ジパング (鉄道車両)
ジパング[1]は、かつて東日本旅客鉄道（JR東日本）が2012年（平成24年）から2021年（令和3年）まで保有していた鉄道車両（電車）で、ジョイフルトレインと呼ばれる車両の一種である。
本項では「ジパング」を使用して運行された臨時列車群についても記述する。
概要
「東北地方の歴史と自然」と2011年（平成23年）に世界遺産に登録されたばかりの「平泉」への期待をデザインした、「落ち着き」「重厚感の中にあるさりげない煌きらびやかさ」をテーマとするジョイフルトレインである。2012年（平成24年）4月から6月まで開催された「いわてデスティネーションキャンペーン」に合わせて同年4月1日より運行を開始した[2]。
2021年10月10日の団体専用列車をもって運行を終了した[3]。 運用終了後は郡山車両センターに廃車回送され、2022年2月までに4両すべての解体が完了した。
車両
485系電車を種車とする4両編成である。2012年に郡山総合車両センターで改造工事を施工し[4]、盛岡車両センターに配置された。
| ジパング | ← 一ノ関 盛岡 →
| |||
|---|---|---|---|---|
| 号車番号 | 1 | 2 | 3 | 4 |
| 車両番号 | クハ485-704 （旧クロ485-4） |
モハ485-3014 （旧モハ485-1014） |
モハ484-3014 （旧モハ484-1014） |
クハ484-704 （旧クロ484-6） |
| 車内 | 展望車 | 普通車 | 普通車 | 展望車 |
- 1・4号車は、「リゾートやまどり」への改造で余剰となっていた高崎車両センター所属のお座敷列車「やまなみ」の先頭車であるクロ485-4・クロ484-6が種車。普通車化の上で視認性向上のため上部に前照灯を増設したほか、保安装置はATS-Psを、床下には容量160kVAの電動発電機（MG）と空気圧縮機を搭載する。また台車はTR69H形を装着する。
- 2・3号車は、1998年に3000番台化改造を施工された青森車両センター所属のモハ485-3014・モハ484-3014が種車。側面方向幕を撤去してサボ受けを新設し、車内では座席モケット・床・化粧板などを張り替えるなどの再改造を受けた。
このため先頭車2両は屋根をドーム状とし冷房装置はAU714形集約分散式を車端部屋根上に搭載するが、中間車2両はモハ485-3014がAU13EN形分散式を5基、モハ484-3014がAU71A形集中式を搭載するなど、構体には違いがある。
塗装は黒色を基調とし、先頭車には華やかさと雄大な自然をイメージした金と緑で「ジパング」のロゴマークが描かれる[5]。
1号車
クハ485-704
2号車
モハ485-3014
3号車
モハ484-3014
4号車
クハ484-704
展望室
展望車車内
普通車車内
デッキ部分
運用
いわてデスティネーションキャンペーン開催中は盛岡 - 一ノ関間で「平泉世界遺産号」のほか、一ノ関 - 水沢間の「世界遺産リレー号」や一ノ関 - 北上間の「展勝地さくら号」にも充当された[6]。
キャンペーン終了後は、盛岡 - 一ノ関間の「ジパング平泉」が中心的な運用となった。また2017年からは毎年4月上旬の土日に仙台支社へ貸し出され「ジパング花めぐり号」として仙台 - 郡山間で運転されていた。また年末の忘年会シーズンに盛岡 → 一ノ関間で運行される｢ジパング忘年ライナー｣も2019年まで設定されていた。
東北各地の団体臨時列車や盛岡支社内の臨時列車としての運行実績もある[1]。
ジパング平泉
いわてDC終了後の本車両の基本運用で、「のってたのしい列車」時代のホームページにもこの列車が記載されていた[7]。2021年9月26日に運行を終了した[3]。
主に土休日に設定され、1日2往復の運転であった。1・4号車が指定席、2・3号車が自由席となっていた。
ジパング忘年ライナー
2014年から、毎年12月下旬の数日間に設定されていた。盛岡発の片道1本で、1号車のみ指定席であった[8]。
毎年運行されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大もあって2019年の運行が最後となった。
脚注
- “新ジョイフルトレイン愛称決定！” (PDF). JR東日本 盛岡支社 (2012年2月18日). 2012年3月4日閲覧。
- “「ジパング」が営業運転を開始”. 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース (2012年4月3日). 2012年4月3日閲覧。
- “「ありがとうジパング」旅行商品発売のお知らせ” (PDF). 東日本旅客鉄道盛岡支社 (2021年8月31日). 2021年8月31日閲覧。
- “485系「ジパング」が出場”. 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース (2012年3月29日). 2012年3月30日閲覧。
- “新ジョイフルトレイン ジパング編成ロゴマーク決定” (PDF). JR東日本 盛岡支社 (2012年3月13日). 2012年3月16日閲覧。
- “「ジパング」編成が岩手の観光を盛り上げる！！「世界遺産リレー号」「展勝地さくら号」の運転について” (PDF). JR東日本 盛岡支社 (2012年3月13日). 2012年3月16日閲覧。
- “ジパング”. JR東日本 盛岡支社. 2018年3月16日閲覧。
- “忘年会帰りに便利､使える深夜の｢臨時列車｣”. 東洋経済オンライン. (2018年12月11日). p. 4 2021年10月29日閲覧。
- “春の臨時列車のお知らせ” (PDF). JR東日本 仙台支社 (2021年1月21日). 2021年4月5日閲覧。
外部リンク
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