メモリースポーツ

メモリースポーツは、記憶した能力を披露し競う競技である。Memory Sportsをそのまま直訳し、記憶力競技と呼ばれることもある。イギリス発祥の競技でドイツアメリカオーストラリアアルジェリアなど世界40カ国以上で大会が開催されており、英語名ではMemory Championshipと呼ばれ、日本語では記憶力選手権や記憶力大会と呼ばれることが多い。

近年世界中での急激な競技に発展に伴い、10種競技、5種目競技、1種目競技、1VS1やチームでの対戦形式でも大会が行われており、日本メモリースポーツ協会のホームページによると世界で1000万人以上の競技人口がいると言われている。

日本でも2005年から2019年まで奈良県大和郡山市で記憶力大会が開催されていた。

2014年からは国際大会標準に則ったルールで行われるジャパンオープン記憶力選手権(2017年まで東京フレンドリー記憶力選手権という名称)が開催されている。

対戦形式の大会として2018年からMemory League Championship(MLC)、初心者に優しい1種目の大会として2019年からSpeed Cards Challenge(SCC)が開催されている。

記憶力のみを競うマインドスポーツ(頭脳スポーツ)とも捉えられる。

メモリースポーツを行う競技者のことをメモリーアスリートと呼ぶ。

日本国内でも急激な競技の発展に伴いメモリースポーツを行うチームや地域クラブ、大学サークルなどが続々と誕生している。

世界の大会

世界記憶力選手権World Memory Championships)は、1991年にトニー・ブザンチェスグランドマスターであるレイモンド・キーンが創設した、人間の記憶技術の向上をテーマとした世界競技大会である。元々2016年途中までWorld Memory Sports Council(WMSC:世界メモリースポーツ協会)が全ての大会の統括を行っていたが、World Memory Sports Council(世界メモリースポーツ協会)が内部分裂する形で、The International Association of Memory(IAM:国際記憶協会)が2016年に発足された。その後、The International Association of Memoryから香港、インドネシア、シンガポールなどの一部の組織が離脱し、Global Alliance Memory of Athletics(GAMA)を新たに発足した。 また2014年からは、IAM管轄下で従来の形式とは異なる1対1の対戦形式5種目で競う、World Memory League Championship(World MLC)も開催されている。World Memory League Championshipも含めると現在4つの世界選手権が存在することになる。世界的なコロナウイルスの流行により、ほとんどの世界選手権は開催されていないが、オンライン対戦型のWorld Memory League Championshipが2022年1月に開催予定。

世界記憶力選手権と各統括団体

2016年まで世界記憶力選手権(World Memory Championship)はWMSC(World Memory Sports Council)統括の大会のみであったが、WMSC内部や選手と協会間のさまざまなトラブルなどを理由に、WMSC内部から中国とアラビア圏を除くほとんどの組織が離脱し新組織IAM(The International Association of Memory)を立ち上げた。 そのため、2017年には、WMSC統括の世界記憶力選手権とIAM統括の世界記憶力選手権が存在するという複雑な形になった。また、2018年の10月にIAMからアジアの数カ国が離脱し、Global Alliance of Memory Athletics(GAMA)を立ち上げた。そのため2019年にはGAMA統括下での世界記憶力選手権が2019年から開催される予定。 競技内容は、全て10種目で競い、WMSC統括の大会はAbstract Imagesを行うのに対し、IAM統括の大会はRandom Imagesで行う。GAMA傘下の大会についてはさらなる競技種目の変更が行われる予定。 2019年後半には、WMSCが「IAMやGAMAの公認大会に出場した選手は、WMSCの大会への出場を禁ずる」との発表を行ったが、その後コロナウイルスの世界的流行もあり、2021年段階では大会がされていないため実施はされていない。日本メモリースポーツ協会は、WMSC、IAM、GAMAとの全ての組織との提携を結んでいる。

World Memory League Championship(World MLC)

全米チャンピオンであるネルソン・デリスと豪州チャンピオンでコンピューターエンジニアであるサイモン・オルトンが中心となり、選手だけでなく観客も楽しむことのできる1対1の対戦形式で行うExtreme Memory Tournament(現:World Memory League Championship)を2014年に創設した。その後名称を変え毎年アメリカのサンディエゴでWorld Memory League Championshipを開催している。コンピューターを使用し、1対1の対戦形式で5種目で勝敗を競う。全ての競技で1分で記憶し、4分で回答する方式を取っている。観客席にはモニターがあり、両方の選手が記憶している内容や回答している際の内容と正誤が表示され、試合の流れを見ることができる。大会出場には予選があり、突破した選手のみ参加が可能である。

