タンジェ=カサブランカ高速鉄道

タンジェ=カサブランカ高速鉄道(LGVモロッコ)は、モロッコ高速鉄道である。2018年11月15日に開業したアフリカ初の高速鉄道である。ムハンマド6世からアル・ブラクと名付けられた。

運航車両のONCF Alstom RGV2N2(タンジェ、2018年11月)
モロッコの鉄道網

概要

カサブランカからケニトラを経てタンジェまでを結ぶこの高速鉄道新線は、モロッコ国鉄 (ONCF) が2005年に立案した、20年以上をかけてモロッコ各地に1500kmもの高速鉄道網をはりめぐらせようという野心的な計画の一部分である。このTGVMと呼ばれる計画は、カサブランカとウジダとの間を3時間以内で結ぶマグリブ線 (600km) と、タンジェからカサブランカを経てアガディールの間を4時間以内で結ぶモロッコ大西洋線 (900km) との2つの路線で構成される。タンジェとカサブランカの間 (350km) はこのうちのモロッコ大西洋線の最初の段階である。
さらに、ジブラルタル海峡海底トンネルを設け、アフリカヨーロッパとを鉄道で連結し、高速鉄道でモロッコのラバトからスペインマドリードまでを4時間で、ラバトからフランスパリまでは8時間で結ぼうという基礎的な研究がなされている。当初はスペイン側はタンジェからアルヘシラス、アンテケラ、マドリードを結ぶ路線が考えられていたが、カディスセビリアとの間に150kmの高速鉄道を敷き、マドリードとセビリアとの間は、1992年の万博にあわせて作られたスペイン最初の高速鉄道を代わりに用いる案が有力である。
タンジェとケニトラとの高速新線計画の第一の目的は、モロッコの海沿いで2つの中心地をなす大西洋岸のカサブランカ港と、地中海岸のタンジェ・メッド港 (およびその周辺のビジネスゾーン) を結ぶことである。将来はマグリブ諸国の2つの大都市であるカサブランカとアルジェを4時間で結び、さらにはチュニストリポリまでをも結ぶ構想もある。

沿革

2007年に、タンジェとケニトラ間の最初の高速鉄道に関する覚書に署名がされた。2010年には計画の最終契約が署名された。高速車両はアルストムからTGVを購入することになった。2011年には 初期設計と最終的なルートの評価され、9月29日に路盤が着工された。

路線

タンジェとカサブランカ間の高速新線の総延長は350kmであり、大西洋岸に沿っている。第1期区間はタンジェとケニトラ間の200kmであり、2014年の完成と試運転を目指して建設中である。旅客営業開始は2015年12月を予定しており、タンジェとカサブランカ間の所要時間は当面、2時間10分となる予定である。
ケニトラとカサブランカとの間は在来線 (標準軌間) に乗り入れる。ケニトラ以南は当初は、アルストムが提供する高速車両にあっては220km/hが許容される。

モロッコの鉄道事業者であるONCFの選択次第で、第2期のケニトラとカサブランカ間の高速新線への置き換えが2020年に実現したとすれば、この区間も320km/hから350km/hで走行できるようになる。タンジェとカサブランカとの間が1時間半に短縮されれば、ふつうに通勤できる所要時間になるといえる。ラバトとカサブランカへは新駅の設置を計画している。

車両

開業初期の5年間で急速に増加すると見られる輸送量に見合うように、2階建ての車両が選択された。 この路線のために製作される高速車両TGV 2N2は、モロッコの気候に適応しているほか、架線電圧が直流3000Vの在来線に乗り入れるために交流25kVとの2電源に対応している。潜在的な最高速度は350km/hである。

参考

関連項目

外部リンク

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