NBAゲータレード・リーグ

NBAゲータレード・リーグNBA Gatorade League)は、北米大陸のプロバスケットボールリーグである。将来のNBA選手を育成する目的で、NBA後援のもとに運営がなされており、通称は「G-League(以下「Gリーグ」)」と呼ばれている。かつてはNBAデベロップメント・リーグ(通称「Dリーグ」)と呼ばれていたが、2017年2月、ペプシコ社とのパートナーシップを締結した事で、2017-18シーズンよりリーグ名をNBAゲータレード・リーグ(NBA Gリーグ)に改名。リーグの名称にスポンサー名が使用されるのはアメリカのプロスポーツリーグ史上初である[1]

NBA Gリーグ
今シーズン・大会:
現在進行のスポーツイベント en:2021–22 NBA G League season
前身NBA Dリーグ
競技バスケットボール
創立2001年
会長シャリーフ・アブドゥル=ラヒーム
開始年2001年
参加チーム29
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カナダの旗 カナダ
メキシコの旗 メキシコ
大陸FIBAアメリカ (アメリカ大陸)
前回優勝レイクランド・マジック (1回目)
最多優勝リオグランデバレー・バイパーズ (3回)
テレビ局
スポンサーゲータレード
公式サイトGLeague.NBA.com

歴史

2001年の秋、前述の目的でリーグが発足された。初年度の2001-02シーズンは8チームからのスタートで、当時はチームの所在地がアメリカ南東部に固まっていた。2005年、元NBAコミッショナーデビッド・スターンがDリーグを「NBA傘下のマイナーリーグ」としてリーグの拡大を発表した。その結果、2006年にはABA独立リーグ=セミプロ組織)からロングビーチ・ジャムがベーカーズフィールド・ジャムに名称を変更して加入した事で、初めてカリフォルニアにもチームが誕生した。さらに2ヵ月後には、CBA(独立リーグ)からダコタ・ウィザーズスーフォールズ・スカイフォースアイダホ・スタンピードコロラド・フォーティナーズの3チームが加入され、更に規模が拡大された(尚、フォーティナーズは当初CBAに加入予定だった新チームである)。また、ロサンゼルス・レイカーズがNBAのチームで初めてDリーグのチームを所有、サウスベイ・レイカーズとして始動した。

しかし、規模拡大に伴う経営危機が各チームに及ぶこともあり、2005-06シーズンを最後にロアノーク・ダズルフェイエットビル・ペイトリオッツが消滅し、翌2006-07シーズンにはフロリダ・フレイムが消滅した。消滅するチームがある一方、毎年新規参入チームが誕生しており、2015-16シーズンからカナダに初めてのDリーグチーム、ラプターズ・905が新規参入した。

所属チーム

現在地

イースタン・カンファレンス

イースタン・カンファレンス
略号チーム本拠地アリーナ提携NBAチーム
セントラル
CTNクリーブランド・チャージオハイオ州カントンカントンメモリアルシビック・センタークリーブランド・キャバリアーズ
FWMフォートウェイン・マッドアンツインディアナ州フォートウェインアレン郡戦争記念コロシアムインディアナ・ペイサーズ
GRGグランドラピッズ・ゴールドミシガン州ウォーカーデルタプレックス・アリーナデンバー・ナゲッツ
MCCモーターシティ・クルーズミシガン州デトロイトウェインステート・フィールドハウスデトロイト・ピストンズ
WCBウィンディシティ・ブルズイリノイ州ホフマンエステートシース・センターシカゴ・ブルズ
WSHウィスコンシン・ハードウィスコンシン州オシュコシュオシュコシュ・アリーナミルウォーキー・バックス
イースト
CAPキャピタルシティ・ゴーゴーワシントンD.C.エンターテインメント・アンド・スポーツ・アリーナワシントン・ウィザーズ
CPSカレッジパーク・スカイホークスジョージア州カレッジパークゲートウェイセンター・アリーナアトランタ・ホークス
DELデラウェア・ブルーコーツデラウェア州ウィルミントン76ersフィールドハウスフィラデルフィア・76ers
NINロングアイランド・ネッツニューヨーク州ニューヨークバークレイズ・センターブルックリン・ネッツ
MNEメイン・セルティックスメイン州ポートランドポートランド・エキスポ・ビルディングボストン・セルティックス
RAPラプターズ・905オンタリオ州ミシサガハーシー・センタートロント・ラプターズ
WESウェストチェスター・ニックスニューヨーク州ホワイト・プレインズウェストチェスターカントリー・センターニューヨーク・ニックス
サウス
GBOグリーンズボロ・スウォームノースカロライナ州グリーンズボログリーンズボロ・コロシアムシャーロット・ホーネッツ
LIMレイクランド・マジックフロリダ州レイクランドRPファウンディング・センターオーランド・マジック

