第一屋製パン
第一屋製パン株式会社(だいいちやせいパン)は、東京都小平市に本社を置く製パン会社。一般には商標の「第一パン(ロゴ上では『㐧一パン[注 1]』)」で知られる。
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | |
略称 | 第一パン |
本社所在地 |
日本 〒187-0031 東京都小平市小川東町3丁目6番1号 |
設立 |
1955年7月22日 (創業1947年5月16日) |
業種 | 食料品 |
法人番号 | 8012701009955 |
事業内容 | パン、和洋菓子、クッキーなどの製造販売 |
代表者 | 代表取締役社長 細貝正統 |
資本金 | 33億556万7500円 |
発行済株式総数 | 6,929,900株 |
売上高 |
連結:243億90万円 (2022年12月期) |
営業利益 |
連結:△6億6,900万円 (2022年12月期) |
経常利益 |
連結:△5億5,400万円 (2022年12月期) |
純利益 |
連結:△11億4,500万円 (2022年12月期) |
純資産 |
連結:58億4,100万円 (2022年12月期) |
総資産 |
連結:170億7,600万円 (2022年12月期) |
従業員数 |
連結885人 (2017年12月31日現在) |
決算期 | 12月31日 |
主要株主 |
豊田通商株式会社 33.43% 細貝 理栄 8.57% 細貝 隆志 8.12% (2017年12月31日現在) |
主要子会社 |
スリースター製菓株式会社 100% 株式会社ベーカリープチ 100% 株式会社ファースト・ロジスティックス 100% |
関係する人物 | 細貝義雄(創業者) |
外部リンク | http://www.daiichipan.co.jp/ |
特記事項:豊田通商株式会社連結企業 |
概要
製パン業界では、山崎製パン、敷島製パン、フジパン、神戸屋、アンデルセングループに次ぐ中堅グループにあり、売上高は業界6位である。豊田通商グループ会社。なお当社より上位の企業のうち、山崎製パン以外は非上場である。
主力商圏は競争の激しい関東・関西が中心であるが、北は北関東・新潟県から西は中国・四国地方まで商圏がある。沖縄県那覇市にも「第一パン」は存在するが[1]、正式名称は「株式会社第一パン」であり、同業ではあるものの、関連性は特にない。
連結売上高に占める比率は2017年(平成29年)現在、パン部門(菓子パン含む)75.5%、和菓子部門13.6%、その他部門10.9%。かつては米飯事業にも手を出していたが、現在は撤退している。
子会社は主にクッキーなどを生産するスリースター製菓、冷蔵生地供給をしているベーカリープチ、もともとは第一屋製パンの物流・ルート配送部門であったファースト・ロジスティックスなどがある。2007年(平成19年)までは米飯・調理パン部門であるフレッシュハウスという子会社が存在していたが、当部門の業績悪化のためにカネ美食品などに譲渡・撤退しており、現在は存在しない。
創業者・細貝義雄の息子の細貝理栄が平成26年1月1日付をもって会長を務め、代表取締役社長や取締役は大株主の豊田通商より招聘している。
1998年(平成10年)6月に発売したポケモンパンシリーズはロングラン・ヒット商品で、看板商品となっている。当初は山崎製パンが手がける予定だったが、1997年(平成9年)12月にテレビ東京にてポケモンのアニメの放映中にてんかん事故(ポケモンショック)が起き、それを理由に山崎製パンが撤退したことにより、手がけることになったことが始まりである。
製パン会社の中ではキャラクター商品の先駆者であり、ポケモン、スーパー戦隊シリーズ、プリキュアシリーズ[注 2]など数多く手がけている。
2011年秋より、『クロスファイト ビーダマン』の販売権を同社が担当しており、キャラクター商品を発売していた。その後は『メタルファイト ベイブレード ZEROG』から撤退した山崎製パンに代わり、『ビーストサーガ』のキャラクター商品から販売権を譲り受けた。これにより、山崎製パンは『ベイブレードバースト』シリーズからキャラクター商品の販売権を復帰した。
