ダブル立直
ダブル立直(ダブルリーチ)とは、麻雀における役のひとつ。親は配牌、子は第1ツモの時点でテンパイし、第1打で立直した場合、通常の1翻ではなく2翻として計算する。ただし、第1打の前の自家による暗槓または他家によるチー・ポン・カンが入っていた場合は、第1打でのリーチ宣言でもダブル立直にはならず、通常のリーチとして扱われる。
二重立直、W立直、両立直とも表記される。いずれも読みは「ダブルリーチ」で、略してダブリーと言う場合が多い。関西では「リーチリーチ」を略してリーリーと呼ばれる場合もある。
概要
親の配牌または子の第1ツモの時点でテンパイすることは稀であり、あまり頻繁にお目にかかる役ではない。
(例) の配牌から、第一ツモでテンパイ、打でダブル立直。
上の例のように第1打の時点で両門待ちになっているものならば、多くの場合迷わずダブリーを打つことになる。
しかし、テンパイはしていても待ちが充分形になっていることは少なく、下の例のように手作りをしたほうが高得点を狙える場合など、局面や期待値によってはダブリーをかけない選択肢もありうる。
(例) 第一ツモ ドラ表示牌
かいずれかの単騎待ちでテンパイを取れる牌姿だが、どちらも既に(ドラ表示牌も含めて)2枚ずつ使っており充分形とは言い難い。とりあえずの単騎に取り、両門以上の待ちに変化することを見込んで、あえてダブリーをかけない戦略を取ることは十分に考えうる。を残すならドラの引きに対応でき、を残すならツモでタンヤオ確定の三門張、ツモで高目一盃口の両門待ちになる。暗刻のまわりを引けば、高目三色の変則三門張にもなる。をツモ切ってテンパイ取らずとする手もあるが、その場合は三色になる牌を引いた時に一手遅れになる。
天和・地和のチャンスを逃した結果ダブリーとなる場合もある。開始時の13枚配牌時点でテンパイとなる時点で確率は4人打ちの場合、親が1433分の1、子が12319分の1であり、そこから和了牌を引いて天和・地和となる確率は更に低く天和の場合で約33万分の1である。[注釈 1]
初巡の途中流局とダブルリーチが同時に発生した場合
チー・ポン・カンのない純粋な初巡に、例えば南家がダブルリーチを掛け、そのあとに西家あるいは北家が九種九牌を宣言した場合、九種九牌が優先されて流局となる。すなわち、ダブルリーチが掛かっていても途中流局が優先される。[1][2]
四風連打についても同様である。例えば、東家が南を切り、南家が南を切ってダブルリーチ、そのあと西家と北家も南を切った場合、ダブルリーチと四風連打が同時に成立しているが、四風連打が優先されて流局となる[1][3]。ダブリーをかけた者の出したリーチ棒は供託となる[3]。
そのあと親の連荘になるか親流れになるかは連荘#流局と連荘に関わる細目ルールの採用状況を参照。
歴史
戦前のアルシーアル麻雀のルールでは、現在のダブル立直に当たるものは単に「立直」と呼ばれていた[4][5]。この時代、立直は配牌の時点でしか宣言できず、現在の立直に当たる役は存在しなかった。ところが、局の途中でもテンパイを宣言できる「途中リーチ」のルールが考案され、これが現在の立直として爆発的に広まると、「立直」という語は初巡リーチではなく途中リーチのほうを指すようになった。この途中リーチと区別するため、もともとの立直は「ダブル立直」と呼ばれるようになった。名称については、途中リーチの2倍で2翻とすることからダブル立直になったという説と、本来のリーチと途中リーチが重なった役であることからダブル立直になったという説がある。
脚注
注釈
- 地和の場合、他家のポン・チー・カンが入らない事が条件であるため確率の正確な算出は不可能であるが、原則は天和と同じ確率である。
出典
- Maru-Jan. “ルール”. 2013年4月12日閲覧。九種九牌と四風連打についての注記に「ダブルリーチが入った場合も成立」と明記されている。
- 井出洋介監修『平成版 麻雀新報知ルール』報知新聞社、1997年。ISBN 9784831901187。p136-p137。
- 井出洋介監修『平成版 麻雀新報知ルール』報知新聞社、1997年。ISBN 9784831901187。p138-p139。
- 田辺竹三郎『麻雀の遊び方』、1925年。72ページ。
- バビロン(馬場裕一)『麻雀手役大事典』毎日コミュニケーションズ、2002年。ISBN 4839908672。p179、「現行のルールにおけるダブルリーチこそが現在のリーチの原形で、元々はリーチといえばダブルリーチのことであった」「今で言うリーチはかつては途中リーチと呼ばれていた」とある(大意)。