ウェスタン・カンファレンス

ウェスタン・カンファレンス
略号チーム本拠地アリーナ提携NBAチーム
セントラル
IWWアイオワ・ウルブズアイオワ州デモインウェルズファーゴ・アリーナミネソタ・ティンバーウルブズ
SXFスーフォールズ・スカイフォースサウスダコタ州スーフォールズスーフォールズ・アリーナマイアミ・ヒート
サウス
AUSオースティン・スパーズテキサス州シダーパークシダーパーク・センターサンアントニオ・スパーズ
ERIバーミンガム・スクアドロンペンシルベニア州エリーエリーインスランス・アリーナニューオーリンズ・ペリカンズ
MEHメンフィス・ハッスルミシシッピ州サウスヘイブンランダーズ・センターメンフィス・グリズリーズ
RGVリオグランデバレー・バイパーズテキサス州エディンバーグステイトファーム・アリーナヒューストン・ロケッツ
SLCソルトレイクシティ・スターズユタ州ソルトレイクシティブルーイン・アリーナユタ・ジャズ
TEXテキサス・レジェンズテキサス州フリスコドクターペッパー・アリーナダラス・マーベリックス
ウェスト
ACCアグアカリエンテ・クリッパーズカリフォルニア州オンタリオシチズンビジネスバンク・アリーナロサンゼルス・クリッパーズ
OKLオクラホマシティ・ブルーオクラホマ州オクラホマシティコックス・コンベンションセンターオクラホマシティ・サンダー
STKストックトン・キングスカリフォルニア州ストックトンストックトン・アリーナサクラメント・キングス
SCWサンタクルーズ・ウォリアーズカリフォルニア州サンタクルーズカイザーパーマネンテ・アリーナゴールデンステート・ウォリアーズ
SBLサウスベイ・レイカーズカリフォルニア州エルセグンドUCLAヘルストレーニング・センターロサンゼルス・レイカーズ

エキシビジョンチーム

エキシビジョンチーム
略号チーム本拠地アリーナ提携NBAチーム
サウス
CCMカピタネス・デ・シウダー・デ・メヒコメキシコ合衆国メキシコシティヒムナシオ・オリンピコ・フアン・デ・ラ・バレラなし
ウェスト
GLINBAGリーグ・イグナイトネバダ州ヘンダーソンダラーロン・センターなし

消滅したチーム

NBAへの昇格

シーズン中、NBAから10日間契約等で、いわゆる「昇格」を果たす選手がいる。これは、Dリーグが育成リーグという趣旨もあることから、リーグ本来の目的の一部が達成されたとも考えられる。また、この場合は提携先に限らず、どのチームとも契約が可能である。 また、Dリーグの選手がNBAドラフトで指名されるケースもあり、2008年のNBAドラフトで、マイク・テイラーがDリーグ初のNBAドラフト指名選手としてポートランド・トレイルブレイザーズより2巡目55位で指名された。