World Memory League Championshipの競技5種目について

名称(英語)競技内容時間・量世界記録世界記録保持者
Cards 1分以内でトランプ52枚を記憶 1分以内・52枚 16.86秒 アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン
Images 1分以内で写真30枚の順番を記憶 1分以内・30枚 13.91秒 アメリカ合衆国の旗 ランス・ツチルハート
Names 1分以内で顔と名前を記憶 1分以内・30人分 60秒 イギリスの旗 ケイティー・カーモード
Numbers 1分以内で80桁の数字を記憶 1分以内・80桁 17.65秒 アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン
Words 1分以内で50個の単語を記憶 1分以内・50個 51.31秒 イギリスの旗 ケイティー・カーモード

World Memory League Championshipの開催地と歴代優勝者について

開催地 チャンピオン
12014アメリカ合衆国の旗 サンディエゴドイツの旗 サイモン・レインハルド
22015アメリカ合衆国の旗 サンディエゴドイツの旗 ヨハネス・マロー
32016アメリカ合衆国の旗 サンディエゴドイツの旗 サイモン・レインハルド
42022オンラインアメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン

世界各国での10種競技の大会

世界記憶力選手権以外にも毎年20以上の国と地域でメモリースポーツの大会が開催されている。ルールは世界記憶力選手権10種目で3日間開催に対し、1種目競技ごとの時間を短縮し10種目を1〜2日間で開催される。

世界各国での大会には、national standardとinternational standardと呼ばれる2種類があり、national standardの方がinternational standardよりも各種目の時間が短い。主に各国レベルの国際大会(オーストラリア選手権や香港選手権など)では、national standardで開催され、大陸レベルの大会(アジア選手権やアラビア選手権など)ではinternational standardで開催されることが多い。

名称(英語) national standard international standard World Memory Championship
Names & Faces5分15分15分
Binary Numbers5分30分30分
Random Numbers15分30分60分
Random Images5分5分5分
Abstract Images15分15分15分
Speed Numbers5分5分5分
Historic/Future Dates5分5分5分
Random Cards10分30分60分
Random Words5分15分15分
Spoken Numbers100秒 & 300秒100秒, 300秒 & 550秒200秒, 300秒 & 550秒
Speed Cards5分5分5分

各種目の世界記録と日本記録

名称(英語)名称(日本語)時間・量世界記録世界記録保持者日本記録日本記録保持者備考
One Hour Number 1時間で数字を記憶 1時間 3238桁 アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン 1624桁 大野 元郎
30min Number 30分で数字を記憶 30分 1933桁 アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン 890桁 池田 義博
15min Number 15分で数字を記憶 15分 1100桁 アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン 808桁 三輪 尚毅
Speed Number 5分で数字を記憶 5分 568桁 アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン 480桁 三輪 尚毅
Spoken Number 英語で読み上げられる数字を聞いて記憶 200,300,550桁 456桁 アメリカ合衆国の旗 ランス・ツチルハート 152桁 三輪 尚毅
5min Binary Numbers 二進法の0と1の数字の並びを記憶 5分 1170桁 中華人民共和国の旗 スー・ゼヘ 1104桁 三輪 尚毅
30min Binary Numbers 二進法の0と1の数字の並びを記憶 30分 6270桁 モンゴル国の旗 ムンシュール・ナマンダクフ 2760桁 大野 元郎
10min Cards できるだけ多くのトランプの並びを記憶 10分 493枚
(9.48パック)
モンゴル国の旗 ルクハンヴァドゥラム・エンクフツヤ 432枚
(8.31パック)
三輪 尚毅
30min Cards できるだけ多くのトランプの並びを記憶 30分 1092枚
(21.00パック)
モンゴル国の旗 ムンシュール・ナマンダクフ 468枚(9パック) 小林 瞭
One Hour Cards できるだけ多くのトランプの並びを記憶 1時間 1776枚
(34.15パック)
モンゴル国の旗 ムンシュール・ナマンダクフ 936枚
(18.00パック)
大野 元郎
5min Random Words 単語の羅列を記憶 5分 140語 ドイツの旗 ヨハネス・マロー 95語 三輪 尚毅
15min Random Words 単語の羅列を記憶 15分 318語 イギリスの旗 ケイティー・カーモード 129語 青木 健
5min Names and Faces 顔写真と名前を記憶 5分 105名 イギリスの旗 ケイティー・カーモード 47名 三輪 尚毅
15min Names and Faces 顔写真と名前を記憶 15分 212名 モンゴル国の旗 ヤンジャ・ウインターソウル
(ヤンジンダラム・アルタンシュ)
90名 中原 好
Historic Dates 架空の歴史の出来事と年を記憶 5分 133個 アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン 93個 三輪 尚毅
Abstract Images 抽象的な図形を記憶 15分 624個 スウェーデンの旗 エマ・アンダーソン 396個 大野 元郎 WMSCの大会のみ
5min Images 写真の記憶 5分 354個 モンゴル国の旗 ヤンジャ・ウインターソウル
(ヤンジンダラム・アルタンシュ)
284個 三輪 尚毅 IAM、GAMA
Speed Cards トランプ一組の並びをできるだけ速く記憶 1組 15.61秒 アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン 24.66秒 山口 晏平

