職用車
職用車(しょくようしゃ)は、日本国有鉄道・JRで、営業用ではなく自社内の業務用(事業用)に使用される鉄道車両で、救援車や配給車など他に分類されない車種の総称。電車、気動車、客車、貨車のいずれにも存在し、車種記号は「ヤ」(役所のヤ。もしくは「やくにん」のヤ[1])で表される。
解説
事業用用途の車両がまとめられたグループのため、当時の国鉄の体制などもあり、多くの用途の車両が存在した。 狭義の職用車は車種記号「ヤ」の車両のうち、試験車、工事車、教習車、保健車、広報車以外のものを指すが、ここでは車種記号「ヤ」で表されるもの全般について記載する。
- 牽引車 - 単独で自走できない車両を牽引するための車両。固定編成の電車では、工場への検査入場などで車両単位に切り離した場合そのままでは自走できないため、牽引車が必要となる。
- 職員輸送車 - 最寄駅から離れた車両基地や貨物駅などに職員を輸送するための車両。営業用車両で代用されることも多い。
- 試作車 - 高速、走行性能など
- 電源車 - ブルートレインに客室用の電力を供給する車両のうち、荷物車やロビーカー・ラウンジカーなどと兼用でないもの。定期運用を持ち営業用の列車に連結される職用車として特筆すべき存在であった。現在はJR東日本E26系客車の予備電源車、「カヤ27 501」のみが在籍する。
- 試験車 - 軌道設備の各種測定車
- 建築限界測定車 - 建築限界を測定する車両
- 工事車 - 各種の工事などに用いられる車両。
- 教習車、訓練車 - 車両の構造や動作部分を車内設置または一部露出させて仕組みを見せ、教育や訓練を行う。
- 保健車 - 各地を巡回し、職員に対する健康診断や診察を行う車両で、検診用の各種設備を備える。1970年代まで北海道や東北・山陰などの地方で使用された。
- 広報車 - 鉄道事業PR活動用の車両。鉄道開業80周年の際にナハ13500の内部を改装したホヤ16800が短期間存在したのみ。なお職用車扱いではないが、ポンパ号やサイエンストレイン、アメリカントレインなどの類似車両がある。
脚注
- 福原俊一『日本の電車物語 旧性能電車編 創業時から初期高性能電車まで』JTBパブリッシング、2007年、ISBN 978-4-533-06867-6、p.80。
なお、ここの「やくにん」は「役人」ではなく「職員」のこと。
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