ペルオキシ一硫酸カリウム

ペルオキシ一硫酸カリウム(ペルオキシいちりゅうさんカリウム、英:potassium peroxymonosulfate)、過硫酸水素カリウムあるいは一過硫酸カリウムは、広く使用されている酸化剤の一つである。過硫酸カリウム。過硫酸水素カリウムは強力な酸化剤であるが、不安定で取り扱いが難しい。しかし、硫酸水素カリウム硫酸カリウムを添加し複塩を作らせることにより安定な白い結晶となり、取り扱い容易な優れた酸化剤となる。この複塩は、デュポン社がオキソン(Oxone)、エボニック社がCaroatと称して販売している。商標ではあるが、「オキソン」は一般的な化学用語として認知されている[1]

ペルオキシ一硫酸カリウム
識別情報
CAS登録番号 10361-76-9, 
37222-66-5(トリプル塩)
PubChem 61462
ChemSpider 55384
日化辞番号 J2.526.532G
特性
化学式 KHSO5
モル質量 152.2 g/mol(トリプル塩: 614.76)
外観 淡白色粉末
危険性
安全データシート(外部リンク) Degussa Caroat MSDS
主な危険性 酸化剤
関連する物質
関連物質 ペルオキシ二硫酸カリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

主に有機合成化学分野において、オキソンは実験室で用いられる代表的な過硫酸試剤である。主な用途はオレフィンからエポキシドへ、第三級アミンからアミンオキシドへ、アルデヒドからカルボン酸へ、スルフィドからスルホンへの酸化などが挙げられる[2][3]

エポキシ化

-アセトンの混合溶媒にオキソンを懸濁させ、基質となるオレフィンを加えるだけで容易にエポキシドへの酸化が起こる。アセトンと過硫酸水素カリウムから生成するジメチルジオキシランが活性中間体となり、オレフィンをエポキシ化するものと考えられている。

DDOによるアルケンの酸化
DDOによるアルケンの酸化

またアセトンの代わりに、フルクトースなどから誘導した環状ケトンを用いることにより、不斉エポキシ化が可能となる。詳しくは史不斉エポキシ化の項目を参照。

Shi不斉エポキシ化
Shi不斉エポキシ化

その他の酸化

2-ヨード安息香酸をオキソンで酸化することにより、2-ヨードキシ安息香酸(IBX)が得られる。このものはデス・マーチン試薬の中間体として知られる。

出典

  1. "Oxone". Spectral Database for Organic Compounds (SDBS). "National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)". このデータベースにてoxoneの語でも検索できる。
  2. Benjamin R. Travis, Meenakshi Sivakumar, G. Olatunji Hollist, and Babak Borhan (2003). “Facile Oxidation of Aldehydes to Acids and Esters with Oxone”. Org. Lett. 5 (7): 1031–4. doi:10.1021/ol0340078. PMID 12659566.
  3. James R. McCarthy, Donald P. Matthews, and John P. Paolini (1998). "Reaction of Sulfoxides with Diethylaminosulfur Trifluoride". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, 9, p. 446

外部リンク

This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.