世界記録は2017年12月3日現在。

世界各国の大会での日本人選手の成績

10種競技の日本人選手の成績

大会名名前順位大会当時の得点現在の得点備考
2010中華人民共和国の旗 World Memory Championship沢井 健志103位1466966
2011中華人民共和国の旗 World Memory Championship青木 健85位18421405
中田 智之96位13911031
田中 雄太106位758562
2012イギリスの旗 UK Open Memory Championship中川 崇8位1105846
オーストラリアの旗 Australian Open Memory Championship青木 健準優勝23071861
イギリスの旗 World Memory Championship田中 雄太71位8365
2013イギリスの旗 Friendly(Cambridge) Memory Championship青木 健3位24611951
オーストラリアの旗 Australian Open Memory Championship池田 義博優勝35432861
青木 健3位24211910
香港の旗 Hong Kong Open Memory Championship池田 義博12位33192650
青木 健20位26002083
中田 智之29位21291713
大橋 飛鳥47位1073845
イギリスの旗 World Memory Championship池田 義博28位36192748
大野 元郎66位21501645
宮地 真一83位1175900
2014香港の旗 Hong Kong Open Memory Championship池田 義博11位36423074
青木 健16位30242531
中華人民共和国の旗 World Memory Championship大野元郎38位38543107
池田 義博41位37973138
青木 健136位20221721
2015シンガポールの旗 Singapore Open Memory Championship青木 健13位23531986
香港の旗 Hong Kong Open Memory Championship青木 健35位26892285
台湾の旗 Taiwan Open Memory Championship青木 健16位30942626
阿部 博43位897750
中華人民共和国の旗 World Memory Championship大野元郎40位46203868
青木 健138位30502561
阿部 博266位12021034
2016フィリピンの旗 Philippines Open Memory Championship青木 健6位28312627
香港の旗 Hong Kong Open Memory Championship青木 健37位26552475
平田 直也53位17951639
阿部 博88位979896
シンガポールの旗 World Memory Championship阿部博200位24952373
2017大韓民国の旗 Korea Open Memory Championship青木 健20位29872836
平田 直也21位29772840
阿部 博88位845797
中川 計三113位746702
フィリピンの旗 Philippines Open Memory Championship青木 健12位24952373
大韓民国の旗 Korea National Memory Championship青木 健6位14495種目・問題は韓国語のみ
香港の旗 Asia Memory Championship青木 健60位29772790
外村 鮎太130位714696
シンガポールの旗 Singapore Open Memory Championship青木 健13位30752909
阿部 博39位14961425
台湾の旗 Taiwan Open Memory Championship大野 元郎優勝32823120
青木 健4位29422774
上長広和11位16621561
オーストラリアの旗 Australian Open Memory Championship青木 健4位34233425
インドネシアの旗 World Memory Championship大野 元郎18位44244144
上長広和73位17701636
阿部 博87位11861111
中原 好92位1059979
外村 鮎太106位686652
2018大韓民国の旗 Korea National Memory Championship青木 健6位15455種目・問題は韓国語のみ
大韓民国の旗 Korea Open Memory Championship平田直也22位34433443
青木 健28位28832883
高岡 柚月55位14621462
阿部 博64位12691269
シンガポールの旗 Asia Open Memory Championship青木 健33位28172817
和田 真幸86位11001100
オーストラリアの旗 Australian Open Memory Championship大野 元郎優勝36803595
青木 健5位23292248
中原 好6位21182044
阿部 博11位645607
香港の旗 World Memory Championship (WMSC)大野 元郎81位3904
中原 好207位1875
阿部 博240位535
2019インドネシアの旗 Asia Memory Championship大野 元郎13位43094309
中原 好28位30473047
小林 瞭30位29962996
青木 健43位24992499
高岡 柚月51位19771977
中華人民共和国の旗 World Memory Championship (IAM)大野 元郎19位4101
中原 好25位3531
中華人民共和国の旗 World Memory Championship (GAMA)大野 元郎4位4633
中原 好14位3556

