スラブ (プレート)
概要
大陸プレートの下に沈み込んだ海洋プレートを「スラブ」という。「スラブ」とは「平たい板」という意味であり、沈み込むプレートが平たい板状になっていることからこの名で呼ばれる[3]。スラブの実態については、主に深発地震の震源分布などから推定されている[1]。スラブは周囲のアセノスフェアよりも温度が低く、地震波速度が異常になる領域である。なお、上部マントル中で沈み込みが停滞したスラブを「スタグナントスラブ (stagnant slab)」という[4][1]。
スラブ内地震
「スラブ内地震」とは、「プレート内地震」ともいい、沈み込むプレートの内部で起こる地震をいう[3]。
日本付近では、東北日本の太平洋側から西に向かって太平洋プレートが沈み込み、西南日本の太平洋側から北に向かってフィリピン海プレートが沈み込んでいる[3]。この海洋性プレートが沈み込んでいる地域で起こる代表的な地震として、スラブ内地震のほかに、海洋性プレートと日本列島が乗っている上盤側のプレート境界がずれる「プレート間地震」、上盤側のプレート内部で起こる地震の3つがある[3]。プレート境界地震の代表例が2011年の東北地方太平洋沖地震、上盤側のプレート内部で起こる地震の代表例が1995年の兵庫県南部地震などである[3]。
プレートに曲げの力が加わり、プレートが破断するのがスラブ内地震である。スラブ内地震は、プレート境界地震のように、同じような領域が繰り返し破壊されるような周期性は確認されておらず、プレート内部のどこで起きるのか予測するのが難しい[3]。プレート境界地震に比べて規模は小さいものが多いが、場合によっては大きな被害を出すこともある。代表例として1994年の北海道東方沖地震などがある。1933年の昭和三陸地震は、日本海溝より東側で起きたスラブ内地震と考えられている[3]。また、1993年の釧路沖地震などは、太平洋プレート内の約100kmの深さで起きた地震である。スラブ内地震は、プレートの中、深さほぼ0kmから約700kmまで、非常に広い範囲で起こりうる地震である[3]。
脚注
- “スラブとは”. コトバンク. 2021年7月10日閲覧。
- Conrad, C. P.. “How Mantle Slabs Drive Plate Motions”. 2011年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月24日閲覧。
- “スラブ内地震”. www.jishin.go.jp. 地震調査研究推進本部(一部改変). 2021年7月10日閲覧。
- “スタグナントスラブ”. イミダス. 2023年3月20日閲覧。