コールド・ターキー
「コールド・ターキー」(英語: Cold Turkey、邦題:冷たい七面鳥)は1969年にジョン・レノン率いるプラスティック・オノ・バンドの第2弾シングルとして発表された曲である。
「コールド・ターキー」 | ||||
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プラスティック・オノ・バンド の シングル | ||||
初出アルバム『シェイヴド・フィッシュ〜ジョン・レノンの軌跡』 | ||||
B面 |
京子ちゃん心配しないで (Don't Worry Kyoko (Mummy's Only Looking for a Hand in the Snow)) | |||
リリース | ||||
規格 | 7インチシングル | |||
録音 |
1969年9月30日 EMIレコーディング・スタジオ | |||
ジャンル |
ハードロック[1] ブルースロック[2][3] | |||
時間 | ||||
レーベル | アップル | |||
作詞・作曲 | ジョン・レノン | |||
プロデュース |
ジョン・レノン オノ・ヨーコ | |||
チャート最高順位 | ||||
プラスティック・オノ・バンド シングル 年表 | ||||
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概要
前作「平和を我等に」はクレジットがビートルズ時代から使用していたレノン=マッカートニー名義であったが、本作はレノン単独の名義で発表された初の作品となり、以後も個人名義で自身の作品を発売した。B面はオノ・ヨーコの楽曲「ドント・ウォーリー・キョーコ」(邦題は「京子ちゃん心配しないで」)。
本曲は1969年9月30日、エリック・クラプトンやリンゴ・スター等と共にロンドンのEMIレコーディング・スタジオ第2スタジオでレコーディングが行われ、50テイク以上を繰り返した末にレコーディングされた[7]。
しかし、レノンは1980年、本曲のギターをクラプトンではなく、チープ・トリックのギタリストであるリック・ニールセンに演奏してほしかったと語っていたとのこと[8]。
本作のタイトルの直訳は邦題通り「冷たい七面鳥」となるが、スラングで「(ヘロインなど薬物中毒の)禁断症状」 といった意味がある。アシスタントのピーター・ブラウン (アシスタント)による著書によると、本曲はレノンとヨーコのヘロインによる禁断症状から「想像力の爆発」で書かれたものとされている[9]。
しかし、1970年代後半にレノンの秘書を担当していたフレッド・シーマンはこの説を否定、レノンとヨーコがクリスマスでの食べ残しを「禁断症状」で食べた後、重度の食中毒を患ったことをテーマにしていたとレノンから打ち明けられたという[9]。しかし、レノンは曲の制作経緯を話すと笑われると考え、制作のきっかけをヘロインの禁断症状という理由に変更したとのこと[10]。
レノンは本曲をビートルズの楽曲として発売しようと考え、アルバム『アビイ・ロード』制作後、メンバーに提案を行ったがメンバー全員から「冗談じゃない」と反対されたため[7]、プラスティック・オノ・バンドの楽曲として発表せざるを得なかったと語っている[9]。
レノン以外の3人は本曲をドラッグ・ソングと解釈し、ビートルズ名義での作品発表を断ったとみられている。誤解は広がり、本曲が発売された際に「ドラッグ・ソングであること」を理由にBBC等の英米の放送局で放送禁止曲としての指定を受けてしまった。しかし、そうした指定を受けながらも本作は英米のチャートで最高14位にランクインするまでのヒット作品となった。
なおレノンは本作が発表された1969年にMBE勲章を英国王室に返上しているが、その理由のひとつに、本曲のヒットチャート順位が下がりつつある事を挙げていた。
アートワーク
オリジナルのバージョンにおいては、レントゲンの画像に眼鏡をかけたレノンの頭部が描かれている。ヨーロッパの数か国では、レノンとヨーコのレントゲン写真をジャケットの表裏ではなく、横に並べているスリーブが発行された。日本盤においては、両者のカラー写真を縮小して収録している。
ライブ・パフォーマンス
本曲は1969年9月13日にカナダのトロントで開催されたロック・フェスティヴァルでクラプトンらと共にプラスティック・オノ・バンドとして初披露され、ライヴ・アルバム『平和の祈りをこめて』にも収録された。
また、1972年8月30日には、マディソン・スクエア・ガーデンで開催された知的障害を持つ子供のためのチャリティー・コンサート『ワン・トゥ・ワン・コンサート』にて、本曲が改めて披露[11]、この模様は1986年に発売されたライブ・アルバム『ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ』や同名の映像作品に収録されている[11]。
チャートパフォーマンス
Chart (1969) | Peak position |
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Canadian RPM Singles Chart[12] | 30 |
Dutch Top 40[13] | 39 |
UK Singles Chart[14] | 14 |
Chart (1970) | Peak position |
US Billboard Pop Singles[15] | 30 |
US Cashbox Top 100[16] | 32 |
クレジット
- ジョン・レノン- リード・ボーカル、バッキング・ボーカル、リードギター、リズムギター
- エリック・クラプトン - リードギター
- クラウス・フォアマン - ベース
- リンゴ・スター - ドラムス
収録アルバム
カバー
脚注
- David Luhrssen; Michael Larson (2017-02-24). Encyclopedia of Classic Rock. ABC-CLIO. p. 209. ISBN 978-1-4408-3514-8
- Richie Unterberger (25 October 2014). The Unreleased Beatles: Music and Film (Revised & Expanded Ebook Edition). BookBaby. p. 919. ISBN 978-0-9915892-6-5
- Doyle Greene (2016-03-02). Rock, Counterculture and the Avant-Garde, 1966–1970: How the Beatles, Frank Zappa and the Velvet Underground Defined an Era. McFarland. p. 63. ISBN 978-1-4766-2403-7
- “JOHN LENNON | Artist”. Official Charts. 2019年1月1日閲覧。
- “Allmusic - John Lennon - Billboard Singles”. 2019年1月1日閲覧。
- “De Nederlandse Top 40, week 50, 1969”. 2019年1月1日閲覧。
- Noyer, Paul Du (2010). “John Lennon/Plastic Ono Band”. John Lennon: The Stories Behind Every Song 1970–1980 (Rev. ed.). London: Carlton Books Ltd.. p. 27. ISBN 978-1-84732-665-2
- “ジョン・レノン、“Cold Turkey”のギターをエリック・クラプトンではなくチープ・トリックのリック・ニールセンに弾いてほしかったと後悔”. rockin'on.com (2021年4月9日). 2022年7月30日閲覧。
- Brown, Peter. The Love You Make: An Insider's Story of The Beatles. McGraw-Hill, 1983. New American Library, 2002. 331.
- Seaman, Frederic. (1991). The Last Days of John Lennon: A Personal Memoir.
- Madinger, C. & Easter, M. (2000). Eight Arms to Hold You. 44.1 Productions. pp. 36, 39, 79–84. ISBN 0-615-11724-4.
- “Top Singles - Volume 12, No. 19, December 27, 1969”. RPM. オリジナルの21 October 2012時点におけるアーカイブ。 2011年2月7日閲覧。.
- “De Nederlandse Top 40, week 50, 1969”. 2008年5月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月5日閲覧。
- “JOHN LENNON | Artist”. Official Charts. 2013年3月24日閲覧。
- “Allmusic - John Lennon - Billboard Singles”. 2008年12月5日閲覧。
- Blaney, John (2005). John Lennon: Listen to This Book (illustrated ed.). [S.l.]: Paper Jukebox. p. 326. ISBN 978-0-9544528-1-0
- Murphy, Kevin: "The vampire diaries"; Classic Rock #216, November 2015, p33