※大会の得点は世界記録を元に毎年種目ごとに見直しがされるため、大会当時の得点と現在の得点は異なる場合があり、それにより当時下位だった選手が上位だった選手を現得点で上回ることがある。

Memory League Championship(5種目)の日本人選手の成績

大会名名前順位備考
2020Remote Memory League Championship小林 瞭ベスト16
土屋 一輝ベスト16
荒井 佳織ベスト24
2021Pan-American Memory League Championship小林 瞭準優勝
三輪 尚毅ベスト8
山口 晏平ベスト16
Asia-Oceanian Memory League Championship小林 瞭ベスト8
三輪 尚毅ベスト16
African-European Memory League Championship小林 瞭ベスト4
三輪 尚毅ベスト16
山口 晏平ベスト16
外園 清香ベスト16
2022Memory League World Championship小林 瞭ベスト5
三輪 尚毅ベスト5
山口 晏平ベスト8

※大会本戦に進出した選手のみ掲載

日本の大会

日本のメモリースポーツの大会は、2005年に奈良県の大和郡山市で始まった記憶力大会が始まりとされており、その後2014年にメモリースポーツの日本チャンピオンである青木健を中心に日本メモリースポーツ協会が設立された。現在開催されているメモリースポーツの大会については、年に1度開催される奈良県の大和郡山市の記憶力大会を除き、国際大会などの予選などを含め全て日本メモリースポーツ協会の管轄下で大会が行われている。

記憶力大会

奈良県の大和郡山市で町おこしの一環として開催され、町おこしを目的としたイベント。「自慢の部」、「競技の部」、「記憶力日本選手権大会」の3部門で構成される。

自慢の部
円周率路線名時事問題乗り物・物の名前など、物事の大量な情報の記憶を、披露するマニアック的な部門。
競技の部
子供からお年寄りまで誰でも参加でき、暗記しクイズ形式で解答する一般競技の部門。
記憶力日本選手権大会
世界記憶力選手権を模倣して作られた大会であり、このルールを参考にして日本一の記憶能力者の称号を争う。世界記憶力選手権を含む国際大会と記憶力日本選手権を開催する組織が全く異なるため、記録だけでなく世界ランキングや国内ランキングなどにも反映されない。そのため、日本選手権で優勝すると世界選手権の出場参加資格がもらえるということではない。2020年度から新型コロナウイルスの流行などを契機に記憶力日本選手権大会は廃止されることになり、新たに頭脳スポーツの部を新設することになった。

日本国内ルール

世界記憶力選手権大会公式ルールを参考にした独自のルールで行う。

競技5種目

世界記憶力選手権大会の10種目より5種目を抜粋。

「顔と名前」
ルール:15分間で暗記し、30分間で解答する。
63人分の人物の顔写真を記憶する。
※2010年までは99人分の人物の顔写真・姓・名であった。
「スピードカード」
ルール:5分間で暗記し10分間で解答する。
シャッフルしたトランプの順番を記憶する。
※2014年より、タイムに応じて得点が加算されるようになった。
「無作為の単語」
ルール:15分間で暗記し、30分間で解答する。
10個のランダム単語の組合せを20セット、合計200個の単語を記憶する。
※2011〜2013年までは、10個のランダム単語の組合せを10セット、合計100個の単語であった。
「数字記憶」
ルール:5分間で暗記し、10分間で解答する。
10個のランダムな数字(0から9)の順番を20セット、合計200個の数字を記憶する。
※2010年までは250個の数字、2011〜2013年までは合計150個の数字であった。
「架空の年表」
ルール:100個の架空の出来事とそれに対応する年号を記憶する。
※2013年までは「短文記憶」が行われていたが、2014年より「架空の年表」に変更された。

