Phrack

Phrack(フラック)は、アンダーグラウンド系のオンラインマガジンである。

概要

1985年11月17日に創刊され、不定期刊行、無料公開されているオンラインマガジンである。マガジンの名称が、アンダーグラウンド用語のphrack(フラック)phreack(フリーク)クラック(crack)ハック(hack)に由来することから判るように、内容はアンダーグラウンド向けの情報となっている。また、記事の守備範囲も単にシステムハック関連の話題に限定されず、ソーシャル・エンジニアリング関連の記事、トーク的な記事、アンダーグラウンド業界話といったように、広範囲に渡る。システム関連の記事では、初期は電話系やUnix系が多かったが、後年はWindows系も多く見られる。

著者陣も有名なハッカーで構成されており、l0phtやAleph Oneなども執筆に関わっていた。

2005年(63号発刊時)に一時廃刊の話が挙がった[1][2][3]が、その後も断続的にではあるが刊行されており、2019年4月現在、69号まで発刊されている。

内容

各号は10 - 20程度の記事で構成されている。号(: issue)番号および記事(: article)番号は、ウェブリンクなどでは10進で記されているが、記事本体には16進で記されていることもある。

定番記事

頻出する定番記事は以下の通り。

Introduction - 導入
各号の冒頭記事に位置付けられている。What's new的な話、目次、PGP署名などで構成される。また、廃刊告知もここで行なわれた。
Loopback
各号の第2記事にくることが多い。読者の声に相当する。
Linenoise
Loopbackに続くことが多い。読者から寄せられた、記事の体裁をなしているものを一まとめの記事としたものである。
Phrack Prophile
スタッフ紹介である。身長や体重などといった、アンダーグラウンドに関わらない詳細な情報まで記載されていることもある。
Phrack World News / International scenes - 各国事情
各国のアンダーグラウンド事情、近年のアンダーグラウンド事情がまとめられている記事である。第58号では日本の警察についても触れられている。
extract.c
extractと呼ばれるプログラムのソースコードが記された記事で、第50号から一時期付けられていた。引数に指定されたファイルの中から、<++>と書かれた行と<-->と書かれた行を見つけ出し、その間の内容を一つのファイルとして書き出す(書き出し先ファイル名は<++>の直後に指定されているものとみなす)というプログラムである。記事の性質上、システムハックに関するプログラムが付けられていることがあり、その場合はこのプログラムを使うとプログラムだけを別ファイルに切り出すことが可能となる。
C言語PerlAWKsharPythonなど、複数言語のソースコードも本マガジンで提供されており、これらのソースコードもこの記事に対してextractを掛けることで生成可能となっている。また、ファイル名の後にチェックサムを記述することで、チェックサム機能を有するバージョンも存在する。

各号の主な内容

号数発刊日主な内容備考
11985年11月17日
21986年1月1日
31986年2月1日
41986年3月13日
51986年4月18日
61986年6月10日
71986年9月25日
81986年11月1日
91986年12月1日
101987年1月1日
111987年2月17日
121987年3月29日
131987年4月1日
141987年7月28日
151987年8月7日
161987年11月1日
171988年4月7日
181988年6月7日
191988年9月1日
201988年10月12日
211988年11月4日
221988年12月23日
231989年1月25日
241989年2月25日
251989年3月29日
261989年4月25日
271989年5月20日
281989年10月7日
291989年11月17日
301989年12月24日
311990年5月28日
321990年11月17日
331991年9月15日
341991年10月13日
351991年11月17日
361991年12月31日
371992年3月1日
381992年4月26日
391992年6月26日
401992年8月1日
411992年12月31日
421993年3月1日
431993年7月1日
441993年11月17日
451994年3月30日
461994年9月20日
471995年4月15日
481996年9月1日
491996年11月8日

15 - SYNフラグを用いないポートスキャン手法

501997年4月9日
511997年9月1日

11 - nmapの誕生

521998年1月26日
531998年7月8日

7 - Windows用ステルスキーロガー
8 - T/TCPの脆弱性
13 - ポートスキャン検出ツール

541998年12月25日

9 - TCP/IP Stack Fingerprinting(nmap関連)

551999年9月9日
562000年5月1日
572001年8月11日
582001年12月28日日本警察についても触れられている
592002年7月28日

7 - 書式文字列攻撃
14 - Linuxカーネルキーロガー

602002年12月28日

13 - 低価格で持ち運び可能なGPSジャマー

612003年8月13日

7 - Linuxページフォールトハンドラのハイジャック
9 - ポリモルフィックシェルコードエンジン
10 - ローダブルカーネルモジュールへのインジェクション
11 - Unicode-proofなシェルコード

622004年7月13日

5 - Windowsバッファオーバーフロー保護の回避
6 - Windows NTのカーネルモードバックドア
9 - UTF-8シェルコード
10 - Apacheモジュールへの攻撃
13 - Windowsパーソナルファイアウォールの突破

Windows特集号
632005年8月1日

6 - Windows CEハッキング

一時、廃刊と発表された際の最終号である
642007年5月27日

8 - 自動的な脆弱性監査

廃刊発表後、一新してTCLHが監修を務めている
652008年4月11日

4 - ステルスフッキング(Windowsカーネルを突破する別の方法)

662009年6月11日
672010年11月17日
682012年4月14日
692016年5月6日
70 2021年10月5日 1 - ハッカーコミュニティの変化を嘆く記述あり。物販の紹介。 最新刊。

主な執筆者

L0pht
Aleph Oneen
TCLH - The Circle of Lost Hackers

脚注

関連項目

外部リンク

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