しもきた (輸送艦・2代)

しもきたローマ字JS Shimokita, LST-4002)は、海上自衛隊輸送艦おおすみ型輸送艦 (2代)の2番艦。艦名は下北半島に由来し、初代おおすみ型輸送艦しもきた」(LST-4002)に続いて日本の艦艇としては2代目。

しもきた
基本情報
建造所 三井造船 玉野事業所
運用者  海上自衛隊
艦種 輸送艦
級名 おおすみ型
母港
所属 掃海隊群第1輸送隊
艦歴
計画 平成10年度計画
発注 1998年
起工 1999年11月30日
進水 2000年11月29日
就役 2002年3月12日
要目
基準排水量 8,900トン
満載排水量 13,000トン
全長 178.0m
最大幅 25.8m
深さ 17.0m
吃水 6.0m
機関 三井造船16V42M-Aディーゼル × 2基
出力 26,400PS
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
速力 最大速 22ノット
乗員 137名(ほか揚陸要員330名)
兵装 高性能20mm機関砲(CIWS) × 2基
レーダー OPS-14C 対空
OPS-28D 対水上
OPS-20 航海用
電子戦
対抗手段
Mk.137 デコイ発射機 × 4基

艦歴

「しもきた」は、中期防衛力整備計画に基づく平成10年度計画8,900トン型輸送艦4112号艦として、三井造船玉野事業所で1999年11月30日に起工され、2000年11月29日に進水、2002年3月12日に就役し、同日付で自衛艦隊直轄部隊として第1輸送隊が新編され、1番艦「おおすみ」とともに編入、に配備された。

2003年平成15年)2月4日から3月28日にかけてテロ対策特別措置法に基づき、護衛艦いかづち」とともにタイ王国陸軍工兵部隊と建設用重機をアフガニスタン近縁のインド洋沿岸へ輸送する。

2005年(平成17年)6月に車両甲板上で陸上自衛隊野外手術システムを展開する技術試験が行われた。

2006年(平成18年)4月3日、第1輸送隊が護衛艦隊隷下に編成替え。

2008年(平成20年)11月14日、平成20年度統合演習で航空自衛隊春日ヘリコプター空輸隊のCH-47による陸上自衛隊部隊の輸送艦からの空中輸送訓練を実施した。

2009年(平成21年)9月7日第5航空群と共に沖縄県防災訓練に参加し、航空自衛隊消防NTT沖縄電力および日本赤十字社の救急車などの各種車両を積載する訓練を行う[1]

2010年(平成22年)8月26日パキスタンで発生した洪水への救援活動を行う陸上自衛隊のCH-47JA等を載せて横須賀を出航し、9月18日にパキスタンのカラチ港に到着した[2]自衛隊パキスタン派遣)。

2011年(平成23年)1月24日から1月27日米海軍揚陸艦トーテュガ」と共に輸送特別訓練を実施。

同年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災に対し、災害派遣される。地震発生時には三井造船玉野事業所で年次検査を行っており、完工を4月1日に早めて4月6日から災害派遣部隊に加わった。

2013年(平成25年)6月10日から26日まで米国カリフォルニア州キャンプ・ペンドルトンおよびサン・クレメンテ島にて実施される米軍単独であった統合訓練「ドーンブリッツ13」に初めて参加する。他に護衛艦「ひゅうが」、「あたご」が、陸上自衛隊からは西部方面普通科連隊と西部方面航空隊ほか参加し[3][4]、同演習期間中には米国海兵隊のV-22 オスプレイ垂直離着陸輸送機が着艦している[5]

2014年(平成26年)9月3日から6日まで行われた平成26年度離島統合防災訓練の一環として、宮古島多良間島伊良部島で実施された沖縄県総合防災訓練に参加[6]。11月4日、陸上自衛隊西部方面隊の大規模演習である「鎮西26」演習において、西部方面特科隊MLRSをしもきた甲板上に固定した状態での射撃準備訓練を行っている[7]

2016年(平成28年)7月1日、第1輸送隊が掃海隊群隷下に編成替え。7月6日、パシフィック・パートナーシップ2016に参加するため呉を出港、ベトナムパラオに寄港し医療支援等を行い、8月20日に呉に帰港した[8]

2018年(平成30年)4月9日、九州西方海域において米海軍強襲揚陸艦ワスプ」他、艦艇数隻と共同訓練を実施した[9]。5月8日から5月24日にかけて護衛艦「ひゅうが」とともに九州西方海域、鹿児島県種子島及び同周辺海域において水陸機動団演習に参加した。陸上自衛隊からは水陸機動団、第1ヘリコプター団西部方面航空隊等が参加[10]

平成30年7月豪雨の影響で呉市内で断水が発生したことを受け、7月8日・9日に呉基地係船堀地区に停泊中の艦内に設置した特設風呂を被災者に開放[11]。7月10日には広島市宇品港から呉基地などへとガソリン軽油など約124 キロリットルを積載したタンクローリー7両[12]を輸送した[13]。その後18日まで再び入浴・給水支援を実施した[14]。入浴の対象者は主に江田島市在住者で、同市飛渡瀬LCAC整備場からLCACによる送迎が行われた[15]

同年8月25日本州南方海域において英海軍揚陸艦アルビオン」と共同訓練を実施した[16]

2021年6月12日から14日にかけて、沖縄東方の海空域において米軍と共同訓練を実施した。米海軍からは強襲揚陸艦「アメリカ」、ドック型輸送揚陸艦ニューオリンズ」、ドック型揚陸艦ジャーマンタウン」が参加し、各種戦術訓練を実施した[17]。 また、同年8月22日から8月23日にも沖縄東方訓練海空域において、米海軍ドック型輸送揚陸艦「ニューオリンズ」と日米共同訓練を実施した[18]

