血の掟
血の掟(ちのおきて、伊:Omertà)とは、シチリアのマフィアにおける約定。沈黙の掟[1]、オメルタの掟[2]などとも言う。マフィアのメンバーになるための誓いをするとき、互いの親指に針を刺し血を出して、それを重ね血が交わることで一族に加わったとする儀式を行うことからこの名が付いた。俗にマフィアの十戒とも呼ばれる。
概要
シチリアのマフィアのメンバーは、いかなることがあっても組織の秘密を守ることが求められ、メンバーになるときこれを誓約する。違反者には激しい制裁が加えられる(突然行方不明になり、拷問を受けた痕があり口には小石が詰められた惨殺体でのちに発見されるお礼参りの例が多数ある。沈黙を要求する相手には、暗喩として新聞紙に包んだ生魚を匿名で送りつけ、または手先を使って直接玄関に置き去る。これを防ぐためにアメリカでは証人保護プログラムが存在する)。また、この掟はメンバー内に限らず一般住民にも求められ、観光客がマフィアについて尋ねたとしても一切答えないことがある。
下記に述べる詳細については元メンバーの証言などにより大体判明していたが、シチリアのサルヴァトーレ・ロ・ピッコロが自宅に残していた文書が2007年の彼の逮捕に伴い公にされたことで、正しかったことが証明された[3]。
詳細・各条項
- 第三者が同席する場合を除いて、独りで他組織のメンバーと会ってはいけない。
- ファミリーの仲間の妻に手を出してはいけない。
- 警察関係者と交友関係を築いてはいけない。
- バーや社交クラブに入り浸ってはいけない(「酒場やクラブ通いをしてはならない」と表記されることもある[2])。
- コーサ・ノストラにはどんな時でも働けるよう準備をしておかなくてはならない。それが妻が出産している時であっても、ファミリーのためには働かなければならない。
- 約束は絶対的に遵守しなければならない。
- 妻を尊重しなければならない。
- 何かを知るために呼ばれたときは、必ず真実を語らなくてはならない。
- ファミリーの仲間、およびその家族の金を横取りしてはならない(「他人や他組織の金に手を出してはならない」と表記されることもある[2])。
- 警察、軍関係の親戚が近くにいる者、ファミリーに対して感情的に背信を抱く者、素行の極端に悪い者、道徳心を持てない者は、兄弟の契りを交わさないものとする。
脚注
- 暴力団ミニ講座>23) マフィア松江地区建設業暴力追放対策協議会公式サイト
- “破れば親友の手で地獄行き。ファミリー"血の掟"<マフィアの十戒>。ギャングとオメルタの束縛”. HEAPS (2018年4月29日). 2020年3月10日閲覧。
- “伊マフィアの「十カ条」、逮捕されたボスの自宅から発見”. ロイター. (2007年11月9日)
関連項目
- 証人保護プログラム
- バラキ公聴会
- 血の掟を破ったマフィア構成員 - イタリアではペンティート(Pentito、“後悔した者”の意)と呼ばれる。
- ジョゼフ・ヴァラキ - 生涯を刑務所ないし拘置所内部で過ごした。上記、バラキ公聴会の証言者。
- エイブ・レルズ - 彼の証言により、大物マフィアのルイス・"レプケ"・バカルターが有罪判決を受け処刑された。ホテルから転落死(暗殺説あり)
- トンマーゾ・ブシェッタ
- お礼参り
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