海巡署

海巡署(かいじゅんしょ)[2]は、中華民国台湾)の海洋委員会に属し海上警察に関する業務全般を担当する省庁。いわゆる沿岸警備隊であり、日本海上保安庁に相当する。

中華民国の旗 台湾行政機関
海洋委員会海巡署
海洋委員會海巡署
海巡署本部
海巡署本部
役職
署長 周美伍
副署長 張忠龍(警監)
許靜芝(陸軍中将)
主任秘書 林超倫(海軍少将)
組織
上部組織 海洋委員会
8分署1センター 北部分署・中部分署・南部分署・東部分署・金馬澎分署・東南沙分署・艦隊分署・偵防分署・教育訓練試験センター
概要
所在地 116080台北市文山区興隆路三段296号
定員 13,476人(2020年)
年間予算

167.1億台湾元

日本円にして約765億円[1](2022年度)
設置 2000年1月28日
改称 2018年4月28日
前身 国防部海岸巡防司令部、內政部警政署水上警察局、行政院海岸巡防署
ウェブサイト
海巡署 (中国語)
海巡署
各種表記
繁体字 海洋委員會海巡署
簡体字 海洋委员会海巡署
拼音 Hăiyangweiyuanhui Hăixúnshŭ
注音符号 ㄏㄞˇ ㄧㄤˊ ㄨㄟˇ ㄩㄢˊ ㄏㄨㄟˋ ㄏㄞˇ ㄒㄩㄣˊ ㄕㄨˇ
英文 Coast Guard Administration, Ocean Affairs Council
海巡署の章

海洋委員会の海巡署は、中華民国(台湾)の海上および沿岸防衛を担当する機関である。 職員は、主に警察官、軍人、税関職員、またはその他の公務員で構成されている。 海巡署は通常、軍事任務に責任を負わないが、戦闘中は国防法第4条に従って海軍の指揮の下で軍事任務を行う。 内部部局は、計画部、検査部、警備救難部、情報部、兵站部、通信部、秘書局、人事局、会計局、政風局、巡防区指揮部及び警備隊で構成され、国内を、北部分署、中部分署、南部分署、東部分署、金馬澎分署、南東沙分署で分け、他にも艦隊分署、偵防分署、教育訓練試験センターがある。

沿革

台湾での海上警備業務は長期に亘り内政部警政署水上警察局、国防部海岸巡防司令部、財政部関税総局などがそれぞれ担当し、権限の分散による実務上の弊害が目立つようになった。国家安全会議1999年3月18日に専門の海上警察機構の設立を提案した。行政院での研究討議や準備委員会設置を経て、2000年1月28日、「海岸巡防署」が正式に成立した。

2018年4月28日の海洋委員会発足で、「行政院海岸巡防署」から「海巡署」へと名称が変更され、海洋委員会の下部組織となった。[3]

近年では所属船舶に“R.O.C.”の下に“TAIWAN COAST GUARD”のロゴを標記するようになっている。ただし、これは自国での正式名称まで「台灣海岸警衛隊」若しくは「台灣海岸警備隊」[4]に変わったという訳ではない。外国人には、漢字のみの表記では分からない事や、台湾の正式名称の英語表記“Republic of China”では中国と紛らわしいためである[5]