Dリーグ・ショーケース

2005年から、Dリーグの全チームが一堂に会し、ひとつの会場で試合を行なうDリーグ・ショーケースを開催。NBAチームのスカウト陣が1つの会場でまとめてDリーグのゲームを視察できるため、Dリーグに所属している選手にとって、NBA全チームのスカウトに対して自らの実力をプレゼンする絶好の機会になる。

特徴

  • NBAの各チームはGリーグの各チームと提携を組んでおり、Gリーグ発足当時はNBAチーム2~3チームあたり、Gリーグ1チームと提携していた。近年は各NBAチームが単独でチームを所有する傾向が増加し、2016-17シーズン現在、NBAの22チームがGリーグチームを所有している。
  • 選手はリーグと契約を交わし、その後リーグが主催するドラフトによりチームが編成される(すなわち、チーム個々とは契約を交えていない)。Gリーグのドラフトは毎年11月上旬に開催される。選手の異動が激しく多数の選手を獲得する必要があるため、10巡目まで行われる。
  • ドラフト後は、トレーニングキャンプを行ってロースターを支配下登録が可能な10人まで絞ることから始まる。そして11月下旬に開幕し、50試合のレギュラーシーズンを戦う。2月にはオールスターゲームも開催される。4月中旬にレギュラーシーズンが終わると、数日後にはプレイオフが始まり、優勝チームが決定される。

Gリーグアサイン

  • NBAのチームは15人まで支配下選手を登録することが可能だが、NBAドラフトにより選出されたばかりの新人選手や、即戦力ではない選手はGリーグに送り込んで(Gリーグ・アサインし)技術を向上させることが慣例になっている。しかし、その場合は提携先のチームにしか送り込むことはできない。また、1選手につき、シーズンで3回までしか送り込むことが認められない。
  • NBAのチームはトレーニングキャンプを行ってロスターを支配下登録が可能な15人まで絞る際に、ウェイブした選手を4人まで提携選手(affiliate player)ルール[2] に則り提携Gリーグ・チームのロスターに抱えることができる[3]

Gリーグ・オールスターゲーム

2007年2月17日、NBADLの初めてのオールスターゲームがネバダ州ラスベガスで開催された。オールスターゲームは、NBAオールスターウィークエンドのプログラムの1つとして開催された。試合は、イースタンが114-110で勝利、MVPはポップス・メンサー・ボンスが受賞した。翌2008年から、オールスターウィークエンドのイベントであるスラムダンクコンテストやスキルズチャレンジ、3ポイントコンテストをDリーグ選手が行う、Dリーグ・ドリームファクトリーが行われるようになった。

日本人選手

2005年、田臥勇太が日本人初のDリーグ選手としてアルバカーキ・サンダーバーズでプレーした。2006年以降はベーカーズフィールド・ジャムアナハイム・アーセナルに所属していた。2014-15シーズン、富樫勇樹がDリーグドラフトで日本人で初めて指名され、日本人2人目のDリーグ選手としてテキサス・レジェンズでプレーした。 2018年、日本人初の"Gリーグ"選手として、渡邊雄太が、メンフィス・グリズリーズメンフィス・ハッスルと2WAY契約を結んだ。

歴代優勝チーム

受賞

MVP(年間最優秀選手)

オールスターMVP

新人王

最優秀守備選手賞

インパクト・プレイヤー賞

MIP(最も成長した選手に贈られる賞)

  • 2009-10 ミルドン・アンブレズ (Mildon Ambres) 所属:アイダホ・スタンピード
  • 2010-11 ダー・タッカー (Dar Tucker) 所属:ニューメキシコ・サンダーバーズ
  • 2011-12 ケニー・ヘイズ (Kenny Hayes) 所属:メイン・レッドクローズ
  • 2012-13 キャメロン・ジョーンズ (Cameron Jones) 所属:サンタクルーズ・ウォリアーズ
  • 2013-14 フランク・ゲインズ (Frank Gaines) 所属:メイン・レッドクローズ
  • 2014-15 ジョー・ジャクソン (Joe Jackson) 所属:ベーカーズフィールド・ジャム
  • 2015-16 アクセル・トゥーパン (Axel Toupane) 所属:ラプターズ・905
  • 2016-17 デヴォンドリック・ウォーカー (Devondrick Walker) 所属:ウェストチェスター・ニックス
  • 2017-18 デクゥアン・ジョーンズ (w:DeQuan Jones|DeQuan Jones) 所属:フォートウェイン・マッドアンツ