総合成績

総合チャンピオン 総合準優勝 総合3位 青年の部優勝 成人の部優勝 年長の部優勝 優勝者得点 大会平均得点
12005山下 善弘非公開非公開坪村 舞子山下 善弘15686.3
22006藤本 忠正非公開非公開東浦 加奈藤本 忠正230116.8
32007沢井 健志非公開非公開中田 加奈子沢井 健志273154.4
42008沢井 健志非公開非公開中田 加奈子沢井 健志275133.4
52009沢井 健志非公開非公開濱田 征邦沢井 健志永井 義人272144.6
62010中田 智之吉井 克英沢井 健志眞鍋 雅成中田 智之中川 計三非公開
72011中田 智之青木 健沢井 健志眞鍋 雅成中田 智之阿部 博384214.2
82012青木 健中田 智之吉井 克英濱田 征邦青木 健阿部 博443248.5
92013池田 義博澤田 亮人青木 健真鍋 雅成池田 義博阿部 博475241.3
102014池田 義博青木 健澤田 亮人西口 茉莉花池田 義博阿部 博437164.7
112015池田 義博大野 元郎青木 健劉 之源池田 義博高見 忠460204.5
122016大野 元郎青木 健西口 茉莉花西口 茉莉花大野 元郎阿部 博426184
132017池田 義博平田 直也大野 元郎劉 之源池田 義博阿部 博355194.6
142018池田 義博平田 直也青木 健三輪 尚毅池田 義博阿部 博405186.8
152019池田 義博平田 直也三輪 尚毅三輪 尚毅池田 義博高見 忠416145.3

※2020年以降の記憶力日本選手権大会は大会そのものが廃止、消滅した。新型コロナウイルスのパンデミックにより、これまでの形式での開催継続が難しくなったことも、廃止の理由の一つとなった。

Japan Open Memory Championships(ジャパンオープン記憶力選手権)

ジャパンオープン記憶力選手権Japan Open Memory Championships)は、10種競技の日本一のメモリーアスリートを決める大会である。2012年度の記憶力日本選手権大会の優勝者である青木健東京フレンドリー記憶力選手権Tokyo Friendly Memory Championships)を、メモリースポーツの発展と各国選手ならび関係者の親交を深めることを目的に、創設したが、競技人口の増加や国際組織公認の日本チャンピオンを決定する大会がなかったため、2018年度より名称が変更になった。

奈良県で毎年開催される記憶力日本選手権大会とは異なり、国際的な大会のため日本語以外の言語にも対応しているため、外国人選手の参加も可能である。毎年、韓国、中国、シンガポール、インドネシア、ドイツ、アメリカなど世界中から選手が参加している。また、2016年まではWorld Memory Sports Council(WMSC:世界記憶競技協議会)公認の大会であったため、本大会での成績は、WMSC発表の世界ランキングに反映されていた。2017年の大会からIAMの公認の大会になり、IAM発表の世界ランキングに反映されるようになった。

総合成績

総合チャンピオン 日本の旗 日本
チャンピオン
シニアチャンピオン アダルトチャンピオン ジュニアチャンピオン キッズチャンピオン Best Rookie
12014インドネシアの旗 Yudi Lesmana池田 義博インドネシアの旗 Yudi Lesmanaフィリピンの旗 Miguel Iseah Landichoフィリピンの旗 Rommel Landicho Jr.
22015日本の旗 池田 義博池田 義博日本の旗 阿部 博日本の旗 池田 義博日本の旗 西口 茉莉花
32016中華人民共和国の旗 Huang Shenghua松尾 卓彦日本の旗 阿部 博中華人民共和国の旗 Huang Shenghua中華人民共和国の旗 Chen Zhiqiang中華人民共和国の旗 Yan Jiashuo
42017中華人民共和国の旗 Linqi Yan平田 直也日本の旗 中川 計三中華人民共和国の旗 Linqi Yan日本の旗 村井 清寛
52018モンゴル国の旗 Yanjaa Wintersoul平田 直也日本の旗 阿部 博モンゴル国の旗 Yanjaa Wintersoulフィリピンの旗 Jamyla D. Lambunao大韓民国の旗 Ko Yun Ji日本の旗 高柳 一馬
62019中華人民共和国の旗 Zhang Lingfeng平田 直也日本の旗 阿部 博中華人民共和国の旗 Zhang Lingfengインドネシアの旗 Shafa Annisa Rahmadani ARIANATA日本の旗高岡 柚月日本の旗 小林 瞭
72020中止 
82021中止 
※シニア:60歳以上 アダルト:18〜59歳 ジュニア:13〜17歳 キッズ:12歳以下
※Best Rookieのタイトルは2017年より追加された。

Friendly Memory Championships(フレンドリー記憶力選手権)