組織

  • 海巡署署長
  • 海巡署副署長
  • 海巡署主任秘書
  • 艦隊分署
    • 北部地区機動海巡隊(基隆港と台北港)
    • 中部地区機動海巡隊(台中港)
    • 南部地区機動海巡隊(高雄港)
    • 東部地区機動海巡隊(花蓮港)
    • 直屬船隊(興達港)
    • 第一(基隆)海巡隊
    • 第二(淡水)海巡隊
      • 八里分隊
    • 第三(台中)海巡隊
    • 第四(台南)海巡隊
    • 第五(高雄)海巡隊
      • 東沙分隊
      • 南沙分隊
    • 第六(花蓮)海巡隊
    • 第七(蘇澳)海巡隊
    • 第八(澎湖)海巡隊
    • 第九(金門)海巡隊
    • 第十(馬祖)海巡隊
    • 第十二(新竹)海巡隊
    • 第十三(布袋)海巡隊
      • 麥寮分隊
    • 第十四(恆春)海巡隊
    • 第十五(台東)海巡隊
    • 第十六(澳底)海巡隊
  • 北部分署
    • 第一(宜蘭)巡防区
      • 第一岸巡隊
      • (艦隊分署)第七(蘇澳)海巡隊
      • (偵防分署)宜蘭査緝隊
    • 第二(北基)巡防区
      • 第二岸巡隊
      • (艦隊分署)第一(基隆)海巡隊
      • (艦隊分署)第十六(澳底)海巡隊
      • (偵防分署)基隆査緝隊
      • (偵防分署)台北査緝隊
    • 第三(桃竹)巡防区
      • 第八岸巡隊
      • (艦隊分署)第二(淡水)海巡隊
      • (艦隊分署)第十二(新竹)海巡隊
      • (偵防分署)桃園査緝隊
      • (偵防分署)新竹査緝隊
  • 中部分署
    • 第四(中彰)巡防区
      • 第三岸巡隊
      • (艦隊分署)第三(台中)海巡隊
      • (偵防分署)苗栗査緝隊
      • (偵防分署)台中査緝隊
      • (偵防分署)彰化査緝隊
    • 第五(雲嘉)巡防区
      • 第四岸巡隊
      • (艦隊分署)第十三(布袋)海巡隊
      • (偵防分署)雲林査緝隊
      • (偵防分署)嘉義査緝隊
  • 南部分署
    • 第六(台南)巡防区
      • 第一一岸巡隊
      • (艦隊分署)第四(台南)海巡隊
      • (偵防分署)台南査緝隊
      • (偵防分署)北門査緝隊
    • 第七(高雄)巡防区
      • 第五岸巡隊
      • (艦隊分署)第五(高雄)海巡隊
      • (偵防分署)高雄査緝隊
      • (偵防分署)鳳山査緝隊
    • 第八(屏東)巡防区
      • 第六岸巡隊
      • (艦隊分署)第十四(恆春)海巡隊
      • (偵防分署)屏東査緝隊
  • 東部分署
    • 第九(花蓮)巡防区
      • 第一二岸巡隊
      • (艦隊分署)第六(花蓮)海巡隊
      • (偵防分署)花蓮査緝隊
    • 第十(台東)巡防区
      • 第一三岸巡隊
      • (艦隊分署)第十五(台東)海巡隊
      • (偵防分署)台東査緝隊
  • 金馬澎分署
    • 第十一(馬祖)巡防区
      • 第一〇岸巡隊
      • (艦隊分署)第十(馬祖)海巡隊
      • (偵防分署)連江査緝隊
    • 第十二(金門)巡防区
      • 第九岸巡隊
      • (艦隊分署)第九(金門)海巡隊
      • (偵防分署)金門査緝隊
    • 第十一(澎湖)巡防区
      • 第七岸巡隊
      • (艦隊分署)第八(澎湖)海巡隊
      • (偵防分署)澎湖査緝隊
  • 東南沙分署
    • 東沙指揮部
      • (艦隊分署)東沙分隊
    • 南沙指揮部
      • (艦隊分署)南沙分隊
  • 偵防分署
    • 宜蘭査緝隊
    • 基隆査緝隊
    • 台北査緝隊
    • 桃園査緝隊
    • 新竹査緝隊
    • 苗栗査緝隊
    • 台中査緝隊
    • 彰化査緝隊
    • 雲林査緝隊
    • 嘉義査緝隊
    • 台南査緝隊
    • 北門査緝隊
    • 高雄査緝隊
    • 鳳山査緝隊
    • 屏東査緝隊
    • 花蓮査緝隊
    • 連江査緝隊
    • 金門査緝隊
    • 澎湖査緝隊
    • 偵防査緝隊
    • 特勤隊
      • 空勤吊掛分隊(空中勤務総隊を支援する)
        • 第一小隊(松山)
        • 第二小隊(清泉崗)
        • 第三小隊(小港)
        • 第四小隊(花蓮)
        • 第五小隊(成功)
  • 教育訓練試験センター
    • 学員隊