ジェイソン・コリアー・スポーツマンシップ賞

  • 2001-02 マイク・ウィルクス (Mike Wilks) 所属:ハンツビル・フライト
  • 2002-03 ビリー・トーマス (Billy Thomas) 所属:グリーンビル・グルーヴ
  • 2005-06 アイミ・ウドカ (Ime Udoka) 所属:フォートワース・フライヤーズ
  • 2006-07 ロジャー・パウエル (Roger Powell) 所属:アーカンソー・リムロッカーズ
  • 2007-08 ビリー・トーマス (Billy Thomas) 所属:コロラド・14ers
  • 2008-09 ウィル・コンロイ (Will Conroy) 所属:アルバカーキ・サンダーバーズ
  • 2009-10 アンドレ・イングラム (Andre Ingram) 所属:ユタ・フラッシュ
  • 2010-11 ラリー・オーウェンス (Larry Owens) 所属:タルサ・シックスティシクサーズ
  • 2011-12 モーゼス・エハンム (Moses Ehamb) 所属:アイオワ・エナジー
  • 2012-13 ロン・ハワード (Ron Howard) 所属:フォートウェイン・マッドアンツ
  • 2013-14 ロン・ハワード (Ron Howard) 所属:フォートウェイン・マッドアンツ
  • 2014-15 レナルド・メジャー (Renaldo Major) 所属:ベーカーズフィールド・ジャム
  • 2015-16 スコット・シュグス (Scott Suggs) 所属:ラプターズ・905
  • 2016-17 キース・ライト (Keith Wright) 所属:ウェストチェスター・ニックス
  • 2017-18 w:所属:

コーチ・オブ・ザ・イヤー

シーズンヘッドコーチチーム
2006–07 ゲイツ, ブライアンブライアン・ゲイツ Idaho Stampede
2007–08 ゲイツ, ブライアンブライアン・ゲイツ (2) Idaho Stampede
2008–09 スナイダー, クインクイン・スナイダー Austin Toros
2009–10 フィンチ, クリスクリス・フィンチ Rio Grande Valley Vipers
2010–11 ナース, ニックニック・ナース Iowa Energy
2011–12 ムッセルマン, エリックエリック・ムッセルマン Los Angeles D-Fenders
2012–13 ジェンセン, アレックスアレックス・ジェンセン Canton Charge
2013–14 ヘンリー, コナーコナー・ヘンリー Fort Wayne Mad Ants
2014–15 モリソン, スコットスコット・モリソン Maine Red Claws
2015–16 クレイグ, ダンダン・クレイグ Sioux Falls Skyforce
2016–17 スタックハウス, ジェリージェリー・スタックハウス ラプターズ・905
2017–18 ミラー, マイクマイク・ミラー ウェストチェスター・ニックス


備考

  • 2005年からはフリーエージェントとしてNBA昇格や、逆にNBAから戦力外となった選手の受け皿となり、NBAのマイナーリーグとしての色を強めた。
  • bjリーグJBLにもDリーグでのプレー歴のある外国人選手が所属している。

脚注

  1. Dリーグが来季からGリーグに改名”. NBA.com (2017年2月15日). 2017年2月17日閲覧。
  2. NBA D-League 101: Affiliate Players”. NBA.com (2015年). 2018年7月4日閲覧。
  3. 2015 NBA Affiliate Players Added to NBA D-League Rosters”. NBA.com (2015年). 2015年11月4日閲覧。

外部リンク

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