直噴ターボエンジンにモーターを組み合わせたもので、EVモードでは国内のPHEVの中では最長となる51.7kmを実現。ハイブリッドモードではJC08モードで21.4km/Lの低燃費を、GTEモードでは0-100km7.4秒の加速を実現している。
エクステリアは青いGTEエンブレムとLEDヘッドライトからラジエーターグリルの上部に伸びる水平ライン、フロントバンパーの左右にレイアウトされたC字型のLEDヘッドランプを採用した。インテリアは、シフトノブにブルーステッチが与えられ、専用のレザー3本スポークマルチファンクションステアリングホイールなどを装備している。上位グレードのGTE Advanceではフォルクスワーゲンでは初となるデジタルメータークラスターの「Active Info Display」やヘッドアップディスプレイを採用した。アラウンドビューカメラ「Area View」、駐車支援システム「Park Assist」、ドライビングプロファイル、アダプティブシャシーコントロール(DCC)等も装備している。
安全面では、これまで提供されてきた各種安全システムを「Volkswagenオールイン・セーフティ」とし、「アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付き)」、「LaneAssist」、「プロアクティブオキュパントプロテクション」等を全車標準装備とした。
2017年8月29日に一部改良[13]。純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」の性能向上を行ったほか、パークディスタンスコントロールに前進・後退時衝突軽減ブレーキ機能を追加し、i-Size基準適合チャイルドシート固定装置(後席左右)を採用した。
2022年4月5日にマイナーチェンジ(同年4月14日発売)[14]。バッテリー容量を13kWhに増強されたことで、EV渡航可能距離を向上。2021年4月にマイナーチェンジされたパサートバリアント同様に外観デザインが刷新され、リアの「GTE」ロゴがCIの真下に配置された。また、同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」やLEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」も装備された。なお、半導体の供給不足などの影響により、同年内の供給量は50台程度となる見込みで、それ以降の受注分については2023年以降の出荷となる。
脚注
- “一汽-大众全新一代迈腾正式批量生产”. 一汽VW (2011年7月5日). 2011年7月18日閲覧。
- “NMS to be built by Shanghai-VW, to be called New Passat”. China Car Times (2011年3月21日). 2011年5月15日閲覧。
- (PDF)『フォルクスワーゲン「Passat」「Passat Variant」をフルモデルチェンジ』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社、2015年7月16日 。2015年7月16日閲覧。
- (PDF)『日本専用の特別限定車『Passat Variant Voyage』250台を発売』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社、2016年7月5日 。2016年7月7日閲覧。
- (PDF)『上級セダン&ワゴンの「Passat」に「2.0TSI R-Line」を設定』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社、2016年9月6日 。2016年9月8日閲覧。
- (PDF)『フォルクスワーゲン 『Passat』 シリーズの商品力を大幅に強化。内外装や機能装備を充実した「TSI Eleganceline」を新設定』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン、2016年11月22日 。2016年11月22日閲覧。
- (PDF)『フォルクスワーゲン 純正インフォテイメントシステムの機能を大幅に向上 先進装備の機能も拡張して「安全性」もさらに向上』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン、2017年7月20日 。2017年7月20日閲覧。
- (PDF)『ステーションワゴン『Passat Variant』限定車"TSI Eleganceline Tech Edition"販売開始』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン、2017年8月29日 。2017年8月31日閲覧。
- (PDF)『フォルクスワーゲン「Passat/Passat Variant」のTDIモデルを発売』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン、2018年2月14日 。2018年2月15日閲覧。
- (PDF)『フォルクスワーゲン 新型「Passat Alltrack」販売開始』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン、2018年2月14日 。2018年2月15日閲覧。
- “フォルクスワーゲン パサートシリーズがマイナーチェンジで、ガソリンエンジンを1.5Lターボに刷新”. WEBモーターマガジン (2021年4月6日). 2021年4月8日閲覧。
- (PDF)『フォルクスワーゲン プラグインハイブリッド(PHEV)モデル第2弾「Passat GTE」シリーズ販売開始』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社、2016年6月7日 。2016年6月7日閲覧。
- (PDF)『フォルクスワーゲン プラグインハイブリッド『Passat GTE』シリーズ一部仕様変更』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社、2017年8月29日 。2017年8月31日閲覧。
- “VWのPHEVワゴン『パサート GTE ヴァリアント』発売、バッテリー3割増強 年内供給は約50台のみ”. Response. (2022年4月5日). 2022年4月7日閲覧。