2018年から開催されている5種目(顔と名前、無作為の単語、イメージ、スピードナンバー、スピードカード)の大会であり、第一回は東京で開催された。 従来の10種目の大会は、選手にとっての負担や競技への参加するハードルが高いが、5種目で開催されるため比較的参加しやすい大会になっている。 5種目のためIAM発表の世界ランキングには反映されないがスコアはオンライン上に掲載され、日本メモリースポーツ協会の5種目の日本ランキングには反映される。 ジャパンオープン記憶力選手権と同様に、国際的な大会のため日本語以外の言語にも対応しているため、外国人選手の参加も可能である。

総合成績

開催地 総合チャンピオン シニアチャンピオン アダルトチャンピオン ジュニアチャンピオン キッズチャンピオン
12018東京都大田区日本の旗 平田 直也日本の旗 阿部 博日本の旗 平田 直也日本の旗 三輪尚毅日本の旗 高岡 柚月

Japan Memory League Championship(Japan MLC)


日本チャンピオンの青木健とオーストラリアチャンピオンのサイモン・オルトンを中心にメモリースポーツのオンラインサイトMemory Leagueを使用した大会が2018年に初めて開催された。 各国のチャンピオンなどの招待選手と国内予選を通過した選手で優勝を競う。各選手は他の大会と異なりプレイヤー名でプレイする。 コンピューターを使用し、1対1の対戦形式で5種目で勝敗を競う。全ての競技で1分で記憶し、4分で回答する方式で行う。 観客席にはモニターがあり、両方の選手が記憶している内容や回答している際の内容と正誤が表示され、試合の流れを見ることができる。 またインターネットで実況つきのライブ配信も行っており、一般向けにわかりやすい解説をおこなっている。

成績

チャンピオン 準チャンピオン 3位 4位
12018日本の旗 Naoyaオーストラリアの旗 Anastasia Woolmer台湾の旗 funDunFish日本の旗 hiro
22020日本の旗 kobaドイツの旗 Johannes Mallow日本の旗 Naoya日本の旗 Kazuki
32021日本の旗 koba日本の旗 Yas日本の旗 Sayaka Hokazono日本の旗 Naoya
42022日本の旗 Yas日本の旗 koba日本の旗 Sayaka Hokazono日本の旗 Kazuki

Speed Cards Challenge(SCC)

従来のメモリースポーツは10種目と初心者にとって非常にハードルが高いため、メモリースポーツの花形種目であるスピードカードのみ1種目で競う大会が2019年から新設された。 通常では1大会で2回までしかチャレンジできないが、本大会では5回までチャレンジが可能となっている。 各大会では”単発記録”と”平均記録”の2種類でランキングを決めるため、スピード型の選手、安定型の選手どちらにもチャンスがある大会になっている。 "単発記録"は5回のうちの一番良い成績の記録が反映され、"平均記録"は一番良い記録と一番悪い記録を除いた3回の記録の平均がスコアとなる。 トランプ記憶1種目のSCCは、10種目のジャパンオープンや5種目のJapan MLCのようにチャンピオンを決める大会があるのではなく、 各年の終了時点の成績で単発記録と平均記録の日本チャンピオンを決定する方式を取っている。

日本チャンピオン

単発記録日本チャンピオン平均記録日本チャンピオン
名前タイム名前タイム
2019平田 直也40.80平田 直也49.53
2020小林 瞭28.09山口 晏平46.24
2021山口 晏平24.66小林 瞭26.12
2022山口 晏平25.51土屋 一輝48.80

日本人選手の世界ランキング

日本人選手のランキング(10種目) TOP10(2022年終了時点)

世界の協会や統括団体の内紛による分裂により、ランキングの算出方法がまちまちになり、2022年現在10種競技のみでも世界ランキングも複数存在する複雑な状態になっている。コロナウイルスの世界的流行により、現在ランキングの更新は停止している。