2023年4月20日から9月17日にかけて、LCAC2隻とともに、令和5年度インド太平洋方面派遣(IPD23)に参加する[19]

同年5月29日、博多湾において、甲板上で日本海海戦の戦没者追悼式が行われた。儀仗隊が3発の弔銃を行った他、参列者が海に花束を投げ入れた[20]

歴代艦長

歴代艦長(特記ない限り1等海佐
氏名在任期間出身校・期前職後職備考
01辻 一敏2002.3.12 - 2002.12.15防大17期しもきた艤装員長自衛艦隊司令部監察主任幕僚
02白土雅彦2002.12.16 - 2005.3.25防大20期しもきた副長海上訓練隊指導群司令部
03山本勝規2005.3.26 - 2006.8.21防大19期護衛艦隊司令部 2等海佐
04田中博敏2006.8.22 - 2008.3.25防大21期海上自衛隊第1術科学校教官呉基地業務隊補充部付2等海佐
05三浦昌伸2008.3.26 - 2011.1.10防大26期おおなみ艦長大湊地方総監部防衛部就任時2等海佐
2010.7.1、1等海佐
06大久保幸彦2011.1.11 - 2012.7.31防大26期おおなみ艦長 大湊地方総監部監察官2等海佐 
07松野征治2012.8.1 - 2014.8.4防大30期むらさめ艦長舞鶴海上訓練指導隊副長2等海佐 
08栁 信男2014.8.5 - 2015.8.2日体大
38期幹候
特別警備隊長
→2014.8.1 第1輸送隊勤務
大湊地方総監部防衛部
09鈴木拓哉2015.8.3 - 2016.11.6慶應大
42期幹候
護衛艦隊司令部横須賀地方総監部監察官
10吉野 敦2016.11.7 - 2018.8.9広修大
36期幹候
護衛艦隊司令部横須賀基地業務隊付
11五味康司2018.8.10 - 2019.12.19防大34期うらが艦長掃海隊群司令部作戦主任幕僚
12黒木一博2019.12.20 - 2021.5.20防大34期舞鶴海上訓練指導隊副長
兼 自衛艦隊司令部
自衛艦隊司令部勤務
兼 海上自衛隊第1術科学校勤務
13岡田周作2021.5.21 - 2023.3.21防大39期海上自衛隊第1術科学校主任教官
兼 研究部員
2等海佐
14秋元則仁2023.3.22 -防大36期横須賀海上訓練指導隊副長
兼 指導部長
2等海佐

ギャラリー

発着艦を試みるMV-22B 着艦したMV-22B。甲板への排気の影響を避けるため移動式耐熱板を排気孔の下に使用している
発着艦を試みるMV-22B
着艦したMV-22B。甲板への排気の影響を避けるため移動式耐熱板を排気孔の下に使用している

脚注

  1. 自衛艦隊輸送艦「しもきた」沖縄県防災訓練に参加 Archived 2011年2月23日, at the Wayback Machine.
  2. パキスタンへの国際緊急援助 Archived 2010年9月26日, at the Wayback Machine. - 海上自衛隊
  3. 平成25年度米国における統合訓練(実動訓練)(ドーン・ブリッツ13)について (PDF)
  4. “島嶼防衛目的に「ドーン・ブリッツ」3自衛隊が初参加(2013年6月10日~26日)”. オリジナルの2013年6月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130611060026/http://www.asagumo-news.com/homepage/htdocs/news/newsflash/201305/130514/13051404.html
  5. MV-22B Osprey landed on Japanese Ships JS Shimokita and JS Hyūga - YouTube
  6. 平成26年度 離島統合防災訓練 平成26年9月3日~6日”. 統合幕僚監部. 2018年8月23日閲覧。
  7. 鎮西26(26.11.4 演習参加部隊2)”. 陸上自衛隊西部方面隊. 2016年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月23日閲覧。
  8. “パシフィック・パートナーシップ2016への参加について”. (2016年6月1日). https://www.mod.go.jp/j/press/news/2016/06/01a.html
  9. 日米共同訓練の実施について (PDF)
  10. 水陸機動団演習の概要について (PDF)
  11. “被災者のための特設風呂”. 時事通信. (2018年7月13日). オリジナルの2018年7月17日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/ScKiw 2018年7月8日閲覧。
  12. “自衛隊の7月豪雨対応、派遣艦艇25隻に拡大 エアコンや食糧の空輸も”. Fly Team. (2018年7月13日). オリジナルの2018年7月17日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/13FJQ 2018年7月17日閲覧。
  13. “西日本豪雨/防衛省、自衛隊2万9千人派遣”. 日刊工業新聞. (2018年7月10日). オリジナルの2018年7月17日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/pLVox 2018年7月17日閲覧。
  14. 平成30年7月豪雨に係る自衛隊の災害派遣について(11:00現在) (PDF). 防衛省 (2018年7月19日). 2018年8月20日閲覧。
  15. 「災害派遣」入浴・給水・洗濯支援情報”. 海上自衛隊第4護衛隊群. 2018年8月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月20日閲覧。
  16. 日英共同訓練の実施について (PDF)
  17. 日米共同訓練について 海上幕僚監部(令和3年6月15日) (PDF)
  18. 日米共同訓練について 海上幕僚監部(令和3年8月25日) (PDF)
  19. 令和5年度インド太平洋方面派遣(IPD23)について 海上幕僚監部(2023年4月18日)
  20. “福岡県で日露戦争の日本海海戦の戦没者を追悼”. 産経新聞. (2023年5月29日). https://www.sankei.com/article/20230529-DZ7GJAD7X5JVNNNX72E2ZN6TU4/ 2023年5月30日閲覧。

参考文献

  • 石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』(並木書房、2002年)
  • 世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』(海人社、2004年)
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