小麦粉やバターなどの原材料価格の高騰で、製品を他社と同じように値上げをしているが、それでも採算が取れなかったため、不採算店舗の取引中止や不採算アイテムのカットなどで利益の伴わない売上を無くして何とか黒字化しようとしているが、この売上を他社に奪われ、製パン業界の中でのシェア(業界順位)をさらに下げてしまう可能性もある。
第60期(平成13年1月 - 平成13年12月31日)から継続して営業損失を計上し、業績の回復にはいたっていなかったが、豊田通商の持分法適用会社となってからは生産面でTPS(トヨタ生産方式)を導入し、品質の安定化と生産効率の改善が進み、製造原価を大幅に低減することができた。それにより長年営業損失を重ねていたが第72期(平成25年度)では黒字化を達成。
昭和50年代、同じく原価高騰を受け、値上げした山崎製パンとは当時ほぼ同じシェアで並ぶこともあったが、逆に価格高騰を吸収して利益を出しており、両社の明暗を表している。
2008年(平成20年)10月現在、業績は長期間続けて赤字で低迷。2007年(平成19年)の米飯・調理パン部門撤退に続き、来期までに営業所を全て閉鎖し、その閉鎖した営業所が担当している配送エリアについては、他社との共同配送で対応し、物流コストを削減する予定。(すでにかつて存在していた静岡営業所を2007年(平成19年)3月に閉鎖して同業他社との共同配送を開始している)
2008年(平成20年)6月末現在で単体ベースで従業員数が994人と、一般に「大企業」と呼ばれる従業員数の1000人を割り込み、かなりの規模を縮小している。
2008年(平成20年)、ハワイにある子会社「第一屋ラブスベーカリー・インコーポレイテッド」を現地法人に譲渡。これにより事業は海外から撤退し、国内のみとなる。
2009年(平成21年)1月1日付で仙台工場を白石食品工業に売却し、東北地方での製造と販売から撤退した。(ただし、ポケモンパンについては、第一パンからの委託製造〈エリアフランチャイズ〉を受ける形で引き続き製造している[注 3]。このため、第一パンが実施しているポケモンパンのデコキャラシール封入やプレゼントキャンペーンへの応募なども行われている。)
2009年(平成21年)6月、賃借料の削減のため、本社を小平工場の敷地内に移転した。
2009年(平成21年)12月22日、豊田通商を引受先とする第三者割当の新株発行を行うことを発表した。2010年(平成22年)1月27日、豊田通商の持分法適用会社となる。
2022年(令和4年)12月31日、生産拠点集約に伴い、横浜工場を閉鎖。跡地は工場建屋解体後、賃貸へ。
2023年(令和5年)1月1日、神奈川県横浜市都筑区に横浜営業所を開設。
年表
- 1947年(昭和22年) - 創業者・細貝義雄が東京都大田区東六郷に第一屋菓子店開業。当時はアイスキャンディーも製造・販売。
- 1948年(昭和23年) - 合資会社第一屋設立。
- 1955年(昭和30年) - 第一屋製パン株式会社設立。
- 1957年(昭和32年) - 第一屋製パン労働組合が発足。
- 1959年(昭和34年) - 初めてテレビCMを放映。
- 1962年(昭和37年) - 東証二部に上場。
- 1970年(昭和45年) - 東証一部に指定替え。
- 1972年(昭和47年) - 日本タンパク工業(のちのフレッシュハウス)を日商岩井より買収。
- 1974年(昭和49年) - 小平工場完成。三鷹工場閉鎖。子会社スリースター製菓株式会社設立。資本金9900万円。
- 1977年(昭和52年) - 金町食パン工場完成。
- 1980年(昭和55年) - 仙台工場完成。
- 1981年(昭和56年) - 米・ハワイの「ラブスベーカリー」を552万ドルで買収。「第一屋・ラブスベーカリー」(のちの「第一屋ラブスベーカリー・インコーポレイテッド」)設立。
- 1985年(昭和60年) - 細貝理栄が2代目社長に就任。創業者の細貝義雄は会長に就任。
- 1990年(平成2年) - 日本タンパク工業で調理パン製造開始。バラエティストア(現:アウトレット・イフ)本社店開店。
- 1996年(平成8年) - 従業員100人希望退職。この年より業績低迷。
- 1998年(平成10年) - ポケモンパン発売開始。
- 1999年(平成11年) - 工場直営店の「バラエティストア」を「アウトレット・イフ」に変更。
- 2000年(平成12年) - 本社を大田区南蒲田に移転。本社工場は閉鎖。