GAMAの日本ランキング IAMの日本ランキング WMSCの日本ランキング
日本ランク 世界ランク 名前 Score Competition 日本ランク 世界ランク 名前 Score Competition 日本ランク 世界ランク 名前 Score Competition
1 76 大野 元郎 4633 WMC 2019 1 14 三輪 尚毅 7059 Egypt Open 2022 1 250 池田 義博 4052 Tokyo Friendly Open 2015
2 174 平田 直也 3823 Japan Open 2019 2 102 大野 元郎 4243 Asia Open 2019 2 296 大野 元郎 3915 WMC 2015
3 221 池田 義博 3568 Japan Open 2015 3 147 平田 直也 3944 Japan Open 2019 3 803 青木 健 2796 Taiwan Open Adult 2015
4 222 中原 好 3556 WMC 2019 4 191 池田 義博 3674 Japan Open 2015 4 1197 中田 智之 2126 Tokyo Friendly Open 2014
5 350 青木 健 3110 Australian Open 2017 5 227 中原 好 3531 IAM WMC 2019 5 1416 中原 好 1835 WMC 2018
6 395 小林 瞭 2996 Asia 2019 6 293 青木 健 3187 Australian Open 2017 6 1497 平田 直也 1747 Hong Kong Open 2016
7 771 三輪 尚毅 2158 Japan Open 2018 7 368 小林 瞭 2950 Asia Open 2019 7 1625 澤田 亮人 1596 Tokyo Friendly Open 2014
8 783 上長 広和 2142 Japan Open 2018 8 694 上長 広和 2201 Japan Open 2018 8 1908 松尾 卓彦 1302 Tokyo Friendly Open 2016
9 861 高木 健志 2007 Japan Open 2018 9 781 高木 健志 2039 Japan Open 2018 9 1923 阿部 博 1288 Tokyo Friendly Snr 2016
10 881 高岡 柚月 1977 Asia 2019 10 790 奥野 瑛 2026 Japan Open 2019 10 2159 西口 茉莉花 1081 Tokyo Friendly Open 2016

日本人選手のランキング(5種目 Memory League) TOP10(2021年)

1VS1のバトル形式であるメモリースポーツの世界リーグであるMemory Leagueでも世界ランキングが公開されている。

日本ランク 世界ランク プレイヤー名 名前 ポイント
1位7位koba小林 瞭10699
2位9位Sayaka Hokazono外園 清香10550
3位10位Yas山口 晏平10546
4位13位Naoki Miwa三輪 尚毅10353
5位22位Naoya平田 直也9606
6位41位Yuzuki高岡 柚月8600
7位47位Kazuki土屋 一輝8482
8位59位Takeru Aoki青木 健8130
9位75位kaoritchi荒井 佳織7833
10位87位Rizu高岡 里朱7512
2021年10月8日現在。

チャンピオン

日本チャンピオン

2005年から2019年まで奈良県大和郡山市主催で開催されていた記憶力日本選手権大会(2019年をもって廃止)、 2014年からIAMの下部組織(2016年までWMSC)の日本メモリースポーツ協会(JMSC)主催で開催されているジャパンオープン記憶力選手権、 日本国内外のIAM統括下で開催されるMLCの日本大会、スピードカードのみで競う大会であるSCC(単発・平均)が存在する。



ジャパンオープン記憶力選手権 Japan MLC SCC(単発記録) SCC(平均記録) 記憶力日本選手権大会
種目数 10種目 5種目(Memory League) 1種目 1種目 5種目
主催団体 WMSC・IAM・GAMA・JMSC IAM・JMSC JMSC JMSC 大和郡山市
2005山下 善弘
2006藤本忠正
2007沢井 健志
2008沢井 健志
2009沢井 健志
2010中田 智之
2011中田 智之
2012青木 健
2013池田 義博
2014池田 義博池田 義博
2015池田 義博池田 義博
2016松尾 卓彦大野 元郎
2017平田 直也池田 義博
2018平田 直也Naoya (平田 直也)池田 義博
2019平田 直也不開催平田 直也平田 直也池田 義博
2020中止koba(小林 瞭)小林 瞭山口 晏平
2021中止koba(小林 瞭)山口 晏平小林 瞭
2022中止Yas(山口 晏平)山口 晏平土屋 一輝

世界チャンピオン

メモリースポーツの発展に伴い、様々な主催団体下での記憶力選手権が世界各国で開催されるようになってきている。 国レベルの大会や大陸レベルの大会、世界選手権など様々なレギュレーション下で複数開催されているため、チャンピオンに関しても複数名存在している。

現在世界レベルの大会はWorld Memory Sports Council(WMSC)とInternational Association of Memory(IAM)とGlobal Alliance of Memory Athletics(GAMA) IAM統括下で行われる1対1形式の大会であるMemory Leagueの4つ存在しており、それぞれで世界チャンピオンを決める大会が開催されている。

最多の8回優勝を達成したドミニク・オブライエン(右)


