オーマイニュース

オーマイニュース(OhmyNews)は、大韓民国で設立された市民参加型インターネット新聞サイトであり、市民ジャーナリズムの一形態。朝鮮語版のほかに国際版(英語版)もある。

オーマイニュース
各種表記
ハングル 오마이뉴스
漢字 -
発音 オマイニュス
英語表記: OhmyNews

2006年からは日本語版もオープンされ、2008年にオーマイライフ(Oh! MyLife)と名称を変えて、ジャーナリズムではなく市民参加型メディアを標榜したが、2009年4月24日をもって日本語版は閉鎖された。

韓国版

2000年2月に、韓国国内で市民が気軽に参加できるニュースウェブサイトとして、月刊誌『マル』記者を経験した呉連鎬(オ・ヨンホ)が中心となって設立。市民参加型のニュースサイトとしては世界的にも前例がなく、韓国では4万人以上の会員(市民記者)が登録して、重要な社会情勢から身近な話題に至るまで、日に200本以上の記事が寄せられている。会員は主婦会社員学生など幅が広い。2002年の大統領選では、与党候補ながら不利といわれた盧武鉉大統領が逆転勝利したが、それにはオーマイニュースの影響力が強く作用したと言われている。

2006年8月、韓国政府はオーマイニュースを含む12の新聞社を資金援助の対象として選定した。この選定に対し、韓国の野党はあいまいな選定基準により政府系の新聞を優遇しているとして反発している[1]

同年10月初旬には、オーマイニュースにより北朝鮮に対する75万ドル(約8775万円)の資金提供が行われていた事実が明らかになり、同月末には韓国の野党議員に対する名誉毀損事件でオーマイニュースの記者が有罪判決を受けた[2][3]

2006年2月21日、ソフトバンクが、第三者割当増資を引き受け、オーマイニュースの12.95%を保有する大株主になった。

同じく革新系のハンギョレ京郷新聞とともに、それぞれの頭文字をとって「ハンキョンオー」と呼ばれることがある(対義語として、保守系3紙朝鮮日報中央日報東亜日報の頭文字をとった「朝中東」がある)。

オフラインメディアではないので、既存の新聞社と比較すると比較点があいまいな点がある。

日本版

日本版オーマイニュースは「オーマイニュース・インターナショナル株式会社」が2006年8月28日に創刊する。オーマイニュース・インターナショナル株式会社は、ソフトバンクと、韓国オーマイニュース社との合弁企業である。ソフトバンク社長の孫正義自らも市民記者となり記事を投稿した[4]。初代編集長に鳥越俊太郎、副編集長には青木理が就任した[5]

しかし、経営状態が悪化し、2008年9月1日、市民参加型のネットによる一般新聞から、体験レポートと専門家情報を掲載する専門サイト「オーマイライフ」に変わる。経営状態が悪くなった理由としては、市民メディア活動や政治活動の活発さの点で、韓国とは状況の違う日本において、韓国と同じ報酬制度を採用したこと。市民記者は原稿料が300円なのに対し、編集部はマスコミ並みにデスクが年収1千万円、編集長が3千万円。この報酬制度においては「搾取モデルであり、社会通念上、許容範囲なのか」という問題も提起される[6]。また、トップダウン式のやり方を導入したことが挙げられる[6]。オーマイライフも2009年4月24日に閉鎖された[5]

オーマイニュース元社員の証言では、廃刊に至った原因として「初代編集長の鳥越俊太郎氏の責任が大きくオーマイニュース創刊の足を引っ張った[7]」「創刊当初の編集部は、市民記者への教育や方針の説明が不足しており、悪質な者を排除できなかった[8]」としている。

