M74 (天体)

M74 (NGC 628)、通称ファントム銀河[6](: Phantom Galaxy[4][5]) は、うお座にある渦巻銀河である。メシエ天体の中でも見えづらいものの一つである[2]

M74
Messier 74
渦巻銀河M74。ハッブル宇宙望遠鏡が2003年と2005年に撮像したデータを合成した画像。
渦巻銀河M74。ハッブル宇宙望遠鏡が2003年と2005年に撮像したデータを合成した画像。
仮符号・別名 NGC 628[1]
星座 うお座
見かけの等級 (mv) 9.46[1]
視直径 6.777' × 5.828'[2]
分類 SA(s)c (渦巻銀河)[1]
発見
発見日 1780年9月末[3]
発見者 ピエール・メシャン[2]
発見方法 望遠鏡による観測
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  01h 36m 41.772s[1]
赤緯 (Dec, δ) +15° 47 00.46[1]
赤方偏移 0.002194[1]
視線速度 (Rv) 657 km/s[1]
距離 3500万光年[2](約11Mpc)
M74の位置
M74の位置
物理的性質
直径 95000光年[2]
他のカタログでの名称
Phantom Galaxy[4][5], UGC 1149[1]
■Template (■ノート ■解説) ■Project

特徴

渦巻きの回転軸が太陽系を向いているフェイスオン銀河で、渦状腕の構造がはっきりと見える「グランドデザイン渦巻銀河 (: grand design spiral galaxy)」の代表的なものの一つである[2][4]。直径約95,000光年と天の川銀河とほぼ同じサイズを持つ[2]。近くにある銀河 NGC 660、UGC 891、UGC 1176、UGC 1195、UGCA 20とともにM74銀河群を形成している[2]

アメリカのアマチュア天文家ジョン・マラスは「口径4cmのファインダーで見えた。中心部が星状。光度が淡いので、不用意にみると見失う。中心部には星塊。表面構造はよく分かる。見るには低倍率がよい」としている。一般には口径5cmの望遠鏡では見ることは難しい。口径15cmの望遠鏡で、僅かな広がりを感じるようになる。口径20cmになるとたやすく見ることができるようになる。口径30cmの望遠鏡で渦巻き部分の濃淡が分かる程度で、腕を見るためには、口径40cmの望遠鏡を必要とする。口径50cmの望遠鏡では腕をはっきりと見ることができる。

2002年にSN 2002ap、2003年にSN 2003gdと立て続けに超新星が観測された。SN 2002apは日本のアマチュア天文家広瀬洋治が発見したもので[7]、少なくとも太陽質量の40倍もの質量を持つ恒星が超新星爆発を起こした、大変珍しい極超新星である[3]2013年にもSN 2013ejが発見されている。

観測史

1780年の9月末にピエール・メシャンによって発見された[3]。メシャンは「この星雲には星がない。かなり大きく非常に微か。みるのは酷く難しい。よく晴れた霜を置くような夜にははっきりするだろう」と記した[3]シャルル・メシエは「うお座ηに近い星のない星雲で、1780年9月下旬にメシャンが見たとおりである」とした[3]ジョン・ハーシェル1864年ジェネラルカタログに「球状星団で、微かで非常に大きい。中央は周辺から急に明るくなっている。部分的に分解される」とした[3]1848年ロス卿は「渦状か?渦状という自信がある。中心部は星からできている。たやすく見え、星雲を通じて星がある」と記した[3]。ロス卿により渦巻構造が確認された14の銀河の一つである[2]

ギャラリー

出典

  1. "M74". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年9月2日閲覧
  2. Hartmut Frommert, Christine Kronberg (2013年8月14日). Messier Object 74”. SEDS. 2016年3月12日閲覧。
  3. Hartmut Frommert, Christine Kronberg (2005年3月30日). Messier 74 Observations and Descriptions”. SEDS. 2016年3月12日閲覧。
  4. Nemiroff, R.; Bonnell, J., eds. (13 August 2021). "A Perfect Spiral". Astronomy Picture of the Day. NASA. 2022年9月2日閲覧
  5. Webb Inspects the Heart of the Phantom Galaxy”. www.esawebb.org (2022年8月29日). 2022年9月2日閲覧。
  6. C. モスコウィッツ「見慣れた宇宙の新たな景色」『日経サイエンス』2023年2月、55頁、ISSN 0917-009X
  7. 日本人が発見した超新星一覧”. 国立天文台 (2016年2月24日). 2016年3月12日閲覧。
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