水島臨海鉄道MRT300形気動車
水島臨海鉄道MRT300形気動車(みずしまりんかいてつどうMRT300がたきどうしゃ)は、1995年(平成7年)に4両[2][3]、1996年(平成8年)に2両[4]、計6両製造された水島臨海鉄道の気動車である。
水島臨海鉄道MRT300形気動車 | |
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MRT300形302(三菱自工前、2010年1月) | |
基本情報 | |
運用者 | 水島臨海鉄道[1][2][3][4] |
製造所 | 新潟鐵工所[1][2][3][4] |
製造年 | 1995年 - 1996年[2][3][4] |
製造数 | 6両[2][3][4] |
運用開始 | 1995年2月11日[1][5] |
投入先 | 水島臨海鉄道水島本線 |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067mm[5] |
最高速度 | 95km/h[1] |
車両定員 | 71(座席)+74(立席)= 145名[6] |
車両重量 | 33.2t(空車)41.6t(積車)[1][6] |
全長 | 21,300mm[1][5][6] |
車体長 | 20,800mm[5] |
全幅 | 2,928mm[1][5][6] |
車体幅 | 2,800mm[5] |
全高 | 3,980mm[1][5][6] |
車体高 | 3,620mm[5] |
車体 | 全鋼製[5] |
台車 |
ボルスタレス台車 NP129D(動力)・NP129T(付随)[5][6] |
動力伝達方式 | 液体式 |
機関 | DMF13HZ)×1 / 両[5][6] |
機関出力 | 330ps[5][6] |
変速機 | TACN-22-1611[5][6] |
変速段 | 変速1段・直結2段[5] |
制動装置 |
電気指令式ブレーキ 直通予備ブレーキ[1][5] |
保安装置 | ATS-SM[1][5] |
備考 | ワンマン対応・総括制御機構[1][5] |
概要
日本国有鉄道(国鉄)、西日本旅客鉄道(JR西日本)および四国旅客鉄道(JR四国)から譲受したキハ20形が在籍していたが、車両の老朽化が進んでいた。老朽化した車両の淘汰や、安全・快適なサービス向上を図るために[1][7][5]、301・302が1995年2月11日[7][5]、303・304が1995年11月29日[8][3]、305・306が1996年11月22日 [4]に製造された。
構造
車体
新潟鐵工所のローカル線向け軽快気動車「NDC」の機構をベースとしており、全鋼製である[5]。輸送量の多い通勤・通学路線であるため、通常形気動車同等の全長21.3mの大型車である[5]。
301・302はクリームホワイトの車体に、ブルー濃淡の線で車体側面に「MR」のロゴマークが描かれており[1][5]、304 - 306は青色の車体に、一般から公募したひまわりの絵がラッピングされ、後者には「ひまわり号」という愛称がある[8]。
側出入口または側引戸は車体両端2箇所に片開きドアを設けており、旅客乗降口の幅は910mmである[1][5]。
- 愛称「ひまわり号」MRT300形304(三菱自工前、2020年11月)
車内
車内はクリーム系で明るい色調であり、座席は中央の通路を挟んで4組ずつの固定クロスシートを中央部に、ロングシートを車端部に設置し、千鳥形に配列している[1][5]。 側窓は上段は固定、下段は上昇下降できるようにしてあり、巻上げ式のカーテンを設置している[1]。 ドアを開閉するときに、ドアチャイムが鳴り、自動・半自動の切り替えが可能であり、半自動ドアはボタンで操作する方式である[5]。
301・302を導入当初はワンマン運転は実施しておらず、将来のワンマン化に備えて準備工事を施した構造としていたが[1][5]、1996年(平成8年)3月16日よりワンマン運転開始にともない[9]、全列車に自動音声合成装置(音声案内)やワンマン設備を設置し、車内駅名・料金案内表示装置(LED)を305・306に設置している。トイレは全車両設置されていない。
- MRT300形302の車内。
クロスシートとロングシートを千鳥形に配置している。(倉敷市、2008年4月)
走行装置
エンジンは、新潟原動機製のDMF13HZ(330PS/2000rpm)を1基搭載しており[1][5][6]、総排気量は12.7リットルで最大トルクは144kg・m/ 1300rpmである[1]。 液体変速機は、変速1段・直結2段の新潟コンバーター製のTACN-22-1611を搭載している[1][5][6]。 空気バネ式のボルスタレス台車を採用しており[1][5]、動力台車形式はNP129Dで、付随台車形式はNP129Tである[1][6]。 制動装置は、電気指令式空気ブレーキ、直通予備ブレーキを装備し、空気圧縮機はC-600形を1台装備、留置する際は保安ブレーキで代用としており、メンテナンスの省力化を図っている[1][5]。
- MRT-305の走行音(浦田 - 弥生、2007年12月)
- MRT-305に搭載されている新潟原動機製のDMF13HZ
- NP129D形台車(三菱自工前、2010年1月)
- NP129T形台車(三菱自工前、2010年1月)
運用