WMSCチャンピオン IAMチャンピオン Memory Leagueチャンピオン
1991イギリスの旗 ドミニク・オブライエン
1992
1993イギリスの旗 ドミニク・オブライエン
1994イギリスの旗 ジョナサン・ハンコック
1995イギリスの旗 ドミニク・オブライエン
1996イギリスの旗 ドミニク・オブライエン
1997イギリスの旗 ドミニク・オブライエン
1998イギリスの旗 アンディ・ベル
1999イギリスの旗 ドミニク・オブライエン
2000イギリスの旗 ドミニク・オブライエン
2001イギリスの旗 ドミニク・オブライエン
2002イギリスの旗 アンディ・ベル
2003イギリスの旗 アンディ・ベル
2004イギリスの旗 ベン・プリッドモア
2005ドイツの旗 クレメンス・マイヤー
2006ドイツの旗 クレメンス・マイヤー
2007ドイツの旗 グンター・カールステン
2008イギリスの旗 ベン・プリッドモア
2009イギリスの旗 ベン・プリッドモア
2010中華人民共和国の旗 ワン・フェン
2011中華人民共和国の旗 ワン・フェン
2012ドイツの旗 ヨハネス・マロー
2013スウェーデンの旗 ヨナス・ヴァンエセン
2014スウェーデンの旗 ヨナス・ヴァンエセンドイツの旗 サイモン・レインハルド
2015アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュランドイツの旗ヨハネス・マロー
2016アメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュランドイツの旗 サイモン・レインハルド
2017モンゴル国の旗 ムンシュール・ナマンダクフアメリカ合衆国の旗 アレックス・ミュラン

日本国内のチーム・クラブ

競技の発展に伴いチームやクラブも続々と誕生している。

日本メモリースポーツ協会に登録されているチーム・クラブは以下の通り。

  • Brain Sports Academy(BSA)
  • MSC青山学院大学メモリースポーツサークル
  • 一橋大学記憶 キューブサークルhimecury
  • 与野ルービックキューブサークル YRCC
  • 東京大学メモリースポーツ同好会
  • 東京くるくる会
  • 京大メモリースポーツ同好会

メディア

テレビ
限界突破!全力記憶〜華麗なるメモリースポーツの世界〜
NHK総合:2020年8月11日 、競技に関する内容やメモリースポーツに必要な記憶術などを72分間詳しく放送した。
地球リアル
NHK BS1:2020年3月18日 、三鷹SCC 2020の様子を高岡柚月選手、原正平選手に密着して放送した。
ミライ☆モンスター
フジテレビ:2019年2月24日 、Japan MLC 2018の様子を平田直也選手に密着して放送した。
ワンダー×ワンダー
NHK:2010年2月6日、2011年2月12日[1]
2010年2月には第18回ロンドン大会の模様を、2011年2月には第19回中国大会の模様を放送した。
ラジオ
中野浩一のフリートーク
TBSラジオ:2019年4月20日
日本メモリースポーツ協会の青木氏と中野浩一氏が対話形式でメモリースポーツについて話をした。
F.L.A.G.
FMヨコハマ:2018年3月16日、2020年3月20日
F.L.A.G.リポーターがメモリースポーツに挑戦した。
世の中面白研究所
R1 NHKラジオ第1:2012年2月13日[2]
第8回記憶力日本選手権大会の模様を放送した。

脚注

  1. 世界記憶力選手権”. NHK (2010年2月6日). 2010年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月1日閲覧。
  2. 記憶力増強計画”. NHK (2012年2月13日). 2013年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月1日閲覧。

関連文献

  • オブライエン, ドミニク 著、梶浦真美 訳『記憶に自信のなかった私が世界記憶力選手権で8回優勝した最強のテクニック』エクスナレッジ、2012年7月、272頁。ISBN 978-4-7678-1421-6。 - 原タイトル:You Can Have an Amazing Memory.
  • カールステン, グンター 著、荒井恵子 訳『記憶力世界チャンピオンカールステン博士の頭がよくなる勉強法 単語・歴史・公式・数字がすばやく覚えられる驚異のテクニック』こう書房、2010年9月、194頁。ISBN 978-4-7696-1036-6。 - 原タイトル:Lernen wie ein Weltmeister: Zahlen, Fakten, Vokabeln schneller und effektiver lernen.
  • フォア, ジョシュア 著、梶浦真美 訳『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由(わけ)』エクスナレッジ、2011年7月、367頁。ISBN 978-4-7678-1180-2。 - 原タイトル:Moonwalking with Einstein.

関連項目

外部リンク

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