NHK杯 (競馬)

NHK杯(エヌエイチケイはい)は、日本中央競馬会東京競馬場で施行していた中央競馬重賞競走GII)である。東京優駿(日本ダービー)のトライアル競走として行われ[1]、上位入着馬に東京優駿の優先出走権が与えられていた。

NHK杯
開催国 日本の旗 日本
主催者 日本中央競馬会
競馬場 東京競馬場
創設 1953年
1995年の情報
距離 芝2000m
格付け GII
出走条件 サラ系4歳(指定)
負担重量 定量

概要

1953年のテレビ放送開始に伴い、日本放送協会 (NHK) では東京優駿(日本ダービー)の実況中継を計画した。その際、有力馬がNHKの冠名が付くレースで好成績を挙げたのを、放送や新聞等のメディアで取り上げられれば、NHKにとって好都合になると考え、それまで存在しなかったトライアルレースを設置して、その競走にNHKの冠名を付けてもらい、その代わりに優勝カップを提供することを農林省競馬部に提案した。競馬部としても、トライアルレースを設置することによって、東京優駿への出走馬への注目をさらに集めることができると考え、NHK杯競走の設置に同意した。

第1回は、皐月賞の優勝馬のボストニアンや2着馬ハクリヨウフソウなどが出走し、ボストニアンが勝利を飾った。この年の東京優駿は結局テレビ中継できなかったものの、これらの馬がNHK杯競走で好成績を挙げたことをメディアで取り上げられたことでNHKの狙いは達成され、翌年以降は両競走ともにテレビ中継されるようになった。

このため、1984年(当時はNCK→JRA独自の格付け)の重賞格付けが開始されてから、GII競走に指定されながらも、主要GI(八大競走のうちの、牡馬三冠、天皇賞有馬記念他)を中継していた総合テレビ(NHK G、『NHK競馬中継』)でも、それらと同格の扱いでその模様が生中継された。

1995年(平成7年)の競馬番組改革で、NHK杯は翌1996年から新設されるGI『NHKマイルカップ』に、ダービートライアルとしての役割は青葉賞プリンシパルステークスに引き継がれることになり、その年の第43回競走を最後に廃止された[注 1]

出走条件は3歳(旧4歳)の国内産の牡馬牝馬限定で外国産馬(1972年 - 1983年までは持込馬含む)および、騸馬は出走できなかった。

歴史

  • 1953年:4歳馬の重賞競走「NHK盃[3]として創設。
  • 1970年:「NHK杯」に変更[3]
  • 1984年:グレード制導入によりGII[注 2]に格付け。
  • 1996年:廃止。

歴代優勝馬

中山競馬場で施行された1967年を除き東京競馬場で開催。

回数施行日優勝馬性齢タイム優勝騎手管理調教師
第1回1953年5月10日ボストニアン牡32:05 0/5蛯名武五郎増本勇
第2回1954年5月5日タカオー牡32:05 1/5高橋英夫上村大治郎
第3回1955年5月8日イチモンジ牡32:04 4/5高橋英夫鈴木勝太郎
第4回1956年5月5日キタノオー牡32:04 4/5勝尾竹男久保田金造
第5回1957年5月5日ヒカルメイジ牡32:05 1/5蛯名武五郎藤本冨良
第6回1958年5月5日ダイゴホマレ牡32:04 2/5伊藤竹男久保田金造
第7回1959年5月5日ウイルデイール牡32:03 1/5渡辺正人星川泉士
第8回1960年5月5日ケンマルチカラ牡32:03.7蛯名武五郎藤本冨良
第9回1961年5月7日チトセミノル牡32:05.1伊藤修司伊藤勝吉
第10回1962年5月6日オヤシオ牡32:04.8加賀武見星川泉士
第11回1963年5月3日キングダンデイー牡32:04.5野平祐二野平省三
第12回1964年5月10日ウメノチカラ牡32:03.6伊藤竹男古賀嘉蔵
第13回1965年5月9日ダイコーター牡32:03.7栗田勝柴田不二男
第14回1966年5月8日ナスノコトブキ牡32:05.2森安弘明稲葉秀男
第15回1967年4月30日アラジン牡32:05.5中野渡清一本郷重彦
第16回1968年6月16日マーチス牡32:02.6保田隆芳伊藤修司
第17回1969年5月4日カネハヤテ牡32:02.7加賀武見成宮明光
第18回1970年5月10日アローエクスプレス牡32:08.5加賀武見高松三太
第19回1971年5月23日ヒカルイマイ牡32:02.8田島良保谷八郎
第20回1972年6月18日ランドジャガー牡32:01.2小島太高橋直
第21回1973年5月6日ハイセイコー牡32:02.3増沢末夫鈴木勝太郎
第22回1974年5月3日ナスノカゲ牡32:02.2嶋田功稲葉秀男
第23回1975年5月4日カブラヤオー牡32:06.1菅原泰夫茂木為二郎
第24回1976年5月9日コーヨーチカラ牡32:02.4領家政蔵田中良平
第25回1977年5月8日プレストウコウ牡32:02.9岡部幸雄加藤朝治郎
第26回1978年5月7日インターグシケン牡32:02.1武邦彦日迫清
第27回1979年5月6日テルテンリュウ牡32:00.8西浦勝一土門健司
第28回1980年5月4日モンテプリンス牡32:01.8吉永正人松山吉三郎
第29回1981年5月10日サンエイソロン牡32:03.4小島太古山良司
第30回1982年5月9日アスワン牡32:01.5吉永正人松山吉三郎
第31回1983年5月8日カツラギエース牡32:02.9崎山博樹土門一美
第32回1984年5月6日ビゼンニシキ牡32:04.0蛯沢誠治成宮明光
第33回1985年5月6日トウショウサミット牡32:02.3中島啓之奥平真治
第34回1986年5月4日ラグビーボール牡32:03.6河内洋田中良平
第35回1987年5月10日モガミヤシマ牡32:01.6小島太古山良司
第36回1988年5月8日マイネルグラウベン牡32:02.0蛯沢誠治栗田博憲
第37回1989年5月7日トーワトリプル牡32:05.0的場均柄崎孝
第38回1990年5月6日ユートジョージ牡32:00.8岡潤一郎安藤正敏
第39回1991年5月4日イブキマイカグラ牡32:01.9南井克巳中尾正
第40回1992年5月10日ナリタタイセイ牡32:02.8南井克巳中尾謙太郎
第41回1993年5月9日マイシンザン牡32:00.7松永幹夫山本正司
第42回1994年5月8日ナムラコクオー牡32:01.9南井克巳野村彰彦
第43回1995年5月7日マイネルブリッジ牡32:01.7田中勝春伊藤正徳

脚注・出典

注釈

  1. NHKマイルカップは新設競走のため、回次は1996年を第1回としているが、JRA-VANの「NHK杯マイルカップ特集」では、「NHK杯のGI昇格」とする考え方が示されている[2]
  2. 当時の格付表記は、JRAの独自グレード。

出典

各回競走結果の出典

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