1995年(平成7年)2月11日から営業運転を開始し[1] 、1995年から1996年(平成8年)にかけて投入された[2][3][4]。
導入以来、車両外装に大きな変化は特になかったが、303は2020年(令和2年)4月、水島臨海鉄道営業開始50周年を記念し、赤と青のツートンカラーに塗り替えられ、車内の座席シートを暖色系の格子模様柄に取り替えており、同月1日から運行を開始している[10][11]。
305は2022年(令和4年)12月、児島競艇場開設70周年を記念し、倉敷芸術科学大学の学生が発案したラッピング列車となり、同月23日より運行を開始し、2024年(令和6年)3月末までの運行予定となっている[12][13][14]。
304は2023年(令和5年)2月、水島本線が三菱重工水島航空機製作所(現在の三菱自工水島製作所)専用鉄道として開業80周年を迎えることから、32系電車や113系電車などで使用されたスカ色を元に、車体上半分をクリーム1号、車体下半分を青15号に塗装し、車内の座席シートを303と同様に暖色系の格子模様柄に取り替えており、同月8日より運行を開始した[15][16][17]。
- 50周年記念塗装色 MRT300形303
- 児島競艇場開設70周年記念ラッピング列車 MRT300形305
出典
- 『鉄道ファン1995年5月・水島臨海鉄道MRT300形』p64
- 『鉄道ピクトリアル1995年10月・新車年鑑1995年版』p188
- 『鉄道ピクトリアル1996年10月・新車年鑑1996年版』p187
- 『鉄道ピクトリアル1997年10月・新車年鑑1997年版』p179
- 『鉄道ピクトリアル1995年10月・新車年鑑1995年版』p134
- 『鉄道ピクトリアル1995年10月・新車年鑑1995年版』p182
- 『鉄道ピクトリアル1995年10月・新車年鑑1995年版』p99
- 『鉄道ピクトリアル1996年10月・新車年鑑1996年版』p104 - 105
- 貨物・旅客輸送併営で地域活性化に取り組む
- 【2020年4月1日】「50周年記念号」運行開始
- 水島臨海鉄道MRT303のカラーリングが変更される
- 児島ボート 70周年記念号が走ります!!
- 児島ボートのラッピング列車公開 水島臨鉄、デザインは大学生考案
- 水島臨海鉄道MRT305が「児島ボート70周年記念号」に
- 水島臨海鉄道MRT304が新塗装に
- 【開業80周年記念】MRT304の記念塗装について
- 【なんとスカ色…?】水島臨海鉄道MRT300形304号の塗装変更
参考文献
雑誌記事
- 寺田 祐一『私鉄気動車30年』JTBパブリッシング、2006年。ISBN 4-533-06532-5。
- 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』通巻号「新車年鑑1995年版」(1995年10月)
- 藤井信夫、大幡哲海、岸上明彦「各社別車両情勢」 pp. 86-101
- 水島臨海鉄道株式会社 運輸部 岡部昌「水島臨海鉄道MRT300形」 pp. 134
- 「II. 民鉄車両 II-1 車両諸元表」 pp. 182-184
- 「II. 民鉄車両 II-2 1994年度車両動向」 pp. 184-196
- 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』通巻号「新車年鑑1996年版」(1996年10月)
- 藤井信夫、大幡哲海、岸上明彦「各社別車両情勢」 pp. 88-105
- 「II. 民鉄車両 II-2 1995年度車両動向」 pp. 183-195
- 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』通巻号「新車年鑑1997年版」(1997年10月)
- 「II. 民鉄車両 II-2 1996年度車両動向」 pp. 176-186
Web資料
「貨物・旅客輸送併営で地域活性化に取り組む」(PDF)『みんてつ』第72巻冬号、日本民営鉄道協会、2020年、19頁。
『【2020年4月1日】「50周年記念号」運行開始』(プレスリリース)水島臨海株式会社 。2023年1月9日閲覧。
「水島臨海鉄道MRT303のカラーリングが変更される」『railf.jp(鉄道ニュース)』交友社、2020年4月2日。2023年1月9日閲覧。
“児島ボート 70周年記念号が走ります!!”. 水島臨海鉄道 (2022年12月23日). 2023年1月9日閲覧。
「児島ボートのラッピング列車公開 水島臨鉄、デザインは大学生考案」『山陽新聞』山陽新聞社、2022年12月23日。2023年1月9日閲覧。
「水島臨海鉄道MRT305が「児島ボート70周年記念号」に」『railf.jp(鉄道ニュース)』交友社、2022年12月26日。2023年1月9日閲覧。
「水島臨海鉄道MRT304が新塗装に」『railf.jp(鉄道ニュース)』交友社、2023年2月1日。2023年2月2日閲覧。
“【開業80周年記念】MRT304の記念塗装について”. 水島臨海鉄道 (2023年2月2日). 2023年2月2日閲覧。
「【なんとスカ色…?】水島臨海鉄道MRT300形304号の塗装変更」『鉄道ホビダス』ネコ・パブリッシング、2023年2月9日。2023年2月13日閲覧。
外部リンク
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