沿革

  • 2006年2月22日 - ソフトバンクと千百万ドル相当の投資契約を締結。両社の業務提携によってオーマイニュース・インターナショナル株式会社を立ち上げ、「オーマイニュース・ジャパン(OhmyNews Japan)」を創刊する計画を発表[9]。株式会社タイムインターメディアがシステムを手がけた。
  • 2006年5月22日 - 編集長にジャーナリスト鳥越俊太郎を起用することを発表[10]
  • 2006年6月1日 - 日本版準備Blog「オーマイニュース開店準備中Blog」を開設。批判的なコメントが殺到したこともあった[11]
  • 2006年7月21日 - 市民記者の募集開始[12]
  • 2006年8月28日 - 「オーマイニュース日本版」創刊[13]。創刊日に閲覧数一位を記録した記事[14]が、実は、からかい目的の投稿であったことが判明し、編集部も事後に記事採用に関する認識の甘さを認めた[15][16]
  • 2006年11月10日 - 編集長名義で、11月17日正午をもってオピニオン会員(コメント投稿専門の会員)制度を廃止し、市民記者にその役割を兼ねさせる事を通告する記事が掲載される。
  • 2006年11月17日 - 上記の通告通り、オピニオン会員制度が廃止される。
  • 2007年2月20日 - 鳥越の体調不良を理由に、新設された編集長代理に元木昌彦が就任。
  • 2007年3月26日 - 外部へ配信を開始。比較.comのトップページにニュース見出しとリンクを配信[17]
  • 2007年4月10日 - ソーシャルネットワーキング機能を搭載するなど、サイトを全面リニューアル。株式会社ゼロスタートコミュニケーションズがサイト構築を手がけた[18]
  • 2007年5月31日 - 鳥越の任期満了と体調不良を理由に、6月1日付での退任と編集長代理だった元木の正編集長就任が発表される[19]
  • 2007年8月27日 - Yahoo! JAPANにニュース配信を開始[20]
  • 2008年4月21日 - 社名をオーマイニュース・インターナショナル株式会社からオーマイニュース株式会社に変更。本社を東京都港区東新橋に移転。
  • 2008年7月 - オーマイニュース株式会社解散。
  • 2008年9月1日 - 「オーマイライフ」として再スタート。有限会社ビットデシジョン(神奈川県座間市、秦庄司社長)がサイト構築を手がけた[21]
  • 2009年4月24日 閉鎖[5]

脚注

  1. 韓国政府、経営難の新聞12社に公的資金投入検討」 朝鮮日報 Chosunilbo (Japanese Edition) 2006年8月9日
  2. オーマイニュース、北朝鮮に75万ドル提供」 朝鮮日報 Chosunilbo (Japanese Edition) 2006年10月2日
  3. オーマイニュース記者に罰金刑 ハンナラ議員の名誉毀損」 朝鮮日報 Chosunilbo (Japanese Edition) 2006年10月29日
  4. live doorニュース2006年08月28日
  5. オーマイニュース閉鎖へ 閲覧低迷、広告収入伸びず 産経新聞2009年3月25日
  6. オーマイニュース、全社員に解雇通告「ニュース」の看板降ろす - MyNewsJapan 渡邉正裕 2008年8月15日
  7. 初代編集長・鳥越俊太郎の罪=誰がオーマイニュースを殺したか(中) livedoor ニュース藤倉善郎
  8. 過保護な姿勢が“報道”を自己否定した=誰がオーマイニュースを殺したか(上) livedoor ニュース藤倉善郎
  9. ソフトバンク、韓国オーマイニュースに出資。日本でもサービス開始予定」 INTERNET Watch 2006年2月22日
  10. オーマイニュース日本版は8月スタート。初代編集長は鳥越俊太郎氏が就任」 INTERNET Watch 2006年5月22日
  11. オーマイニュース 「嫌韓」でブログ「炎上」ジェイ・キャスト2006年8月2日
  12. 日本版「オーマイニュース」が市民記者の募集を開始」 INTERNET Watch 2006年7月20日
  13. 日本版の「オーマイニュース」が創刊」 INTERNET Watch 2006年8月28日
  14. 田中孝太郎インターネット上ではびこる浅はかなナショナリズム」 OhmyNews 2006年8月26日
  15. オーマイニュースと著名ブロガーが「市民ジャーナリズムの可能性」を討論」 INTERNET Watch 2006年9月4日
  16. 2ちゃんねらー自作自演で オーマイニュース「炎上」ジェイ・キャスト2006年8月30日
  17. 比較.com、『オーマイニュース』とコンテンツ提携」 比較.comリリース文 2007年3月26日
  18. ゼロスタート、市民参加型ニュースサイト「オーマイニュース」にSNIパッケージを提供。 日経プレスリリース 2007年5月18日」
  19. 6月1日付で、元木が編集長に就任」 オーマイニュースお知らせ欄 2007年5月31日
  20. オーマイニュース, 市民記者によるニュースをヤフーに提供開始 ITpro 2007年8月21日」
  21. オーマイライフのCMSシステム概要を記載したPDFが外部に公開されていたために、サイト構築企業から魚拓削除依頼が行われた、依頼番号1104サイト構築企業の代表者名の書かれたテストページテスト用サイトの魚拓削除依頼、依頼番号1116

参考文献

  • 呉連鎬『オーマイニュースの挑戦 韓国「インターネット新聞」事始め』(大畑竜次大畑正姫訳、太田出版2005年、ISBN 978-4-87233-930-7)
  • 宮島理「オーマイニュースの真実」『「反日マスコミ」の真実』(オークラ出版2006年、ISBN 978-4-7755-0838-1)182-185頁
  • 撃論編集部「オーマイニュース」騒動の顛末」『ネットVSマスコミ!大戦争の真実』(オークラ出版、2007年、ISBN 978-4-7755-0926-5)16-19頁

関連項目

外部リンク

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