- 2007年(平成19年) - 米飯事業撤退のため、大阪工場、松戸工場閉鎖。子会社の株式会社フレッシュハウスを閉鎖。
- 2009年(平成21年) - 仙台工場を白石食品工業に譲渡。東北地方から撤退。本社を小平工場の敷地内に移転。
- 2010年(平成22年) - 豊田通商の持分法適用会社となる。
- 2022年(令和4年) - 12月31日 生産拠点の集約に伴い、横浜工場閉鎖。
- 2023年(令和5年) - 1月1日 横浜市都筑区に横浜営業所開設。
事業所
直売店
「ベーカリーアウトレット iF」という名称で展開。規格外品・形に難がある商品等を値引き販売。
- 金町店 - 金町工場敷地隣接
- 小平店 - 小平工場隣接
- 高崎店 - 高崎工場隣接
- 大阪空港店 - 大阪空港工場隣接
閉鎖された工場(子会社は除く)
主な商品
食パン
- モーニングシェフ
- モーニングセレクション
- ホテルの朝
- 発芽玄米食パン - ファンケル発芽玄米を使用
菓子パン
食卓ロール
- バターロール
- レーズンバターロール
- トーストするだけメープル風味
キャラクター
- ポケモンパンシリーズ
- ドラえもん
- ハローキティ
- ウルトラマンコスモス
- ウルトラマンマックス
- どうぶつの森シリーズ
- クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!
- スーパー戦隊シリーズ(『獣電戦隊キョウリュウジャー』から『宇宙戦隊キュウレンジャー』まで)(以前はクリスマスケーキ(キャラデコ)のみ販売されていた。)
- プリキュアシリーズ(『ドキドキ!プリキュア』以降)(同上)[注 2]
- クロスファイト ビーダマン[注 4]
- ビーストサーガ[注 5]
その他
- 「デザインバーコード」を製パン業者ではじめて用いた。(サークルKサンクス アスカルビーのジャムパン)
- テレビ番組では、「ウルトラマンコスモス」(TBSテレビ)や「ポケットモンスター」(テレビ東京系)など他の番組で、スポンサーとして放送されている[注 6]。
- 2011年秋より、『クロスファイト ビーダマン』シリーズのパン製品を同社から発売され、「カケルの生クリームパン」や「カモンの美味しいカレーパン」が大ヒット商品となっている。
- また、2013年より、『ビーストサーガ』のキャラクター商品の販売として『メタルファイト ベイブレード ZEROG』から撤退した山崎製パンから同社を受け継ぎ、『ライオーガのグロリア王国パン』などの一部商品を販売しており、関連商品も発売された。
- 創業者の細貝義雄がやなせたかしと親交があったことから1976年に「アンパンマン」をマスコットキャラクターとして起用していた[3]。
脚注
注釈
- 「第」が略字体の「㐧」
- 『スマイルプリキュア!』までは本州・四国・北海道では山崎製パンが、沖縄県ではサンエー・ローソン・ぐしけんが共同で手掛けていた(どちらもバンダイが関与していたが、沖縄版はバンダイの公式サイトに紹介がなかった)。業者の変更にともない、北海道・東北・九州地方・沖縄県・中国地方の一部での販売がなくなった。
- 同じことは元々第一パンの製造拠点がない、九州のリョーユーパンも同文。
- 「eS」を含む。
- 2012年『メタルファイト ベイブレード ZEROG』(『メタルファイト ベイブレード』シリーズ最終作)までは山崎製パンが販売を行っていた。
- 後者は販売のない地域やBSジャパンでは、ACジャパンや他社のCMに差し替えられている。
出典
- 株式会社第一パン 会社概要(沖縄県那覇市、法人番号:4360001001321、2022年4月2日閲覧)
- “第一パン「カリーライス専門店 エチオピア」監修の「チキンカリーパン」「焼きビーフカリーパン」を発売”. グルメWatch(株式会社インプレス). 2023年4月4日閲覧。
- イデア探検隊ビジネス班『ポケモンの成功法則 キャラクタービジネスの舞台裏を徹底分析』東洋経済新報社、2001年、205-206頁。ISBN 4-492-52117-8
外部リンク
- 公式サイト
- 主な関連会社(食料・生活産業) | 会社情報 | 豊田通商株式会社 (豊田通商)
- 第一屋製パン (@daiichiyaseipan) - Twitter