黄泉醜女
記述
考証
シコ(志許、醜)の語句について、ヨモツシコメの場合は黄泉国の醜い女の意とされる一方、同じくシコを名に持つアシハラシコヲ(葦原色許男、葦原醜男)は、葦原中国の醜い男の他に強い男の意とされることがある[3][1]。「シコ」の本義の解釈については、黄泉国が死と深く関わっている点と、葦原色許男の根国での試練が儀礼的な死と見なされる点から、シコメ・シコヲを他界・死と密接な関係を持つ存在であるとする説[4]、黄泉国は葦原中国、葦原中国は根国を基準にして外部であることから、それらの世界に住むシコメ・シコヲを規範から逸脱しているよそ者とする説[5]などがある。
また、ヨモツシコメは鬼女と解釈されることがある[1]が、記紀にはシコメを鬼とする記述はない。性別が明記される鬼は仏典に見られる特徴である[注 2]ことから、醜女を仏教説話や現代の鬼とは切り離して考えるべきとする説もある[6]。
脚注
参考文献
- 倉野憲司 校注『古事記』岩波書店〈岩波文庫〉、1963年1月16日。ISBN 4-00-300011-0。
- 小長谷祥治「「醜女」は鬼女か─『日本書紀』における「醜女」の解釈をめぐって─」『研究紀要』第12号、長野県国語国文学会事務局、2017年12月、ISSN 1342-4777。
- 坂本太郎・家永三郎・井上光貞・大野晋 校注『日本書紀(一)』岩波書店〈岩波文庫〉、1994年9月16日。ISBN 4-00-300041-2。
- 土佐秀里「醜男醜女考」『日本文學論究』第75号、國學院大學國文學會、2016年3月、ISSN 0288-1721。
- 中村啓信 訳注『新版 古事記 現代語訳付き』KADOKAWA〈角川ソフィア文庫〉、2009年9月25日。ISBN 978-4-04-400104-9。
- 松倉文比古「「記・紀」における醜女・醜男について」『龍谷大学佛教文化研究所紀要』第18号、佛教文化研究所、1979年6月、ISSN 0289-5544。
外部リンク
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