装備

巡防救難艦

巡防救難艦とは100トン以上の巡視船。海上保安庁のPLH、PL、PM、PS型に相当する。

1,800トン級巡防救難艦CG101「和星」
1,800トン級巡防救難艦CG101「和星」
600トン級巡防救難艦CG119「花蓮」
600トン級巡防救難艦CG119「花蓮」
2,000トン級巡防救難艦CG127「新北」
2,000トン級巡防救難艦CG127「新北」
3,000トン級巡防救難艦CG129「高雄」
3,000トン級巡防救難艦CG129「高雄」
3,000トン級巡防救難艦CG129「高雄」Bofors 40mm/L70 自動快砲
3,000トン級巡防救難艦CG129「高雄」Bofors 40mm/L70 自動快砲
1,000トン級遠洋巡護船「巡護八号」
1,000トン級遠洋巡護船「巡護八号」
1000トン級巡防救難艦「屏東」
1000トン級巡防救難艦「屏東」
600トン級巡防救難艦「安平」
600トン級巡防救難艦「安平」
600トン級巡防救難艦「安平」発射雄風II型対艦ミサイル
600トン級巡防救難艦「安平」発射雄風II型対艦ミサイル
600トン級巡防救難艦「鎮海火箭彈系統」多連装ロケット砲
600トン級巡防救難艦「鎮海火箭彈系統」多連装ロケット砲
4000トン級巡防救難艦「新竹」
4000トン級巡防救難艦「新竹」
巡視船100トン以上
クラス 満載排水量 船名 番号 メーカー 就役年 退役年
1,800トン級 1,823トン 和星CG101中国造船
(現台湾国際造船、以下同)
19922022
偉星CG1021992
800トン級 917トン謀星CG105Wilton-Fijenoord19882022
福星CG1061988
500トン級(寶星)694トン寶星CG107中国造船19802008
欽星CG10819852010
500トン級(德星)701トン德星CG109臼杵造船所19772014
300トン級 264トン潯星CG110中国造船19862005
500トン級(台北)742トン 台北CG116中信造船グループ2001
600トン級 827トン台中CG117慶富造船2001
基隆CG1182001
花蓮CG1192001
澎湖CG1202001
500トン級(南投)742トン南投CG122中信造船グループ2005
500トン級(金門)688トン 金門CG123中信造船グループ2008
連江CG1252008
2,000トン級2,105トン台南CG126中信造船グループ2011
2,077トン新北CG127台湾国際造船2013
3,000トン級 3,719トン宜蘭CG128高鼎ヨット2015
高雄CG1292015
1,000トン級1,899トン苗栗CG131高鼎ヨット2015
桃園CG1322015
台東CG1332016
屏東CG1352016
600トン級750トン安平CG601中信造船グループ
高鼎ヨット
2020[6]
成功CG6022021
淡水CG6032021
旗津CG6052022
八里CG6062022予定
(未定)CG6072023予定
(未定)CG6082023予定
(未定)CG6092024予定
(未定)CG6102024予定
(未定)CG6112025予定
(未定)CG6122025予定
(未定)CG6132026予定
4,000トン級6,095トン嘉義CG5001台湾国際造船2020
新竹CG50022022
(未定)CG50032023予定
(未定)CG50052024予定
1,000トン級2,077トン彰化CG1001台湾国際造船2021予定
(未定)CG10022022予定
(未定)CG10032023予定
(未定)CG10052023予定
(未定)CG10062023予定
(未定)CG10072024予定
800トン級 1,127トン巡護一号H.H. No.1聯合造船1992
400トン級 839トン巡護二号H.H. No.2中信造船グループ19922013
巡護三号H.H. No.319922013
100トン級 140トン巡護五号H.H. No.5豐國造船19922014
300トン級 228トン巡護六号H.H. No.6豐國造船1992
1,000トン級 1,915トン巡護七号H.H. No.7中信造船グループ2011
巡護八号H.H. No.82013
巡護九号H.H. No.92013
3,000トン級 (未定) (未定) (未定) 2026予定
(未定) (未定) 2032前
(未定) (未定) 2032前
(未定) (未定) 2032前
(未定) (未定) 2032前
(未定) (未定) 2032前

