法科大学院適性試験
法科大学院適性試験(ほうかだいがくいんてきせいしけん)は、かつて、日本における法科大学院の入学判定のために入学志願者の法科大学院における教育に不可欠な基礎学力をはかるために実施されていた共通試験である。単に適性試験とも呼ばれる。
法律的知識や一般教養等が点数を左右する性質の試験ではなく、適性試験の成績と司法試験の成績との間に相関関係があるのか疑問視されていた[1]。
当初は法科大学院に出願しようとする者は受験が必須であったが[2]、2016年ごろの法科大学院改革の中で任意化が提言された際、採用予定校数が僅少であったことなどから、2018年度には実施が見送られ[3]、その後は実施されておらず、実質的に廃止となっている[4][5]。
沿革
- 2002年7月 - 正式実施に備えて、模擬試験を実施。
- 2003年8月
- 2011年5月 - 適性試験管理委員会による「法科大学院全国統一適性試験」開始。
法科大学院入試における位置づけ
法科大学院の入学のためには、年間2回実施される適性試験のうち、最低でも1回の適性試験を受験しなければならなかった。
志願者は、適性試験受験の後に成績表とともに出願し[3]、各法科大学院が個別に実施する入学試験を受験することになる。
また、適性試験の得点に関する資格要件として足切りラインを設定する法科大学院もあった。
適性試験の成績は1年限りのもので、翌年以降の法科大学院の入学試験を受験する場合は、別途その年の適性試験を受験する必要があった。
実施主体等の変遷
統一適性試験は、司法制度改革による2004年4月の法科大学院創設に合わせて、最初の入学試験が行われた2003年8月から実施されていたが、実施主体等には以下のような変遷があった。
2003年-2010年
2010年度までは、下記の2種類の試験が実施されていた[注釈 1]。
2011年-2017年
- 2011年度から、法科大学院協会、公益財団法人日弁連法務研究財団、社団法人商事法務研究会が共同して設置する適性試験管理委員会が行う法科大学院全国統一適性試験に統合された[7]。統合により、財団法人日弁連法務研究財団と社団法人商事法務研究会が共催していた法科大学院統一適性試験(JLF)形式で、適性試験が年2回実施されていた。
- 2016年、法曹離れによる志望者の減少のため、1回の受験料が1万6200円から2万1600円へと値上げされた。
適性試験管理委員会
法科大学院関係者、法曹三者、有識者、公益財団法人日弁連法務研究財団関係者、社団法人商事法務研究会関係者からなる合計12名の委員によって構成されていた。
脚注
注釈
- これは、大学入試における大学入試センター試験のように公的に行おうとする方針に対して、「民間で行うべきである」との反対があったためである。
出典
- 立命館大学法務研究科教授会. “「法曹養成制度検討会議・中間的取りまとめ」に対する意見” (pdf).
- 中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会 2016, p. 1.
- 適性試験管理委員会 (2017年11月2日). “『法科大学院全国統一適性試験について(お知らせ)』”. 2021年9月2日閲覧。
- 須網隆夫 2019, p. 119.
- 「司法試験の受験者減少は「悪いこと」なのか? 日弁連に「法曹不人気説」をぶつけてみた」『弁護士ドットコムニュース』、2019年10月13日。
- 中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会 2016, pp. 4–9.
- 『平成23年以降の適性試験実施に向け、適性試験管理委員会を開催』 適性試験管理委員会(JLF公式サイト)・平成22年(2010年)5月28日
参考文献
- 須網隆夫「日本型ロースクールは再生できるか : 日本の法曹養成教育の最近の課題とその原因」『比較法学』第52巻第3号、2019年、110-124頁、NAID 120006643807。
- 中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会 (2016年9月26日). “統一適性試験の在り方について(提言)” (pdf). 2021年9月2日閲覧。
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