ウォータールー橋 (モネ)

ウォータールー橋は、クロード・モネ1900年から1904年にかけてのロンドン滞在中に、ウォータールー橋を題材に描いた油彩画の連作である。チャーリング・クロス橋国会議事堂の連作と共に『ロンドン』連作を形成している。

『ウォータールー橋、ロンドン』
フランス語: Le Pont de Waterloo
『ウォータールー橋、ロンドン』(W1594)[1]
作者クロード・モネ
製作年1902年
種類油彩キャンバス
寸法65.7 cm × 100.5 cm (25.9 in × 39.6 in)
所蔵国立西洋美術館東京

解説

普仏戦争から逃れるため、モネは1870年にロンドンを初めて訪れた[2]。モネはロンドンに魅了され、将来この都市へ再び訪れることを決めたのである。モネは産業革命の産物であるロンドンのスモッグに初めて関心を示したとされる一方で[3]、同様にロンドンの空気やその影響に関心を示したジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナージェームズ・マクニール・ホイッスラーといった画家から影響を受けていることが指摘されている[3][4]。モネは1899年にロンドンへ戻るとサヴォイ・ホテルの一室を借り、ホテルの部屋から見える素晴らしい眺望を連作として描き始めた[2]

その後、1899年から1905年にかけてモネは定期的にロンドンを訪れ絵画を描いた[2]。ウォータールー橋を繰り返し描くだけでなく、国会議事堂やチャーリング・クロス橋も含めたロンドンの様々な光景を描いたのである。絵画すべてをロンドンで描き始めていた一方で、絵画の多くはジヴェルニーにあるモネのアトリエで完成されている。

一覧

油彩画

画像作品名ウィルデンシュタイン番号制作年寸法(cm)所蔵先備考
ロンドン、ウォータールー橋w.15551900年65.4 x 92.7サンタバーバラ美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタバーバラ[5]
ウォータールー橋、曇りの天候w.15561900年65×100ダブリン市ヒュー・レーン美術館
アイルランドの旗 アイルランドダブリン[6]
ウォータールー橋、灰色の天候w.15571900年65.4 x 92.6シカゴ美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ[7]
ウォータールー橋、曇り日w.15581901年65 x 100.5サントリーコレクション
日本の旗 日本
ウォータールー橋、靄の天候w.15591901年65.7 x 100.2フィラデルフィア美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィア[8]
ウォータールー橋、靄の朝w.15601902年65 x 100ハンブルク美術館
ドイツの旗 ドイツハンブルク[9]
ウォータールー橋、灰色の天候w.15611903年65 x 100オードロップゴー美術館
 デンマークコペンハーゲン
ウォータールー橋、灰色の天候w.15621903年65.0 x 101.5ベルン美術館
スイスの旗 スイスベルン[10]
C.グルリット旧蔵
ウォータールー橋、曇りの天候w.15631904年65 x 99.4個人蔵[11]
ウォータールー橋、夕暮れw.15641904年65.7 x 101.6ナショナル・ギャラリー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ワシントンD.C.[12]
ウォータールー橋、太陽の効果w.15651903年63.5 x 98.4デンバー美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国コロラド州デンバー[13]
ウォータールー橋、煙のある太陽の効果w.15661903年66 x 101ボルチモア美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア[14]
ウォータールー橋、太陽の効果w.15671903年73.8 x 98.1ミルウォーキー美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ウィスコンシン州ミルウォーキー[15]
ウォータールー橋w.15681903年65.4 x 92.9ウースター美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウースター[16]
ウォータールー橋、灰色の天候w.15691903年65.1 x 100ナショナル・ギャラリー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国、ワシントンD.C.[17]
ウォータールー橋、曇天、煙w.15701904年65 x 100個人蔵
日本の旗 日本
ウォータールー橋、灰色の天候w.15711904年65 x 92個人蔵
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ウォータールー橋、靄の中の太陽の効果w.15721904年73 x 92個人蔵
ウォータールー橋、靄の中の太陽の効果w.15731903年73.7 x 100.3カナダ国立美術館
カナダの旗 カナダオンタリオ州オタワ[18]
ウォータールー橋w.157465 x 81個人蔵
ウォータールー橋w.15751899-1903年65.4 x 81.1デイビス美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウェルズリー[19]
ウォータールー橋w.157660 x 73個人蔵
ウォータールー橋、霧の中の太陽の効果w.15771902年65 x 92個人蔵
ウォータールー橋w.157865.0 x 82.0松下美術館
日本の旗 日本鹿児島県霧島市[20]
ウォータールー橋w.157965 x 81個人蔵
ウォータールー橋、霧の効果w.15801903年65.3 x 101エルミタージュ美術館
ロシアの旗 ロシアサンクトペテルブルク[21]
ウォータールー橋w.15811902年65 x 100チューリッヒ美術館
スイスの旗 スイスチューリッヒ
ウォータールー橋、霧の効果w.15821904年65.2 x 100.7個人蔵[22]
ウォータールー橋、薔薇色の効果w.15831904年65.5 x 92.7ナショナル・ギャラリー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国、ワシントンD.C.[23]
ウォータールー橋w.158463.8 x 79.4ロウ美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国フロリダ州コーラルゲイブルス[24]
ウォータールー橋w.158565 x 100個人蔵[25]
ウォータールー橋、太陽の効果w.15861903年65.7 x 101シカゴ美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国、イリノイ州シカゴ[26]
ウォータールー橋、太陽の効果w.15871903年65 x 100マクマスター美術館
カナダの旗 カナダオンタリオ州ハミルトン
ウォータールー橋、太陽の効果w.15881903年64.5 x 100.3カーネギー美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグ[27]
ウォータールー橋、太陽の効果w.15891903年65 x 100個人蔵
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ウォータールー橋、靄の中の太陽w.15901903年64.8 x 99.7ロチェスター大学記念美術館
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ニューヨーク州ロチェスター[28]
ウォータールー橋、靄の中の太陽w.15911903年65.1 x 100.7個人蔵
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国[29]
ウォータールー橋、靄の効果w.15921903年65.7 x 100.2個人蔵[30]
ウォータールー橋、靄の効果w.15931903年65 x 100ビュールレ・コレクション
スイスの旗 スイスチューリッヒ[31]
ウォータールー橋、ロンドンw.15941902年65.7 x 100.5国立西洋美術館
日本の旗 日本東京都台東区[1]
靄の中のウォータールー橋w.15951903年65 x 100個人蔵

