福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーター(ふくしじゅうかんきょうコーディネーター)は、日本の公的資格の1つ。高齢者障害者に対して住みやすい住環境を整備するためのコーディネート(調整役)である。

福祉住環境コーディネーター
英名 Housing Environment Coordinator
実施国 日本の旗 日本
資格種類 公的資格[注 1]
分野 不動産・建築
試験形式 CBT
認定団体 東京商工会議所
認定開始年月日 1999年(平成11年)
等級・称号 1級 - 3級
公式サイト https://kentei.tokyo-cci.or.jp/fukushi/
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格

概要

従来では例えば、建築は建築士、介護は介護福祉士、医療は医師理学療法士などの専門職がそれぞれに担当し、全体的に見て住環境整備に必要な要素が抜け落ちやすかった。このような点を解消するため、上記資格者(建築・医療・介護福祉・行政など)の立場を理解し、各専門職の仲立ちをすることで、より利用者並びに利用者の家族の立場に立ち住環境整備を円滑化するための知識を得る、公的検定試験である。それ単体ではファシリテート(適宜介入)や専門対応ができず、実務では建築・医療・介護福祉・行政などに加味して活用するケースが多いのが実態である。ただし、2級を取得すると、介護保険を利用した住宅改修を行った際の必要書類である「住宅改修が必要な理由書」を作成することが認められている。

医療・福祉・建築について体系的で幅広い知識を身につけ、建築士ケアマネジャーなど各種専門職と連携をとりながらクライアントに適切な住宅改修プランを提示したり、福祉用具や諸施策情報などについてもアドバイスする。

東京商工会議所が主催している。1級から3級まであり、福祉系の資格としては珍しく特に受験資格は要らず、誰でも受験することができる。1級の検定試験は年1回(12月頃)全ての受験者が同一の日程でCBTで実施されている。2~3級はCBTまたはIBTで6~7月頃および10~11月頃にかけて実施されている[1]。2021年までは2級に合格しなければ1級を受験することができなかったが2022年以降は2級に合格していなくても1級を受験することができることとなった。

職能団体としては、福祉住環境コーディネーター協会(任意団体)が東京商工会議所などの協力を得て2002年に結成されていたが、2019年に解散した。現在は全国福祉用具専門相談員協会(一般社団法人)が検定試験合格者をFJC会員(福祉住環境コーディネーター検定試験合格者)として迎え入れている。

合格率の推移

3級は第1回からおおむね40%から60%の合格率で推移している。2級は初期は10%台と低い合格率の回もあったが、近年は難易度によって平均30%〜50%まで振れ幅が広く、3級よりも高い回も多くなっている。1級は10%未満の低い合格率となっている。

なお、合格点は全級で100点満点中70点以上となっている。3級と2級はマークシート方式だが、1級は前後半でマークシート方式と記述式の2種類の試験を受験することとなっており、いずれも70点以上を獲得する必要がある。

3級2級1級
実施年度実施回受験者数合格者数合格率受験者数合格者数合格率受験者数合格者数合格率
1999年第1回9,935人6,183人62.2%無し
第2回8,427人3,710人44.0%
2000年第3回25,430人16,494人64.9%
第4回無し15,016人2,534人16.9%
第5回26,221人14,908人56.9%15,458人5,542人35.9%
2001年第6回33,728人17,421人51.7%29,304人8,109人27.7%
第7回31,676人15,083人47.6%32,217人18,460人57.3%
2002年第8回35,323人17,016人48.2%38,099人10,462人27.5%
第9回32,950人12,378人37.6%45,979人7,023人15.3%
2003年第10回35,120人14,832人42.2%43,445人8,584人19.8%
第11回32,458人10,633人32.8%44,701人12,065人27.0%
2004年第12回32,530人15,087人46.4%41,012人17,630人43.0%
第13回27,031人13,621人50.4%38,294人12,453人32.5%
2005年第14回23,592人12,250人51.9%30,486人13,585人44.6%
第15回20,913人9,345人44.7%33,529人15,777人47.1%2,078人30人1.4%
2006年第16回19,364人8,920人46.1%24,370人7,207人29.6%無し
第17回17,443人7,640人43.8%27,815人16,133人58.0%1,867人47人2.5%
2007年第18回13,626人5,559人40.8%16,750人2,265人13.5%無し
第19回12,372人5,160人41.7%19,993人4,775人23.9%1,359人53人3.9%
2008年第20回10,385人4,787人46.1%14,793人7,209人48.7%無し
第21回10,830人5,630人52.0%15,977人10,572人66.2%1,120人66人5.9%
2009年第22回10,988人7,527人68.5%15,119人6,547人43.3%無し
第23回10,302人6,420人62.3%18,021人9,292人51.6%867人38人4.4%
2010年第24回10,251人5,726人55.9%16,497人8,196人49.7%無し
第25回10,288人6,256人60.8%17,960人11,018人61.5%761人45人5.9%
2011年第26回9,013人5,373人59.6%14,295人6,723人47.0%無し
第27回8,635人3,828人44.3%17,133人5,635人32.9%708人29人4.1%
2012年第28回8,239人4,443人53.9%14,738人7,981人54.2%無し
第29回8,205人2,322人28.3%15,216人8,043人52.9%867人38人4.4%
2013年第30回7,454人4,702人63.1%14,282人10,823人75.8%無し
第31回7,159人4,023人56.2%14,519人10,449人72.0%635人48人7.6%
2014年第32回6,692人4,975人74.3%12,905人4,890人37.9%無し
第33回6,702人4,314人64.4%15,423人6,522人42.3%611人37人6.1%
2015年第34回6,312人3,971人62.9%14,233人10,072人70.8%無し
第35回-人-人-%-人-人-%-人-人-%

業務の実際

実際に資格を取得しても「福祉住環境コーディネーター」という職種で採用している事業所や企業は非常に少ない。 受験する者は、建築関係の仕事(リフォーム会社や工務店)に就いている建築士介護保険で福祉用具貸与や住宅改修などを行っている事業所の福祉用具専門相談員ホームヘルパー介護支援専門員など福祉関係職の受験が多い。自己のスキルアップや会社の資格取得勧めで受験する者もいる。

脚注

注釈 

  1. 2級以上で介護保険を利用する際の「住宅改修が必要な理由書」を作成できる

出典 

関連項目

外部リンク

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