短頭症
短頭症(たんとうしょう、英:brachycephaly)とは、前後径が幅に比較して短い状態のこと[1][2]。後頭部扁平を併発することが多い[1][2]。
Brachycephaly/Brachyceplalic | |
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Physiologically and other kind of cranial deformities | |
分類および外部参照情報 | |
ICD-9-CM | 756.0 |
DiseasesDB | 29893 |
GeneReviews |
「後頭部扁平」との関係
後頭部扁平(こうとうぶへんぺい、英:flat occiput)とは、後頭部の曲率半径が減少している状態のこと[1][2]。俗に「絶壁頭(ぜっぺきあたま、英:flat head)」と呼称される。 上述した通り、短頭症は後頭部扁平を併発することが多いため、短頭症と後頭部扁平とは区別されないことがある。日本でも、後頭部扁平を指して短頭症と称することが多い[3]。ただし、両者は区別すべきだとされる[1][2]。
沿革
欧米と日本では、沿革に大きな違いがある。
種類
骨癒合性短頭症
骨癒合性短頭症(こつゆごうせいたんとうしょう)とは、乳幼児の両側の冠状縫合が早期癒合することによって起こる短頭症のこと。頭蓋骨縫合早期癒合症の1種である。
頭位性短頭症(変形性短頭症)
頭位性短頭症(とういせいたんとうしょう)または変形性短頭症(へんけいせいたんとうしょう)とは、仰向け寝などの外圧により乳幼児の頭蓋が変形することによって起こる短頭症のこと。位置的頭蓋変形症の1種である。骨癒合性短頭症との対比において「非骨癒合性短頭症(ひこつゆごうせいたんとうしょう)」と呼称されることもある。
疫学
日本
日本では、調査・研究されてはいないため、不明である。ただ、日本は欧米ほど頭蓋変形に対する意識が高くないため、欧米よりも多いと考えられる。
アメリカ
アメリカでは、1歳未満の乳児の16~48%に位置的頭蓋変形がみられた[8]。
健康への影響
発達遅滞
発達遅滞(英:developmental delay)を生じさせる可能性がある[11]。厚生労働省の医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会においても以下のように記載されている。
これまでは、乳児期の外圧による頭蓋変形は、成長発達遅滞や機能障害の原因にならないと考えられてきたが、変形性斜頭等を伴う事例では神経発達及び運動発達に遅れを伴うとの報告が複数ある。筋性斜頸に伴う場合など、一定期間の積極的体位変換等に反応しない場合や、高度の向き癖が持続する例では、頭蓋変形が自然軽快する可能性が乏しく、神経発達及び運動発達の遅滞を予防する観点からも、中等度以上の変形性斜頭等について積極的に治療の適応があると考える。 — 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について
- 厚生労働省
頭痛
頭痛を発症する可能性がある[12]。
乱視
乱視を発症する可能性がある[13]。
顎関節症
顎関節症(英:Temporomandibular joint disorder)を発症する可能性がある[12]。
斜頸
二次的斜頸(英:Torticollis)を発症する可能性がある[12]。
日常生活への影響
自転車用のヘルメットが合わなかったり、眼鏡が斜めになる。
予防
頭位性短頭症には、以下のような予防法がある。
タミータイム
タミータイム(英:tummy time)とは、乳幼児が起きているときに、保護者などの厳重な監督のもとで、乳幼児を腹ばいにして過ごさせる方法のこと[15]。
治療
どちらの短頭症も治療が必要である。厚生労働省の医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会においても以下のように記載されている。
非頭蓋縫合早期癒合症による乳児頭蓋変形の軽症例では定頸や発達に伴って改善するが、中等度以上では就寝時の向き癖が治らずに平坦部に持続的な頭部自重がかかるために、頭蓋の変形が増悪、固定化すると考えられている。 — 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について
- 厚生労働省
外科治療
骨癒合性短頭症は、外科治療を行うのが一般的である。
ヘルメット治療
頭位性短頭症は、頭蓋形状矯正ヘルメットによって矯正治療を行うのが一般的である。 骨癒合性短頭症でも、術後にヘルメット治療を行う場合がある[17]。
ヘルメット治療については、厚生労働省の医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において以下のように記載されている。
筋性斜頸に伴う頭蓋変形はもちろん、その他の頭蓋変形に対して簡便で安全、より効果的な治療が可能となり、患者・保護者の肉体的・精神的な負担の観点から、既存の治療法よりすぐれていると考えられる — 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について
- 厚生労働省
日本で流通しているヘルメットは以下の通り。
註釈
- Elements of morphology: Standard terminology for the head and face
- 日本小児遺伝学会「国際基準に基づく小奇形アトラス 形態異常の記載法 ―写真と用語の解説」
- たとえば、高槻病院 赤ちゃんの頭の形外来
- Laughlin, J.; Luerssen, T. G.; Dias, M. S.; Committee On Practice Ambulatory Medicine (2011). "Prevention and Management of Positional Skull Deformities in Infants". Pediatrics. 128 (6): 1236–41. doi:10.1542/peds.2011-2220. PMID 22123884.
- たとえば、Is plagiocephaly the parents fault? - BabyCenter
- 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について - 厚生労働省
- 高槻病院 赤ちゃんの頭の形外来参照
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18678803
- Choices, NHS. "Plagiocephaly and brachycephaly (flat head syndrome) - NHS Choices". www.nhs.uk. Retrieved 2016-05-30.
- 三宅裕治「新生児の頭蓋変形と骨盤位の関係」
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/16222180/?i=22&from=plagiocephaly%202005
- 医院紹介 - AHS Japan
- Binkiewicz-Glińska A, Mianowska A, Sokołów M, Reńska A, Ruckeman-Dziurdzińska K, Bakuła S, Kozłowska E“Early diagnosis and treatment of children with skull deformations. The challenge of modern medicine.”PMID: 28216483
- 藍原康雄「乳幼児における位置的頭蓋顔面変形症に対するMolding Helmet治療の有用性」(医学のあゆみ 243(10): 916 -917 2012)
- 阪下和美『正常ですで終わらせない!子どものヘルス・スーパービジョン』(東京医学社、2017/4/15、ISBN 978-4885632761)pp89‐90。
- Cleveland Clinic(クリーブランド・クリニック)"Repositioning Techniques for Infants"
- 高槻病院 赤ちゃんの頭の形外来
- “赤ちゃんの頭の形を治療する頭蓋形状矯正ヘルメット ベビーバンド”. ベビーバンド(babyband) - 頭蓋形状矯正ヘルメット. 2022年12月10日閲覧。
- アイメット - ジャパン・メディカル・カンパニー
- クルム - ジャパン・メディカル・カンパニー
- スターバンド - AHS Japan
関連項目
外部リンク
海外のサイト
- “Prevention and Management of Positional Skull Deformities in Infants” - AAP Gateway
- “Flat Head Syndrome & Your Baby: Information about Positional Skull Deformities” - healthychildren.org
- “Guidelines for the Management of Patients With Positional Plagiocephaly” - The Congress of Neurological Surgeons
- “Positional Plagiocephaly” - American Association of Neurological Surgeons
- “Plagiocephaly and brachycephaly (flat head syndrome)” - NHS choices
国内のサイト