パステル画

画像作品名ウィルデンシュタイン番号制作年寸法(cm)所蔵先備考
ウォータールー橋w.P911899年頃30.5 x 47.3個人蔵[32]
ウォータールー橋w.P9330 x 47マルモッタン・モネ美術館
フランスの旗 フランスパリ[33]
ウォータールー橋、ロンドンw.P9431 x 48.5個人蔵[34]
ウォータールー橋w.P9531.1 x 50.2ナショナル・ギャラリー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国、ワシントンD.C[35]
ウォータールー橋、霧w.P10331.6 x 48.5個人蔵[36]
ロンドンのウォータールー橋1901年トリトン財団旧蔵
オランダの旗 オランダ
焼失[注釈 1]

脚注

注釈

  1. 2012年10月16日クンストハル美術館において展示されていたところを盗難[37]。その後2013年1月に主犯格の男が逮捕されたものの、主犯格の男の母親が犯行の発覚を恐れ焼却したとされる[38]

出典

  1. ウォータールー橋、ロンドン”. 国立西洋美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  2. Khan, Soraya; Thornes, John E.; Baker, Jacob; Olson, Donald W.; Doescher, Russell L. (2010). “Monet at the Savoy” (英語). Area 42 (2): 208–216. doi:10.1111/j.1475-4762.2009.00913.x. ISSN 1475-4762. https://rgs-ibg.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1475-4762.2009.00913.x.
  3. House, John, 1945-2012. (1991). Monet. Monet, Claude, 1840–1926. (3rd ed.). London: Phaidon. ISBN 0-7148-2723-1. OCLC 28061909. https://www.worldcat.org/oclc/28061909
  4. Sweetman, John (2019-05-23). The Artist and the Bridge 1700–1920. doi:10.4324/9780429440083. ISBN 9780429440083. http://dx.doi.org/10.4324/9780429440083
  5. ロンドン、ウォータールー橋”. サンタバーバラ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  6. ウォータールー橋、曇りの天候”. ダブリン市立ヒュー・レーン美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  7. ウォータールー橋、灰色の天候”. シカゴ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  8. ウォータールー橋、靄の天候”. フィラデルフィア美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  9. ウォータールー橋、靄の朝”. ハンブルク美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  10. ウォータールー橋、灰色の天候”. ベルン美術館データベース・グルリット公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  11. ウォータールー橋、曇りの天候”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  12. ウォータールー橋、夕暮れ”. ナショナル・ギャラリー公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  13. ウォータールー橋、太陽の効果”. デンバー美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  14. ウォータールー橋、煙のある太陽の効果”. ボルチモア美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  15. ウォータールー橋”. ミルウォーキー美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  16. ウォータールー橋”. ウースター美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  17. ウォータールー橋、灰色の天候”. ナショナル・ギャラリー公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  18. ウォータールー橋、靄の中の太陽の効果”. カナダ国立美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  19. ウォータールー橋”. デイビス美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  20. ウォータールー橋”. 松下美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  21. ウォータールー橋、霧の効果”. エルミタージュ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  22. ウォータールー橋、霧の効果”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  23. ウォータールー橋、薔薇色の効果”. ナショナル・ギャラリー公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  24. ウォータールー橋”. ロウ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  25. ウォータールー橋”. サザビーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  26. ウォータールー橋、太陽の効果”. シカゴ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  27. ウォータールー橋、太陽の効果”. カーネギー美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  28. ウォータールー橋、靄の中の太陽”. ロチェスター大学記念美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  29. ウォータールー橋、靄の中の太陽”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  30. ウォータールー橋、靄の効果”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  31. ウォータールー橋、靄の効果”. ビュールレ財団公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  32. ウォータールー橋”. サザビーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  33. ウォータールー橋”. マルモッタン・モネ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  34. ウォータールー橋、ロンドン”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  35. ウォータールー橋”. ナショナルギャラリー公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  36. ウォータールー橋”. サザビーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  37. “ピカソ、モネの作品など7点盗難 オランダの美術館”. CNN. (2012年10月17日). https://www.cnn.co.jp/fringe/35023148.html 2023年3月12日閲覧。
  38. “盗難に遭ったピカソらの名作7点、容疑者の母親が「焼却」”. AFP. (2013年7月17日). https://www.afpbb.com/articles/-/2956251?pid=11042242 2023年3月12日閲覧。
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