ネプチューンオオカブト
ネプチューンオオカブトまたはネプチューンオオカブトムシ(学名Dynastes neptunus)は、コウチュウ目(鞘翅目)・コガネムシ科・カブトムシ亜科・真性カブトムシ族・ヘラクレスオオカブト属に分類される昆虫(カブトムシ)の一種である[1]。世界最大のカブトムシであるヘラクレスオオカブトに次ぐ、2番目に大きい種として有名である[1]。種小名はローマ神話の海神ネプチューンに由来する[1]。
ネプチューンオオカブト | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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飼育下でのネプチューンオオカブト(エクアドル産♂、144mm) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Dynastes neptunus (Quensel, 1817) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ネプチューンオオカブト | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
neptunus beetle |
概要
カブトムシ類では同属のヘラクレスオオカブトに次ぐ大型種であり、体長に比して、頭角・胸角共に非常に細長く(大型の♂では体長の2分の1ほどの長さの胸角と頭角を持つ[2])、胸角下部にはオレンジ色の毛がブラシ状に密生し[2]、頭角は全ての甲虫類で最長で、胸角基部にも2本の角状の突起がある(これはヘラクレスオオカブト属の中で最長である)[1]。頭角には1本のやや長い突起と、鋸歯状の小突起が並ぶ[1]。体色は光沢のある漆黒色[1]。
体長は♂80mm - 165mm、♀50mm - 73mmで、♂の体表面は平滑で光沢がある[2]。中脚・後脚の爪は湾曲が極端に強い。なお、飼育下での確認されている最大数値(ギネス個体)はむし社(本社・東京都中野区)の調査によれば飼育下では2022年現在、157.3mmである。
生態
アンデス山脈(コロンビア、エクアドル、ペルー北部)の熱帯雨林に断続的に分布する[1]。生態はあまり報告されていないが、Thierry Porionのエクアドルでの夜間採集談によると、「本種はほとんど常に深夜から早朝にかけてしか灯火に飛来せず、こういった理由が、本種を長い間珍種とさせていた理由かもしれない」とのことである[1]。
幼虫は朽木や腐葉土の中で2年半 - 3年程かけて成長する[1]。
また、大型カブトムシ全般に共通する特徴として、本種も羽化後は成熟までに3 - 6ヶ月ほどの期間を要する[1]。
争いをあまり好まない大人しい性質。また、ヘラクレスに比べて脚が短いため木にしがみつく力はやや弱い。が、いざとなったときは勇敢に戦い、ヘラクレスやコーカサスオオカブト、アクティオンゾウカブトと言った世界最強クラスのカブトムシ類にも引けを取らない戦闘能力を発揮する。
ヘラクレスオオカブトのような相手を掴んで投げ飛ばす戦いはあまり得意ではなく、長い頭角を活かして相手を突き上げる戦いが得意。これで体重の軽いカブトムシやクワガタムシは吹き飛んでしまうことが多い。
成虫は樹液や腐った果実を好み、それらを求めて地上を移動する[1]。成虫の寿命もヘラクレスオオカブトに次いで長く、半年から1年近く生きる個体もいる[1]。
ヘラクレスオオカブト同様雨が降った後に活動が活発になり、灯火にもよく飛来する。現地には四季がないため一年を通して見られるが、野生個体は5月、6月に日本に入荷することが多い[1]。
飼育
基本的にはヘラクレスオオカブトと変わりないが、高地性のカブトムシ全般に共通の傾向として、幼虫・成虫共に平地性種より更に暑さに弱い[1]。飼育温度は18 - 24℃が勧められる[1]。
幼虫期間がヘラクレスオオカブトよりも長く、羽化までに2年半 - 3年程を要する[1]。餌に対する嗜好も異なり、日本のカブトムシよりも発酵の進んだ餌を好む[1]。蛹室はヘラクレスオオカブトと違って気温が影響してくる[1]。また、オス幼虫は蛹の大きさ・形状に合わせて横に長い蛹室を形成するため、飼育容器の大きさや形にも考慮する必要がある[1]。
ローチオオカブト(ベネズエラ産亜種)
ベネズエラ産のものはローチオオカブト(学名Dynastes neptunus rouchei、体長は♂56.8mm - 130.3mmと基亜種より若干小型[1])と呼ばれ本種の亜種と位置付けられている[1]。♂の上翅の位置はより長く、毛列の位置は会合部、会合部より4分の1及びほぼ中央及び3か所に備え、毛列は会合部の物ほど長い[1]。♀は原名亜種と異ならない[1]。2016年6月に日本国内に初入荷した。またネプチューンよりも若干高温でも問題ないようである。
参考文献
脚注
- 『BE-KUWA』No.18
- 『BE-KUWA』No.58