巡防艇

巡防艇とは、100トン未満の巡視艇。海上保安庁のPC、CL型に相当する。

(100トン未満の巡視船の番号は「PP-[トン数][シリアルナンバー]」。例えば、PP-10001は100トン級第1世代第1型の第1番船。ただし、中国語の「4」は「死」の同音異字のため欠番の場合あり)

巡防艇100トン未満
100トン級第1世代第1型8隻満載103トン
第2型10隻満載103トン
第2世代3隻満載118トン
第3世代第1型3隻満載95トン
第2-1型7隻満載174トン
第2-2型16隻 (予定28隻)満載174トン
第4世代0隻 (予定17隻)満載319トン
60トン級5隻満載68トン
55トン級10隻満載82トン
50トン級第1世代第1型13隻満載56トン
第2型14隻満載76トン
第2世代9隻満載56トン
35トン級第1世代28隻満載29トン
第2世代24隻満載33トン
第3世代52隻(未定)
30トン級13隻満載29トン
20トン級45隻満載21トン

モーターボード

停泊するPP-601形モーターボート3隻
CP-1001形1隻
CP-1019形(沿岸多功能艇) 50隻 (未定)
CP-1001形 15隻
SF-801形 6隻
PP-601形 9隻
PP-201形 30隻 (全数退役)
K92特殊作戦突撃艇 3隻

特殊船艇

  • 除汚船(全数退役)
    • ORB-01
    • ORB-02
    • ORB-03
    • ORB-05
  • 特殊救難艇
    • RB-01
    • RB-02
    • RB-03

航空機

名称種類保有数原屬状況
AS365回転翼機9機警政署現役中(空中勤務総隊に所屬する)
B-234 MLR回転翼機3機消防署退役
S-76B回転翼機2機民用航空局退役
UH-1H回転翼機15機消防署退役
Beech-200固定翼機1機民用航空局退役
Beech-350固定翼機1機民用航空局現役中(空中勤務総隊に所屬する)
UH-60M回転翼機14機国防部現役中(空中勤務総隊に所屬する)
AXH-E230R無人機20機現役中

武器

T-75S 20mm機関砲

(「T-」は中華民国国軍國防部軍備局--中華民国(台湾)の主要武器メーカー--の公式代号)

歴代海巡署長

行政院海岸巡防署

姓名着任日退任日
姚高橋 2000年1月28日 2000年5月21日
王郡 2000年5月21日 2004年5月20日
許恵祐 2004年5月20日 2006年1月25日
王進旺 2006年1月25日 2014年12月7日
王崇儀 2014年12月8日 2016年5月19日
李仲威 2016年5月20日 2018年4月27日

海洋委員会海巡署

姓名着任日退任日
李仲威 2018年4月28日 2019年2月13日
陳國恩 2019年2月14日 2020年10月1日
莊慶達 2020年10月2日 2020年12月31日
周美伍 2021年1月1日 現任

脚注

  1. 1台湾元=4.4円として計算
  2. Team, Internet. 台湾の海洋委員会海巡署が日本の海上保安庁と協力し沖縄の漁民を救助”. 台北駐日経済文化代表処. 2019年8月3日閲覧。
  3. 海洋委員會海巡署今揭牌 下設9分署13個巡防區 (中国語). 自由時報電子報. 2019年8月2日閲覧。
  4. 台湾では、日本語で「沿岸警備隊」、英語で“coast guard”と表記する組織を「海岸警衛隊」若しくは「海岸警備隊」と表記する。
  5. 似た事例として、日本の海上保安庁が所属船舶に“Japan Coast Guard”というロゴを入れるようになった事が挙げられる。海上保安庁の英称は2000年まで“Maritime Safety Agency of Japan”であったが、所属船にこれを船体標記した例は無く、また“Japan Coast Guard”の英称変更後も日本語の名称はそのままである
  6. 「ニュース・フラッシュ 台湾コースト・ガードの新型巡視船「安平」Anpingが就役」『世界の艦船』第943号、海人社、2021年3月、127頁。
  7. ボフォース 40mm機関砲L70を砲塔に載せた自動機関砲

関連項目

外部リンク

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